昨日は旭川に行きました。目的は北方建築総合研究所の調査研究発表会に出席するためです。このブログで何度も取り上げているように、環境的で省エネ性能の高い北海道の家は、道内各地に点在する研究機関がその基本となる要素技術の研究を担っています。 建築は総合的な成果物ですから、勘や経験ばかりで作るわけには行きません。構造や熱、工法やエネルギー、コスト等々、現在の社会が求める事柄をバランスよく網羅する見識が設計者には必要ですし、たえず新たな知見に触れることに貪欲でありたいものです。
床下暖房の研究や最近注目を集めるヒートポンプの上手な使い方、太陽熱エネルギーの利用方法、開口部の最新事情、午後からは研究員がEUの住宅事情を視察してきた報告会と盛りだくさんの内容です。しかしこうした知識の見本市に建築家の出席が少ないのがとても残念でした。むしろ工務店のみなさんの積極的な参加が目立ちました。このブログをお読みの若い設計者の方々にお願いしたいのは、こうした地域の財産を大切にしてほしいということです。そしてなにより学びに投資する姿勢を忘れないでほしいと思います。
12年前に竣工した北方建築総合研究所の大アトリウム。向かって右側のブロック壁の向こうが実験棟、左側の階段が研究員のいる研究棟。機械動力に頼らないことをコンセプトにした設計思想が貫かれている。庇による日射遮蔽や吹き抜けや大きなガラス面による照明の節約、氷や雪の蓄熱冷房、この施設全体がパッシブ換気等々、見所に事欠かない。旭川にお出かけの際はぜひ見学によってみてはいかがでしょう?
12年前の水準でも建物の断熱性を示すQ値は1.5W/m2kとのこと。北海道の建築ノウハウの聖地です。
詳しくは研究所HPまで http://www.hri.pref.hokkaido.jp/
発表会の最後に研究科長の福島さんが挨拶され「私たちの研究所はみなさんの研究所です。どうぞ使ってください。よろしくお願いします。」と深々とお辞儀をされたのが印象的だった。
今日の曲は ブルースホーンズビー