2021年8月28日土曜日

桂岡の家Ⅱ 外装&内装追い込み


「桂岡の家Ⅱ」は現在この状態。銭函海岸を見下ろす配置とパッシブ換気の排気塔屋を持つ外観がどんどん道南杉に覆われて出来上がってきました。

悩んだ南西向きの立面はこんな感じ、一見自由に配置された窓を庇&袖壁がまとめるデザインです。

今回の外壁は久しぶりに無塗装の道南杉貫板張り。想えば2009年竣工の「銭函の家」で使い始め、最後が2012年竣工の「発寒の家」以来です。その当時は板張りは嫌いじゃないけど、ワイルド過ぎる色変わりがちょっとね・・・という意見も多く。それ以降は保護剤に漬けた材料を使うことで強制的にグレーに色目を揃える方法を取ることが多くなっていました。
「発寒の家」の現在の外装の様子

その一方で、やはりワイルドでも杉本来の肌がグレーに大きく色変わりする感じが大好きというクライアントさんがそろそろ来ないかなあ~と思っていたところ・・早速もう一度チャンスを頂いたという次第です。(笑)
「銭函の家」の現在の様子2009年竣工

暖かな赤味の木肌は本当にきれいで、以前は防火の問題が解決できなくて外装に木張りが難しい時代もありましたが、今では地元の北方建築総合研究所が通称、北総研防火外壁として防火構造の大臣認定を取得し道内で広く使えるようになりました。

私としても益々、地域資源活用や地域らしさ、果ては地球環境保全の観点から道産材を使って行きたいと思います。

室内もボードがほぼ貼り終わり、作り付け家具が完了すれば随時内装仕上げに入ります。


私の薪ストーブの場合、煙突は原則壁出しです。壁出しなら煙突掃除も外出時に行えますし、屋根と絡まないので漏水に対しても安全です。

煙突孔の下に見える小さな穴は燃焼用の給気口です。

海とサーフィンを心より愛する住まい手さんの要望で作られた土間空間。ボードの手入れや保管をしたり、ワンちゃんの足洗いの設備も階段下に設けました。

南東側はこんな感じ。擁壁の上に建ち、学校の緑を背景にしています。

非常に細かな、M棟梁の仕事。こんなところに人柄が出ますね(笑)

今日はアヴァロンジャズバンド・・週末の音ですよね~(笑)





 

南沢の家 気密測定



 

本日は「南沢の家」の気密測定。築29年の住まいの断熱改修です。結果はC値:0.4cm2/㎡。新築の水準を充分クリアすることができました。従来は事情通の人程「古い建物は気密が上げられない」と断じる人が多かった。もちろん難しいことは確かだけど、なぜ難しいのかをしっかり分析して適切な設計&施工とすれば十分に上げることができる。

そのノウハウこそ施工者にも設計者にも今後益々必要となると思う。新築限定の方法ではなくて新築にも改修にも使える柔軟性の高い技術。今後・・新築がどんどん減る中で性能のよくない既存住宅は現在5400万戸もあるそうだ・・徹底的に直して行こうと思う。

飛栄建設㈱のM社長、U棟梁、Dr.タギ先生、そして挑戦の機会を与えていただいた建て主さまにこの場をお借りして心より御礼申し上げます。あともう少し頑張ります!

2021年8月19日木曜日

南沢の家 各部ディテール

 

「南沢の家」は内装直前まで来ました。元の和室の意匠を極力残したまま床をバリアフリーに変え、フローリング床&引き戸に変える。

言葉にすれば一瞬ですが、実際は中々工夫を要する作業です。写真は和室のサッシ廻り、お盆前にU棟梁ともしっかり打ち合わせを行い。建て主さんには以前のこげ茶主体の内装から生成り色に変わること、和室を半洋室化しながら他の部屋と違和感なくコーディネートしなくてはいけないことをご説明させていただき、内装はお任せいただきました。

