2020年4月22日水曜日

常盤の家 現在の現場の様子

ガデリウスの玄関ドアが設置された「常盤の家」の玄関ポーチ。もちろん多雪地域なのでGL~1階FLまでの高さは屋外のポーチで稼ぎます。

温暖地でよく見られるようなGL+100のポーチで玄関に引き込みそこから式台2段で1FLみたいな高さ処理は私の場合はあまり行いません。

チークの突板が貼られたガデリウスのSV00はすっかり定番になりました。幅1m×高さ約2.2mのドアとしては今のところ非常に高いコストパフォーマンスです。

普段のメンテナンスも付属のワックスで拭くだけなので簡単です。こうしたスウェーデン系列の玄関戸は北海道では昔からスウェドアの愛称で数社からリリースされてきたので信頼性も高くて安心です。

さて本題の付加断熱ですが、下地にGWを充填したら上から石膏ボードで覆います。これは木張り外壁の防火性を高めると同時に、22条地域(屋根の不燃化地域として札幌市では全域指定)内で必要な準防火構造を満たすためです。

防風+防水+透湿シート(タイベック類)はこの石膏ボードの上からピシッと貼りその上から通気胴縁で押さえます。

GWの膨らみにタイベック類が影響されなくなるのでもの凄く通気が効くようになります。

開口部を守る庇や袖壁もタイベックの上から取り付けます。屋根も壁も基本的に断熱構造を優先させ軒の出なり庇や袖壁はその外側に後付けして行くという考え方で、断熱構造をあちこちで切断しないことがとても重要です。 
左側に袖壁の梯子が出来上がってきました。


屋根の通気垂木(軒の出)はタイベックで覆われた断熱構造の上に通気と断熱構造を絶対に邪魔しないように取り付けます。 
通気垂木の間隔は45cmですが、その間が通気層と雨水混入時の排水路として機能します。排水路ですので当然壁の通気層と連続させておいて、雨水が地面に落ちるようにしておかねばなりません。

もう一つ大切なことは通気層の通気は低いところから高い所へ抜けるというような、一方向の流れのみを想定して作るのではなく直行方向にも抜けるように、通気垂木を加工しておくことです。また通気垂木の高さを9cm以上取ることも充分な通気量を確保する上で大切です。

今日はBuena Vista Social Clubなんていかがでしょ・・うーんハバナを歩いてみたい。



2020年4月20日月曜日

常盤の家 付加断熱下地工事

「常盤の家」の現場では、14cm厚のグラスウール(以降GW)による付加断熱の下地が完成しました。

今まで何となく300mm断熱の現場を進める上でのコツが伝わったでしょうか?

1:急いで屋根から作り一日も早く雨の心配を除く。屋根のタイベックは壁に垂らしておいて壁ができたらすぐにつなげるようにしておく。

2:屋根ができたらすぐに外部の付加断熱を優先し一気に タイベックまで集中して終わらせる。屋根とつないで一安心。

3:大工さんを外部班と内部班に分けて作業を進める。
なんとかここまで来ました。屋根直下に30cm間隔で並んだ屋根通気の欠き込みが見えます。

付加断熱は内部の柱、間柱と約20cmずらして熱橋にならぬように工夫します。上の写真は中央に釘が二列見えますがここに柱があります。

こちらはコーナー部分。付加断熱下地が跳ね出して、コーナー部分に熱橋を生じることなくGWとGWが直接連続します。

屋根の通気は必ずクロスに取ります。屋根の通気層は最低30mm以上と決まっていますが、効果を確実に狙うならば90mm以上が必要です。

みなさん、今晩はStay The Nightで(笑)


2020年4月19日日曜日

屋根巡り


写真は「氷堤」(ヒョウテイ)と呼ばれ、冬の北海道の屋根にはアルアルな現象です。

その原理は1:室内の暖房熱が小屋裏に逃げることで屋根を温め→2:屋根に積もった雪が融けて軒先に向けて流れ出す→3:しかし軒先の下には熱源となる部屋がないために落ちずにそこで凍り付く→4:そのサイクルが繰り返され軒先の上で重たい氷の塊が成長する→5:氷の重さに耐えかねて軒先が折れる・・・というものです。

こちらがその折れた軒先。見事なほどポッキリ行きました。たかだか60cmも出ていない軒でも、氷堤を生じてしまえば、軒先なんて実に脆いものです。

日本建築の伝統は深い軒で雨から建物の足元を守ることですが、北国では中々そうも行きません。こんな風に既存の技術が果たしてどこまで通用するものなのか?

