2016年2月29日月曜日

部屋の温度を見える化する


 
以前は300mm断熱のPRに暖かさを謳うことがほとんどでした。
でもよくよく考えて見れば壁を30cm、屋根を40cmも断熱し気密測定までして暖房器具を動かせば凄く・・・場合によってはもの凄く暖かくすることなど造作もないことです。(笑) 従来の北海道標準である壁15cm断熱の家だってエネルギーさえ使えばいくらでも暖められます。
 
そこで最近は、あえて暖房を入れない状態(建物の素の状態)で視察や内覧会を行うことにしています。要はエネルギーで暖めることで、部屋の各部分の表面温度を上げてごまかすのではなく、建物がある程度冷えた状態で各部分に断熱のムラや欠損が少ないことを大切にしたいと思いました。 不思議なことですが各部分の温度が穏やかに均衡すると空気温が低くてもあまり寒さを感じなくなります。「平和の家」は普段は暖房を切って日射のみ入れた状態で約18℃くらいの室温です。このように極力建物の素の状態で落ち着く温度を仮に「快適温度」、暖かいな、心地良いな~と感じる温度を同様に「快感温度」と呼ぶことにして最近では暖房計画を考えることにしています。快適温度だけだと、「寒い暖かい」といった個人差までを吸収するのは難しく、その上の4~5℃を積極的にエネルギーを使う温度域としてエネルギーの無駄を省きながら、満足度も失わないように工夫しています。
 
室内の床、壁の温度は約16℃で均衡して穏やかな状態。基礎断熱が貧弱で、床下の潜熱(コンクリートが乾燥する際に床下の温度を奪って冷える現象)の影響を抑えることが出来なかった時代は床だけが冷えて紺色でした。(笑)


こちらは建物の東の端から西の端までを写したところ。
 
 
熱画像にするとこちらも床、壁、天井の表面温度が均衡している様子がよく分ります。よく「基礎断熱は一年目は床が冷たいものだ。」という人がいますが、しっかり断熱することと、床下の熱源で防湿コンクリートの乾燥を促す工夫を行えば竣工直後から快適に過すことができます。


こちらはよく冷たさが指摘されるコンクリートの玄関土間と室内の木床の境界の写真です。
 
 
以前はわざわざ玄関に温水暖房の配管を通していましたが、最近は代替案が完成したので床暖房はしていません。それでも温度差はほとんどなくなりました。雪の中を歩いてきた私の靴が一番冷えているのがよく分ります。(笑)
 
今日は大好きなBUMPなんていかが
 
 

2016年2月27日土曜日

視察+視察+視察

一昨日から本日まで、視察+視察+視察でした。今回は財務省と国交省の若き官僚のみなさんが「平和の家」を視察にお見えになりました。外は雪なのに、無暖房で室内が18℃に維持できることを説明すると不思議そうに「なぜそんなことが可能なのですか?」と多くの方から聞かれました。長らく日本の一般的な家づくりと比べて北海道が例外的とされてきたことや、建物を断熱することに取り組んで既に40年以上の歴史があること。 寿命の短い機械設備に関する補助が増加する中で、建築の外皮性能を対象に、補助施策を検討していただくことは、前者に比べ遥かに長期間の価値保存につながること・・・等々をお話しさせていただきました。 みなさん初めて聞くお話しだったようで、熱心に家中を見ながら耳を傾けていただきました。

総勢10名の視察団となり、広めの「平和の家」の駐車場も満車状態でした。
 
翌日は東京のコンサルタントさんと関東圏で環境建築に取り組む工務店さんのグループが視察にお見えになりました。まずは「平和の家」をご案内して次は「澄川の家」へ。

みなさん2020年の断熱義務化を意識してか、やはり断熱することを「省エネ目線」で捉えている方々が多いなあ~。という印象でした。そこで、断熱がもたらす別の特性をご説明し、パッシブ換気が実際に作動する様子を見ていただきました。やはり専門家の方々ばかりなのですぐに興味を持っていただき、床下の記念撮影が続きました。(笑)

不思議なもので、最近は北海道の建築をとても多くの人々が見学しに来ます。国の省エネ基準の義務化が大きいとは思いますが、幸せなことだと思います。少しづつですが時代が変わりつつあると感じた今日この頃でした。
 
