2025年3月31日月曜日

南幌まちなかの家Ⅳ 着工いたしました

 

「南幌まちなかの家Ⅳ」着工いたしました。

工事を担当していただくのはネオス建築株式会社さん。現場監督のNさんとはヨシケンさん時代に「宮の森の家Ⅱ2020」、そして「桂岡の家Ⅱ2021」と二件の現場を仕上げていただきました。もちろん棟梁も当時と同じM棟梁。4年ぶりに現場をご一緒します。

宮の森の家Ⅱ https://ako-re.blogspot.com/2020/09/blog-post_2.html

桂岡の家Ⅱ  https://ako-re.blogspot.com/2021/10/blog-post.html

ネオス建築HP https://www.neoss.biz/

住まい手さんは隣町からの移住。最近はずいぶんと周辺都市の土地価格が上昇し特に千歳~北広島間はミニバブル状態。そんなこともあってか南幌への子育て世代の移住が増えています。

「南幌まちなかの家Ⅳ」のテーマといえば、ずばり「南幌暮らしで最初に建てるべき家」

読んで字のごとく”南幌暮らしを楽しむ住まい”として質の高いスタンダードを提案します。

敷地の雪はほぼ融けて地面が見える状態。建物の高さの目安となる遣り方出しを行いました。

まだ1軒も建っていない街区なので、なんだかとても新鮮です。

敷地内に引き込まれた各種の配管を確認します。

道路に対して概ね、40cm程度敷地が高いので、約20cm程度、表土を削り取り、道路と高さをすり合わせてゆきたいと思います。道路に面してカーポートが建つので、車と人の出入りを安全に確保するために地盤の設定は非常に重要になります。

こんな風に住宅の建つ位置に立つとかなり道路より高いのが分かります。

引き続きHSCCで行きましょう

北郷の家 着工いたしました

 

3/29(土)より解体屋さんが入り、「北郷の家」の性能向上改修工事がスタートいたしました。まず手始めに解体するのは室内から。現場を担当していただく飛栄建設さんより二階の梁組が見えますよとのご連絡を受けて現場に行ってまいりました。

1階の壁を解体し、天井仕上げを下地と共に解体し二階の床組みがあらわになりました。大変幸運なことに、当時の構造図が残っておりその図面と現場を照合して違いがないか確認いたしました。結果は概ね図面通りの梁掛けがなされていましたが、当時の梁のサイズが現在の水準に比べると約80%程度の断面しかなく、床の剛性が上がらないので補強する予定です。
こちらはユニットバスの天井裏(屋外の空気が入る小屋裏)の様子です。浴室の湿気が小屋裏に逃げてグラスウールに黒いダスティングの染みを残しています。黒くなったGWを見てカビ?・・という人がいますが、この黒い染みの正体は塵と湿気を含んだ空気がGWを通り抜けた際に残る痕跡です。

昔の建物の特徴は熱環境的には半屋外となる、床下や小屋裏に部屋の一部が接しているところ。当然、この浴室は天井が小屋裏に接していますから、室内は寒かったと思います。

今のところ、室内から見た限りは有害な腐食や傷みは見られません。最終的には外壁を剝がしてみないと分かりませんが、現状では比較的きれいな状態です。

梁と梁の交差部分は羽子板ボルトが使用してあります。それ以外の金物はかすがいと釘、筋交プレートや柱脚金物は年代的にまだ使われていません。

今日は久々にHSCCなんていかがでしょう














2025年3月8日土曜日

南幌みどり野0カーボンヴィレッジ2025.03.08

本日の「南幌の家ZERO」の様子です。3月に入りずいぶんと日を長く感じるようになってきました。雪の方はといえば・・まだ降ったりやんだりで積雪も約60~70cmあります。

なんとか3月の見学会に向けて、さらにはその後のお引き渡しに向けてもう少し頑張ります。厳しいスケジュールの中ここまで仕上げて頂いた現場のみなさまには感謝しかありません。

 

室内ではクロス工事が完了し、ぐっと室内というのか建築らしくなってきました。均一に貼られた室内のクロスは光を素直に反射して柔らかな室内を作ります。

水廻りから玄関方向を眺めた様子。建物の全長を感じられる遠近感です。踊り場に回り段を設けずに上がりやすく考えた折り返し階段。16段で蹴上げも緩い北方型住宅仕様の階段です。