理想の雪国の屋根を求めて・・長い長い試行錯誤の旅が始まりました。
こちらは軒裏から撮った写真ですが・・破風も軒天場も見事に壊れてしまいました。


一時期、厄介者の雪は屋根から早く落としてしまえ、屋根に載せたままだと地震が怖いから!という・・一見・・さも正しく聞こえそうなコンセプトを取り入れて雪の落ちる屋根を街中でも作った時代がありましたが・・結果はこの通り。軒下にある1階の窓は落雪の衝撃で吹き飛ばぬように、分厚い足場板で塞ぎ、最大積雪時はほとんど採光も難しくなりました。

写真を撮ったのは3月ですが、無落雪の家(雪は屋根の上に載せたままの家)の軒下にはほとんど雪が無くて歩道も使えるのに、落雪型の家の方は多くの残雪が残り歩行者は車道を歩くしかありません。
最近では見た目は勾配型の屋根でも、雪は落とさず載せたまま。太陽熱で効率よく融雪させて安全な水に戻してから軒先の樋で排水します。

家中で最も日当たりの良い屋根は、さながら融雪用のフライパンに早変わりし、凄まじい効率で安全に融雪を行ってくれます。

パッシブな設計!等というと・・とかく窓からの日射熱で暖房費を抑える話しになりがちですが、雪という気難しい隣人とどう付き合うべきか?たいへん長きに渡った問いの答えは実に意外なものだったのです。

屋根から雪を落とすという発想は一見、理にかなっているように感じますが、雪を融かす上で、最も都合の良い場所から、わざわざそうではない場所へ危険まで冒して雪を動かすという・・誠に?な設計思想だったというオチに今は気付いたのでした。
今でこそ考えて見れば分かりますが・・小さな住宅でさえこんなに積もる屋根の雪を落とそう、落ちた雪はどうしよう?なんて真剣に一時期は考えていたなんて・・笑っちゃいますね・・でもそれが人間なのだと思います。中々最初からスマートには行きませんよね(笑)

こうした難題が解決できたのは卓越した技術を持つ地域の板金屋さん、氷堤の原理を解明した研究者さん、解決策を普及させるために尽力した地元各自治体さん、北海道建築指導センターさん、そして学びを深めた作り手のみなさん・・多くの人の力が従来の屋根の常識を覆したのだと思います。

今日はU2なんていかがでしょう。







2020年4月18日土曜日

宮の森の家Ⅱ耐圧板打設

工事看板も立てていただいて現場は順調に進行中です。



「宮の森の家Ⅱ」は現在、床下の耐圧板打設が完了いたしました。

そもそも従来の「床下」というものは作り手が作ろうとして出来るのではなく・・床を貼ることでその下に結果的にできる(残る)空間でした。けして床の上に作る部屋のように、こう作ろうとして得られるものではありません。その一方、床下を室内空間として使うためには、その目的を見付けることと同時に、雪解けや大雨等による水の侵入を防ぐ必要があります。

床上の部屋を少しでも良く作ろうとするのと同様に、作り手が積極的な視点で、床下を水の侵入から安全で、断熱された室内としてしまえば、北国の住まいにとってたいへん好都合なあらたな空間が手に入ります。

もちろん見た目は床下でも室内の延長ですから計画的な換気や暖房。空間として使い、維持管理するために必要な照明を設置すれば、天井は低くとも・・ほぼ一階の床面積に等しい広大な空間が出現します。