今日はカッコイイさかなクン!なんていかが(笑)



2016年2月24日水曜日

東光の家 定例

厳しい寒さの中、外壁を貼り進む「東光の家」。基礎工事からほぼ1.5ヶ月でここまで来ました。現場を指揮するK所長。ごくろうさま、これからはいよいよ内装、引き続き頑張りましょう!(笑)

やっぱり道北の冬は別格!資材も人も凍る、凍る・・・
 

一転、平和な室内。下地がどんどん完成。ボード張りに突入です。

この段階でSWの高さや位置等は全部確認しておきます。私の場合はSWは床から1m、コンセントは床から30cmです。 

K所長が細かく丁寧に書いてくれた詳細図を見ながら各部を確認して行きます。

床のタイル割りや各部の細かな寸法を確認します。

2016年2月16日火曜日

アーキテクトミーティング2016

 
本日から2/18(木)まで東北に行ってきます。

2016年2月4日木曜日

東光の家 全力全開!

1月13日から始まった建て方から実質二週間少々。3月完成を目指す「東光の家」は素晴らしい速度で工程を消化しています。実は設計者として今、正直感動しながらこの記事を書いています。1月中旬から今日(2/4)までの約半月間、引渡しや、視察、見学会に講演と目まぐるしくも充実した日を過させていただきました。たいへんありがたい反面、先日は大雪のために現場に行けない等、設計者としてのストレスも感じていました。その間に現場を担当するK所長と棟梁として現場を仕切るK棟梁(K所長のお父さん)の仕事ぶりを定期的に送っていただいた写真を通して拝見していました。

1/15の様子。凄く早い!

300mm断熱のような超断熱化建物にとって建て方(構造部材を組み上げること)と同時に気密&防湿を受け持つシート(先張りシート)を挟み込みながら行うことは欠かせない。一方、現場で働く大工にとっては、先読み力が求められます。どの位置で先張りシートを挟むのか。といった基本的な理解を充分深めておかないとシートを挟み忘れたまま柱や梁を組み上げることとなる。写真は床合板との取り合い部分。1:シート、2:シート押さえ、3:合板を載せるといった順番が守られている。

写真は外気に接する床の上に建つ柱の足元の気密先張りシート。「東光の家」の間取りではカーポートの上部が子供室となる。要は子供室の床のその先は外となる。そこで柱の足元に丁寧に先張りシートを入れてから合板で床を作ることが冷気の進入を止める上でたいへん重要となる。気密試験に慣れた大工しか知らない漏気ポイント。こういう絵(写真)を送ってもらうと思わず設計者として目を細めてにやりとしてしまう。(笑)ちなみに上の写真は1/13のもの。まさに構造と断熱(気密)が一体化したものであることが分る。

最近、リクエストの多い屋根の構造材を顕した天井を実現させるためには、屋根のみ断熱方式を完全な外張りに切り替える必要がある。すなわち床に当たる厚ものの構造用合板の外側に気密シートを貼りその上に厚く断熱材を載せて行く必要があるのだ。写真はまさにその最中のもので1/19のもの。薄緑に見える先張りシートの上に一層目の断熱材を施工しているところ。

同日の写真だが注目はシートのジョイント部分。薄緑色が濃く見えているばかりかテーピングによってダメ押しの気密が行われている。標準施工要領では下地のある部分はシートの重ね幅が100mmでよしとなっているが、用心深く全てテーピングで対処しているところに棟梁の断熱施工に対する哲学を感じる。

樹脂サッシは、壁厚のほぼ真ん中に取り付けられ完成すると壁よりも窓が引っ込んだ見え方となる。風雨から窓を守るということと、断熱上、壁の断熱ラインにサッシの中心軸も合わせる事で窓のポテンシャルを最大限引き出そうとしている。この写真を見て現場所長と棟梁の熟練を感じる部分はサッシの本体枠と木枠の間に15mmの隙間をしっかりと開けているところ。襟巻きよろしく窓の4周にウレタンを充填し断熱材でサッシ枠を断熱補強するためである。もちろん事前にK所長の施工図で確認済みだがそれが現場で厳格に守られていることが安心につながっている。(撮影日時1/19)

