2010年10月12日火曜日

菊水の家 建て方工事

菊水の家の建て方工事が進行中です。ご覧のように1階より2階が大きく跳ねだす構造になります。木造ではなかなか難しいのですがここでも構造設計のJ建築システムさんに頑張っていただきました。


街中の現場なので隣家と距離がありません。かなり緊張します。

今日の空は秋晴れです。正面の銀杏もそろそろ紅葉でしょうか。

2010年10月9日土曜日

南あいの里の家 外貼り断熱工事

昨日より始まった断熱見学会。天候不順の中たくさんのご見学、誠にありがとうございます。本日は、「残念見たかった。」という方のために概略工程を公開しますね~。この壁構造は9cm厚のフェノールフォーム断熱材を下地強度を保ちつつ1回で外壁に止め付けることを目的にしたものです。大工手間を抑えつつ、生産性の高い(速く工事が進む)ことを目的に最低限の工夫で現場が納まるように考えています。今後さらに改良を加えるかもしれませんが現時点では概ね狙ったとおりの結果が出ているようです。ずばり「普及型ノンヒートブリッジ工法」です。今までの外貼り断熱工法の数少ない欠点としてどうしても熱の逃げ道となるヒートブリッジができてしまうことがありました。

冒頭の図面の屋根部分のように厚い断熱材を1回で貼ろうとすると同じ厚さの木材で受けを作らねばならないからです。
そこでまず壁に断熱材の半分の厚さの下地木材を横打ちし、壁と同じ断熱材でパッキンのように埋めながら、3×6版を極力無加工で貼る方法を考えました。張りあがりは非常に精度が高く、外貼り断熱材の継ぎ目にウレタン充填補強がほとんど必用ありません。文章だと難しいので写真で説明しましょう。


9cm厚の断熱材を一回で切るためには4寸(12cm角)角の材木加工用の大丸鋸が必需品です。


北海道の柱材の標準寸法3寸5分角(10.5cm角)用の鋸では2回切りとなって加工切断に手間取ります。

施工の順序は基本的には3工程。まず1:□45受け材を取り付ける、2:ピースパッキンを取り付け、3:3×6版のフェノールフォームを取り付ける。合計3工程の繰り返しで下から上へ貼りあげてゆきます。

1:下地の取り付けの様子。(棟梁照れてます!笑)

2:ピースパッキンを1:の上に風で飛ばないようにテープで仮止めします。

3:切断加工した3×6版を1と2の上に載せます。

4:あて木をして浮かないようにはめ込みます。写真で分かるように断熱材のジョイント部分に木材がまったく露出しない貼りあがりになります。

*:注意 この工法は外壁仕上げ材の重量や外貼り断熱材の種類によりビスの種類や間隔に厳密なルールが必要になりますので、安易に応用する場合は注意が必要です。それらを無視して行うと外壁の剥落等の事故につながりますので十分ご注意下さい。
資料提供:Team南あいの里 写真:山本亜耕

2010年10月8日金曜日

銭函の家 定期点検

本日は銭函の家です。空は秋晴れです。

屋根に50cm、壁に35cm、窓は特製のトリプルガラスを用いた銭函の家では南面の3階は、外付けブラインドなしでは暑くてたいへんです。建て主さん曰く「必需品ですねぇ~。かなり使い方に慣れました。」とのことです。全国で最も寒い北海道において、長年の悩み事であった寒さを取り除くと、今度は日射に対する遮熱デザインが俄然大切になってきます。夏至の太陽高度に合わせた庇だけでは、室内に流入する日射量を抑えることはできません。なぜならば夏至以外の日(それが2月であっても)の日射量でさえ室内をオーバーヒートさせるのに十分な熱量になるからです。仮に室内にブラインドを設けると、そのブラインドが加熱して即席のパネルヒーターと化します。日光は遮っても暑さは防げなくなります。物理の時間に習ったように、熱は伝導、対流、放射のどれかで移動をする性質があります。放射熱を運ぶ長い波長の見えない光、すなわち赤外線をいかに室内の外で遮断しその量をコントロールするか。設計者には熱に対する興味と理解が欠かせません。こうした太陽光の入射制御のノウハウが向上すると、放射冷却現象でからりと晴れたすごく寒い朝から太陽光だけで暖かく過ごせる家ができるでしょう。これからの北海道の家には高断熱とともに可変性の高い日射コントロールの工夫を盛り込んでほしいと思います。そしてなにより家人の使いこなす知恵に期待したいと思います。