キッチンから玄関につながる動線です。

2階の廊下から見た屋根の登り梁です。ホワイトウッドの集成梁を□105mm角の母屋でつないで室内から小屋組みが見える天井としました。

こちらは階段の手摺、タモの集成材を加工して作りました。

窓上にはブラインドBOXを標準装備。紺野建設さんのディテールです。














2025年3月6日木曜日

福井の家 見学会を終えて

「福井の家」の見学会、二日に渡ってたくさんのご来場を頂きました。チーム福井を代表して心より御礼申し上げます。

「福井の家」は44棟目の300mm断熱の家。また札幌版次世代住宅基準の最高位プラチナグレードとしては3棟目、北方型住宅ZEROの基準も併せてクリアしています。

住まいは長く住むものだし・・後に残せる家にしたい。そんなことを漠然と考えながら始めたのが「300mm断熱プロジェクト」地域の蓄積と材を使って、容易に陳腐化しない家を作る。事務所開設以来のモットーです。

間取りは雪のある暮らしを前提に考える。家中から有害な暑さと寒さを取り除く。巷に溢れかえる安っぽい価値観や材料使いに惑わされない。

あらためて100年前の名建築の写真をたくさん見返して、なぜ今でも古く見えないのかを考える機会となりました。

作り手として貴重な機会を与えて頂いた住まい手さんに心より感謝申し上げます。

LDは視界の唯一抜ける二階に設けました。大きな窓から見える風景は生きた絵画のように季節を伝えてくれるでしょう。これからは春の新緑、こぶしや山桜が楽しみです。

窓辺に置かれた円卓は建て主さんの希望。どの位置に座っても視界が抜けるように考えました。

キッチンからLDに視線が抜ける感じも小さな家の設計のコツ。もう少し専門的に言うとタイルの壁と上の梁の間も抜いて視線や光が行き来できるようにします。こうすることで空間が複雑に連続する感じが出て奥に何があるのかな?と引き込まれる空間の魅力が生まれます。気配だけ感じさせて、オープンに見せ過ぎるのはかえって空間を狭く単調なものにしてしまいます。

階段は美しくて頑強な白樺の合板で作ります。お子さんが落ちぬように手摺子の間隔は11cm未満。薄くても強度の高い白樺合板なら、通常は3cm以上は必要な階段の踏み板を僅か2.4cm厚で作ることができます。

スケルトンの階段ですから下に潜った際に頭をぶつけぬように角を斜めに面取りしてあります。1段の高さは、一般的な20cmではなく18cmで緩く穏やかに。上がるの楽、降りるのも怖くない・・北方型住宅の階段仕様で作っています。

ボーダータイルで仕上げられた洗面コーナー。目地色を壁の石膏壁紙と合わせて、スモーキーな光で明るくフレッシュな印象に。大切なポイントはタイルと金物以外の光沢を落とすこと。窓の光に照らされて壁紙が光ると台無しです。

また洗濯乾燥室を兼ねる一角に洗面コーナーがありますから、外から覗かれぬように窓は曇りガラスにするのが一般的です。実は曇りガラスにはもう一つ素晴らしい特性があります。外の光を細かな光の粒に分離して部屋中に振りまくという性質。専門的に言うと光の拡散性を高めて小さな窓でも部屋中を均一な明るさで満たすというものです。

水廻りって・・どうしても日当たりの良い位置には取りにくい。そんな時にこの窓のテクニックはすごく使えます。

住まい手さんの仮住まい時代がアパートだったりすると・・洗濯脱衣や洗面所、お風呂にだって、窓なんかないのがむしろ当たり前。不幸にもそうした本来は望ましくない空間体験を受け入れて、好きになっちゃうという人も多い。

なぜ戸建て住宅で採光や換気が自由にできるのに、昼間から真っ暗で使うたびに電気をつけなきゃいけない水廻りがいいんだろう? まあ住んでもらうと一目瞭然なんですが/笑・・
こちらは玄関に入って正面の花台。視線が中央に集まるようにタイルの瑠璃色に相性の良い網代を建具に貼っています。建具を床から10cm浮かして花台が軽やかに浮いて見えるようにしました。フローリングの貼り方向も視線を奥に引き込みます。もう少し細かなポイントはといえば・・タイルの瑠璃色に合わせて目地を薄い灰色に落としてタイルの質感を邪魔しないようにしているところ、寸法は同じながら凹凸感の異なるタイルを混ぜて、近くで凝視されても鑑賞に堪えるようにしているところです。手摺の黒も玄関の印象を引き締めています。

かっこいい・・今日はReiなんていかがでしょう


2025年2月12日水曜日

福井の家 内覧会のご案内

 

昨年より取り組んでまいりました「福井の家」がいよいよ竣工を迎えます。 この度、建て主さまのご厚意で見学会を行うこととなりました。

ご希望の方は必要事項をご記入の上当事務所のお問い合わせフォームよりお申込みいただければ幸いです。

*:注 2/22.23のご同業者の見学等はご遠慮いただきますようお願いいたします。

お問い合わせフォーム https://ako-a.com/contact.html


◆「福井の家」とは

西区の山側に位置する福井地区は都心へのアクセスと豊かな景観を兼ね備えた住宅街です。地名は1886年に福井県からの入植者により開かれた地であることに由来しています。敷地は住宅街の中にありますが、谷間のため特に雪が多い地域です。まさに北海道スタンダードな住まいを目指す当事務所の腕の見せ所。ぜひご覧ください。 

