2019年5月9日木曜日

野幌の家Ⅱ 屋根断熱工事その2

複数の半屋外デッキを持つ「野幌の家Ⅱ」。南西側のお隣の庭に面するデッキにはこんな風に列柱を立てて、やんわり目隠しします。

比較的大きな平屋なのでやはり屋根の断熱が中々たいへん・・・工区を分けながらもう少しで完成します。
 
 
やはり北国であっても雨に安心なように屋根から出来上がるのがいいと思います。作業場を移動しながら屋根の断熱工事を進めて行きます。
 

屋根の断熱が最初に終わった吹き抜けが休憩時の憩いの場。ぜんぜん暑くなくて窓からは爽やかな5月の青空が見えます。

ホールダウンボルトの足元はウレタンで防露するのが飛栄さん流。壁の中に隠れる金物は本当に気を使っていただいています。

先張りシートが施工された吹き抜け。

屋根の上にこれから使うグラスウールが山になっています。

外部のOSBにタイベックを先張りしサッシのつばで挟み付けた状態。タイベックは風にあおられるとうるさいし邪魔なので窓側に折り返しておきます。

軽量鋼製梁で補強したアプローチの天井下地。
 
今日はなんか気分がビートルズなんです。(笑)
 

新琴似の家Ⅱ 遣り方&杭芯出し

本日は晴天の中「新琴似の家Ⅱ」の遣り方と杭芯の確認に来ました。以前にも書きましたが、今年は極端な職人さん不足・・・どの工務店でも「基礎屋さんがいない(泣)」、「大工さんがいない(泣)」、「杭が間に合わない(汗)等々・・・」の大合唱・・・
 
そんな中なんとか着工にこぎ着けました。(ホッ・・・)これもそれもすべては飛栄建設さんのおかげ、やっぱ大工さんが社員の会社は違います。色々と難しい面もあると思うのですが・・・やはり今後、大工さんの社員化は進めるべきだと思います。
 
余談ですがそんな意味では設計者も同じ、何年かすると本当に設計屋さんも居なくなっちゃいそう。単なる資格や経験ではなく、自らの設計で食えるようにどう育てるのか?
 
そもそも自分はどうやって今のようになったのか・・・教えるって難しいです。
 
今日はビートルズなんていかが

桂岡の家 屋根解体工事

本日は屋根を防水まで撤去し明日からの断熱工事に向けて準備しました。野地板の隙間から光が小屋裏に差し込み小屋の中がよく見えるようになります。
 
屋根を一度全て葺き替えているので、屋根板金の下にはルーフィングが二種類残されていました。下に見える黒い防水紙が50年前のもの。その上に貼られた緑色のものは現在のものとほぼ同じなので、ここ20年くらいのものだと思います。
 
こちらは煙突。ブロック造で痛みが進んでいたので外周部を固定し、モルタルを流し込んで固定してから鉄板で覆います。
こちらは地下の軽量鋼製梁に気流止めを施したところ。こんな風に解体で生じた材料を上手に再利用し気密が少しでも上がるように下準備しておきます。

梁の間にきつめにGWを充填し天井に使われていたXPSを挽き割って底蓋にしました。この上から吹付ウレタンでさらに断熱を行います。

 

野地板の隙間から射す光で小屋組みの中には棟札が納められているのが見えました。それによれば当時の施工は石井建設株式会社。棟梁は館下忠之進とあります。
 
館下姓ということはきっと岩手か宮城の出身かもしれません。北海道には東北出身の大工さんが多いですからきっと棟梁もそうだったのかもしれません。
 
ところで館下棟梁は50年後に自分の名前を呼ばれるなんて想像したでしょうか、古い建物を解体し当時の作り手の技や考えを知ることはとても勉強になります。時を越えて当時の考えの何が正解でなにが誤りだったのかを知ることができるのですから。


当時の天井断熱は50mmの黄色いグラスウールマットを敷いただけ。恐らくその後、住まい手が寒さに耐えきれずにピンク色のグラスウールを追加したことが分かります。

繊維系断熱材は材料の間に隙間なく充填し、室内側の湿気を遮断しないと能力を発揮しません。きっと当時は布団をイメージして、天井板の裏に掛けるイメージだったのだろうと思います。

文字通り梁と梁の間に掛けられたようにそっと置かれたグラスウールです。入れ方も入れやすい所だけ入れればよい。という感覚に見えます。
屋根の上からは新緑に覆われた山並みが望めます。