10月のお昼ごろの影。太陽高度の低い時期に合わせた横長の窓をもっている。北国の太陽は冬場低い高度をほぼ水平に動く。冬場の室内日射量を増やし夏場を減らすためのデザインがこの横長の窓。微調整を外付けブラインドで行う。

ノーベル賞

2010年10/6北海道大学の鈴木章 名誉教授が北海道出身者として初めてノーベル化学賞をスウェーデン王立アカデミーから授与されることが決まりました。もうみなさんご存知ですよね~。同じ北海道に住まうものとして心からお喜びを申し上げるとともに、なんだかすごく元気をいただいた気分です。先生の記者会見でのお話がまたよかった。「私の研究はまったく特許をとっていません。だから世界中の人がだれでも自由に使うことができます。」恥ずかしながら毎日設計で使う薄型液晶モニターも先生の「鈴木カップリング」のおかげとは。無知は罪なりです。先生すいません。(笑)きっと先生は、社会に分け隔てなく研究成果を還元することこそ科学者としての姿勢です。って言いたかったんだと思います。自分は建築家としてどうだろうか?先生とはまったく面識がないけれど、「君の設計は人を幸せにするものかい?」と問いかけられたような気持ちになりました。人生には様々あるけれど、この場をお借りして「先生おめでとうございます。そして元気をありがとうございます。」本日よりまた心新たに頑張ります。

2010年10月7日木曜日

南あいの里の家 断熱見学会

■今後主流となる30cm断熱の見学会

南あいの里の家で10/10日(日)断熱見学会を行います。私と断熱設計担当のDr.タギ氏も10日(日)のみ10:00から現場におります。もしよかったらぜひお越し下さい。(*:現場は危険ですので、関係者の許可なく足場に上らないで下さい。現場内は係員の指示に従って安全帽の着用をお願いいたします。8.9日は積水化学北海道㈱ユーザー様の見学日となりますので一般の方のご来場はご遠慮下さい。)

外部のOSB合板が張られ外貼り断熱の下準備中。

この窓は、どんどん建物が建ちみるみる街になってゆく風景を写すのだろう。

南側は大きく開口が取られている。

性能最高のフェノールフォーム断熱材(厚さ9cm)、驚くべきことに僅か9cmの厚さで北海道で一般的に使われているグラスウール(24kg/m3)20cm分の性能を持っている。この断熱材を壁の外側に貼り、なおかつ壁の中にもGWを充填することで、外貼り側の断熱抵抗値を大きく保ったまま(結露上安全側の設計としたまま)30cm断熱が完成する予定です。

菊水の家 建て方工事

今日の現場は雨も上がって秋晴れです。どっさり材料が届き今日から建て方開始です。土台を敷く前に先張りビニルを敷き、ダメ押しでコーキングを打ち、土台を敷きます。目指すは気密レベル0.2cm2/㎡以下、北方型基準は一応2cm2/㎡以下となっているので×10倍の性能を目指します。

土台の下に気密パッキンを入れる場合、土台の高さを一定にすることが難しくなります。昔の工法では、土台と基礎の隙間から外気を床下に入れていましたが、ここ最近では基礎断熱が普及し床下の温度も室温と変わらない家が多くなっています。その際土台のレベルを揃えつつ、外気が入り込まないようにぴったり納めるのが、大工の腕でもあります。

菊水の家は虫に強いヒバ材の土台を用います。

2010年10月1日金曜日

大好きな曲

皆さんは音楽が好きですか?

