2025年4月18日金曜日

北郷の家2025.04.18


性能向上リフォーム「北郷の家」写真は北東側で35mm下がっていた土台天端をジャッキUPして水平に直したところ。これで残りの南西、南東、北西の土台天端が揃い水平に。土台下には固練りモルタルを詰めて基礎外断熱とします。



土台を上げるためにいったん外したアンカーナットは全て緩みにくいフラットタイプに変更し材面とフラットに締め込みます。

今日はクリストファークロスのカバーなんていかがでしょう


2025年4月11日金曜日

北郷の家 床高実測

 

先週の4/4(金)現場にて床の高さを実測しました。結果は上の通りです。

南側の東西方向は概ね水平ですが、北側の東西方向は西端から東端に向けて約35mm低くなっています。計測は土台の天端で行いました。

本格的な改修に入る前に、基本的な骨組みの水平と垂直を極力直します。理由は単純でそもそもの精度が低いと後々の工事すべてに都度調整が必要となります。例えば、戸が閉まりにくいだったり、天井高が揃わない、巾木や見切りの寸法が部分部分で異なる・・といったように、最初のボタンの掛け違いが後々どんどん大きく影響してしまいます。

そこである程度現場の解体が進んだ段階で、骨格の状態を実測し、傾きや凹凸を最大限矯正してから工事に入ります。写真はレーザー水平器を基準に土台の高さを計っているところです。

「東側の壁面は南から北に向かって下がっているね」と棟梁。「東の角が一番低いから、土台をどうやって3cm少々上げるのか?悩みどころだね~」

少し悩んだ結果・・「東の角は下屋だから上に二階は載っていない。まずはジャッキで上げてみよう」ということになりました。

レーザー水準器のおかげで二階の床の傾きも一目瞭然。概ね1階と同様に東側壁面が南北方向に傾斜しています。

「一階を上手く直すと二階の床も揃うから話が早いよね」と棟梁。

現場の実測はいろいろなことを教えてくれます。現在は105mm角が一般的な柱の断面寸法ですがこの柱は約98mm。恐らく新築時に100mm角に揃えた柱が30年間で約2mm縮んだようです。既存の柱寸法に合わせて追加発注する柱も98mmに揃えます。
ちなみに梁だけは105mmの寸法。要は幅100mmの柱の上に左右2.5mmづつはみ出した梁が載った構造をしているのが特徴です。

今日はBABYMETALなんていかが、すごいす・・








2025年4月9日水曜日

南6条の家 現地調査

 


昨日4/8(火)は曇りの寒い日。

終の棲家「南6条の家」の現地調査を行いました。

本当に幸運なことに、ブログをお読みいただいているみなさまのおかげで現役世代の人からは新築&改修、既存住宅をお持ちの人からは性能向上改修、そして引退世代の人からは終の棲家のご相談を多数いただくようになりました。

地域に生きる建築家としてそれぞれの世代の暮らしに関わる機会をいただくことは、本当に嬉しく光栄であると同時に貴重な情報を得る場でもあります。

そんな中で・・各世代の仕事を通して共通する課題も見えてきました。

1:新築世代:①コロナ終息後の急激な建材費高騰で特に都心部は共働きでも建設が難しい

       ②築浅の安価な中古物件は燃費が悪く寒い割に高騰しつつある

       ③築30年以上のいわゆる築深案件は主に駐車と家の寒さ解消のために大改修

        が避けられない

2:既存世代:①は同じ

       ②住まい手でさえ無理と思うくらい寒い家が多い

       ③直したくても設計図が残っていない

       ④家により構造的な傷みの幅が広い

       ⑤将来的な見通し次第で改修規模や予算も様々(10年住めれば~販売/賃貸)

3:引退世代:①は同じ

       ②20坪台の平屋ニーズが高い⇒将来性は?(誰に売る?貸せる?)

