2025年5月30日金曜日

北郷の家 2025.05.30

 

宇野棟梁の手によって北郷の家に庇が完成いたしました。庇の役割は300mm断熱の家にはすごく大切。

夏場はこの庇がないと二階は暑くてたまらなくなります。冬場も日射の量を調整し眩しすぎず、暑くなり過ぎない室内にします。
こんな風に外側の断熱工事がほぼ終わりどんどん家らしくなってきました。

宇野棟梁の丁寧な仕事。気密を上げるために土台廻りをコーキングでシールしてくれています。手前に見えるタイルを壊すと土台の下に手が入りやすくなるので、合わせて土台の下もコーキングして気密性を確保します。

玄関土間のタイルとタイル下地は約6cmの厚みがありました。全て、下地のコンクリートまで出して、玄関周りの高さを適切に調整し直します。

今日は布袋さんなんていかが


ユーロトレンド玄関ドア(南幌まちなかの家Ⅳ)

 


今日は玄関ドアのお話しです。

断熱性能の高い玄関ドアがまだ少なかった時代、風除室の要望が高かった。理由はシンプルで寒さの厳しい地域にとって玄関は最も冷えやすい部屋であり、人の出入りの際に入る風(寒さ)を少しでも防ぎたいとの思いからであった。

もう一つは玄関ドアの防犯性が向上したこと。今から約20年前の2000年代前半は防犯ドアが登場し、破壊されにくい高強度丁番や強化デッドボルト、プッシュ式サムターン(室内側の開錠つまみ)、二重ロック等が玄関ドアの標準スペックとなった。

こうして断熱性能と防犯性能の向上した玄関ドアの登場によって風除室のニーズは減少し、結果的に北国北海道の玄関周りはスッキリと見えるようになった。

ユーロトレンド玄関ドアHP https://www.prairie.co.jp/product/eurotrend_g.html

「南幌まちなかの家Ⅳ」の玄関ドア。元々はスウェーデン製のドアが元祖だが、国内用にレバーハンドルや鍵は国産の美和ロックに換装されている。写真はプッシュ式サムターンの様子。蓄光素材が使われて暗闇でもつまみの位置が分かる。

第二ロックは通常のサムターン

デッドボルトは切断にも強い鎌形

レバーハンドルは美和の定番50型。伝統あるシンプルな造形は古さを感じません。
美和ロックHP https://www.miwa-lock.co.jp/

可変丁番はASSA ABLOY製。こちらは本国の仕様です。木製ドアですから、使用による乾燥収縮で丁番調整が必要になります。また丁番切をされてもドアが引き抜かれないようにフックまで付いているのは安心です。

ASSA ABLOYジャパンHP https://www.assaabloy.com/jp/ja

今日はLaufeyなんていかがでしょう


南幌まちなかの家Ⅳ 2025.05.30

 

本日の「南幌まちなかの家Ⅳ」の外観です。東西南北各面は構造用のOSBパネルで覆われています。風が室内に入り込むと作業効率が落ちるので窓部分は後ほど開口します。

ここ数日の暖かさでみるみる敷地周辺の草が伸びたことで、家が草原の中に浮かんでいるように見えます。本来ならば足場にネットを掛けたいのですが、強風のために中々難しい状況です。
室内は充填断熱を進めて頂いています。パラマウント硝子さんの高性能断熱材53mm(32kg/m3)を二重に柱の間に充填して行きます。

切断面はこんな風にきれいに角が立って精度よくサイズ調整が可能です。

こちらが充填している室内の写真。入れていないところには窓が入ります。

今日はLoren Allredなんていかが


2025年5月27日火曜日

南幌まちなかの家Ⅳ 2025.05.27

 

5/25(日)は雨に降られましたが、しっかり養生を行い室内を濡らすことなく屋根の防水が完了した「南幌まちなかの家Ⅳ」です。
見上げる地元産カラマツの天井も美しく決まりました。皆川棟梁、中野所長ありがとうございます。もちろんこの材料を刻んでくれた(株)ニッショウのIさんにも感謝!木肌特有のあたたかな構造美を感じます。

東側に0.9m跳ね出した特徴的な骨格が見えてきました。

南側に1.8m跳ね出した二階のテラスは下に柱がなく軽やかな印象です。

今日はMan With A Missionなんていかがでしょう


2025年5月26日月曜日

クライアントさんと住宅営業

 すっかり私たちの生活に定着したインターネット。

ネット社会なんていう言葉が生まれてもう久しいですよね。

ふと気付けば1日の内でスマートホンを触らない日なんてありません。仕事に目を向けても、ネット環境を使わないお仕事って今の時代どれだけあるのかな?と思ってしまいます。