一方、石狩湾の対岸には遠く浄水場が見えます。

大工さんが屋根を解体しているのを興味津々で眺める未来の大工さんたち。軒先が切り取られると、「やったー」パチパチパチと盛大な拍手。(笑)
 
明日のお散歩も楽しみにしててね〜毎日頑張るから!(笑)
 
うーん今日はユーミンだね〜海のそばだからかな(笑)


2019年5月6日月曜日

畑と焼き肉

 
昨日の札幌は25℃。暖かいので畑仕事をしました。最初に植えるのはトマト、バジル、ルッコラにはつか大根等々・・・
 
天気が良いと皆同じことを考えるようで・・・苗を買い求める人たちで近くのホームセンターは大賑わい。
                                
 
まずはトマトとバジルの植え付け完了!・・・ひと汗かいてこの天気とくれば、北海道名物屋外で焼き肉BBQ~と相成るのはお約束なわけで(笑)・・・
 
昼間からビール片手に炭をおこし、焼きネタが来るのを待つという、北海道の人間なら誰でも思わずニンマリしてしまう時間帯に突入・・・


 
炭はおこるのに時間がかかる・・・炭熾しを上から眺めていると炭の焼けるいい匂いと共に思わず見入ってしまう。


 

 

焼き肉用のコンロも年期が入って来て・・・

 
むかしはコンロの上で塩コショウを振っていましたけど最近、焼き野菜はまとめて切ってボールの中でオリーブ油+塩コショウであえておいて、焼くだけにしています。
 
この方法、とっても簡単で味もすごく良いのでお勧めです。(笑)

 
地物のアスパラは茹でるとかバター炒めとかいろいろありますが、シンプルに炭火で焼くのがこの季節は美味しく感じます。
 
アツアツを噛むと口の中にジュワット春の香りが広がって最高!

 
ネギもオリーブ油であえてあるので表面が乾かずに中までふっくら火が入ります。写真を見ていると昨日食べたばかりなのにまたおなかが空いてきちゃいました。(笑)
 
なんだか美味しいもののお話しばかりになってしまいましたが、GWから秋にかけて、北海道は気持ちの良い屋外のシーズン。そんな中、家族や仲間たちとジンギスカンやBBQを楽しむのはまさに地域の文化だと私は思っています。
 
普段から極力、木製デッキやカーポート等々・・を提案するのはまさにこうした楽しみに使ってほしいがためでもあります。
 
いよいよ令和の新たな時代の暮らしが始まりましたが、昭和や平成にも増して半屋外の楽しみが増えるといいなあ~とお肉を焼きながら感じました。
 
今日はJoe Passなんていかが

2019年4月30日火曜日

ゴールデンウイーク

 
みなさん!ゴールデンウイークをいかがお過ごしでしょう?
 
今年は長男と次男が卒業&就職、三男が進学と慌ただしい三月と四月でした。ゴールデンウイークはそんな彼らが帰省し、従妹たちも集まってとてもにぎやかに過ごしています。
 
ふと振り返れば・・・子育てはあっという間の出来事・・いやいや私は仕事をしていただけで妻には本当に苦労を掛けました。彼女にしてみれば、子供たちが独立して行くのは頼もしい反面、家を離れる寂しさもある事でしょう。何を隠そう私自身が、家の静かさにまだ慣れていないのですから。

家に帰ってくるなり、長男と次男からもらったプレゼント。初任給で買ったそうで・・・親父のイメージだそうな(笑)。 なかなか良く人間観察していると感心しつつも・・大切に使わせてもらおうと思いました。
 
子供たちよありがとう!大切に締めさせていただきます。(笑)

 
元気に帰ってくる子がいると思いきや・・・せっかくの休みに限って体調を崩す困った家族がどの家庭にも約1名は居るはず(笑)・・・
 
今年は猫のレイ君でした。GWに入っても連日の病院通いで注射に点滴・・・今日になってやっと餌が食べられるようになって久しぶりに”にゃ~ん”と声が出るようになりました。
 
心配でおちおち出かけられないんでレイ君も早く良くなってね!
 
