2012年1月12日木曜日

拝啓 カーサ.ブルータスさま

 
 以前お伝えした建築雑誌「カーサ.ブルータス」さんの取材。「銭函の家」が2月号に掲載されています。特集名は「スマートハウスは北の家に学べ!」なんて光栄なタイトルなんでしょう!!(笑)
みなさまぜひぜひ書店へ!友人の平賀さんや先輩の宮島さんともども載せていただきました。

カーサブルータスHP http://magazineworld.jp/casabrutus/143/

ただ~誌面には、誠に残念な間違いが1箇所ございまして。

この場を借りて訂正させていただきます。

P 047:誤「床下の40kwの熱源だけで~」

      正しくは「床下の3kwの熱源だけで~」 です。

理由は建物の面積の40坪を40kwと勘違いしましたとのこと。
「銭函の家」はそんなに燃費悪くありませんので悪しからずですう~。

はじめてブログをお読みの方に分かりやすく説明しますね~。

開拓移民の地、北海道では当初本州から持ち込んだ開放的な日本スタイルの住いが気候に合わずにたいへんな苦労をしました。その後特に、建物を通り抜ける熱に関する研究が盛んになり、大きな成果をあげます。2009年に完成した「銭函の家」は40坪の室内全て(畳80帖分の面積)を暖房するのに必要なエネルギーが3kw。つまりドライヤー3本程度で足ります。冬場の外気が-10℃を下回る地域であっても、こんな建物が今の北海道の技術でできますよ~。

という内容をお伝えするのが正解でした。

 読み飛ばした方はともかく、いったいどれくらい省燃費なんだ?と期待して誌面をお読みいただいた方々、また暖房のみで40kwもの大電力を消費する建物の前で笑顔で胸を張る私の姿にあきれた方々、北海道の人ってエネルギーの垂れ流しだよね~?と感じられた方々、それはまったくの誤解ですので、ぜひブログのバックナンバーをお読みいただければ幸いです。

銭函の家 
http://ako-re.blogspot.com/search/label/%E9%8A%AD%E5%87%BD%E3%81%AE%E5%AE%B6

 日本にはまだ建物をエネルギーの観点から捉える文化が十分ではないことを痛感します。校正時に正確な数値を伝えていたのに、ライターさんもその上司も数値の誤りにまったく気付かなかったとのことのようです。

 たとえばエコカー特集で肝心の燃費を一桁以上も間違うことなど珍しいでしょう。同じ数値でも燃費に関するそれは広く読者にとって社会化された常識だからです。「リッター3kmの驚くべき省燃費!」という記述を見ればほとんどの人がおかしい!とすぐさま気付くでしょう。しかし建築の場合は、もっと悲観的に考えねばなりません。多くの人が「やはり北海道の寒さは本物だ!この程度でも北海道ならきっと凄くECOな住いなんだろう~な?」とばかりに勘違いが悪化するからです。

でも実態はまったく違いますよ~。(笑)

 2009年以降、銭函の家も含め、私の設計した建物は、ほとんどが消費エネルギーの実測を行っています。最新のものでは、厳寒期の2月の電気量の合計(暖房+給湯+換気+調理+照明)が1.3万程度という家もあります。暖房面積は38坪です。

詳しくは http://ako-re.blogspot.com/2011/04/20110304_09.html

 この場をお借りして、取材にご協力いただいた方々、特に建て主さま、そして設計や建設に携わったたくさんの方々に心より訂正してお詫びいたします。申し訳ありませんでした。

 現在、編集者の方からは丁寧なお詫びと説明をいただいています。
残念な誤りとはいえ、北海道の建築事情をとりあげていただいてとても感謝しています。今後日本も、エネルギーの切り口で建築を捉える事が少しづつ増えてゆくでしょう。なんとなく俺流のECOからそれらの見える化や客観性が求められる時代に急速に変わってゆくと思います。またぜひ取材してください。がっかりなんてさせませんから!