◆札幌版次世代住宅基準について

約200万人が暮らす札幌市は国内屈指の観光都市と共に全国一厳しい省エネ住宅基準を有する都市です。その理由は、道内で最も都市化が進み、冬の暖房用エネルギーの消費量が高く、近年は急速な温暖化で夏の冷房需要も増えつつあるからです。この対策の一環として札幌市では令和5年度より従来の基準を見直し、高い断熱性はそのままに太陽光発電と蓄電池の設置を盛り込んだ新基準をスタートさせました。「福井の家」はその基準をクリアすることを目標にいたしました。 札幌市の住宅基準は4段階に等級分けされていて、低いものから順に、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナと呼ばれています。今回はその最上位であるプラチナグレードの認定住宅です。

札幌版次世代住宅基準HP https://www.city.sapporo.jp/toshi/jutaku/10shien/zisedai/zisedai.html

◆北方型住宅ZEROについて

札幌市の住宅基準を満たすと同時に北海道が1988年から開発を続ける「北方型住宅」。その最新版である「北方型住宅ZERO」の基準も満たしています。ZERO基準はそのベースとなる北方型住宅2020基準に10ポイント以上の更なる省エネ要件をプラスしたものですが、福井の家は+14ポイントとなっています。特に外皮性能のUA値:0.18W/㎡Kは国の定める最高等級7(断熱等級/UA:0.20W/㎡K)を超えるものです。

北方型住宅ZEROとは?

https://www.kita-smile.jp/kenchiku/post-675/

◆壁面太陽光設備と蓄電池について

超軽量の太陽光パネル1.5KWを南西側壁面に設置しポータブル蓄電池(3.6KW)と共に平時は節電に使い、ブラックアウト等の非常時は宅内の通信、暖房&給湯、照明器具に給電し自立が可能です。


今日はOrianthi・・かっこいいです



2025年2月8日土曜日

南幌みどり野0カーボンヴィレッジ2025.02.08

 

本日の「南幌の家ZERO」の様子です。室内では柴田さん、一ノ瀬さん両棟梁によって内装ボードが貼られています。かなり大きな家なので内装のボード張りは概ね65%程度が完了。週明け2日間くらいで概ね貼り終わりそうです。

こちらは最近流行りの壁倍率3.7倍用の室内ボード。今年は1995年の阪神淡路大震災から丁度30年目。その間に在来木造は構造的に大きな変化を遂げました。従来は地震動に対して頑強に揺れを抑えることで耐震性を保つ、2×4工法に対して、日本の在来工法は柳のように柔軟な靱性で地震力を受け流すという考え方でしたが、大震災をきっかけに在来木造も耐力面材と呼ばれる合板やボード類で骨格の揺れを徹底的に抑える方向に舵を切りました。

2000年には柱が土台や梁から引き抜けないようにホールダウン金物をはじめ引き抜き防止金物が義務化され、根太を排し厚物合板で床を作る剛床工法に変わりました。

要は2×4工法が工場で生産したパネルを現場で組み立てるのに対して在来工法は同じことを現場で行うだけの違いしかなくなったのでした。

まさに在来工法の2×4化。でもすごく丈夫になりました。「南幌の家ZERO」もまだ工事中ですが床の剛性感が高く、風が吹いても全然揺れを感じません。

こちらは大工さんの定規。通称:バカ棒。言葉はよくありませんが/笑、天井高寸法に角材を切ってそれを使い回せば、間違いを減らせます。各人が天井高2425mmをいちいち自分のメジャーで測る必要はないという訳・・現場ではそれこそ大勢で手分けして何十枚も壁のボードを天井高に切って貼ります。正確な定規を統一しておかないと微妙な2425mmだらけになるのです。

ブラインドBOXをインセットした紺野建設の納まり。うーんこれもきれいでいいなと思います。

窓ガラスの前にたわんで立っている角材は床材の糊が十分乾くまで押し付け固定する役目で設置します。「南幌の家ZERO」ではナラ化粧材(厚物)の複合フロアを使います。

こちらがその足元。フロア材がすっと伸びてサッシに取り合う納まりですので、跡の目立つ釘類は使えません。

今日はG-FRIENDのEUHNAでアイドル・・日本語完璧



福井の家 2025.02.07~08の様子

原左官工業さんによるストーブ壁のタイル張り工事。熱量の多いストーブをコーナーに置いて45度傾けて炎が居間から見えるようにしたい。・・実に素敵/笑

原左官工業インスタ https://www.instagram.com/hara_sakan/

その反面、コーナー壁には25mm以上の通気層を持った不燃下地の二重壁が必要となる。必要のみ満たすのならばオプションの防火衝立を角に2枚直角に置けばよいのだが、それもなんだか・・かといってEU製の洒落たストーブにログハウスイメージの重たい耐火煉瓦もなんだかちぐはぐ・・