こうして得られる床下空間が画期的なのはその費用対効果からも明らかです。

まずは防湿コンクリートと呼ばれ、なんと床下を使う?使わない?に関係なく設置が義務付けられているのです。本来の目的は床下の防湿→結果的に床として使える(〇)

は布基礎と呼ばれ家の土台を水分の多い地盤から少しでも遠ざけるために最低40cm以上の高さで作ることが定められています。
本来の目的は木材の保護→結果的に壁として使える(〇)

天井は1階の床を貼ることで結果的に出来上がります。
本来の目的は1階の床を貼ること→結果的に床下から見上げると床材の裏が天井に(〇)

実は同じ30坪の家を建てても床下が使える家と床下はあれど入ることも使うことも出来ない家とでは全く住まい手に取っての価値が違ってきます。
                     
写真は「澄川の家」の床下空間ですが、実はこれだけの空間があることに通常は気付かづに私たちは床の上で暮らしています。(笑)私は北国の設計者としてこうした空間を住まい手のために使えるようにしたいと思います。

このゴム製の板のようなものが止水板。コンクリートのつなぎ目の漏水を防止します。 
こんな風に室内とする床下の外周部分に取り付けて、外部からの水の侵入に抵抗します。細かな点ですが、上からコンクリートを流し入れた際にこの止水板が倒れぬように、鉄筋で挟んであるのが分かるでしょうか?

基礎屋さんの経験から来る技量の差がこんなところでもよく分かります。

今日はThe Policeなんていかがだろう・・カッコイイ




2020年4月16日木曜日

常盤の家シート防水工事

昨日は「常盤の家」の屋根防水工事。担当するのはプロテックさん。
北海道の屋根は雪を落とさない無落雪屋根が今やお約束。そのためには誠に長い道のりがありました。 
特に半年にも及ぶ冬場・・屋根上に長期間雪を止め置かねばならぬ場合、板金での施工が難しい勾配3.5寸以下の緩勾配屋根は高価なステンレス防水しか選択肢がない時代もありました。

そんな中、11年前に先輩建築家の小室さんに教えていただいて始めた画期的な屋根がこのシート防水の屋根です。自分的には「小室屋根」と呼んでいます。

最初は勾配0の陸屋根から始まり、11年の間に勾配屋根でも雪が落ちないように雪止めを開発し改良を加えました。

屋根の上から見ると従来のスノーレーン(内樋)式のM型屋根(一般的な北海道の陸屋根)が見えます。

実は北海道の屋根と温暖地の屋根の決定的な違いは雪や氷という個体を相手にするか、はたまた雨という液体を相手にするか・・つまり元は同じ水でも、固体か液体かで求められる形は全然違うということです。

北海道の板金屋さんにとってこうしたM型屋根の板金工事は珍しくありませんが、「軒先に向かって勾配を取るのが屋根である」と教育された専門職にとってはある意味、非常識な屋根型かもしれません。だって建物の中央に水を集めなさいと言うんですから・・(笑)

シートはデスクで屋根の垂木に点留めされ上から防水パッチを溶接して行きます。全面接着ではないので夏冬の温度差にもシートは楽に追随します。

こちらは工業用ドライヤーによる溶接の実演。まずはシート同士を温めて少し溶かし

くっついたらもう剥がれません。こんな風にして緩勾配ながら非常に防水性の高い屋根を作って行きます。

たかが無落雪・・されど無落雪、屋根における北海道の独自進化の裏にはこんな事情がありました。

今日はやっぱバンアパがいいっす!





宮の森の家Ⅱ基礎工事

「宮の森の家Ⅱ」は地盤面の防湿と断熱が完了し、耐圧板の配筋が進行中です。

敷地が広いので作業性は高く、仕事も見易いです。敷地が道路より低いので総堀り状態にて配筋の後、コンクリートを脱設し埋め戻します。

断熱材がない分、ベース下のピースは一般部よりも50mm高いものを用います。

こちらは一般部の背の低いピースです。

今日はバンアパで行きましょう!