まあ今日は残念~!と笑いながら「運命」でも!

http://www.youtube.com/watch?v=PTr1v1ksWkQ&feature=related

2012年1月11日水曜日

宮ノ丘の家 内装工事01

さて「宮ノ丘の家」も1/6より動き出しました。基本的な内装関連の発注が終了し、内装工事と外装工事を並行しながら行っています。現場に無線LAN内臓のノートPCを持ち込みインターネットの環境を維持しながら施工図のやり取りや、製品の発注を行う等、住宅の工事現場もずいぶんと様変わりいたしました。


リズミカルに屋根の垂木を支える束柱の階段状のリズム感とか、山の風景をパノラミックに室内に取り込む水平連続窓等、いつにもましてかなり盛りだくさんの構成ですが、室内が木質系の色だとあまり仰々しく見えません。このまま室内を白くするとかなり印象が変わりますが、今回は木質系の質感がお好みのクライアントさんの感性で気取らず大らかな骨組みの美しさをデザインしたいと思います。

断熱気密工事が完了した、宮ノ丘の家の室内温度は+15℃で湿度60%。外気が-5℃でこうした数値が出るところはやはり300mm断熱の余力を感じます。真冬に内装工事を行っても仕上がりは雪のない時分と変わりません。特にヒーターで室内を加温することもなく、建物本体でかなりの温度を作ってくれるために寒さから来る凍害の心配が少ないからです。以前は各階にジェットヒーターを置いて室内を採暖養生しながら内装工事を行いましたが、燃料をバカ食いするのと、焚いた燃料とほぼ同じ量の水分を室内に出すために窓が結露したり、その結露水が枠や腰壁を汚したりといった悩みが絶えませんでした。一見内装工事に関係のない断熱ですが実は、北国の通年施工に一役買う存在であることが現場をこなすうちに分かってきました。

外部は黒く塗られたとど松の貫板。貼り方はおなじみの縦押し縁貼りです。

壁の中に追い込まれた窓のディティール。下部の水切りは厚み0.8mmの鉄板。

今日は杏里でスノーフレークの街角なんていかが?


2012年1月9日月曜日

現場再開

最も早く現場を再開した「春光の家」、大工さんを増員し断熱工程に入りました。昨年の12月は徹底的に雪に泣かされた旭川ですが、年明けは今のところ穏やかな日が続いています。この間に一気に外部の断熱を終わらせ、内部工程に移行したいと思っています。

断熱サッシを担当するエンベロップによる美しいタモ材の玄関ドア。道内でも旭川地域はまだ比較的容易に地場産のタモ材が入手できます。札幌で玄関ドアをタモで作ろうとすると、ほとんどが輸入材のアッシュですが、旭川の場合は近海ものならぬ地域材もまだ豊富です。たとえば単に集成材というと、札幌では安い順にスプルス、カバ、ニレ、タモ、ナラとなり、材種を指定しますが(2012年現時)旭川なら「タモでいいかい~」の掛け声とともに普通にタモが出てきます。(笑)地域に材料と作り手が共存できる間は建築を安心してつくることができます。

9人大集合した大工さんたち、右の黒い帽子がK棟梁。大工さんの高齢化が進む中で注目の若手棟梁です。20代で会社を興し仲間と共にいろいろな難工事を納めて来ました。普段は5名で動きますが、大きな現場は増援をたのばねばなりません。彼の一声ですぐに人が集まるのはなにより人柄なのでしょう。

今日はジミ.ヘンなんていかがでしょう。


2012年1月4日水曜日

2012年にむけて

 
 2012年を迎えることができました。どうぞ今年もよろしくお願いいたします。
さて皆さんはどんなお正月でしたか?私は大晦日に実家に戻り、毎年恒例のおせち料理のお手伝いをしながら、両親、叔母と過しました。普段、親孝行などそっちのけの私にとって少しだけ点数の稼げる貴重な数日間です。(笑)うま煮の味をあれこれ工夫しながら久しぶりに建築から離れたのんびりとした日々を過しました。

 今年は昨年の大震災から学んだ教訓をどこまで生かして新たな建築を生み出せるのかに精一杯挑戦したいとおもいます。3日の深夜NHKスペシャルでパネラーの藻谷浩介さんがエネルギーの地産化についてのたいへん興味深い提言をされていました。

 材木工場の経営者が生産の過程で発生する木の皮を燃やして自家発電し、それまで100%電力会社から買っていた電力をほぼ0にしたのだそうです。また別に出る木屑で木質ペレットを作り、地域に供給。各事業者は少々割高でも世界市場に影響されない価格で地域のエネルギーが使えるようになることで、将来の予定が格段に立てやすくなり、原油価格にびくびくしながら工場やビニールハウスを維持することから開放された。というお話し。
 
 大切な着眼点は、目の前の資源を使って問題を解決する柔軟な発想とのことでした。グローバル化にけっして背を向けるのではなく、その本質を十分理解したうえで小さな地域が負けない作戦を考える。そんな強靭な発想に元気をいただきました。

 大切なことは工夫の向こうに明るい未来を夢見ることですよね~?