そこで施工図を描いて、コストパフォーマンスに優れたタイルで防火壁をデザインしました。特に耐熱性が要求される二重壁部分は43mmの厚みとして手前に出っ張ります。

ストーブの横には将来的に予備の薪や専用の掃除器具なんかも置くスペースが欲しいだろうと考えてタイル6枚分くらい壁を延長しました。

白タイルは最近増えつつあるプロジェクターによるTVの壁面投影も邪魔をしないし、釉薬が最もシンプルなのでいつまでも古く見えない。一時期流行ったガラスモザイクやラスター(光沢)に気を取られると・・タイルといえどもすぐに陳腐化してしまいます。

この白タイル、費用対効果が高く加工も容易で長年愛用してきたのですが・・現在の生産は□100と100×200の二種類のみとなりました。外国製ですので1枚1枚の寸法精度が高い訳ではなく、したがってタイル目地を縦横に正確に通す張り方は苦手。その代わりジグザグに縦張りしたり横張りしたり従来のタイルといえばグラフ用紙・・みたいなイメージは捨てざるを得ない⇒その分工夫のし甲斐があるということなのです。

もちろん国産タイルのように9枚で1シートのようなシート張りなどなく、片面取りや両面取りのような役物もない。そんな中、親方と弟子の息子さんは1枚1枚丁寧にタイルを張ってくれます。安価でも映えるためには職人さんの腕を要求するんです・・

ダイヤモンドカッターでタイルを正確に切断し、こんな風にきれいに納めてくれます。

うーん親方・・上手いねえ~

こちらはキッチンのタイル張り。タイルを使う際のコツは一定以上の面積を貼ること。よく流しの前だけとかレンジの片側のみ、洗面器と鏡の下のみ・・みたいな張り方がありますが、あれではタイルがかわいそう。窓周りの巻き込み、床まできっちり張り下げる。そうすることでタイル本来の良さが見えてきます。

もちろんタイルは高価な壁装材。簡単にたくさんは使えない。そこでコスパに優れたお薦めの材料探しがすごく大切。前述の使いこなし方も含めて普段からしっかり準備しておきます。ちなみに国産タイルだとこの1/3くらいの面積しか張れません。

その一方で、長引く円安の影響で一時は安価だった外国製品も高騰が続いています。タイル自体は素敵で大好きですがいつまで使えるかなと・・ふと不安にもなります。

ストーブの耐火壁完成です。親方と若大将に感謝です。

こちらは脱衣所の床、無垢のフローリングが傷まぬよう最近は脱衣所の床にタイルを張って差しあげることが増えました。

今日は久々にHSCCなんていかがでしょう





2025年2月1日土曜日

南幌みどり野0カーボンヴィレッジ2025.02.01

本日「南幌の家ZERO」の様子です。外装は終わり、足場も無事解体済み。後は内装を頑張るのみといった感じです。1/29まではぜんぜん雪がありませんでしたが、同日午後に降り出した雪でかなり冬らしくなりました。

写真右側の壁面には太陽光パネルが7枚設置され約2.1Kwの発電を行います。北方型住宅ZEROの特徴でもある総エネ設備、雪の多い南幌に合った方法を選択することで、発電需要の高い冬にフォーカスした総エネ利用を目指しています。
一般的には太陽光パネルといえば屋根面設置が多いのですが、積雪地域の屋根は通常は上の写真のようになります。もちろん取り付けようと思えば取り付けられますが、パネルに積もった雪は滑って落雪しますし、落雪するまでは当然ながら発電しません。

要は積雪地域にとって雪の降る寒い日ほど発電の需要は高まるのに屋根面設置だと効率は逆に下がってしまいます。

もちろん土地の広い南幌なら落雪させる方向を想定して屋根面設置もできないことはありません。但し、落雪には細心の注意が必要です。敷地内で子供たちが遊ぶことも考慮しておかないと心配になります。無落雪屋根の安心感に慣れた私たちにとって安心と発電を両立するするのが壁面設置の太陽光パネルということなのです。             

 

緑道側からの立面です。かなり雪が深くなってきました。

室内では防湿シートが貼り終わり貫通部分の処理が進んでいます。

居間は吹き抜けで屋根を外張り断熱し構造材を顕しで楽しめるようにしました。

床材は複合フローリングのナラをチョイスしました。

親指側が表面材2mmのナラ材です。

週末はヨーロッパのJAZZ・・いいすねえ~