既存の細い梁の下に補強の梁を入れ、屋根の上に雪が積もっても安全なように補強を行います。
斜めに渡された仮筋交は、既存建物の狂いを修正し、仮固定するためのものです。この固定が甘いと補強・・すなわち建物を固く丈夫にする際にどんどん建物は変形してしまいます。
上が当時の細い梁、その下に太い梁で補強を行います。
当時は(仕口+釘)だけだったものを金物接合に変更します。
既存の細い梁の下に補強の梁を入れ、屋根の上に雪が積もっても安全なように補強を行います。
斜めに渡された仮筋交は、既存建物の狂いを修正し、仮固定するためのものです。この固定が甘いと補強・・すなわち建物を固く丈夫にする際にどんどん建物は変形してしまいます。
上が当時の細い梁、その下に太い梁で補強を行います。
当時は(仕口+釘)だけだったものを金物接合に変更します。
「南幌まちなかの家Ⅳ」の基礎工事です。コンクリート価格の高騰により浅基礎化が避けられない状況です。従来は地域別の凍結震度の定めに従い、南幌地区では地表面から60cmを基礎底としていましたが、スカート断熱工法(北方建築総合研究所)を採用し安全かつ費用対効果を上げて施工します。これによりコンクリート量は3割程度削減できると同時に床下も室内として使えるようになります。
スカート断熱工法:https://www.hro.or.jp/upload/24251/skirt_manual_sekkei.pdf
本来は60cmの基礎底が約20cm浅基礎となったスカート断熱の基礎です。
設計通りの鉄筋間隔が守られているか確認します。
こちらは基礎の中に水が侵入しないようにする止水版です。
パッシブ換気を行うために床下は室内化する必要があります。また床下は収納としても使う予定ですので、従来のような未利用空間から使える床下空間にする必要があります。当然ながら水が侵入しては床下が使えませんから防水は完全に行います。
終の棲家「南6条の家」の現地調査を行いました。
本当に幸運なことに、ブログをお読みいただいているみなさまのおかげで現役世代の人からは新築&改修、既存住宅をお持ちの人からは性能向上改修、そして引退世代の人からは終の棲家のご相談を多数いただくようになりました。
地域に生きる建築家としてそれぞれの世代の暮らしに関わる機会をいただくことは、本当に嬉しく光栄であると同時に貴重な情報を得る場でもあります。
そんな中で・・各世代の仕事を通して共通する課題も見えてきました。
1:新築世代:①コロナ終息後の急激な建材費高騰で特に都心部は共働きでも建設が難しい
②築浅の安価な中古物件は燃費が悪く寒い割に高騰しつつある
③築30年以上のいわゆる築深案件は主に駐車と家の寒さ解消のために大改修
が避けられない
2:既存世代:①は同じ
②住まい手でさえ無理と思うくらい寒い家が多い
③直したくても設計図が残っていない
④家により構造的な傷みの幅が広い
⑤将来的な見通し次第で改修規模や予算も様々(10年住めれば~販売/賃貸)
3:引退世代:①は同じ
②20坪台の平屋ニーズが高い⇒将来性は?(誰に売る?貸せる?)
③要望を絞ることが苦手⇒ともすれば寒い家になり易い・・
こんな風に俯瞰すると見えてくるのは・・「そのままの状態で住める家が少ない」です。
実際に新築でもまだまだ寒い家が作られる傾向が高く、完成時こそ何とか予算内でと安心したものの、結果的には後のエネルギー価格の高騰について行けない。(2011年以前に多い築浅のオール電化物件等)。
ちなみに最近よく聞くZEH(ゼロエネルギーハウス)も端的に言えば年間20万円程度購入していた電気代が半額くらいになりますというもの・・ゼロエネルギーだから電気代も0にはなりません。理由は単純で買電:売電の割合が2:1~5:1だからです。これから総エネ設備を導入する際は蓄電池や自家消費の計画性、見落とし易い維持管理費も重要です。予算が厳しい中、導入をお考えなら、むしろ躯体の断熱に回すことをお薦めします。
既存住宅改修のニーズの中で多いのは意外にも外装の痛みや水回りの刷新のような見た目が入口段階では多いです。しかしその後ヒアリングを進めると・・寒さや燃費の問題が浮上してきます。もちろん最初から寒さを改修理由に挙げるお客様も多いですが、寒い家程、躯体の痛みも激しいのが特色です。壁を壊すと、結露で腐った柱や土台・・取り替えるには中々手間もかかります。断熱と防湿になぜ十分な投資をしなかったのかと残念になります。
終の棲家に対しては自らが住まなくなった後、どんな利用の仕方をするのか考えておくことが大切です。暖かくて丈夫な家なら売れますし、借り手も探せます。相続の際も子供たちに嫌がられることはありません。
そんな理由で・・時がたっても「そのままの状態で住める家」は少ない。
本当の意味での北海道スタンダードな住まいをテーマに「南6条の家」を計画しようと思います。
今日はHSCCでナイルロジャースなんていかがでしょう
日本人が大好きな南側敷地・・夏は庭の緑が暑い日差しを抑え、冬に落葉すると室内にはたっぷり日が入る!・・いや入るはずだ!、入ると思われる?/笑・・そこで住宅街をフィールドワークしてみると・・せっかくの南面大開口の多くが季節を問わずカーテンを閉めている事実に気付く・・