今日はお気に入りの曲を紹介します。

近年少なくなった最高のライブバンド

バンドアパートぜひ聞いてください。

higher!

http://www.youtube.com/watch?v=s9c1b6F8ZYA

私の建築もこんな風にありたいものです。

南あいの里の家 上棟完了


見事に上棟いたしました。 U棟梁ごくろうさまです。秋晴れの中、工事は進みます。今日は夕暮れがほんとうにきれいです。



この仕事をしていていつも思うのですが、木造の骨組みって美しいとは思いませんか?南あいの里の家では二階の天井は水平に貼りません。屋根なりに斜めに張ります。A型トラスの-だけが空間に規則正しくリズムを刻むように考えてあります。反面、細身でシンプルな構造で大空間を支えるには構造屋さんとのコラボレーションが欠かせません。今回はJ建築システムさんにトラスを含めて構造を担当していただきました。J建築システムHP http://www.j-kenchiku.co.jp/
長期優良住宅の難関である、構造耐力=通常設計の25%UPに対して真剣にデザインと強度のバランスを考えて工夫を重ね、一見気付かないほどにまで部材をシンプルにしてあります。通常は補強材だらけになるところを、面材を巧みに用いているところはたいへん勉強になります。みなさん実は札幌に木造を専門に解析できる構造屋さんは少ないんです。構造といえばビル物、鉄骨物が普通ですが木造は専門性が高く安心して任せられる人は数人です。最近のニュースでリサイクル性と環境性の観点から公共施設もこれからは木造へという記事を読みました。これを機にもう一度大規模な木造が建てられるようになるといいと思います。


空中に跳ねだす階段踊り場の一部です。

夕暮れの現場は落ち着くよい時間帯です。

2010年9月30日木曜日

菊水の家 仮設足場工事


本日は、仮設足場工事です。言い遅れましたがお隣の敷地も工事が始まりました。さすがに二階建ては進行速度が速く、もう一階の柱が建っています。私たちの現場も遅れないように頑張ります。



奥(南側の敷地)も3階建ての様子。完成するとどんな街並みになるのでしょう?楽しみです。

2010年9月22日水曜日

南あいの里の家 トラス工事

本日の工程は、小屋組みの製作に入っています。二階を総吹抜けにする為にA型トラスを組み、二階の床上で組み立ててから、柱の上に乗せ掛けます。ユニッククレーンを応援に呼んでトラスを吊り上げ乗せ掛けるのでかなり豪快な景色になりそうです。


二階の床上で製作中のA型トラスです。
細かなことですが、不細工な構造金物が露出せぬように特殊な引き寄せ金物を用います。

菊水の家 並木撤去工事

本日は、前面道路の並木を撤去しました。菊水地区は古くから開発が進んだ住宅街です。並木や花壇等々、都市インフラが多い反面、ガス管の埋設等々掘り返す場合は特に注意が必用です。

長らく通りを守ってきた銀杏の並木。極力残す方向でプランニングしましたが、どうしても一本は撤去せざるを得ませんでした。

手前がカーポート。撤去した並木はそのまん前にありました。

建築のほうは床下に断熱材を敷き込んで、割れ止めのメッシュを敷いて土間コンクリート打設の準備です。

拡大するとこんな感じです。

2010年9月20日月曜日

菊水の家 脱型工事

秋の気配を感じませんか?長かった夏が過ぎ、駆け足で秋がやってきます。菊水の家の現場では現在、脱型(型枠を外すこと)が終了し設備の埋設管工事の最中です。といっても午後遅くからの雨のために一端現場は中断。その間に私がいろいろと見て廻っています。
型枠の取れた現場の全景です。
水抜き栓の位置や
アンカーボルトの位置を確認します。
基礎を貫通するパイプとウレタン充填の様子等々、夕立の合間に次々と見て回ります。
一通り終わったところでまた少し雨が降ってきました。銀杏の並木が色づくのももう少しですね。

