2010年8月11日水曜日

2010年の北方型ECO+

今年の北方型ECO+プロジェクト(北方型住宅のハイエンド仕様。同時に国で定める長期優良住宅にも適合する補助対象住宅。北海道で生まれた革新的技術で作られる新築の地域ブランド。当然ながら全国一の住宅性能を有している。)がもう直ぐ着工します。(ところで北方型住宅とは? http://www.kita-sumai.com/)今年の弊社の目標はずばり「普及させること!」です。昨年始めての挑戦として取り組んだ「銭函の家」。建物からの熱損失を限りなく抑えることで、飛躍的に冬期の暖房コストを圧縮することが出来ました。反面坪単価的には60万円/坪を超えてしまい、普及を前提とした建設費としてはまだ改善の余地があることが分かりました。そこで今回は普及型の仕様を開発してリーズナブルに壁:30cm断熱仕様が供給できるように、各方面の専門家を集め課題に取り組むことにいたしました。目標は50万円代/坪程度です。今年の北方型ECO+の基準は昨年よりも更に厳しく、1種熱交換換気装置の使用が禁止されました。要は自然換気(外気温に等しい空気で24時間換気を行う条件)で建物の熱損失を示すQ値が1.3W/㎡Kを下回るように設計せねばなりません。機械頼みがきかない為に最低でも15~20cmの断熱が壁には必要となります。しかし考えようによってはぎりぎり基準クリア(ホッ!)では面白くありませんので、最高のコストパフォーマンスを維持しつつどこまでこのQ値を下げられるのかに私と仲間は挑戦することにしました。それは日本経済全体が淀む中、驚異的な燃費を誇るハイブリッド車が世界的に大きな評価を受けていることに元気をもらう感じに似ています。ブログで何度も訴えてきたように、今日本が次世代省エネ基準として掲げているものは、今後社会にとって必要とされる省エネの水準としはあまりに低すぎます。名前も大仰で誤解が多く単に99年度省エネ基準と呼ぶべきものです。この基準に沿って家を建ててもCO2は減るどころか逆に増え続けてしまうのが残念ながら現実です。特に冬期間の暖房用エネルギーが全国平均の3倍近くに昇る北海道ではそれに応じた基準の明確化と周知そしてなにより実際に建設できる体制が必要なのです。

Dr.タギ氏による省エネシュミレーションより。自然換気による場合は建物全体のおよそ36%が換気による熱損失となります。この状態でQ値は1.1W/㎡Kをマークします。実際の冬の生活ではシュミレーションで想定しているように家中の空気を2時間で全て外気と入れ替えるといった過剰な換気はしませんので、自然換気ながらQ値は1W/㎡Kを下回ることになります。



次のシュミレーションでは建物に必要な暖房器具の容量や年間の燃料消費量を予測しています。たとえば外気温度が-13℃で室内を+22℃で全館暖房する場合には、家全体で3.7kw程度の暖房装置が必要です。同規模で99年度省エネ基準の平均的な住宅の蓄熱暖房機の容量は約30kw程度ですから約1/8程度で済むことになります。