2025年10月4日土曜日

北郷の家 2025.10.04

性能向上改修工事「北郷の家」は現在内装工事中です。クロス屋さんが現場に入り、高いところから(天井から壁へ)順番に作業を進めて頂いています。

住宅街に少し異質な木外壁が現れました。この木外装・・以前もご説明した通り北総研(旧道立寒地建築研究所)による防火木外壁として防火構造認定を取得したものですので、一般的な住宅街(22条地域/屋根の不燃化地域)や準防火地域(外壁は防火構造以上+所定の開口部は防火戸とすべき地域)でも木張りの外装が楽しめます。

自らの室内から自分の家の外壁を眺めるという少し変わった体験ができるように、別棟のアプローチ棟はコの字に中庭ができるように考えました。

クロスの上に壁紙が貼られて行くと見る見る工事現場が人の住処に変わって行きます。

1階のLDKの天井もきれいに貼り上がりました。

壁紙が決まってくると大工さんの丁寧な仕事も相乗効果で際立ちます。

こちらは、階段下の出入り口とその上部にミニ仏壇を格納する造作ですが細部をよく見ると・・・・・

枠が太鼓上に美しく面取りされていることに気付きます。宇野棟梁ありがとうございます。「ただ切って組み立てるだけじゃないんだぜ~」という声が聞こえたように思います/笑。

とてもきれいに作っていただいたので見学会のご相談を建て主さんにしてみようと思います。

今日はILLITなんていかがでしょう


2025年10月2日木曜日

南幌まちなかの家Ⅳ 住設取り付けタイムラプス

ネオス建築さんと取り組んできた「南幌まちなかの家Ⅳ」の住宅設備取り付けの様子です。広報担当の泉さんにタイムラプスを作っていただきました。どんどん室内になって行く模様が楽しいです。ぜひご覧ください。

内部はクロスが貼られた後、設備機器が次々と設置されいよいよ完成間近となりました!今回はキッチンとタイルの施工風景をタイムラプス版で纏めました✨

https://www.instagram.com/reel/DPNUEolks7K/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==


今日はHSCCでマイケルのカバーなんていかがでしょう


2025年9月30日火曜日

南6条の家 2025.09.29

 

「南6条の家」の配筋が組み上がりました。基礎の根掘り深さは地盤面-450mm。本来は-600mmが札幌市内の凍結深度ですが、スカート断熱工法によって凍結深度を安全に15cm緩和し、コンクリート量を抑えて強い基礎を作ります。

スカート断熱工法設計施工マニュアル/ 地方独立行政法人北海道立総合研究機構https://www.hro.or.jp/upload/24251/skirt_manual_sekkei.pdf

最も凍結の心配される基礎外周部分は基礎下が凍上せぬように土間下の断熱材を水平に延長させます。

また基礎の外周部分は基礎断面が一般的な布基礎の逆Tの字型ではなくL型となり、土間下の断熱材と立ち上がりの断熱材が連続します。

スカート断熱による浅基礎は十分な強度を持ちながら環境負荷の高いコンクリートの量を節約し基礎を作る上で欠かせない排出土量も抑えます。

こっから先は余談ですが・・ガソリン&灯油価格が安かった時代は燃費の良い車なんて人気がありませんでした。理由は単純で燃料費を気にする必要がなかったからです。

また安価な燃料価格は広い北海道で輸送コストを低く安定させ、重くてかさばる建材を全道各地に安価に配送することが可能でした。

その一方で現在の状況は真逆。燃料価格の高騰は電気代を上げ、その電力で生産される物の価格を上げ、交通費を上げ輸送費も上げています。

私は建築の設計者ですからこうした状況に対し十分な安全を確保しつつ費用対効果の求めに応じなくてはいけません。今のインフレ(物価高)を逆手にとって設計をより進化させたいと考えています。

今日はクラシックロックショーでG.ムーアなんていかがでしょう


2025年9月28日日曜日

南幌まちなかの家Ⅳ 内覧会のご案内


 春先より、ネオス建築株式会社さんと取り組んできました「南幌まちなかの家Ⅳ」がいよいよ竣工を迎えます。 この度、きた住まいるヴィレッジのルールと建て主さまのご厚意で見学会を行うこととなりました。

ご希望の方は必要事項(見学希望時)をご記入の上当事務所のお問い合わせフォームよりお申込みいただければ幸いです。

*:注 10/11.12のご同業者の見学等はご遠慮いただきますようお願いいたします。

お問い合わせフォーム https://ako-a.com/contact.html


◆「南幌まちなかの家Ⅳ」とは

令和を生き抜く世代が持つべき家

例えば35歳で家を建てたとしてローンが完済するのは70歳・・その間に家族が増えたり、職場復帰したり、入学や受験、進学や就職・・子供が巣立って一安心と思ったら、今度は両親の介護や同居に相続等々・・