南あいの里の家 建て方工事

南あいの里の現場で建て方が始まりました。基礎の上に土台を敷き、柱を立て梁を渡してゆきます。私の設計では胴差シ(2階の外壁周りの梁)は通常の3寸5分(10.5cm)ではなくて7寸(21cm)が基本です。計算上は前者で十分ですが、建築は長く使うものですから梁や柱にはゆとりある大きなものを使うように師匠に教わりました。たいへんなのは大工さんです。同じ長さの梁でも通常の倍の重さになりますからみんなで息を合わせて持ち上げて、掛矢(かけや)と呼ばれる木製のハンマーでほぞ穴にほぞを叩き込んでゆきます。見ての通りたいへんな重労働です。おまけに上に乗る小屋組みも特製の木造トラスですから大工さんにはほんとうにたいへんな現場です。そんな南あいの里の現場は長年お世話になっているU棟梁とお弟子さんたちにつくってもらうことになりました。以前より弊社設計の建物を手掛けていただいている丸稲武田建設の一番手棟梁として数々の難工事を一緒に乗り越えてきました。気取らない岩手弁とどんなに忙しくても手きざみ(大工自らが墨付けを行い骨組みの設計と加工を請け負うこと)を嫌がらない人柄は大工さんの中でも最近ではずいぶん少なくなりました。今回は長期優良住宅の条件として25%の強度UPや構造計算を優先せねばならないことから、構造材の設計加工はプレカット工場にお願いしましたが、本人はそれが少し残念な様子。確かに社会の流れは分かりますが大工の腕前も落ちないような上手い方法が無いものでしょうか?(笑)
7尺の梁だと3mものでも一人で上げることは難しいです。
梁の「番手」と柱の「番手」を合わせて掛矢(かけや)で叩き込みます。きゅっ!と音がしてほぞがほぞ穴へ吸い込まれます。このとき素直に入りすぎても、硬すぎても棟梁の怒声が飛びます。ほぞは穴に対して鋸目一本分太く作り位置合わせのときは先端が入りやすいようにほぞの先端に4面テーパーが施してあります。要は釘なしでも抜くのに難儀するようにかつ梁のほぞ穴を割らないように絶妙なしまり具合で梁の上に柱が立つこと。これを確認するための音がほぞとほぞ穴が摩擦で発する「きゅっ!」という音なのです。
7寸の胴差しの上に大工が乗り90度方向に7寸の梁を落とし込んでゆきます。
この写真を見て「ほう~」と目を細める人はかなりの木造マニアですね~。(笑)2階の梁(水平材)が太いこと、建物の四隅の柱が一本物で2階まであること、さらにそれが通常の2倍の大きさの柱であること。またそうした大きな材を使うことで接合部の強度に余裕が出ること(通常の10.5cm角の柱を二方向から加工させると純粋に柱として残るのは9cm角程度、これが3方向なら7.5cm×9cm、4方向なら7.5cm角しか柱の断面として残らないが、元の柱を10.5cm×21cmとすれば加工後も大きな断面が残せます。)等が木造には大切です。最近は継ぎ手や仕口に金物が多用され、その効能ばかり注目されますが、金物を取り付ける際の加工削除による材料の断面欠損も同じように注意が必要です。大きな力を負担できる金物を付けたなら、同じように材料にもその力を受け止められる余裕を見てほしいものです。
棟梁との一作目は2005年、190坪オーバーのグループホームでした。5軒分の量の材木を全て手きざみで加工していただいた思い出深い仕事です。
二作目は同年の星置の家。



第三作目は同じくグループホームの姉妹館

第四作目は新川の家でした。

  
新川の家の手書きの手板を前に打ち合わせ。




敷地が狭く隣地からユニッククレーンの応援を借りて建て方を行った新川の家。