2017年6月27日火曜日

オーストリアへ行ってきました。その2

こちらは「LCHUB」と呼ばれるCLT(木製大判スラブを用いたプレファブ工法)の7階建てのオフィスビル。パッシブハウスの認定を持ち壁はグラスウールの300mmで断熱されている。床から天井までの奥まった窓は最近の流行なのかもしれません。開閉方式はもちろん内倒し内開きのドレーキップ。高層階には転落防止のため窓の外にガラス製の腰壁が付く。実はこの建物写真の左側(茶色の部分)はRC造のコアとなっていて。これを先に施工し、銀色の木造部分を後でつくる。後でと言っても1階/日のペースで施工が可能だそうだ。

エントランスを入ると室内は木製柱が顕しで使われた柔らかな空間。地元特産のシルバーファー(欧州モミ)の香りに包まれる。

実は今回の疑問は床だった。北海道でもCLTの実証棟があるが時間の経過と共に特に床の割れや狂いが目立ちそのままではちょっとね・・・と言う状態。本場ではその点いかがされているのだろうか?CLTの原料的には乾燥変形が大きい針葉樹材であることは北海道と同じはず、その室内を暖房し計画換気しているなら、この手の材料は当然変形し、集成材と言えどもクラック(ひび)は生じるはずである。結果は半分的中したがもう半分は意外なものだった。(上の写真は乾燥により変形しクラックやねじれを生じている様子)

この写真は木製梁と一体化されたコンクリート製床版の断面モデル。そう・・そもそもこの高層オフィスは床がCLTではありませんでした。(笑)理由は簡単で建設地域の防火規定により床の燃え抜け時間の規定があり、それにパスしないと建設の許可が下りないのだそう。恐らく柱材や梁材は日本の燃えしろ計算のような方法でよいのだろうが、床に関しては木製では難しかったのだろう。

建て方についても専用の模型を用いておねえさんが丁寧にレクチャーしてくれる。「柱を立ててそれから床版を敷いて、これを繰り返して上へ上へ・・・」こんな感じ。

こちらはビデオで見せてくれた実物大の床版の加熱試験の様子。各州で防火規定が異なり中々難しいのだそうだ。同じビデオをページの最後に貼り付けたのでぜひご覧いただきたい。

こちらが彼らが誇るシルバーファーの建具。美しい木肌にドア枠を廃したデザインがきれい。戸当たりは扉の断面をL型に欠き込んで仕込む。

こちらは壁の断熱模型と同時にドアのストッパー。

壁の厚い断熱を構造柱の外側で連続させている。
 
完成までのPVが面白い
 
今日はBAND-MAID・・・かっこいい!