こちらは外壁の付加断熱の下地。2012年に丸稲武田建設の武田社長により考案されその後、石膏ボードを貼ることで準防火構造の通則認定として使えるように改良した構造でもある。ポイントは間柱の間隔より半分ずらしてあり、熱橋(熱の通り道)となりにくいようにしているところ。また重量のある外壁の採用にも耐えられるように横方向には貫材を通し構造用の金物で断熱下地がずり下がらぬようにしているところ。指定の金物が使われていることを確認。(撮影日時1/19)
 

こちらはカーポートの天井を見上げたところ。トンネル状になるカーポートの上に子供室がある。カーポートの間口は二間(約3.6m)あるので二階が落ちぬように大きな梁材が必用になります。当然梁材の間は充分な断熱材が入れられますが梁の部分は断熱が入りません。そこで梁の高さを揃え梁の下に性能の良い板状断熱材を連続させて、梁ごと断熱材で包むことを考えました。(撮影日時1/20)

カーポートの壁に面した室内側の断熱材がしっかりと二階の床まで施工されています。気密シートのジョイントは下地のあるところにも関わらず同じようにテープでさらにダメ押しの気密補強がされています。(撮影日時1/24)

こちらはカーポートから見たところ。外側の付加断熱が見えています。肝心のカーポートの天井には、これから吹き込み断熱材でがっちり33cm断熱を行います。(撮影日時1/22)

 
西側の立面が見る見る石膏ボードで覆われて行きます。石膏ボードの役目は市街地に建つ家の防火性を高め、断熱材に吹き込む風を抑え、通気層に貼る透湿、防水、防風シートをピシッと精度よく連続させることに一役買っています。(撮影日時1/24)

いやいや、本日これから旭川ですが、今日こそはK棟梁に感謝を伝えたいと思います。心一杯ね! さすが道北の大工は違うね(笑)。脱帽です・・・凄い!

今日は事務所と自宅で大流行の星野 源くんなんていかが(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=7gcCRAl58u4

2016年1月29日金曜日

ホワイトアウト

 
今日は旭川の「東光の家」へK棟梁へご挨拶に行く予定だった。しかし高速は雪でストップし、国道に下りればそこはホワイトアウト。うす曇りの明るい吹雪特有の視界。要は道路の巾も自分の走っている位置もまったくわからない状態。眩しくて眩しくて、しまいには目が痛くなってくる。江別を越えて岩見沢の街を出たところまで頑張ったけど吹雪きもひどくなってきて、さすがに旭川行きを断念!今日はほんとうに残念だった。 次回は偏光レンズの付いたサングラスを掛けて行きます。クライアントさま棟梁、K所長。ごめん・・・

三重県からお客様が


昨日は三重県よりたくさんのみなさんが「澄川の家」の視察にお見えになりました。二年ほど前にお会いした建築家のTさんを団長に、いつも家づくりを共にされている、工務店さん、大工さん、建具屋さん、サッシ屋さんがたいへん熱心にお話しを聞いてくださいました。なにか近々、高断熱住宅にチャレンジされるそうで、そのための技術情報の収集に腐心されているとのこと、「その節にはぜひ北海道のアイディアもお役立て下さい。」とお伝えしました。

最近、関西からの視察が急増してびっくりしています。こちらが恥ずかしくなるぐらいみなさん真剣で立派な方々ばかりです。丁寧にメモを取り、写真を何枚も撮り、理解できるまでもの凄くたくさんの質問をいただきます。 パッシブ換気に基礎断熱、床下暖房に0勾配屋根、C値0.1の室内でも薪ストーブが何事もなかったように燃える様子や内外温度差を動力に無音で全館空調を行うパッシブ換気等々・・・・・時間はいくらあっても足りません。(笑) 

熱心なみなさんとお会いして、私もうかうかしているとすぐに追い抜かされてしまうなあ~と感じました。そんな意味でも毎回、凄くよい刺激をいただいています。惜しげもなく知見を与えてくれた先輩たちと環境技術に溢れた地元に感謝してまた頑張ろうという気持ちになりました。

平和の家見学会 満員御礼!