要は年中薄暗く、冬は肝心な日射熱の恩恵も得にくいという不都合な真実を目の当たりにする。そこで住まい手にその理由を尋ねると「だって通りを歩く人の視線が気になるじゃない。目が合うと気まずいしカーテンで隠す以外ないでしょ?そりゃ日は日で入った方がいいけどね・・」と当たり前のように返される・・ふと気付くと自分も同様の暮らしをしていることに思わず赤面してしまった/笑
そうか・・南面大開口を想定通り成立させるためには、外から覗かれない・・という工夫が必要なんだなと今更ながらに気付く・・
質の高い断熱住宅を作る上で下屋の扱いは設計者にとってまさにキモ。小屋裏という名の屋外を下屋の上に設けるとこんな風に悩ましいことになる場合が多い。
*下屋(1階の平屋部分。平屋上部の小屋組みが二階部分の外壁とも接するので断熱が難しい。)
画面左上から右下に向けて斜めに走る断熱された給水ラインは・・凍結対策として水落とし(水抜きの事)がし易いように高所に設置することが札幌市により奨励され、また小屋裏という屋外で凍結してしまわぬように断熱もされた。
しかし運悪く・・小屋裏で水道管が凍結してしまうと・・設備屋さんには天井を壊し、GWまみれになりながら凍結した管を融かすという・・過酷な仕事が待っていた。熱環境の知見がまだ乏しかった当時・・小屋裏という難しい半屋外部分の扱いは十分に周知されていなかった。
今日はT・C・R・Sなんていかが
「南幌まちなかの家Ⅳ」着工いたしました。
工事を担当していただくのはネオス建築株式会社さん。現場監督のNさんとはヨシケンさん時代に「宮の森の家Ⅱ2020」、そして「桂岡の家Ⅱ2021」と二件の現場を仕上げていただきました。もちろん棟梁も当時と同じM棟梁。4年ぶりに現場をご一緒します。
宮の森の家Ⅱ https://ako-re.blogspot.com/2020/09/blog-post_2.html
桂岡の家Ⅱ https://ako-re.blogspot.com/2021/10/blog-post.html
ネオス建築HP https://www.neoss.biz/
住まい手さんは隣町からの移住。最近はずいぶんと周辺都市の土地価格が上昇し特に千歳~北広島間はミニバブル状態。そんなこともあってか南幌への子育て世代の移住が増えています。
「南幌まちなかの家Ⅳ」のテーマといえば、ずばり「南幌暮らしで最初に建てるべき家」
読んで字のごとく”南幌暮らしを楽しむ住まい”として質の高いスタンダードを提案します。
敷地の雪はほぼ融けて地面が見える状態。建物の高さの目安となる遣り方出しを行いました。
まだ1軒も建っていない街区なので、なんだかとても新鮮です。
敷地内に引き込まれた各種の配管を確認します。
道路に対して概ね、40cm程度敷地が高いので、約20cm程度、表土を削り取り、道路と高さをすり合わせてゆきたいと思います。道路に面してカーポートが建つので、車と人の出入りを安全に確保するために地盤の設定は非常に重要になります。
本日の「南幌の家ZERO」の様子です。3月に入りずいぶんと日を長く感じるようになってきました。雪の方はといえば・・まだ降ったりやんだりで積雪も約60~70cmあります。
なんとか3月の見学会に向けて、さらにはその後のお引き渡しに向けてもう少し頑張ります。厳しいスケジュールの中ここまで仕上げて頂いた現場のみなさまには感謝しかありません。
室内ではクロス工事が完了し、ぐっと室内というのか建築らしくなってきました。均一に貼られた室内のクロスは光を素直に反射して柔らかな室内を作ります。
水廻りから玄関方向を眺めた様子。建物の全長を感じられる遠近感です。踊り場に回り段を設けずに上がりやすく考えた折り返し階段。16段で蹴上げも緩い北方型住宅仕様の階段です。
キッチンから玄関につながる動線です。
2階の廊下から見た屋根の登り梁です。ホワイトウッドの集成梁を□105mm角の母屋でつないで室内から小屋組みが見える天井としました。
こちらは階段の手摺、タモの集成材を加工して作りました。
「福井の家」の見学会、二日に渡ってたくさんのご来場を頂きました。チーム福井を代表して心より御礼申し上げます。
「福井の家」は44棟目の300mm断熱の家。また札幌版次世代住宅基準の最高位プラチナグレードとしては3棟目、北方型住宅ZEROの基準も併せてクリアしています。
住まいは長く住むものだし・・後に残せる家にしたい。そんなことを漠然と考えながら始めたのが「300mm断熱プロジェクト」地域の蓄積と材を使って、容易に陳腐化しない家を作る。事務所開設以来のモットーです。
間取りは雪のある暮らしを前提に考える。家中から有害な暑さと寒さを取り除く。巷に溢れかえる安っぽい価値観や材料使いに惑わされない。
あらためて100年前の名建築の写真をたくさん見返して、なぜ今でも古く見えないのかを考える機会となりました。
作り手として貴重な機会を与えて頂いた住まい手さんに心より感謝申し上げます。
LDは視界の唯一抜ける二階に設けました。大きな窓から見える風景は生きた絵画のように季節を伝えてくれるでしょう。これからは春の新緑、こぶしや山桜が楽しみです。
窓辺に置かれた円卓は建て主さんの希望。どの位置に座っても視界が抜けるように考えました。
キッチンからLDに視線が抜ける感じも小さな家の設計のコツ。もう少し専門的に言うとタイルの壁と上の梁の間も抜いて視線や光が行き来できるようにします。こうすることで空間が複雑に連続する感じが出て奥に何があるのかな?と引き込まれる空間の魅力が生まれます。気配だけ感じさせて、オープンに見せ過ぎるのはかえって空間を狭く単調なものにしてしまいます。