私が事務所を始めたのが1998年。当時PCのOSはウインドウズ95から98へ当初はネットに接続されていない環境で製図や表計算のソフトを使って仕事をしていました/笑。

その後、2009年に書き始めたこのブログのおかげでクライアントさんとの出会いは急速にネット経由に変わってゆきました。

今日のお題はそんな中で今や伝統的ともいえる住宅メーカーの営業を経験した後にクライアントさんとなった住まい手さんのお話し。

みなさんから総じて聞くのは”丁寧ながらマニュアルに沿った厳格な営業対応”の数々。住まい手さんの”ふわっとした想いをいかに形にするか?”ではなく、自社のルールの共有とそのルールに沿って考えることに慣れることを促す建て主教育。

代表的なところでいうと標準仕様とオプション仕様。クライアントさんが何か言うと「それはオプションです」という対応。そうした対応に違和感を覚えた住まい手さんが当事務所のクライアントさんにはとても多い。

今日はそんな昭和的な住宅営業を取り上げたサイトを見つけたので住宅展示場に直行する前にぜひご覧ください。

https://biz.myhomemarket.jp/blog/sekkyaku

もちろん、完成から引っ越しまでのスケジュールや勤め人なら用意できる住宅ローン総額、在職期間と支払い可能期間、敷地と職場の距離感や将来的なお子さんの教育等々・・様々な個別の事情を背景に自らの趣向とどう両立させるかが問われることは、私の事務所も同じ。

じゃあ何が違うの?といえば、そうした各人よって様々に異なる課題を解決する際の出発点が特定のマニュアルではないというところ。

住まい手各人がそれぞれ異なる事情や制限の中で自らに合ったベストな解決策を探すのがそもそも家づくりなのだから、選択肢の幅を狭めてしまうようなマニュアルならむしろ不要と考えています。

今日のyoutubeは音楽じゃあなくて、大手住宅会社さんと契約直前まで行きながらも最後は地元の工務店さんに落ち着いたという住まい手さんのお話し。何だか親近感を感じました/笑。

注:北海道の人にとっては住まいが断熱&気密化されているのは当然なんですけど、本州の多く、特に温暖地といわれているところはまだまだ違う。そこを踏まえてご覧ください。



2025年5月23日金曜日

北郷の家 2025.05.23

 

今日は道北から建て主ご夫妻が現場にお越しになりました。宇野棟梁自ら改修のポイントを説明していただきました。

以下:棟梁による現場の説明より(時々山本補足/笑)・・・

柱はね、昔の建物って本当に柱の本数が足りないの、だから図面に従ってずいぶん増やしました。この家が最初にできた頃は外壁にはバッテンの筋交っていうのを入れていたんだけど、あまり効かないから今は構造パネルを柱の外に貼る工法に進化しています。そのパネルをしっかり釘打ちするためには柱の本数のみならず間柱も昔の27mm幅じゃあなくて今の45mm幅に全て取り替えました。

梁はね、あんまり曲がったり割れたりしたものは除いて、短く加工し直して窓上の補強に再利用したり、梁の本数や強度も今の新築の水準に比べるとぜんぜん足りないから、補強で大丈夫なところは補強、交換や本数が必要なところは新たに集成材の強い梁に交換しました。

大梁と大梁を結ぶ小梁は10.5cmの角材を全部金物受けにした上からボンドと釘でがっちり厚物合板を留め付けて動かないようにしています。だから屋根に雪が1.5m積もっても大丈夫。

解体して現場を実測して発見したのは・・この家、柱の寸法は10cm角。一般的には10.5cm角なんですけど5mm足りないの。それなのに梁の幅は10.5cmと一般的なもんだから、柱と梁の幅が違う。そこを見落として10.5cmの柱を入れたら壁が波打っちゃう/笑

そこで新しい柱と古い柱が並ぶ通りは古い柱に合わせて10cm角に加工して、新しい柱だけの通りは少しでも強度が落ちないように10.5cm角のまま使いました。なので壁はピシットまっすぐ通ります。

