2020年6月12日金曜日

常盤の家 内装工事 枠付け

「常盤の家」は内装工事の枠付けに到達しました。写真は巾木廻り。床との間に目透かしラインを入れて床がスッと壁の中に吸い込まれるような感じに仕上げます。巾木の厚みはほとんどボードで隠れるためにスッキリ納まります。

通常の作り方なら、まず石膏ボードを貼ってその上から必要な長さに切った巾木を貼ります。その一方こうした先付け巾木はまず巾木を決めてからでなくては石膏ボードが貼れません。

こういう仕事がしっかりこなせるのが棟梁の腕。宇野棟梁よろしくお願いします。 
枠も留めたところが石膏ボードの厚みで隠れてしまうようにしっかり目配りします。

こちらはドアの三方枠。しっかり45度に切った留め切。きれいです。もちろん枠は全てタイコ面の加工済み。手触りが優しいこと、造作材である白樺合板の断面の模様を一番きれいに見せてくれる細工であること。そんな理由でよく使います。

こちらは階段の段板廻り。90℃方向にボードが貼られ、一部巾木が絡み・・・といういわゆる脂っこい部分。しっかり打ち合わせてきれいに納めます。

パッシブ換気の戻り空気を回収するための階段スリット。夜間はフットライトにもなります。(笑)

針葉樹合板と段板の間に5.5mmの目透シが取られ、階段下の機械室の明かりがスリットからちらりと漏れるいつもの感じです。

今回は階段の幅で蹴込板を切らないで階段の全幅まで伸ばし、登り口の人がちらりと上を見上げると白樺合板の美しい積層模様が見えるという趣向。

さて明日はまた週末。しっかり打ち合わせをして日曜はしっかり休みたいと思います。

今日はクールセイダースなんていかが



2020年6月11日木曜日

事務所の椅子


事務所で打ち合わせに使っている椅子も匠工芸さんのもの。この椅子はカタログモデルではなくて、私の事務所のオリジナルモデル。デザイナーは同社の元専務、中井啓二郎氏。元々店舗用に作ったスツールをリデザインし、色々と我がままをお願いしながらダイニングチェアに作り替えていただきました。

そんな椅子に私の事務所でクライアントさんは何時間も座り・・打ち合わせをするわけですが・・その中でかなりの確率の人が、座り心地の良さから新居の椅子に指名するという、誠に光栄なプロダクトなのです。(笑)
基本はナラ材。座面は編み込みで重量は軽く堅牢でシンプルなデザイン。座面は紙テープと布テープが選べます。写真は紺色の布テープ

こちらは生成り色の紙テープ。特に紙テープは長期間使っても耐久性抜群でほとんどヤレた感じが出ないです。
こちらはナラ材のフレームにグレーの紙テープを編んだ「澄川の家」のダイニングセット。天板は中折れ式で、跳ね上げると6人掛けに。クリナップ直需事業部さんのキッチンに半分取り付けられているのでテーブル脚は1本で足元がスッキリしています。
                   

こちらはオーソドックスな4本脚のテーブル。好きな位置に移動ができます。

こちらのダイニングテーブルは脚まで啓二郎デザインです。

脚はテーブルの真ん中に集められVの字の脚で、いわゆるお誕生日席に座った人の足回りを確保しつつテーブルの周りに人が寄り付きやすい形を目指しています。

腰にピッタリとフィットすることと肘の掛けられるリラックスしたデザイン。座面は四角くて程よい大きさなので半あぐらのような座り方にも対応します。ぜんぜん派手じゃあないんですけどいつまでも飽きない暮らしの中のデザイン。啓二郎さん最高だと思います。(笑)


匠工芸HP https://takumikohgei.com/ 

今日は雨・・J・サンプルなんていかがでしょう。


  

2020年6月10日水曜日

匠工芸さんへ

6/6(土)はクライアントさんと共に匠工芸さんへ。もちろん事前に人数を告げて混み合わないようにショールームを予約して伺いました。

写真は匠工芸さんのお宝デッドストック。今では中々手に入り難い貴重な広幅無垢板です。

コロナ禍で長らく中断していた家具選び。ほぼ二カ月ぶりに外出できたという人もいて、家づくりの実感が束の間戻った感じでした。

実は以前から生産者さん訪問には力を入れていて、現場の大工さんのみならず床材や羽目板、家具等の工場見学をクライアントさんと一緒に企画してきました。

今や私たちの周りには様々なコンビニエントで溢れていますが、そうしたサーヴィスの多くがグローバル企業と安い海外の労働力に依存しています。知らずにそれに慣れてしまえば、地域で生まれる素晴らしい製品や職人たちと出会う機会も、払うお金もまた地域には落ちません。

