終の棲家「南6条の家」の現地調査を行いました。
本当に幸運なことに、ブログをお読みいただいているみなさまのおかげで現役世代の人からは新築&改修、既存住宅をお持ちの人からは性能向上改修、そして引退世代の人からは終の棲家のご相談を多数いただくようになりました。
地域に生きる建築家としてそれぞれの世代の暮らしに関わる機会をいただくことは、本当に嬉しく光栄であると同時に貴重な情報を得る場でもあります。
そんな中で・・各世代の仕事を通して共通する課題も見えてきました。
1:新築世代:①コロナ終息後の急激な建材費高騰で特に都心部は共働きでも建設が難しい
②築浅の安価な中古物件は燃費が悪く寒い割に高騰しつつある
③築30年以上のいわゆる築深案件は主に駐車と家の寒さ解消のために大改修
が避けられない
2:既存世代:①は同じ
②住まい手でさえ無理と思うくらい寒い家が多い
③直したくても設計図が残っていない
④家により構造的な傷みの幅が広い
⑤将来的な見通し次第で改修規模や予算も様々(10年住めれば~販売/賃貸)
3:引退世代:①は同じ
②20坪台の平屋ニーズが高い⇒将来性は?(誰に売る?貸せる?)
③要望を絞ることが苦手⇒ともすれば寒い家になり易い・・
こんな風に俯瞰すると見えてくるのは・・「そのままの状態で住める家が少ない」です。
実際に新築でもまだまだ寒い家が作られる傾向が高く、完成時こそ何とか予算内でと安心したものの、結果的には後のエネルギー価格の高騰について行けない。(2011年以前に多い築浅のオール電化物件等)。
ちなみに最近よく聞くZEH(ゼロエネルギーハウス)も端的に言えば年間20万円程度購入していた電気代が半額くらいになりますというもの・・ゼロエネルギーだから電気代も0にはなりません。理由は単純で買電:売電の割合が2:1~5:1だからです。これから総エネ設備を導入する際は蓄電池や自家消費の計画性、見落とし易い維持管理費も重要です。予算が厳しい中、導入をお考えなら、むしろ躯体の断熱に回すことをお薦めします。
既存住宅改修のニーズの中で多いのは意外にも外装の痛みや水回りの刷新のような見た目が入口段階では多いです。しかしその後ヒアリングを進めると・・寒さや燃費の問題が浮上してきます。もちろん最初から寒さを改修理由に挙げるお客様も多いですが、寒い家程、躯体の痛みも激しいのが特色です。壁を壊すと、結露で腐った柱や土台・・取り替えるには中々手間もかかります。断熱と防湿になぜ十分な投資をしなかったのかと残念になります。
終の棲家に対しては自らが住まなくなった後、どんな利用の仕方をするのか考えておくことが大切です。暖かくて丈夫な家なら売れますし、借り手も探せます。相続の際も子供たちに嫌がられることはありません。
そんな理由で・・時がたっても「そのままの状態で住める家」は少ない。
本当の意味での北海道スタンダードな住まいをテーマに「南6条の家」を計画しようと思います。
今日はHSCCでナイルロジャースなんていかがでしょう