古い柱には天井欠きや梁の加工痕が残ったままだと見た目も悪いし強度上も心配なんで埋木をして本来の断面寸法に戻しておきました・・・・

私はあともう少しで引退ですけど・・この家はまた何十年も住めますよ/笑

今日はHYなんていかが

通年型のパッシブ換気に進化させる

今までの自分の設計するパッシブ換気は主に暖房期(冬)の大きな内外温度差を作動動力に据えた冬目線のものでした。

その理由はシンプルで夏が涼しく短い北海道なんだから初夏から窓開け換気ができるし、盛夏といったって延べで2週間あるかどうかなんだから、計画換気のシーズンは主に窓開けのできない冬に重心を置けばいいよね・・といったもの。ところがここ数年はそんなこと言ってられないくらい夏が暑くなってきた。

そこで・・夏の冷房期も窓を閉めたまま必要換気量をどうやって確保すべきか?・・に軸足をシフトしつつある。北方型住宅ZERO「南幌まちなかの家Ⅳ」では従来の壁抜き排気口ではなく断熱煙突を用いた煙突型の排気口に進化。その理由がまさにこの”南幌の風資源”

年中吹く一定の風速で通年型のパッシブ換気を目指します。

夏も冬も自然エネルギーで家中新鮮な空気循環・・なんてすばらしいんでしょ/笑

今日はにじいろ・・こんなコラボがあったんですね


南幌まちなかの家 2025.05.23

 

↑2025.05.23
先ほどの現場の様子。屋根の断熱工事は非常に丁寧に進めて頂いています。

足場に上ると「山本さんいい写真撮りに来たんでしょう?まってたよ/笑」とばかりの棟梁の粋な計らい。そーなのこういうことなんです。作業中の現場なのに「断熱構造の全体像が分かる」見習いの若い子(大工)にだって目先の事ばかりじゃなくて完成形がイメージできるようになる。全体が見えるようになれば、仕事はどんどん面白くなる。

教育的な現場でたいへんありがたかったです。引き続きよろしくお願いいたします。

↓2025.05.22
快晴の中、屋根の340mm断熱が進んでいます。

青緑色のシートが防湿シートです。

1層目のグラスウール235mmがどんどん充填されてゆきます。

今日は宇多田ヒカルなんていかが





2025年5月22日木曜日

北郷の家 玄関ドア探し

いつもお世話になっている新宮商行さんで素敵な玄関ドアを見つけました。材質が標準のホワイトアッシュ(白タモ)ではなく高級なレッドオーク(ナラ材)を使用。屋外側はもちろん変形や反りに強いスモークドウッド加工がしてある。

金物は名門ホリ商店。レバーハンドルはLARに防犯ロックが二つ。もちろんこちらもホリのトライデントシリンダーで防犯性抜群。ちなみにこのホリ商店・・日銀の金庫を作ったメーカーとして有名です。

HORI LAR https://www.hori-locks.co.jp/products/index.html#/item/1010222501094

HORI トライデント https://www.hori-locks.co.jp/products/index.html#/pages/cylinder


こちらは屋内側でナラ材の木目が美しい

 

木目を拡大するとこんな感じ。なかなかに良いと思います。

今日は大好きなブルースホーンズビーなんていかが


2025年5月21日水曜日

南幌まちなかの家Ⅳ 2025.05.21


「南幌まちなかの家Ⅳ」二階まで建ち上がりました。勾配一寸五分の登り梁に対して□105を@910間隔に渡し、その□105に@227.5間隔で45×60を落とし込んでゆきます。室内から小屋組みを見せたいので、屋根断熱は外張りで行いますから、これから厚物合板に防湿シート、GW340mm分の充填下地等々・・たくさんの資材が屋根の上に載ります。それを順次組付けて雨の来る前に屋根屋さんを呼ぶためには、能率の上がる良い足場として小屋組みをデザインします。図面はお客さんのためのものですけど、重い資材を抱えながら屋根面を歩く大工さんも大切なお客さん。工事中は安全な足場として完成後は見上げて楽しめる意匠として構造デザインを工夫しています。

こんな風にどんどん足場を広げながら、屋根面全体を安全な足場化してゆきます。この後に厚物合板を荷揚げして敷きますから、45×60の根太&垂木の存在は荷置き場の自由度も上がります。

45×60を落とし込む際にわずか一分(3mm)の面取りが嬉しい。こんなところにもCADオペいえいえ・・プレカット棟梁の優しさを感じます。

最近のトレンドは高性能GWの20kg/m3化。従来の16kgだと柔らかすぎてきれいに入り難い。そこそこ価格もこなれてきたので自分の現場ではほぼ20kg/m3になりました。