上の写真が完成形、下の写真が元の様子です。

サッシを全てトリプルガラスに変えたので当然和室の柱廻りはこんな感じになってしまいます。室内側に障子はあえて不要とのリクエストですので、違和感のないようにサッシのツバを隠し上の写真のように作り変えました。

棟梁曰く、最も苦労するのが既存の精度だそうです。確かに柱の垂直性や壁各部の狂い等を計算して違和感なく納める必要がありますから、一カ所一カ所型紙に写して分一合わせで納めています。

こちらは左上の写真です。既存の長押を残して自然に納めていただきました。

柱と梁が直角ではないのでサッシ交換直後はこんな感じでした。


奥が和室で手前が洋室。神棚が祭られ、電話台が絡む部分の内装が切り替わる枠廻りです。

こちらは手前がキッチンで奥が居間。同じように、生成り色の床、その色に合わせた見切り枠、キッチンパネルの白、その白に合わせたクロスをチョイスして、後から改装した感じを極力感じさせぬようにします。

ここは大切なところでしっかりバランスを見ていないと、絶対に取ってつけた感が残ります。なので特に慎重に進めます。

理想は同じ間取りの家を建て替えたように見せること。いつもながら性能向上リフォームは中々手強いです。

こちらは縦型パネルヒーターの取り付く壁。裏がIHの調理台になります。床のフロア材を壁に張り上げて枠の色とピッタリ合わせます。

1階の床、2階の床共にバリアフリー化することで15mmずつ上がるので階段も同じ高さ分かさ上げをします。

床と色を合わせてこんな風にきれいに張り上げました。ここでも階段の段板が台形だったり、平行四辺形だったりで一段一段、型紙起こしをして納めていただきました。

取り換えられない階段の構造芯廻りの納まりも凄く丁寧に差し込んでいただきました。

ササラを一部欠き込んで蹴込板を差し込んでいます。こういうところは木工所に寸法を指示して外注できないので、全て大工さんの分一合わせの技が必要です。まさにリフォームが新築よりもある意味難しいところだと思います。

こちらは床の傾きが大きく引き違い戸が締まらなかった二階の洋室。1階から床を15mmジャッキアップして、更に床の水平をきっちり取りなおして無事、新しい扉を狂いなく取り付けることができました。

今度は枠と扉の隙間も正常です。

戸の上は閉まるんですが・・足元は開いて・・だったのが

今度は周囲の隙間も正常にどこにも擦ることなく正常に開け閉めできるようになりました。

今日はクラプトンなんていかがでしょう!



2021年8月12日木曜日

夏季休暇のお知らせ

 当事務所は8/13(金)~8/17(火)まで夏季休暇とさせていただきます。

8/18(水)より通常営業です。




2021年8月7日土曜日

桂岡の家Ⅱ 庇

 

「桂岡の家Ⅱ」に庇を取り付けました。

北国の家には窓上に庇がありません。冬場、窓から日射をたくさん入れて暖房費を節約する目的ですが、その一方で窓の傷みや今年のような酷暑の時には暑さの侵入に対して無防備です。そんな理由から落雪には充分気を付けた上で、私の設計する家では極力庇を窓上に付けるようにしています。

深い庇の作る窓の陰影の深さは建築に豊かな表情を与えてくれます。ここ10年でまた随分と北国の住まいも変わってきました。

今日はBTSでもいかがでしょう



2021年7月26日月曜日

桂岡の家Ⅱ外部廻り

2021年7月26日現在、「桂岡の家Ⅱ」では外装の木張りが開始できる直前まで漕ぎ着けました。

今回から採用した防火構造(北総研バージョン)では従来、必要とされていた石膏ボードが不要となります。

確かに石膏ボードを上の写真のタイベックシートの下に全て貼っても「準防火構造」にしかならなかったものが「防火構造」に格上げになるのですからそれ自体は非常に嬉しいことなのですが・・一点不安だったのはグラスウール(GW)を押さえる石膏ボードが省かれたことで、GWの反発が大きすぎてタイベックを膨らましてしまい、通気層が充分取れないのではないか?との懸念がありました。