ピンチこそチャンス。現場こそ真実!。常識にこそ惑わされるな!
明るい日本にいたしましょう!

詳しくはNHKスペシャルHP http://www.nhk.or.jp/special/

バイオマスタウン真庭 の取り組み http://www.net626.co.jp/maniwa_baio/index.html#hatuden

今日の曲は姫神なんていかが?藻谷氏曰く:懐かしい未来へ!
http://www.youtube.com/watch?v=yVIcyRHIBI8

2011年12月30日金曜日

2011年おせわになったみなさまへ

 今年は、生涯忘れ得ない年になりました。2011年3月11日に東北を襲った地震と津波は私たちの社会そのものに疑問を投げかけ、厳しく問い直す結果になりました。それは一方で、さまざまな形で語られてきた暮らしや社会の在り様が、大震災というフィルターを通して赤裸々になった年のように思います。

 耳で聞くのと体験する事は全く違う次元のことだということ。簡単に忘れてしまうことの罪の大きさ。技術を過信し歴史から学ばない愚かな体質。原発が止まっても当初言われたように経済が大混乱なんてしなかったり、先日の原発事故の中間報告では運転員がそもそも冷却装置の正しい扱いを知らなかったり、放射能が拡散する方向を予測しておきながら同じ方向に避難する人たちを止めることすらしなかったり...各人が「自分の持ち場の小さな正義」を振りかざし、悲惨な現実に謙虚に向き合おうとしない醜さと悲しさ、なにより人の小ささを感じました。

 「想定外」という単語は当分、大震災を連想させるキーワードとして定着することでしょう。しかしそもそも災害とは想定外の事柄を指すのではないでしょうか?自分勝手に範囲を決めてその内側だけ、一見完璧に想定することで安心してしまう従来の思考法が実はもっとも危険であることが明らかになったように思います。目の前に死に行く人がいるにもかかわらず、「その法律を作ったのは平時であって非常時ではないので、助けられないのはやむを得ない。」とばかりに問題の解決よりも事情の説明に力点をおく感性などは、多くの国民が見て違和感を感じたのではないでしょうか?

 「人や社会が生きるということはエネルギーを使うことである。」というあまりに当然の事柄を単なる耳学問から、私の職能の全てをかけて向き合う問題であると気付かされたことも大きな収穫でした。それまでは省エネや環境の側面から建物の熱環境を考えていましたが、立派な避難所で僅かな電力や灯油がこないばかりに、せっかく津波の恐怖から逃れた人々が凍えるのを見たとき自らの愚かさに気付いたからです。人は進化の過程で毛皮や牙を捨て、代わりに「衣食住」を手に入れたというのは、誰でも知る話ですが、中でも「住」の目的は外敵から身を守るために建物が必要であるとしています。従来の耳学問によると、外敵とは猛獣や敵対する他の民族と説明されていますが、実は寒さや暑さ湿気や風雨といった自然気候(ここに災害も入る)と書き直したほうが、今後は正しいのではないかと私は思います。皮肉を言うのは好きではありませんが、この外敵に、あとひとつ付け加えるとしたら、「自分たち」という戒めも忘れてはなりません。

 建築家として私にできることはあまりにも少ないのですが、今回の教訓から謙虚に学び、身を守ることのできる建物を作りたいとおもいます。

 震災でお亡くなりの方々、避難所で不自由な暮らしをおくっている方々にお悔やみと心からのエールをおくります。 がんばろう!東北!