今日は松岡直也で行きましょう





2025年5月19日月曜日

恵庭の家Ⅱ 現地調査 2025.05.17

 

「恵庭の家Ⅱ」の現地調査。敷地は住宅街の一角にありながら雑木林や小川に隣接し、都市の利便性と静かさが共存する二面性が特色。北と東には隣家が迫るが南と西は静かな森が広がるロケーション。

以前の住人が育てたのだろうか、水仙にチューリップ、ルピナスらしきものも野生化している様子。
南東側に雑木林が開け、敷地はかなりの勾配で下っている。敷地に平屋を建てたとしたら南東側敷地の二階の窓と同じ視線の高さかな?っといった感じ。冬の情景を思い浮かべてみました。

ドラマチックに南東側の風景を窓から取り込みたいのなら傾斜面にぎりぎりまで建物を近づけて建てる方法もありなのですが・・南東側なので家庭菜園のスペースも欲しい。そうなると、ある程度引きを取って畑の向こう側に景色を見せて・・畑なら冬は枯れて眺めを邪魔しないかな?とかいっそ高木を植えて、奥の風景が自身の庭に連続しているように作るのはどうだろうか?等々・・あれこれ考えながら敷地内を歩き回りました。
こんな風に高木の全高の半分から上が見えるような感じ。手前のふきやタンポポの生えているところが、家庭菜園の適地。太陽は左から右へ動きます。

さて、どんな風に楽しい家になるものか・・まずはスケッチ開始です。

今日はバンアパなんていかがでしょう





南幌まちなかの家Ⅳ 建て方開始

 

「南幌まちなかの家Ⅳ」では建て方が始まりました。本日は現場を担当していただいているネオス建築さんの中野所長さんと皆川棟梁により土台敷きが開始されました。写真は足場の上から見下ろしたところですがシンプルに整理された基礎の構造区画が分かります。

土台と基礎の間の気密を取る部材はレール120/Jベック製。床下に冷気が吹き込まぬよう基礎断熱に欠かせない材料です。

こんな風に厚手の防湿シートに締め付けることで潰れて気密を確保するゴムが日本レールのように接着されています。基礎と土台の間にこの建材を敷き込んでから土台を取り付けボルトできつく締めあげます。

レール120/Jベック(株)HPhttp://www.jbeck.co.jp/products/kimitsu/rail/index.html

本日の目標は1階の柱をあらかた建てるところまで。構造材の加工は(株)ニッショウさん。赤平の共和工場で加工していただきました。
株式会社ニッショウ https://www.nissyoprecut.jp/company/

ナットをしっかり締めて土台をしっかり基礎に圧着させてゆきます。

気密レールを敷き込んだ後、さらに気密を上げるためにコーキングも行います。中野所長自ら外周部全て丁寧にコーキングして行きます。

こちらは床組を支える鋼製束がずれないように土間に接着するための専用接着剤です。ネーミングにシャレを感じます。


こんな風に細くとも強度の高い束柱で床組みは支えられています。これによって非常に高い床剛性を得られます。また高さを調整することが可能になるので後から床の高さを微調整することも簡単になります。

明日より梁掛け(高所仕事)となりますので引き続き安全に進めて行きましょう!

今日は竹内まりやなんていかがでしょう





北郷の家 2025.05.17

 

性能向上改修工事の「北郷の家」、外壁廻りには耐力面材(昔の筋交の代わり)が設置され、黄色い防湿シートが貼られ、サッシ(YKK APW430)が取り付けられました。

ちなみにYKKAPW430シリーズは国内で最も寒い北海道地域専用のサッシとして地元で開発され2014年に先行発売された三層ガラスの断熱樹脂サッシです。昨年の10月よりアルゴンガス層を従来の16mm×2層から18mm×2層にグレードUPし、より断熱性が向上しました。

北郷の家ではすべてのサッシがこの430系となっています。


二階の寝室より右手の吹き抜けを見たところです。1階と2階の柱を極力通して窓も上下階でズレがないように極力合わせてあります。

30年前と今では柱、梁の本数と強度が全然違います。色の濃いのが古い柱や梁。白く見えるのは補強のために追加した柱と梁です。

気密シートを貫通する各種の管は専用の気密ガスケットを用いて漏気しないようにします。

写真は100φの管ですがこんな風に専用ガスケットで管の周囲から空気が逃げないようにしています。
今日はスガシカオなんていかがでしょう