2016年3月29日火曜日

東光の家 パッシブ換気の工夫

超断熱化によって格段に向上する建物特性を上手に利用すれば、家中にダクティング(配管)を行わずとも断熱建物に欠かせない計画換気と計画暖房を同時に解決できる。
 
東光の家のパッシブ換気は今までとは違う新機軸が与えられてる。それは給気予熱にソーラーウオーマーと呼ばれるもう一つの回路を加えたことだ。パッシブ換気の基本原理は家の内と外の温度差による換気量の増大。要は家の内外温度差が大きいほど外気は勢いよく室内に流入する(隙間風が増える)原理を利用するものだ。一方床下に引き込んだその冷たい外気を暖めるためには床下のヒーター(一次エネルギー)が必要になる。一方、この外気を室内に流入する前に一次エネルギーを使わずに暖めてから室内に取り込むことができれば、前述のヒーターに用いるエネルギーを大胆に削減することができることになる。ソーラーウオーマーとはその名の通り、外気を太陽熱で予熱してから床下に引き込むことを目的とする給気予熱専用の太陽熱パネルのことだ。もちろん屋外で外気の温度を上げてしまうから相対的に内外温度差は減少し、結果的に室内への外気流入量は減る。そこでソーラーウオーマー本体には太陽電池で自己発電した電気で動く小さなモーターが内蔵されている。このモーターでファンを回して低下する空気の流速を補うのだ。


 
写真は「東光の家」の床下の給気管。向かって左側が直接外気を引き込む管。右側はソーラーウオーマーを経由した外気が入ってくる管。管の表面温度が低く結露の恐れのある左管は結露除けの断熱ラッキングをしている。より温暖な札幌圏では必要ないが、旭川圏では結露の量も増えるので用心のため行っている。一方、給気温度自体が高い右管は結露リスクも低くなる。風呂場で熱いお茶の入った湯のみが結露しないのと同じ原理だ。
 
こちらは室内に流入する外気の温度差を示した熱画像。外気をダイレクトに引き込む左管は約3.4℃(ほぼ当日の外気温)。一方太陽熱で予熱された右管は13.6℃まで流入する空気温が上昇する。温暖地のように手軽に熱交換換気が使えない道北圏特有の計画換気に対する提案の1つとして今後さらに研究を深め洗練させて行きたいと思う。

こちらはパッシブ換気の高所排気口。排気グリルは湿度感応型で自動的に換気量を可変するデマンド(ニーズ)タイプだ。(ポイント1)*:(ポイント2は壁付けのパイプファン)
 
一般的に室内の暖房された空気は貴重なエネルギー(お金)を使って暖められたものと言い代えてよい。それを換気の必要性(ニーズ)を無視して24時間一定量捨て続けるのは、けして計画的な換気とは言い難い。(笑) 本来、換気のニーズとは居住者の在宅時に生じる呼吸による炭酸ガス濃度の上昇や発汗、また炊事、洗濯、入浴等の生活行動に伴って生じる空気質の低下に対応するものだ。簡単に言えばこうした状況を測る物差しとして生じる湿度の上昇を感知して開いたり閉まったりする排気口がこのデマンドタイプである。
 
たとえば家人が外出し室内空気の汚染源が減少した場合(湿度が下がった場合)は換気量を抑え、反対に家人が帰宅して生活行動が活発化(湿度上昇)した場合は換気量を増やす。
 
 
熱画像を見るとポイント1の排気口から排気されているのが分かる。暖かな室内の空気によって排気口の表面が暖められて壁面と排気口表面の温度差が少ない。一方ポイント2のパイプファンのシャッター表面は外気によって冷やされているのが分かる。
 
こちらは排気口を外部から見たところ。
 
 
外壁が零下に冷やされているのに対して室内の暖房空気によって暖められたセルフード(屋外排気口)はプラスになっている。
 
今日はカーリーじゃなくてローラでCall Me Maybe  この曲大好きなんです。(笑)