二日間に渡り、多くのみなさまにご来場いただきまして誠にありがとうございます。
 
当日は遠方から駆けつけていただいた方々、お手伝いいただいたみなさま、チーム「平和」全員と、快く地域のものづくりを公開し発信する場を与えていただいた建て主さまに、この場をお借りしてチーム一同心より御礼申し上げます。 300mm断熱18棟目となった「平和の家」。細部の作りこみやパッシブ換気、床下暖房や玄関土間等々も完成度に一段と磨きがかかり意匠デザインのみならず設備設計においてもチーム全員の更なる自信になりました。
 
地域において長年に渡る知恵の蓄積とその伝承とは想えば凄いもので、寒さとそれらに起因して起こるネガティブな事柄のほとんどが今や何事もなく解決され、静寂の中で計画換気され家全体が穏やかに暖房される様子はある種の不思議ささえ感じます。
 
1950年代の断熱ブロック住宅に始まりオイルショックが起こった1970年代に壁250mm、屋根400mmの超断熱住宅を作り、断熱がそれまでの建築における多くの問題を簡単に解決する方法であることを発見した荒谷(アラタニ)博士から数えて自分たちは3代目に当たります。時々先輩たちから昔話しを聞くことがありますが、当時は遮熱派の先生方、通風換気派の先生方、蒸散メカニズムの権威、温暖地の伝統建築の先生方の中で「断熱しましょう!」なんて言うのはとても勇気のいることだったそうです。 (笑) あれから早40年、やっと日本も断熱を義務化しようとしています。そんな風に考えるとなんだかとても不思議な気分になります。人は一見理屈で分ったような気分になっても、それが身に付くまでにはとても長い時間が必要で、だからこそ一歩、一歩が実は大切なのだとあらためて思います。そんな意味でも私たちの世代で大切な宝物を失わないように、日々精進して行こうと思いました。

居間の一カット。天井高は2.66m

ナラの端材を用いた木ブロックの壁

玄関を開けたところ。右手前がウオークインのコート掛け、隣が大容量の靴入れ、突き当りが冷温庫。玄関土間はこれらをつないでいる。

白樺積層合板を削り出した手摺。

北方型住宅の基準を満たすために巾を狭められた鉄骨の手摺。

樺材のフロアー、白樺積層合板の枠、旭川家具のガラリの組み合わせ

二階のホール。南側には子供室3室と主寝室。計4部屋が並ぶ。

下が4畳、上が2.5畳の明るい子供部屋。二階には読書灯やコンセントの設備もある。

北西側の和室。障子の上下には通気スリットが入れられていてサッシの結露を防止する。

二階のトイレと洗面スペース。朝の大渋滞もこれで解決。

床下は基礎断熱により室内化され、暖房、照明、換気といった通常の部屋と変わらぬ環境を備える。パッシブ換気の予熱空間や床下暖房、それ以外の部分はトランクルームとして大活躍する。

パッシブ換気の外気導入管。冬場に必用な計画換気と暖房の熱移送を自然エネルギーで行う。

壁の断面模型

日差しがあれば基本的に暖房はOFF

断熱ブラインドは夜も昼も大活躍
 
今日はB.Joelなんていかが

2016年1月13日水曜日

平和の家 見学会のご案内


かねてより、「チーム平和」一丸となって取り組んでまいりました「平和の家」がおかげさまを持ちまして竣工を迎えることとなりました。この度、建て主さまのご厚意により見学会を行いますのでご希望の方はお知らせ下さい。またたいへん恐縮ですが見学会は事前にお申し込みをいただいた方に限らせていただきますので予めご了承下さい。

■見学をご希望の方は1:住所、2:氏名、3:ご連絡先(携帯可)を記入いただき下記のアドレスまでお送り下さい。確認の後、地図を返信させていただきます。

連絡先 teste-ako.ao@dream.com(誤送信防止のためteste-以降のアドレスをお使い下さい。)

*:いただいた個人情報はご本人様確認以外には使用いたしません。
 

■平和の家とは?
札幌市西区 平和地区は間近に山並みが迫る環境のよさが人気の住宅地。近年Uターンの進む西野地区のさらに山側に位置し約40年前に開発が始まりました。

建て主さんとの出会いはOBのクライアントさんからのご紹介。敷地探しから始めました。設計条件としては、5人家族であること、将来的な二世帯同居も視野に入れ等々・・・子育て中は家庭にとって最も物入りな時期。当然、間取りも厳しい面積要求となります。その解決策としては、床下と天井裏をロフトや物入、家事室に置き換えて使えるようにすること。それが可能となる断熱手法を選び家中を徹底的に使えるように考えました。結果として二階には子供部屋が3室、夫婦寝室とウオークインクロゼット、客間、WC+洗面の7部屋構成となりました。1階は狭さを感じないL+D+Kと水廻り、玄関土間と冷温庫、階段下には家事コーナーも完備しました。