2020年4月11日土曜日

常盤の家 屋根断熱工事完了

片流れの美しい登り梁と根太で架構された「常盤の家」の屋根。写真は室内から見上げたところです。このままで天井仕上げになります。以前は骨組みが隠れる天井も作っていましたが最近は木質系のインテリアのリクエストが多くこうした天井をよく作ります。今日はそのお話しをします。

今の現場の様子ですが、手前の白い木と奥の赤い木が見えますよね?白い木肌に品質シールが貼られている材料はこれから石膏ボードで覆われる柱や梁。それに対して赤い材料はこの後も見えたままになる材料です。つまり見せるところには暖かな赤味の材料、それ以外は一般的な材料と使い分けているのです。通常は隠れてしまう材料をあえて見せて使うことを顕わし仕上げと申しまして一般には手間をかけた「良い仕事」を指す意味で用います。その理由は・・・

1:強度のみならず見栄えの良い材を選ぶ目が材料屋&加工屋さんには求められる。
2:設計者は構造図面で顕わす材とそうでない材を完璧に把握しておかないといけない。
3:加工(プレカット)屋さんは接合強度のみならず見せる接合を工夫する必要がある。
4:強度のみならず断熱や気密を両立した上で見せることが求められるために、シートや
   テープの始末。それらが絶対に見えないように組み立て前に完璧に設計し、施工イ
  メージをしておく必要がある。(設計、加工、組立等複数の人が同じ目的を共有す
   る必要がある)・・・これが難しい!
5:材を顕わすということは木材を汚したり、傷つけたりできない。大工さんはもの凄
  く丁寧に力仕事をしなくちゃあいけない。(一発勝負で逃げが効かない)
6:材を室内側に見せるため、通常の充填断熱とは異なり外張り断熱のノウハウが必要。

ざっと・・こんな感じです。(笑) 平たく言えば設計者の私だけが頑張っても無理・・
材料を見立てる人、加工をする人、組み立てる大工さん・・現場に関わる多くの人が目的を共有して作るのがこの顕わしの天井なのです。

今回初めてお付き合いさせていただいたプレカット屋さんは三津橋産業㈱さん。丁寧な図面の確認だったり、材料にケガキ線が出ないように加工機を調整し直して頂いたりと大変お世話になりました。
三津橋産業株式会社HP http://www.mlcmitsuhashi.co.jp/index.html

こちらは隠れてしまう白い材料ですが、屋根から出来上がっているのが分かるでしょうか?きれいに組み上げることは大切ですが・・時としてお天気は待ってくれません。

雨が降ってきて材料を濡らしてしまうと・・美しい材の赤味が台無し・・せっかく多くの人の手を経てきたのに現場はがっかりです。

なので材料を預かった大工さんのプレッシャーは相当なもの・・美しく丁寧に傷つけないように組み上げながら、いつ雨が降ってきても大丈夫なように手早く屋根から作って、仮設の雨養生をしてやっと一段落です。

仮に屋根の本防水前に中に雨水が入っても白い防水シートが守る仕組み。これなら安心です。

風が出てきたので、この後シートをぴっちり張って明日の休みを迎えます。

現在はこんな感じ。屋根の仮養生が終わって、大工さんが外壁廻りの金物取付。その後は耐力面材(OSB合板)を貼って行っています。

「常盤の家」の家は一般的なGWHG16-38ではなくて20-35。ハイフンの前が密度で後の筋が熱伝導率です。

今夜はMr.Bigなんていかがでしょう



「南幌まちなかの家」が町のHPになりました


「南幌まちなかの家」が町HPのトップになりました。
南幌町HP http://www.town.nanporo.hokkaido.jp/

都心以外の暮らしの豊かさを求めて、最近は東京や札幌からも南幌町に移住する人が増えています。数年前までは年間に2区画売れるかどうかだったみどり野地区も、今やたくさんの若い世代が住まいを求める人気の住宅街となりました。