 すっかり、先輩のミーちゃんと仲良くなった、もと野良猫のレイ君。おちゃめ君でいたずら小僧・・・でもどうして彼がこの世にいるのか、息子たちと一緒に考えるきっかけを作ってくれました。人間の都合に翻弄される彼ら元ペットはけっして不平を言いません。言いたくても言えないからです。彼らの幸せはまさに飼い主の人間性にかかっていて、それが揺らぐことでたくさんの悲劇が生まれます。反面、彼らの表情はなんとも(にゃんとも)愛らしく、のどかで平和な気分にさせてくれます。最近は動物アレルギーの子供が増えているとのことですが、可能ならばぜひ一緒に遊ばせてあげたいと思います。「あのね~レイ君ばっかり可愛がるからミーちゃん怒ってるの」なんてずいぶん複雑な心理を思いやるようになります。空気が読める子供を育てることも大切なことかもしれませんが昭和生まれの私は三男のこの素朴な思いやりが少し嬉しかったのでした。

今年も、たくさんのチャンスを与えてくれたクライアントのみなさまにはあらためまして心より御礼申し上げます。稚内と西野ではたくさんの技術的、計画的な挑戦を通して貴重な体験を得ることができました。冒頭の大震災の教訓と合わせてこれからの北海道の理想の住いにまた一歩近づけた仕事になりました。クライアントさん一人一人からいただくさまざまな要望に答えようとすることで設計者は技量を維持することができるのです。でも来年のクライアントさま、ひとつお手柔らかに(笑)。そして一緒にチームを組んで仕事に当たった全員にもこの場を借りてお礼を言います。今年一年ごくろうさまです。来年も素晴らしい仕事を一緒にいたしましょう。そしてもっと北海道のものづくりの力を発信できるようにどうか引き続き力をお貸しください。


 今年もブログを通して内覧会やイベントにお越しいただく中でたくさんのお引き合いや注文をいただくことができました。心より御礼申し上げます。また気持ちを新たに来期の家づくりに取り組んでまいります。
「一緒に素晴らしい家づくりにしましょう。」               山本亜耕

今年最後の曲をみなさんにお贈りいたします。それではよいお年を!
第九はきっとあちこちで聞くと思うので、2011年はヘンデルで!

2011年12月28日水曜日

宮ノ丘の家 気密測定

本日は、「宮ノ丘の家」の気密測定。設計者に現場監督、大工さんにサッシ屋さん、設備屋さん、電気屋さん、全員勢ぞろいして、タギ先生の数値を読み上げる声に耳を澄ませます。第一回目はC:0.5cm2/㎡。全員少しがっかり(笑)...早速

室内を減圧しながら僅かに外気が入り込むところを探してテーピングしてゆきます。

数値を見ながら改善の度合いを確認するM主任。

 棟梁もサッシの枠回りの取り合いをコーキングしてゆきます。14:00から始まった気密測定も思いのほか数値が改善せずに二時間余が経過、各人の顔に焦りが見え始めた頃、Dr.タギ氏曰く、「隙間特性が集中している。どこかにまとまって隙間があるとおもうよ。」とアドバイスをくれました。今度は全員でその場所を探し、ついに発見。玄関ドアの近くに漏気部分が集中していたのです。仮テーピングをして再検査をした結果は0.3cm2/㎡。各人の顔にホッと安堵の色が広がります。この調子で隙間を丁寧に拾えば最終的にはもっと性能を上げられるでしょう。

 一番安心したのは何を隠そう設計者の私。(笑)自分の設計の妥当性が確認できて一安心です。みなさんにぜひご理解いただきたいのは現代の建築というものは決して設計者一人では成り立たないということです。Dr.タギの測定値という客観的で動かぬ事実を共有しながら各分野の担当者が既成概念を一旦素直に捨てて全員で協力せぬ限り解決は難しいからです。建築家の役割は現場のスタッフに気付きのきっかけを用意しその中で自らの設計もさらに改善するという文化を育てることかもしれません。大工は大工、設備は設備、お互いの領分に口を出さずに仕事をこなすといった縦割り型思考では、もはや進歩は望めないのです。

測定を開始した時の気温は+2℃でしたが終わる頃には零下に、しかし室内は各人が汗をかいた(いろんな意味で/笑)結果、人体発熱のみで16.4℃まで上昇しました。もちろん暖房はいっさいしていません。断熱の大切さとその効果に毎度ながら驚きます。来年から札幌版の住宅省エネ基準が始まりますが、こうした成果をもとにエネルギーに頼らない暮らしの実現を目指して精一杯デザインに打ち込みたいとおもいます。

今日はツェッペリンね!どうぞご一緒に!