■コンセプト
1階LDK、2階各寝室というベーシックな構成としながらも従来型の間取りを改良し生活品質を高めた新 北海道スタンダードの追及。

仕様/性能
■平成27年度地域型住宅グリーン化事業(長期優良住宅)
■北方型住宅ECOプラス
■フラット35S金利A仕様住宅
■札幌市エネルギーECO資金対象住宅
■Ua値:0.2W/㎡K
■燃費:3L/㎡年 (300L/年.灯油換算)
■C値:0.1cm2/㎡


●寒さを暮らしに生かす冷温庫付物置
●パッシブ換気 (換気と暖房に自然エネルギーを併用する北海道産技術)
●ペレットストーブによる炎の見える室内。
●道産カラマツ、白樺材による内装
●給湯と暖房(熱源:プロパンガスによる潜熱回収型ボイラー)
●樹脂製断熱サッシ(トリプルガラス)
●圧倒的な断熱性がもたらす寒さのない穏やかな室内(300mm断熱)
●夜を楽しむ内照式照明、LED照明
●北海道産とど松による木貼の外装
●屋根はシート防水による無落雪タイプ
 

■おねがい
おかげさまで、最近の内覧会はたくさんのご来場をいただくようになりました。これもひとえにチーム全員の活躍を楽しみにしていただいているみなさまのおかげと心より感謝いたします。しかしその一方で近隣とのトラブル(違法駐車、ゴミ、タバコの投げ捨て等)も見られるようになりました。残念!(もちろん少数の心ない人の仕業ですが/笑) 私たち地域の作り手に興味をもっていただき、貴重なお時間を割いてまでご来場いただくことは嬉しい限りです。ぜひたくさんの方々に地域の職人さんたちの仕事を見ていただきたいと思いますが、こうした現状も踏まえ、ご理解をいただければ幸いです。ハードルを上げることはけして本意ではありませんが、たとえ人数は減っても実りある見学会を目指してまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。 
                         「チーム平和」プロジェクトマネージャー  山本亜耕

2016年1月9日土曜日

「地域材利用拡大緊急対策事業」について

「地域材利用拡大緊急対策事業」

地域材を積極的に活用しましょう!・・・・・でも・・なぜ?

北海道に住むみなさんは「山にはあんなに木があるのになんで今さら地域材なん?」と不思議に思うことはないだろうか?

実はものとしては膨大にあっても、長年産業として育ててこなかったことが災いして、現在身近に建つ建物の多くが輸入の構造材、仕上げ材を使っています。最近ではオーストリア、ルーマニアなんてところから来る材木も多くて作り手としてなんだか凄く違和感を感じているところ。 だって目の前に立派な森林がありながら一万キロ彼方から来た木材の方が安くて手に入りやすい!なんていうのが残念ながら現実だからです。

 
基本的にこうした矛盾は私たちの社会に急速に広がっていて、いつの間にか地域にお金を落とす機会がどんどん少なくなっています。建築でいえば、マイホーム取得中心世帯と言われる30~40代の世代の所得が減少を続けていることは報道等でお馴染みですが、そうした本来なら最も消費に積極的な世代が支払う大切なお金が、地域に落ちて循環する(役立つ)ことなく海外にどんどん流失しているのがこうした輸入材の負の側面だといえます。もちろん自らが住まう地域にお金が回らないわけですから地域はどんどん疲弊し悪循環は拡大するばかり。地域が悪くなれば地域を相手に働く勤め人の給料など上がりようもないわけです。ここ20年で急速に拡大したグローバル化、インターネットを背景とした消費の流動化は手軽で便利なものをたくさん生み出しましたが一方で知らないうちに自らの首を絞めるという困った事態も生み出しました。 私も含め地域に暮らす多くの人が地方都市の大らかさを楽しみながら仕事ばかりでない人生を充実させたいと感じていると思いますが、そのためには今までとは異なる視点と地域経済に対するアイディアが必用なのです。