町独自の手厚い移住者施策の充実や札幌とは比べ物にならない除雪環境の良さ、医療も子育ても都会ではおなじみの「待機」がほとんど不要な環境は今の時代大きな魅力です。

また全国から集まった、みどり野住宅街の移住者の間には良好なコミュニティー意識が育ちつつあるのも特徴。田舎でありながら閉鎖的な意識を感じないところも移住者にとっては人気なのでしょう。

これからは暖かな日が少しづつ増えますが、ぜひ屋外で地元名物の南幌ジンギスカンを楽しんでほしいと思います。「南幌っていいなあ~」

いつも南幌を走るとこんな感じ!今日はブルースホーンズビーなんていかが


2020年4月8日水曜日

常盤の家 建て方完了!



本日はいよいよ登り梁(屋根最上部に掛かる大梁)の建て込み。動画は登り梁を固定するドリフトピンを打つ大工さん

カラマツ集成材の重たい尺梁(梁の高さ寸法が約30cmの梁)をクレーンのオペレーターと息を合わせながら慎重に掛けて行きます。


本日は雲は少々あるものの晴れ!建て方日和ですね(笑)

写真右下に見えるのは屋根の付加断熱。10cmのXPSと呼ばれるボード状断熱材です。普段は10cmのグラスウール(以降GW)を主に用いますが、「常盤の家」では建物の外皮面積(外壁や屋根、床の面積)が増えたのと、BELSの評価で一次エネ削減率40%以上を目標にしたので必要な分を強化したのです。

二階の床に置かれた登り梁に吊り下げようのクランプを掛けて慎重に吊り上げる。 

吊り上げられた梁は上空から少しづつ所定の位置へ・・・「おーい周りにぶつけるなよ~」・・周囲に緊張が走ります。

棟梁が梁を受け取りピタリと位置合わせをして、二人一組で落とし込み・・重たい梁が「ドン」と音を立てて建て込まれます。

こちらは外壁の外に跳ね出した階段の踊り場です。「常盤の家」では階段の踊り場にベンチと本棚を置いて読書が楽しめるスペースを作ろうと考えています。

二階の床から生える6本の柱は4本が住ま手さんのご家族,二本が両家のために・・みんなで屋根を支えています。(笑)

ホールダウン金物(耐震引き抜け防止金物)は全数見て回ります。特に壁内にGWが充填されるところは間違っても絶対に結露しないように防露処置をしておきます。

金物が躯体の中で結露すると簡単に建物を傷めてしまうのでしっかり確認します。

梁架け完了直後がこの様子・・
登り梁、計12本みなさまありがとうございました~(笑)

今日はMr.Bigなんていかがでしょう・・P・ギルバートが若い(笑)




宮の森の家ⅡBELS

「宮の森の家Ⅱ」にBELSの評価書が届きました。

想えば2009年竣工の「銭函の家」から数えて35棟目の300mm断熱の家になります。

一次エネルギー(化石エネルギー)の削減率は国の省エネ基準に比較して-39%です。ブログをお読みの方の中には意外に思われる方も多いと思いますが・・現行の国の省エネ基準(2016年基準)はまだ義務化されておらず、そもそもの目的が法制化ですから「最低限の基準」を指したものに過ぎません。

つまり21世紀に実際に必要になる北海道の住まいの性能とは? これらの最低限基準をクリアすることは当然として・・世界的+長期的な視点でどれだけ性能を上乗せすればよいか?を作り手と住まい手に問うているのです。

そうした理由から・・例えばパリ協定の削減目標を見てみると、2030年度までに家庭部門は2013年度比で39%のCO2削減が日本の割り当てとされています。

今さら聞けないパリ協定(経産省/資源エネ庁HP)

特に再生可能エネルギーに対する高い潜在性が期待されながら、依然、暮らしのエネルギーの大部分を化石エネルギーに頼っている北海道においては、一概に「省エネ」と言っても・・いったいどこに視点を置くのかでその目標は大きく異なってきます。

