2013年11月26日火曜日

西野里山の家 板金工事 水切り編

従来は壁よりも窓枠の方が少し飛び出すことが多かった木造の窓廻り。しかし断熱をどんどんと厚くして行く過程で、窓は壁よりも引っ込むことがむしろ近年は多くなりました。外壁より窓が引っ込む利点としては、雨によるサッシの痛みの軽減。また建物外観の印象も薄いシャープさよりも彫の深い陰影に富んだものに変わります。石造りの街並みの多いヨーロッパの建物よろしく、北海道の建物の特徴が際立つ意匠として最近は特に気に入っています。
 
 
壁面よりも窓枠が外に飛び出すシャープな納まり。「鷹栖の家2002」
 
窓枠が壁よりも引っ込む最近の納まり。「西野の家2011」
 
 

そんな訳で、簡単に窓が壁よりも引っ込むといっても色々と工夫が必用になりまして、窓の下に欠かせない水切りなんかは板金工の技量がもろに出る部分となります。写真は職長による完成した窓下水切りの様子。ピシッと直進性の良い精度が出ていてぜんぜんゆがんでいません。さすが職長!(笑)
 
0.4mmの薄板を二枚合わせに加工して端部を折り曲げ、0.8mmの厚板にして、一見アルミの厚板の水切りのようにピシッと精度よく見せています。
 

こちらは木製デッキが敷かれる梁の上の水切り。

デッキの下に雨が回りこんだ時に梁が痛みづらいように梁の天端(てんば:雨や日光の当たる面)には全て板金の水切りが回ります。こちらも美しい納まり。

おぼろげながら、縦張りの松板が見えてきた「西野里山の家」。
さてみなさん!明日も頑張りましょう。

さて今日はヘンデルのハープシコード組曲なんていかがでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=dYi6EcEkLmQ

2013年11月24日日曜日

西野里山の家 各部再確認

本日は休日返上で現場が動く「西野里山の家」です。
 
やっと板金屋さんが屋根を葺いてくれた「西野里山の家」。今年の職人不足はほんとうに大変ですね~。遅れに遅れていた屋根板金も無事完了!大屋根はいつもの無落雪タイプ。その他の下屋や小屋根は蟻掛葺きです。
 

西側から外壁の板貼りが始まりました。

耐候処理がされた松の貫板。昨年の前田の家と同じ要領で納めてゆきます。今回は外壁から飛び出しているものが多く建物の形状もより複雑なので大工さんはなかなかたいへんです。

少し緑ががったグレーという感じの塗装初期ですが、これが1年ほどで驚くほど豊かな表情に変化します。
1年経った「前田の家」 http://ako-re.blogspot.jp/2013/05/blog-post_30.html

外壁の板は、I所長と、現場担当のMさんが協働で会社の土場で塗装したとのこと。貼り上がりが楽しみですよね~(笑)

こちらは壁を貫通する煙突のメガネ石。壁厚が36cmとぶ厚いのでメガネ石も×3枚となります。

こちらはパッシブ換気の給気取り付け部分。ユニットバスの下を通してUTの床下で外気を加温します。

長さ90cmしかないフローリングを二本のやとい実(ヤトイザネ)でつなぎ、建具や窓の枠材に用いている。昔からの家具屋さんの技だけど、短い材しかない時代はこんな風に長材を自由に作り出すことができた。最近はいくらでも長い集成材があるから見かけることが少なくなったけど、日本の職人さんはやっぱり凄いよね!

美しく並んだ大垂木の下で壁のボードを加工するI棟梁。家中の内装が左官仕事だと聞いて、楽しみのあまり毎日現場に現れる左官屋の親方に早く場所を明け渡すために作業にも熱が入る。

ピンクの水糸はビスの位置を水平に揃えるためのもの。こうすることで水平一直線にビスの頭がピシッと揃う。
 
今日は休みの中ほんとうに全員ごくろうさまです!あともう少し、素晴らしい仕事にしましょう。そしてお客さんを喜ばそう!体もきついけど事故のないように、頼りにしています。
 
今日は財津和夫なんていかがでしょう。
 

2013年11月18日月曜日

平成25年度北方型住宅技術講習会

明日から二日間11/19(火).20(水)講習会で釧路と帯広におじゃまします。近隣の工務店や設計事務所のみなさん、ぜひ会場にお越しいただければ幸いです。従来とは少々趣を変えた「デザイン」のお話しをさせていただきます。今回からは対談形式で二人の建築家によるトークが面白いと思いますよ~。主な内容としては、顧客対応のコツや基本計画のコツ等々、山本設計のノウハウを大公開しちゃいます。(笑)


西野里山の家 内装工事 その2

現場は、内装工事に入りました。もちろん内装を施す石膏ボードで一時的にスイッチやコンセント、取り付け家具の下地などは隠れてしまいますから、内装工事の直前は実にたくさん見ておくところがあります。