2011年12月26日月曜日

北25条の家 外装工事

 「北25条の家」の外装がどんどん進んでいます。壁の仕上げは板金で「立てはぜ葺」。この葺き方は、耐久性に優れながら、リーズナブルに納まる、取って置きの方法のひとつ。板金を屋根ばかりか壁にも用いるのは北海道の正しい伝統です。でも美しくスッキリ見せるには色々とコツがあるのです。今日も監理に一緒にお付き合いください。

 まずは、板金壁の大敵、デコデコ感の解消!通常の板金の厚みは0.4mm以下。当然薄いものを外壁に貼れば凹凸が目立ちます。でも家の外壁がそんな風に見えると残念ですよね~(笑)そこで色々と知恵を絞ります。まずはその敷地に合った色を探すこと。板金の凹凸は横様に光を受けると目立ちます。敷地の日当たりをしっかり考慮して色選びをすること。詳しくは企業秘密ですかね~(笑)、次には貼り方を工夫すること。理想的なのはデコデコしないことなのですから、薄いものを精度よく貼れるようにしっかりと板金屋さんと下地に関する打ち合わせをしておきます。

窓の廻りの役物は板金を折り曲げて作られる。当然見付け(正面から見える寸法)が4cmくらいあった方が加工がしやすい。でも窓枠廻りはスッキリ見せたいもの。そこで見付けを2.5cmという極薄で作っている。

                             

上は通常サイズの役物、巾約4cm。

縦はぜがぴったり中に入り込む精度で役物を加工している。

腰廻りはスッキリ。葺き下ろされた板金の足元には水切りなどは設けない。


最も難しい、裏の南面まで到達した板金チーム。緊張感が漂います。

今日は大好きなト.ラ.イ.セ.ラ一緒にいかがでしょう?

ところで彼らは、ロック界の巨匠たちに敬意を払うことでも有名ですが。
ぜひ聞き比べてみてはいかがでしょう?

2011年12月23日金曜日

オープンハウス

友人でE.アソシエのメンバー、大坂崇徳さんのオープンハウスに行ってきました。実は自宅謙アトリエとのこと。エイジングを意識した木貼りの外観から覗く室内の様子が、実にそそりますね~(笑)室内は美しくペイントされた壁と天井が広がる大空間(天井高4.5m)な印象、空間の境界を曖昧に溶かしてより伸び伸びと見せる技はさすがです。よい刺激をいただきました。

 水廻り等の生活コアを兼ねるジャイアントファニチュアーの上部はロフト。寝転がって真っ白な天井を楽しむもよし...

 空間に用いられる材料は徹底的にそぎ落とされ、わずか数種類に限定されています。空間を簡素にスタイリッシュにまとめるコツは材料をなるべく限定すること。色も同様です。たくさん色も材料も使えることは一見豊かに感じますが、実は出来上がりは凡庸に見えます。各人の好みも当然ありましょうが、使う色と素材の数を極力絞って空間をコーディネートすると...思わぬ出来栄えに、に.ん.ま.り.しますよ~(笑)、また余計なこと教えちゃった...

空間の中央にそびえる大黒柱は5寸角。

壁は一部、黒板塗装とされていて、訪れたゲストの落書きも室内のインテリアとして取り込む仕掛け。スタイリッシュでありながら来訪者に緊張感を強いることのない設計者の優しさが素敵だと思いませんか?

「ミニマルさをもっと面白くしたいなら、静謐さの中に人間味を加えることかもね?」
そんな彼のユーモアを感じました。

もちろん熱環境としてもよくできていますよ~。
なんてったってE.アソシエの一人なんですからねっ!(笑)

竣工おめでとうございます。そしてご苦労様!
今夜は素敵なバラードを贈ります。




2011年12月22日木曜日

春光の家 屋根防水工事

K棟梁とM職長、N所長、懸命の頑張りで屋根の防水工事にこぎ付けた「春光の家」、仕上げのシート防水はご存知プロテックさんです。広大な「春光の家」の屋根をみるみる張上げてくれます。北海道の屋根は長らく課題を抱えてきました。落雪か?はたまた無落雪か?フラット屋根という緩勾配の屋根はどんなに断熱をしても、寒の入りと出の時期(北海道なら12月と3月)は氷柱(つらら)に悩まされ、その時期が過ぎて屋根に積雪するようになると今度は積雪した雪が少しづつ滑り、巻き垂れに悩まされます。スノーレーンでおなじみの陸屋根は屋根面に樋を付け排水口に集めた屋根の融雪水を室内を貫通する雨水管から排水するものですが、木の葉やごみが詰まりやすく、また室内の雨水管が凍結せぬように融雪ヒーターが必要となり、結果としてかなりの電気を必要とします。要は以前は落雪させていた雪を載せておくままにするためにかえって、落とす以上の悩ましい苦労を背負い込んでしまったのが、現在の北国の一般的な板金屋根なのです。