「宮の森の家Ⅱ」では2030年度を期限とするパリ協定の目標である2013年度比CO2-39%削減を一次エネ(化石エネ)に置き換えて設計する上での目標としました。

今日はSteve Winwoodなんていかがだろう






2020年4月7日火曜日

南幌みどり野きた住まいるヴィレッジ20200405

4月5日(日)に久しぶりに南幌に行ってきました。

おかげさまで、ヴィレッジも二期工事が始まり「北方型住宅2020」による街並みが少しづつ出来上がりつつあります。

意外に思われれる方も多いと思いますが、ヴィレッジのデザインコードは非常にゆったりとしたものです。90年代に流行った屋根の勾配の統一や外壁の素材・色の規制といった強く特定のかたちに誘導する方法はあえて取っていません。

様々な住い手の趣向を満たしつつも質の高い住まいを提案するためにはある程度の選択肢を用意する必要があります。同じ素材、同じ色、同じ設計思想によるシンプルな分かり易さはインパクトこそ大きいものの・・反面、購入者の好みも分かれるところ・・それよりはより多くの、南幌暮らしを夢見る未来の住まい手に、選ぶ楽しみを残した方がよいのでは?そんな話し合いからつくり始めた街並みです。

例えば、巷にあふれる工業製品の建材ではなく・・木や鉄のような本物の素材を使おう!北国では中々設けることが難しい「内と外の中間領域」(軒下空間やデッキ、屋根のあるテラス、焼き肉のできるカーポート、囲われた光庭等々・・)を少しでも取り入れよう!暮らしにおいては量よりも質を第一優先としよう!長く使える可変性(ゆとり)を間取りに用意しておこう!非常にシンプルな了解事項だけでデザインしています。

言い換えるなら・・街並みが建築家の良識に任されているとも言えるわけで第二期を引き継ぐ建築家にも同じ意識が求められています。

上の写真は昨年夏のヴィレッジですが、こんな風に個別に見ればかなりテイストの異なる家が街並みに同居しています。                     
                     
その一方でビレッジの向かいの区画は従来通りの分譲地として販売され、様々なハウスメーカーが自由に家を建てて行くスタイル。もちろんこちらも自由度は高いのですが・・果たしてどちらが南幌らしいでしょう?

田舎に暮らす本当の豊かさ・・無理して住宅ローンに追われる都会ではなく、ちょっとの工夫で多くの人が見過ごしてしまう・・味わい深い日常を手に入れること。

もちろんお金はあるに越したことはないけど(笑)・・南幌ならそうした暮らしがずっと楽にできちゃいます。

でも・・ありがちな形ばかりのデザイナー風住宅ではなく、全棟が建築家自らの設計による住まい。当然ながら冬の快適さや燃費の良さも一般的なハウスメーカーとは比べものになりません。全棟が「北方型住宅2020」基準をクリアしています。

北方型住宅2020とは? https://www.kita-smile.jp/north2020

「南幌まちなかの家」も素敵な住い手さんが見つかり、緑あふれるこれからの季節が楽しみです。ぜひ週末は家族みんなで名物の南幌ジンギスカンを楽しんでほしいと思います。(笑)近所の人達も集まって来ると・・楽しいだろうな~(笑)

カラマツ外壁の色もすっかり落ち着いてきれいなグレーに変わりました。

ヴィレッジの中央では「武部建設&櫻井百子」組が二軒目の現場を進行中。その現場の前で子供たちと一緒に楽し気に遊ぶ親御さんたち・・・

地域工務店と建築家の協働によるまちづくりに共感して入居してくれたみなさんはコミュニティの意識も特別なのかもしれません。

左手前に完成したのは最近完成した7号棟。中央右奥が6号棟です。

「南幌まちなかの家」の周りにも街並みが出来上がってきました。

緑道側から見たところ、中央に見えるのが「時と共に育つコートハウス」(アーキシップ&アルチザン建築工房)、右側が「カスタマイズできる家」(山之内建築研究所&晃和住宅)

今日はクラプトンなんていかが・・南幌に凄く似合う音