「西野里山の家」の特徴は天井高を抑えた1階の各室です。通常の部屋の天井高は2.3m程度ですが、今回は2.15mと15cmくらい天井を低くしてあります。その分、扉の上に下がり壁を作りません。建具を開けると部屋どおしの天井が連続してゆくように考えてあります。要は扉の高さと天井の高さを揃えて、適度な包まれ感と部屋同士の連続性、暖房費に直結する部屋の空気の体積を最適化しようと考えました。 1階は主に寝室、UTにウオークインクロゼットや玄関等ですからもともと立派な天井高はいりませんが、その分二階へあがると吹き抜けの天井がより高く感じられる効果もあります。北国で周囲が建てこんだ敷地に計画する場合、上がり降りに支障がないのなら思い切って明るい二階をLDKとするのも一案です。

お湯と水の配管や排水管の勾配等、天井が貼られると分からなくなるものの位置関係を頭に入れます。

写真は、室内側に5cmのグラスウールの入った主寝室の窓廻り。この次に内装用の石膏ボードを貼ります。



二階の石膏ボードを貼った部屋では、左官屋さんがせっせと下地作り。「西野里山の家」の内装は壁左官仕上げ、天井は塗装クロスなので特に壁は割れないようにしっかりとした下地作りが欠かせません。

美しく掛けられた樺(カバ)製の階段。今回は蹴込板のスリットからパッシブ換気の戻り空気が床下に回収できるように考えたり、踏み板と蹴込板が直角に納まらない稲妻状の断面だったりと、棟梁をいつも以上に困らせてしまいましたが、相変わらず階段の名手のI棟梁の手に掛かると見事!美しい階段に納まりました。
 
今日は乃木坂46なんていかが?AKB48の影で目立ちませんけど...。

2013年11月14日木曜日

西野里山の家 県庁さん視察

本日は北海道庁さん、青森県庁さん、建築研究所さんが現場視察にお見えになりました。剛建築工房さん、飯田WWシステムさんと一緒にご一行をお迎えしました。なんでも3.11東日本大震災以降、日本全国において様々な住宅施策が検討され始め、中には北海道の「北方型住宅」や「R住宅」の取り組みを参考にする自治体も少なくないのだとか、北海道の作り手としては嬉しい限りです。 
超高断熱サッシや30cmにも及ぶ断熱、室内の間仕切りの少なさに興味しんしんの様子。現場では剛建築工房のMさん作の壁の断面模型が大活躍。みなさん興味深かそうにたくさん写真を撮っていました。みなさんを前に、かつての冬対策の断熱が今では、自然エネルギー利用や災害時の自宅非難、ヒートショック対策や夏対応に進化している様子をお話ししました。北方型住宅をさらに深めて、北海道をドイツやスイスに負けない家づくりの先進地にしたい。そのために地元の窓メーカーと共にサッシを開発したり、工務店さんをはじめさまざまな生産者さんや大学、行政とのチーム体制を築いて行きたいと思います。
 
今回の視察のために快く現場をお貸しいただいた建て主さまに、この場をお借りして心より御礼申し上げます。
 
今日はヘイリーで美しい曲を!http://www.youtube.com/watch?v=ZSwx2MdUKzw
 
 
 

2013年11月13日水曜日

西野里山の家 内装工事

雪が残る「西野里山の家」。山は一夜にしてすっかり冬の装いになりました。

屋根の頂上から琴似方面を望む。最近完成したタワーマンションが見えます。

室内では棟梁が床のフローリング貼を開始しました。今回のフロア材は本来は体育館用のものを住宅用に加工し直したもの。材種はカバ材で板巾は9cm、厚みは1.8cmもあって頑強そのもの。道内で加工したので継ぎ目の部分の精度が高く、棟梁も満足の様子。「やっぱり国産はしっかりしてるわ!しっかし硬いけどね~」とのことでした。

実はこのフローリング材、3mm厚の無垢材のラミナを6層重ねた複合材。全て無垢のものに比べてやはり曲がりや反りはほとんどなし。

目地の精度が高くて棟梁も貼っていて気持ちいいのだそうですが、反面硬いので加工は難しいのだそうです。

今の現場の状態。

電気屋さんが気密シートの内側で配線を始めています。

南西側の高窓からは、ずいぶん傾いた冬の明るい日差しが入ります。
 
今日はロックね~paramoreなんていかが?かっこいいです!
 
 

