2009年11月12日木曜日

銭函の家 気付いたこと

銭函の家の外壁は赤みを帯びた道南杉を縦貼りします。杉は耐水性が高く長持ちします。紫外線と外気に反応してグレーに変色し味わいを増す壁です。気に入ればそのままでもよいし、飽きたら塗装してもよいと思います。よく色が剥げたときのことを気にする人がいますが、こと木製の外壁に塗る塗料に関しては、素人でもベテランの親方でも仕上げに大差はありません。ですから欧米では休みを利用して住い手が塗るのが普通です。もうひとつ大切なことは、メンテナンスの中で単位面積当たりの単価が最も安いものが塗装だということを憶えておくとよいと思います。よくメンテの掛からない壁のようなお話や相談を受けますが、「塗装でなおるもの」と答えます。張替えやシーリングそれらに関わる付帯工事が発生するものは、最初の工事費は安くてもあまり賢い選択ではありません。そんな意味でも杉板の無塗装貼りは良いと思うのです。

室内では電気屋さんの配線が始まりました。銭函の家の室内壁は特別製で気密ビニールの中に電線を極力入れません。これは前回行なった建物の気密性を損なわないためです。写真のように専用の配線下地を組んで中に配線します。将来的に間取りの変更があっても建物の気密性を損なうことで建物の寿命を縮めないようにEUでは標準化しつつある工法です。
夜の現場は最近冷え込みます。


本日の外気温は約3℃くらい。

しかし、大工さんが働く室内は、玄関ドアを開けっ放しで作業しても14℃もあります。もちろん中で暖房なんて焚いていません。先日の気密測定のときに11人が現場に入りましたがその時は16℃にもなりました。人体の発熱で気温が上がるなんて聞いてはいましたが、目の辺りにすると俄然期待が高まります。機械設備暖房主体の建物は、スイッチを入れるまでどうなるか分かりませんが、銭函の家は建物の方から「おーい断熱効いてるよ~」と語りかけているようで、現場監督と棟梁と一緒に「新鮮な体験ですね~」なんて話しをしました。作ることで体感できる貴重な現場。まだまだ頑張ります。