       ③要望を絞ることが苦手⇒ともすれば寒い家になり易い・・


こんな風に俯瞰すると見えてくるのは・・「そのままの状態で住める家が少ない」です。

実際に新築でもまだまだ寒い家が作られる傾向が高く、完成時こそ何とか予算内でと安心したものの、結果的には後のエネルギー価格の高騰について行けない。(2011年以前に多い築浅のオール電化物件等)。

ちなみに最近よく聞くZEH(ゼロエネルギーハウス)も端的に言えば年間20万円程度購入していた電気代が半額くらいになりますというもの・・ゼロエネルギーだから電気代も0にはなりません。理由は単純で買電:売電の割合が2:1~5:1だからです。これから総エネ設備を導入する際は蓄電池や自家消費の計画性、見落とし易い維持管理費も重要です。予算が厳しい中、導入をお考えなら、むしろ躯体の断熱に回すことをお薦めします。

既存住宅改修のニーズの中で多いのは意外にも外装の痛みや水回りの刷新のような見た目が入口段階では多いです。しかしその後ヒアリングを進めると・・寒さや燃費の問題が浮上してきます。もちろん最初から寒さを改修理由に挙げるお客様も多いですが、寒い家程、躯体の痛みも激しいのが特色です。壁を壊すと、結露で腐った柱や土台・・取り替えるには中々手間もかかります。断熱と防湿になぜ十分な投資をしなかったのかと残念になります。

終の棲家に対しては自らが住まなくなった後、どんな利用の仕方をするのか考えておくことが大切です。暖かくて丈夫な家なら売れますし、借り手も探せます。相続の際も子供たちに嫌がられることはありません。

そんな理由で・・時がたっても「そのままの状態で住める家」は少ない。

本当の意味での北海道スタンダードな住まいをテーマに「南6条の家」を計画しようと思います。

今日はHSCCでナイルロジャースなんていかがでしょう







2025年4月7日月曜日

南面採光は分かるけど・・



日本人が大好きな南側敷地・・夏は庭の緑が暑い日差しを抑え、冬に落葉すると室内にはたっぷり日が入る!・・いや入るはずだ!、入ると思われる?/笑・・そこで住宅街をフィールドワークしてみると・・せっかくの南面大開口の多くが季節を問わずカーテンを閉めている事実に気付く・・

要は年中薄暗く、冬は肝心な日射熱の恩恵も得にくいという不都合な真実を目の当たりにする。そこで住まい手にその理由を尋ねると「だって通りを歩く人の視線が気になるじゃない。目が合うと気まずいしカーテンで隠す以外ないでしょ?そりゃ日は日で入った方がいいけどね・・」と当たり前のように返される・・ふと気付くと自分も同様の暮らしをしていることに思わず赤面してしまった/笑

そうか・・南面大開口を想定通り成立させるためには、外から覗かれない・・という工夫が必要なんだなと今更ながらに気付く・・


今日は久々にバンアパなんていかがでしょう


2025年4月2日水曜日

北郷の家が寒かった理由


 なるほど・・こりゃあ寒いはず・・写真は下屋に設けられた浴室上部の小屋裏の写真。

質の高い断熱住宅を作る上で下屋の扱いは設計者にとってまさにキモ。小屋裏という名の屋外を下屋の上に設けるとこんな風に悩ましいことになる場合が多い。

*下屋(1階の平屋部分。平屋上部の小屋組みが二階部分の外壁とも接するので断熱が難しい。)

画面左上から右下に向けて斜めに走る断熱された給水ラインは・・凍結対策として水落とし(水抜きの事)がし易いように高所に設置することが札幌市により奨励され、また小屋裏という屋外で凍結してしまわぬように断熱もされた。

しかし運悪く・・小屋裏で水道管が凍結してしまうと・・設備屋さんには天井を壊し、GWまみれになりながら凍結した管を融かすという・・過酷な仕事が待っていた。熱環境の知見がまだ乏しかった当時・・小屋裏という難しい半屋外部分の扱いは十分に周知されていなかった。

今日はT・C・R・Sなんていかが