2013年11月11日月曜日

チーム西野里山 懇親会

先週末は、「チーム西野里山」の懇親会でした。
この集まり、当初は珍しかった30cm断熱のプロジェクト(今でもそれはあんまり変わりませんけど/笑)を協力各社さんに周知することを目的に始まりましたが、回を重ねるごとに建て主さんと現場を結ぶ出会いの場に性格を変えてきています。最近では、地鎮祭や上棟式さえ行わないケースが多く、建て主さんにとってわが家を作る人たちの顔が見えない現実がむしろ当たり前になりつつあります。数千万円にも及ぶ投資をしながらたくさんの作り手たちを知る機会は失われ、自分が地域にどれだけの貢献をしたのか知る術もない。あらためて考えると出会いを失うことは、私たちが普段感じるよりもはるかに残念なことなのかもしれません。私の専門からは離れますが、「建築」というものづくりは地域の「総合成果物」と呼んでもよいと思います。小さな家一軒建てるためにも15以上にも上る専門職の他に神社、お寺、教会、生産者、コンサルタント、問屋、建材店、流通事業者、運送業者、司法書士、土地家屋調査士、土地建物取引主任者、Fプランナー、建築士、銀行、生保会社.....お酒屋さん、お花屋さんに至るまで必用で、なによりそうした人たちが地域に根付いて暮らしてゆけることが欠かせません。要は地域の「ものづくり力」がインフラとして健全に保たれていることではじめて地域の家づくりが意味を持つのです。また建築はリアルそのものですから、ネットでできることは意外に限られてきます。ネットを悪く言うつもりはありませんが、システムの組み方次第では、地元で家を建てたのに、建て主の貴重な投資がほとんど地域に還元されないことも近年では珍しくありません。最新の調査によれば、日本のサラリーマンの平均年収は409万円で、最も高かった時期に比べて約60万円も減っているそうですが、そんな中で地域に落ちるべき貴重な資本がどんどん地域外に流失し、極端な例では国外に登記した本社の預金残高が増える(日本で儲けても税さえ払わない。)ことに知らずに協力しながら、もう片方で地域の疲弊を嘆くという構図にもっと目を向けるべきだと思います。そんな意味でもなるべくチームの多くが、建て主さんにお会いして一言感謝を伝える機会は大切だと感じています。最近ではこうした人的コーディネートのことを「コミュニティーデザイン」と呼ぶのだそうですが、私も地域に生きる作り手の一人としてこうした事柄に引き続き取り組んで行きたいと思います。


今日はM.ブランチなんていかが?
http://www.youtube.com/watch?v=NERmgwWfnoI

2013年11月9日土曜日

西野里山の家 気密測定

11/7(木)に「西野里山の家」の気密測定を行いました。結果はといえば初日は思うように数字が出ず...。

Dr.タギ氏により送風機取り付けの下準備。この丸い穴に送風機を付け室内の空気を抜くことで室内と外部に気圧差を作り出して漏気量を測定します。室内の空気を人工的に抜くと当然ながら室内は外部に対して気圧が低い状態(負圧)となります。外部と内部は平衡しようとしますから、外部の空気(正圧)が建物の隙間という隙間から室内に流入してきます。要は気密がよければ差圧が高く維持できますが、反対に悪ければ差圧は維持できません。誠に簡単な理屈なのですが、建物のような大きな規模となると中々均一に全体を気密することが難しくなります。自らの仕事の出来栄えの確認と万が一見落としがあればこの段階で発見し適切に対処することを目的に、作る建物は全数この気密検査を行っています。

今回は、飯田ウッドワークシステムさんの新開発のサッシを用いますが、中でも片引き戸は戸全体がスライドする構造上、気密を取ることが極端に難しいサッシといえます。二階のリビングから焼肉デッキに気軽に出入りできるように大判の片引き戸を付けましたがこの部分がとても気がかりでした。

さて準備が整いまずは1回目の計測スタート。

壁のビニール(気密層)がパンパンに張り、性能が出ている雰囲気満々なのだが1回目のC値(相当隙間面積)は0.5cm2/㎡と振るわずその日は一旦終了。
                                
当初はやはり片引き戸を疑ったが、結果は全く漏気は無し!「おーっ!すごいぜっ!飯田さん~」
 

結局、怪しいところに当てを付けてまた明日のチャレンジとなりました。

漏気部分を発見の瞬間!

なんと対策が済んだ次の日は一気にC値が0.2も向上しC値0.3cm2/㎡。最終的には0.2を目指します。毎度ながら計ってみないと分からないものですね~。(笑)

今日はマイケルね!マイケル! 元気だったころのマイケルでビートイット!
ギターはS.ルカサーとE..ヴァンヘイレンね~こちらも最高!

2013年11月7日木曜日

恵庭の家 地鎮祭

いよいよ、「恵庭の家」が着工いたします。11/4は地鎮祭でした。今年の二月にご相談をいただいたご夫妻は、出身がお二人共に本州とのこと。大学時代を道内で過ごし、卒業後も帰郷せずに職を求めご結婚されたとのこと。最終的に移住を決意された理由は、やはり北海道への熱い想いのようで、お二人とも都会生まれの都会育ちながら、都会ではない北海道のよさが、私などより遥かに見えているなと感じました。敷地も当然ながら恵庭市の郊外で、本来は市街化調整区域ながら田園型住宅地として開発されたところ。敷地内には以前の住人が植えた庭木も残り、緑豊かな環境です。

なんでも当日は、地鎮祭の引き合いが多く、開始は夕方になってしまいましたが、冬の夕焼けがとてもきれいでした。

みんなで拝礼し、式が始まる頃にはどんどん暗くなりはじめ...

宮司さんが、建物の中央に埋める、「鎮めもの」をくれた頃にはすっかり夜になり。

広い敷地の四つ角をお清めして無事終了いたしました。
再び心も新たに頑張ります。みなさんでよい家づくりにしましょう!(笑)
 
ふと最近想うのですが、いつも不思議な出会いから仕事が始まります。
今日はくるりなんていかがでしよう。