2009年の銭函の家から始めたシート防水は、先輩建築家である小室さんから教えていただいたものですが、安価でシンプル。耐久性も高く、前述のような悩ましい北国の屋根の問題をほとんど解決してくれます。

屋根の立ち上がりの出隅部分。増し張りのシートでしっかり防水されます。

今日の旭川の外気温はなんと-10℃。そんな寒さの中でもシートをバーナーで暖め溶着液でシートを溶接しながらみるみる張上げてゆきます。寒さに大きな影響を受けないのも北国の工法として好ましいものです。

現場も今日は酷寒の中、作業は進みます。
今日はみなさんに素敵なクリスマスソングを!

2011年12月21日水曜日

北25条の家 内装工事

快調に進む「北25条の家」。棟梁苦心の階段もできてきました。今回の階段は下を物入れにするので力桁は使いません。その代わり床材を段なりにぎざぎざと貼って仕上げてゆきます。

外壁の板金のピッチを割り付ける武田社長。コーナー部分の割付や半端なコマが入らないようにきっちりと割り付けてゆきます。

相変わらず外部が-5℃なのに室内は暖かく本日は10℃です。

今日は素敵な歌声を!やっぱバリーです。


宮ノ丘の家 内装工事

2階のキッチンの位置に自前のパソコンを持ち込み施工図を書きながら現場を見るI所長。「宮ノ丘の家」もサッシが入り、家らしくなってきました。

外壁廻りは、尊敬する先輩建築家の井上武久さんに影響されて唐松の柱と針葉樹合板をそのまま見せる意匠(デザイン)で考えています。

まだ廻りに資材がありますが、柱の色と合板の色がぴったり合っているのがお分かりでしょう。間柱もうるさいので省略し90cmおきに立てた柱と合板にスキッ!と窓が入る感じで簡素にシンプルに作ってゆきます。

壁の外側に壁を貼る場合はこのように(大壁)と表示しておきます。柱が壁で覆われるのだから中に配線してもOK!といったようにどこの柱は出たままで、どこの柱は隠れるのか。といったように各部分を明解にしておきませんとスイッチや配線の行き場がなくなります。こうした交通整理も地味ではありますが、設計者と現場の連携なのです。

カーポートにも中間足場がかけられ電気屋さんが配線をしてゆきます。

今日は再びポリスなんていかが?

2011年12月16日金曜日

春光の家 雪にも負けず

今日の旭川は午後から激しい雪になった。100坪を超える春光の家の屋根の上では懸命の工事が続いている。防水まであと一歩。外部を囲い一層でも断熱工事が終われば、状況は劇的に好転する。N所長、K棟梁あと一歩!頑張りましょう!

一服の休憩の間も雪は降り積もり丸鋸や釘打機を隠してしまう。

室内では、搬入された木製サッシが塗装後、乾燥養生され取り付けを待つ。




冬の夕暮れは早い。3時半には照明が必要になる。

現場に貼られた図面。これから天窓の取り付けを行う。

帰りの気温は約-6.1℃。急激に冷え込む。

今日は倉木麻衣でもいかが?

北25条の家 気密測定

本日は気密試験の日、朝から現場には緊張が走ります。というか大工さんや電気屋さん設備屋さんも腕を上げ、試験を始めた当初よりは余裕を感じるようになりました。全員で忘れていそうなところを確認し、気密テープとコーキングを手に数値を読み上げるDr.タギ氏の声を待ちます。結果はなんと現状でC:0.2cm2/㎡!
北25条の家では部屋の内法寸法重視のために室内側に専用配線層を持ちません。壁のコンセントや配線は従来どおり壁内設置です。にも関わらずほとんど変わらない成績が出るのは、全員のチームワークが優れているという事でしょう。現場の頑張りに拍手!

参考までに、全国一の高性能といわれる北海道の地域仕様「北方型住宅」の性能基準によれば隙間相当面積はC:2.0cm2/㎡以下と定められている。

武田社長とDr.タギ、そして現場の皆さんに贈ります。
ヴェルディーなぞいかがでしょう?