結論から言えば、20kg/m3の硬めのGWは固く膨らむこともなく写真のように充填してもほとんどタイベックを膨らませることはありませんでした。

通気胴縁もタイベックが膨らんだ時のことを考えて30×45に通気孔を加工したものを特別に用意しましたが、20kg/m3のGWを使えるのなら次回からは通常通り18×45で充分かもしれません。

こちらはカーポートの天井部分防湿シートの下に電気配線が終わったところです。

こちらは腰水切り廻り。通気層に蜂などが侵入しないように通気層の出入り口には全てイーブスベンツを入れて空気は通すも虫は通し難いように対策をします。

水切り板金色はサッシに合わせたステンカラーです。






 

2021年7月22日木曜日

南沢の家 床下地工事

 


「なんだ養生べニアの切れ端くらい片付けなよ~散らかった現場だなあ~」・・・なんて思うなかれ。以前の投稿で2階床を15mmジャッキアップした件は報告しました。でもね・・それで水平になりましたって・・なる訳ないでしょ~!/笑 ってなことで、こんな風景になっています。



既存の茶色い床が高い部分、それより低い部分に薄く薄く削ったベニヤを積層して水平を出しています。・・まだ説明が難しいですね~要は写真のラワンべニアを水と考えて少しづつ水を注いで川岸と水面が水平になった状態/溢れる寸前・・・みたいな感じですかね~。この後、はじめてフロア材が貼れるということなんす・・ベニヤ板による「水盛り遣り方出し」だねU棟梁(笑)


2021年7月17日土曜日

南沢の家 風除室工事

 

南沢の家の風除室が出来てきました。外壁と同様の木張りで仕上げて大きなガラスで軽やかに明るく仕上げようと思います。

性能向上リフォームの場合は、既存撤去が工事上どうしても必要となる反面、機能的に復旧が欠かせないものがあります。

要はこの風除室のように一旦撤去してしまわないと壁の断熱工事はできない反面、撤去したままでは危険で玄関にアプローチできないというようなケースです。
寒さを充分克服できていなかった頃の北海道の住宅では玄関を外の寒さから守るために風除室が盛んに作られた時期があります。

南沢のように高所に玄関を設ける場合はその風除室も大きくなりがちで、階段を積雪から守るためにも欠かせない機能となってきます。

今回は建築面積を増やすことなく以前はアルミで作られていた風除室を木造で作り変えます。

こちらは室内から見た階段部分。色の濃い木材が防腐土台です。

こんな感じでガッチリと階段部分のコンクリートにアンカーして、風除室の屋根荷重を支えます。

玄関から出たところこんな感じでガラス張りにしようと思います。

柱の横揺れはこんな風に足元を固めることで解決します。

桂岡の家Ⅱ 付加断熱工事


先週までのぐずぐず天気(蝦夷梅雨?)から一転・・・今週は快晴の連続で一気に現場は快調に戻りました。写真は屋上から見た石狩湾の眺め。今日は遠く対岸の浜益方面まで見渡せました。

毎日、この景色と共に過ごせるなんてとても羨ましい感じがします。

でもそれにしても・・暑い(笑)
現場は連日のように30℃超え・・M棟梁、N所長共に汗だくで工事を進めていただいています。

工事は外部の付加断熱下地を主に進めています。完了したところから20kg/m3の高性能GWを屋外から14cm、屋内から14cm充填して行きます。

上の写真は薪ストーブのメガネ石。壁が厚いので100mm厚のものを3つ使います。

こちらが煙突の切り欠き。壁のグラスウールと屋根のグラスウールが連続する様子が分かるでしょうか。

こちらは、パッシブ換気塔屋の腰の防水立ち上げ部分。雪が積もったままの陸屋根でもこうすることで屋根を安全に漏らなくできます。

こちらが近年改良された部分。屋根の雨水が壁に伝わらぬように二重の防雨堤を設けます。

こちらがそのすぐ下高さ10cm以上の通気層が見えます。この通気層を充分取ることで夏冬安定した通気を確保して野地板の結露を防止します。

今日は久々にバンアパなんていかがでしょう