急に私たちの暮らしを全て地場産に戻すことは無理でも、家づくりを通して地域の作り手とつながる機会、良質な家具や仕事を知る機会を用意することはここ最近、自分のライフワークになっています。

どれも気合の入った工具たち。古いものだと40年以上前のものも現役です。少しづつ調整しながらカスタムし、癖を掴んで使っているそう。

二代目に当たる桑原専務。材料の搬入から加工の流れを説明してくれます。匠工芸さんの特徴は製造ラインがない所(笑)。

普通の家具工場だと看板商品の流れ作業のラインがあって各担当が一日一杯、専門の仕事をこなすのが普通。要は磨き担当は磨きだけ、組み立て担当は組み立て、塗装担当は塗装だけ・・みたいな感じ。

対する匠工芸さんは案件ごとの担当制。担当者が責任を持って材料の加工から組み立て、仕上げ、発送まで関わります。つまり担当者は仕事をほぼ全部覚えないといけないわけです。現社長の桑原さんの目指すのは、全体に目配りができる良き家具職人であって優秀なライン担当ではない。そんな社風を感じました。自身が技能五輪世界大会の日本代表として銀メダリストを獲得した一流の職人でありながら、徹底的にその技を若き職人に教える姿は27年前に初めてお会いした時からぜんぜん変わっていません。

「山本さんのパッシブ換気の床ガラリはうちの若い職人さんの最初の仕事でもあるんです」と桑原専務・・最初は工場のごみの中にローズウッドやらチェリー、ウオルナット、オーク、アッシュ、エルムなんかの端材を見つけたのがはじまり・・丁度パッシブ換気の床ガラリに良いものがなくて・・「これ、自分が図面引いてデザイン起こすから床ガラリにしてよ」なーんてお願いして作ってもらったのがやや10年くらい前・・・時が過ぎるのは早いです。
その後、床ガラリはこれまた白樺のエコシラ合板の枠を得て今や山本設計のトレードマークとなりました。

もちろんガラリの裏には、匠工芸の焼き印付き!

匠工芸HP https://takumikohgei.com/

こちらは打ち合わせロビーに置かれたデッドストック。

椅子は絶版のyumiシリーズ。材質は貴重なブラックウオルナットです。

鳥も飛んでます。

一番大きなペリカン

今日はMOUMOONなんていかが



2020年6月4日木曜日

宮の森の家Ⅱ 外装直前


宮の森の家Ⅱは外部の防風透湿シート、主屋以外の防水と板金、がほぼ完了した状態まで到達しました。
主屋のヨコブキ210S(無落雪タイプの横葺き板金屋根)と軒先の包み込みが完了すれば、外装を始められます。


低層部のアプローチ部分はお馴染みのシート防水の0勾配屋根。写真は下に落水しないようにするための仕掛け。 
ヨシケンさんの板金屋さんは斎藤板金さん。山本設計のデイテールは始めてですが、見事に再現して下さいました。

㈱齊藤板金HP https://saitoubankin.net/

西日除け用の袖壁と日射遮蔽のための庇を作っていただきました。 
いつもは30×18の押し縁を使いますが、今回はヨシケンさんと相談して45×30の押し縁を用いてより力強く外壁を見せたいと思います。写真は板金による水切りですがこの下に押し縁が納められて外壁が完成します。

今日の午後から天気は下り坂とのことですが屋根、外壁共に安心な状態です。

今日はJAZZね~7月着工の「南円山の家」の図面を聞きながら描いています。


          



2020年5月30日土曜日

常盤の家 フローリング貼り

瀧澤ベニヤさんより今回はカバのフローリングをお値打ち価格にて入れていただきました。いつもの製品は無塗装品ですが今回は現場で塗装臭を抑えるために塗装品を選んでいます。 
表面の板は3mmの真樺と目白樺。通常は芯材に針葉樹を使いますが今回の製品は芯材も全て樺材(白樺や雑樺)非常に重たくて堅牢な床材です。 
こんな感じで裏も全部樺材です。もちろん貼る前には広げて板材の白や黒が偏らないように全体のバランスを見て貼って行きます。

こちらは階段の段板の鼻の太鼓面加工。こちらは現場でWAXを塗って仕上げます。

今日はガガとアリアナ グランデでも聞きましょう!カッコイイ


2020年5月28日木曜日

生産者さん巡り

5/26(火)はヨシケンさんの吉田専務と「宮の森の家Ⅱ」のフローリングを砂川までお引き取りに伺いました。

現地ではフローリング単板の生産者さんである瀧澤ベニヤの瀧澤専務と製造工場である空知単板工業株式会社の浦さんに製造現場をご案内いただきました。

ここ10年くらいで道内産の広葉樹から幅の広い厚手の板はめっきり取れなくなりました。一時期は外国産が入って来た時代もありましたが最近は非常に高価になっています。そこで貴重な無垢の材料をある程度の厚みにスライスした複合フローリングを開発し、地域資源の有効活用を図りつつ、地域の人が地場のフローリングを使えるように瀧澤専務と商品開発を行い、いつも使わせていただいているのが、お馴染み道産カバ材の床です。