僅か35年の間にここまで住まい手を取り巻く環境は変わる。というか・・これがむしろ当たり前。当然ながら・・今のあなたの思いで作っただだけの家だとすぐに陳腐化せざるを得ない。少なくとも35年後により多くの人が魅力を感じる家でなければ、長年苦労して返す数千万の工事費は、けして自らの未来を生かすお金とはなり難い。

実家の母が言っていた「子育て中は何でも自分一人でしなきゃと思って、どこにでも手の届くキッチンが理想だったのよ・・でも無理言って一人用に作っちゃったから、今娘と二人で立つには狭いのよね/笑」、父も言っていた「当時は家なんて大きな方がいいと思ったけど、光熱費も高いし今は二人暮らしなのに無駄だよね、何で壊れない断熱じゃなくて、家の大きさや壊れやすい設備にお金かけたんだろう?若かったのかな/笑」・・・

自分も開業して今年で27年。同じようなお話を散々聞いてきました。そこでどんな風に作っておけば・・住み始めから家を去るまで困らないのか?そんなテーマで取り組みました。
「南幌まちなかの家Ⅳ」には、そんな各世代の知恵に溢れています。ぜひご覧いただければ幸いです。

◆北方型住宅ZEROについて

北海道が1988年から年次改良を続けている「北方型住宅」時代の流行りに流されることなく誰にとっても大切な、快適性、ユニバーサルデザイン、耐久性、省エネ性、地域性、設計図の保管とそれらの見える化を進めてきました。その最新版である「北方型住宅ZERO」の基準を満たしています。

ZERO基準はそのベースとなる北方型住宅2020基準に10ポイント以上の更なる省エネ要件をプラスしたものですが、南幌まちなかの家Ⅳは+10ポイントとなっています。特に外皮性能のUA値:0.18W/㎡Kは国の定める最高等級7(断熱等級/UA:0.20W/㎡K)を超えるものです。

◆BELSについて

今日は小室さんのカバーなんていかがでしょう。時代を感じますよね~/笑


2025年9月25日木曜日

北郷の家 2025.09.25

 

すっかり秋っぽくなりました。本日の「北郷の家」の様子です。

工程的には内装の直前。仕上げの大工仕事が見頃です。担当するのはもちろん宇野棟梁。階段廻りは特に見せ場となります。

以前の階段が急過ぎたので、段数を増やして緩勾配とし、階段の断面がギザギザに見えるようにデザインし直しました。

こんな風に断板は24mm、け込み板は15mmの白樺合板を君合わせて宇野棟梁に作っていただきました。

単に断面を見せるだけではなく床に貼ったフローリングを階段の腰壁部分に張り上げ、断板との間に5.5mmの目透かし貼りとしました。

きらりと光る宇野棟梁の技。床のフローリングの割り付けとピッタリ腰壁に貼るフローリングの割り付けを合わせることで、水平の床が垂直に折れて腰壁に連続するように納めてくれました。
家の真ん中にある階段は採光が取りにくく、ともすれば暗い印象になりがちですがこんな風に階段の片側手すりを壁にするのではなく、光を通しやすい鉄骨の手摺を後付けする方法にすればかなり明るさや圧迫感は減る設計になります。

その反面、もちろん手間は何倍も掛かるし、難しいし階段の施工に関してはいつも宇野さんにお世話になっています。特にリフォームの場合は元床の精度がやはり現代に比べるとよくはありませんから、どうやってその狂いを全体に散らして自然な昇降感を得るかは正直、棟梁のセンスが試されます。端的に言えば・・1階の床と2階の床が平行ではない建物にどうやって平行に作った階段を掛けるのか?

図面なら意識せずに完全な水平や垂直の線が自由に描けますが・・こと現場となるとそんな幸せな場面はめったにありません。新築(機械加工のプレカット)と既存(手加工)は前者の狂いが少なく、後者は大きいというだけの話し。当然後者を自然に見せるためには、大きな狂いをいかに自然に見える小さな狂いに分散させるかが腕の見せ所となります。

キッチンのカップボードが取り付きました。

作り付けのTV台もきれいに太鼓面が取られた白樺の積層合板で納めて行きます。いよいよ来週からは建具屋さんの採寸。その後はクロス屋さんが仕事を始めます。一気に工事中の現場が家になる瞬間が楽しみです。

今日はオールスターでKARAのステップなんていかが


2025年9月13日土曜日

南6条の家 2025.09.13着工

 

「南6条の家」が無事着工しました。

チーム南6条は飛栄建設さん。もうすぐ完成の性能向上リフォーム「北郷の家」をはじめ当事務所の仕事をたくさんお引き受け頂いてきました。松田社長さん、宇野棟梁さん共々また精一杯、家づくりに打ち込みたいと思います。