例えば、床材を作る際に従来のように全て無垢の材料にこだわると極端な話し、丸太によってはその大部分を捨てねばなりません。しかし色や木目がよくない材料も薄くスライスし下地として重ねて使えば表面材のみ木目のきれいなもので足ります。

ほんの少量の良い木目の床を作るために大部分を廃棄するような林業を止めることも出来るのです。

北海道には樺の仲間が多いですから、白樺や雑樺は下地として、真樺や目白樺は仕上げ材として2~3mmの厚めの突板に加工して使用します。

瀧澤ベニヤHP  https://www.takizawaveneer.co.jp/ 

空知単板工業HP http://www.sorachitanpan.com/
空知単板工業さんの工場は機械化された最新のものです。

こちらは工業用ロボットによる製造。進んでいます。

厚み3mmのナラ材で幅15cmのフローリングです。もちろんこのまま仕入れて好みの塗装をしても良いですし、注文すれば好みの塗料で塗装もしてくれます。

こちらはマイクロジョイント。短い材料を延長する際に使う継ぎ手です。 
こちらは、最近特に人気の高いナラのラスティックグレード(従来は欠点アリのBグレードと呼ばれた時代もありました)の節を一枚一枚職人さんが補修しているところです。

木部にある多少の節や抜けは表情の面白さでもありますが、その反面けがをしたりしないように丁寧に穴は埋めて製品化します。 
小さな穴でも内部にグルーを充填し

盛り上がったグルーを冷えたアルミで急冷しつつ平たく伸ばします。

きれいに平たく延びて固まりました。

これをノミできれいに削り取り完成です。丸太を捨てずに全部使おうとすると、材料は確かに増えますが、このようにどうしても機械化できないところが出てきます。でも自分の家の床をこんな風に職人さんが一枚一枚丁寧に仕上げてくれるのって嬉しいですよね。

二軒目はその単板そのものを丸太から剥いて作っている瀧澤ベニヤさんの芦別工場にお伺いしました。敷地内には仕入れた丸太が置かれ乾燥し過ぎて割れぬように散水養生されています。 
こちらがその丸太を剥く機械。まるで大根の桂剥きの要領で、丸太をぐるぐる回転させて、必要な厚みの皮(単板)を剥いて行きます。 
こちらがその剥いた単板。この後、使えない部分は取り除かれ、乾燥機で含水率を一桁台にまで落としたら製品として出荷されます。

フローリング用途以外にも各種合板や家具、草履の芯、簾(スダレ)等々単板は様々な用途に使われています。

こちらが乾燥機から出てきた単板です。薄いものからある程度厚いものまでさまざまな単板が芦別工場では作られています。

私が階段や枠廻りで使う美しい白樺合板(商品名:エコシラ合板)も単板をここ芦別で作り旭川工場で積層されて製品化されています。

いつも良質で美しい材料で建築を作ることができるのはこんな風に地域の木材を素晴らしい製品に仕立ててくれる生産者さんのおかげ。建築界の料理人としては地域のリスペクトを込めて引き続きたくさん使わせていただきます。(笑)

今日は八神純子なんていかがだろう



2020年5月23日土曜日

宮の森の家Ⅱ 屋根まで完了

今日の現場はお休みです。建築業界ではまだまだ土曜日の平日業務が多いのですが、吉田建産さんは優良企業。私も見習いたいと思います。

このコロナ禍で今まで当たり前だと思っていたことを色々と考え直すきっかけになりました。休日もその一つ、しっかり休んでまた来週、精一杯仕事を楽しもう!そんな毎日に変えて行きたいです。

でも・・せっかく誰もいない現場に来たのでいつもの通り確認作業です。

床下に暖房配管をし易いようにまだ床の合板は留め付けていません。

雨が来る前に、全員参加で頑張った屋根。屋根の板金はまだですが、この段階まで来ると多少の雨なら充分問題のない状態です。

屋根の通気垂木です。

最近はEU系列のきれいなOSB合板が多いです。釘の間隔も確認します。

従来は北米やカナダのOSB合板が多かったのですが、今年はあまり見ません。やはりコロナの影響なのでしょうか。

柱材は秋田県から、最近は東欧の木材も多いです。

道内産のカラマツの小屋組みです。やはり赤味の強い材料は美しいですね。

今日はポルカドットスティングレイ・・おしゃれです!