さて、平屋とはいえ今年の4月から始まった新法改正の影響を受け建築確認申請の審査に3週間を要しました。以前だと1週間程度で何とかなっていたものが3倍~4倍の審査期間・・

運がよいことに今回は審査項目が2階建てより少ない平屋なのでなんとか3週間で済んだものの・・一般的な2階建てだと2か月以上掛かる・・というのが道内の現状とのこと。益々家が建てにくくなってきています。

審査期間について北海道指導センターHP https://hokkaido-ksc.or.jp/assets/files/06_event/R_BELStoshinsakikan

ここまで読んでいただいた方の中には、こんなに時間と手間がかかって大変なのかとお思いの方も少なくないと思いますが、むしろ南6条の家の場合は合理的に話が進んで無事着工にこぎつけられた好例といえます。

現地に初めてお伺いしたのが4月、今は9月ですから約5か月間。内訳は・・
基本設計   :2か月
積算&価格調整:1か月
実施設計   :1か月(確認申請+性能表示等級+BELS)
審  査   :3週間(但し、確認申請のみ)

新法改正後の混乱期にもかかわらずこの短期間で着工までこぎつけられたのは、何といっても建て主さんのおかげ。メールに対するリアクションの速さ、要所の決断力、矛盾を含む難しい判断に対する発想の柔軟性や転換力等々・・おかげさまで何とか雪の降る前に基礎工事に取り掛かれます。ここまでのご協力とご理解にこの場をお借りして御礼申し上げます。

報道等でもご存知のように今の国内は8か月連続で3%超の生活物価高騰(インフレ)が続いています。もちろん世の中のすべてが等しく3%の値上げなのではなく顕著なのは何といっても食料品です。お米が高くて買えない・・は一時期注目されました。そんな中、建設物価も上がり続けています。地元新聞が一面で建設物価の高騰による深刻な住宅着工戸数の下落やマンションの修繕費が5割も上がり改修断念の様子を報じる中、少しでも安く家を建てるためには意思決定の迅速さが欠かせないのです。


デフレ期(今思うと懐かしいですが/笑)は建築工事の見積額は1年後もさして変わりませんでしたが、現在では2か月限定が一般的です。要は3000万円のお見積もりを出してその金額で工事をお引き受けできるのは見積提出から2か月までですよ・・ということです。

昔は業者の販促目当てのテクニックと一笑されましたが、今は全然違ってそれがむしろ当たり前。今や工事費って時価なんです。

設計を担当する私たちの仕事の進め方も間取りの途中であっても参考見積を取りながら進めるように変わりました。特に面積が増える方向の建て主要望を頂いた際には、口頭にて価格上昇の可能性を告げるとともに迅速に参考見積を示して判断を仰ぐようになりました。工事費に割ける金額は最初から決まっていますから、気に入った間取りこそできたものの、後から価格的に全く折り合わないとなると必ずトラブルとなり易いからです。

住宅着工戸数17%減(道新デジタル) https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1202381/

最近、お金の話しばかりなので・・今日は美しいギターなんていかがでしょう


2025年9月11日木曜日

北郷の家 2025.09.11

 

性能向上改修工事「北郷の家」アプローチが完成しました。北海道の家って除雪の関係で塀や門が作りにくいですよね。その一方でこんな風に低層のアプローチを前面に配置するとすごくバランスよく家の構えがまとまると思いませんか。

北海道に合った通りの風景も当事務所のテーマ。もうすぐ完成です。

こんな風に主屋の玄関まで雪や雨に当たることなく通り抜けられるように考えました。


アプローチの後ろに主屋が続く構成です。

こんな風に半屋外の大きなスペースが除雪の手間を大幅に軽減します。

今回もう一つ力を入れたのが階段の緩勾配化。従来は一段の高さが20cm以上もあった階段を18.6cmに低く抑え段数を増やして架け替えました。もちろん踊り場には危険な回り段はなし正方形の踊り場としました。

2階から見下ろした階段です。踊り場に回り段がないことが分かるでしょうか?日本の家がよくないのは部屋数にばかりこだわってその部屋同士をつなぐ空間をしっかり作らないところ。二階をしっかりと使いたいのならば部屋もさることながら登り降りを楽にする階段の設計が欠かせません。例えば35歳で家を建てたとしてローンを払い終わるのは70歳。それなのに階段は一段の高さが20cm強??なんていう設計も相変わらず多い。当事務所の新築は階段一段の高さ(蹴上げ寸法)が18cm。大規模改修でも特別な理由がない限り18cm台に低くします。ぜひ実際に歩いてみてほしい。楽さと怖さが全然違います。

今日は懐かしく・・新しく・・