ゆっくり「野幌の家Ⅱ」と「桂岡の家」の現場を行き来しながら、少しスピードダウンして体を休めようと思います。
 
みなさんもよいGWを!(笑)
 
今日は暖かで穏やかな日。ラジオから八神純子が聞こえています。

2019年4月27日土曜日

桂岡の家 解体工事その2

昨日は冷たい雨の降る一日。したがって空の下の作業は難しいので屋内の解体工事です。「桂岡の家」は人が楽に入れる高さの高基礎になっていて、中からは1階の床の裏が丸々見上げられる状態です。きっと当時も寒かったのでしょう。かなりの量の断熱材を用いて当時なりの断熱改修をした痕跡が見られます。

 
こちらが天井から降ろした断熱材。これだけの量を使っても床の冷たさが解決しなかった理由は気密不足。どんなに高価な断熱材を用いても最低限必要な気密を確保しないと断熱材の能力を引き出すことは困難です。

 
基礎の中を車庫や物置として使うために束は用いていません。それを可能にしたのが軽量溝形鋼による大引き。当時では珍しく90cm間隔で床を支えています。事前の現況調査でぜんぜん床が狂っていない理由がよく分かりました。これなら確かに凄く丈夫です。

こちらがその現状を図面化したもの。そもそも新築時から気密が不十分なために、その後の断熱改修も使った断熱材の量に比べると効果はかなり限定的だったことが伺えます。
 
今日も冷たい雨の日・・地域によっては雪が降るそうです。みなさんもGWは気を付けて!
今日の製図のお供はカーペンターズ。
 
 
 

2019年4月25日木曜日

野幌の家Ⅱ 屋根断熱工事

建て方が無事終わり、工程はすぐさま屋根に移行します。写真は桁上に貼った合板(1階から見上げると天井部分)に厚手のビニールを敷いてテープ止めしたところ。

その上にグラスウールを詰め込むための下地を作って行きます。一層目約24cm厚さのグラスウールを詰め込むための下地を作り、その上に10.5cm更に断熱します。写真は第一層目の断熱下地を作っているところ。

 
この工法は2012年に考え出した方法に現場毎に少しづつ改良を加えながら行ってきたものです。当初は留め付けに構造用金物を多用したりいたしましたが、大工さんたちの献身的なアドバイスや実践のおかげで最近はほぼ釘のみでたいへんスピーディーな施工が可能になっています。北国北海道とはいえ、雪解けが終わると降るのは雨ばかり・・・ですからまずは日本建築の伝統通り、屋根から仕上げて行きたくなります。もちろん天気は待ってはくれませんからシンプルで合理的な工法で屋根の防水と合わせて断熱工事も素早く終わらせてしまいます。
 
一般的には屋根の防水工事と断熱工事を分けて工程を組みますが、分けると屋根の断熱は室内側から重力に逆らうかたちでそれも工程の終盤になってしまい易いのです。それまでの間、特に夏場は屋根のトタンが焼け込んで、建物の中に居ても暑くて仕方がありません。屋内で働く大工さんや職方さんたちにとって晴天時に暑くならない室内を早くから用意することは良好な作業環境のみならず結果的に作業も早く進みます。
 
そんな理由もあって屋根の防水と断熱を一気にしかも早く終わらせる方法が欠かせないのです。

 
グラスウールはパラマウント硝子工業さんの20KG/m3高性能品。硬くて切断しても形がしっかりしています。昔のグラスウールと違って素手で扱え防塵眼鏡やマスクがなくても工事可能なところに進化を感じます。性能も良くて一般的な16KG/m3高性能品に比べて同じ厚みでも断熱性能が約1割向上します。

 
週末から雨の予報なので、特大のブルーシートをしっかり準備しておきます。断熱材は絶対に濡らせないので連休に向けて準備は万全にしておきます。

 
きれいにまず14cm入りました。次に10cm、最後に10.5cm入ります。

 
こちらは屋根の通気垂木。垂木は並べて使いますが垂木内を通る空気が一方向のみならず直行方向にも流れるように垂木に刻みを入れておきます。

 
積雪荷重1mを考慮してスパン約6.4mのエントランスポートですから、尺梁を鋼材で両側から挟み付けてたわまぬよう補強します。木造家屋の梁の間隔は元々1.8mピッチが多いのですが北国で積雪荷重を考えるとその半分の90cmピッチとしています。
 
 
サッシは地元産のYKK430。トリプルガラスでありながらコスパの高い樹脂サッシができて本当に良かったです。
 
今日はW.Montgomeryを聞きながらブログを書いていました。いいすね~(笑)
 
 



2019年4月24日水曜日

桂岡の家 解体工事

 
 
建物周囲に足場が掛かり、解体工事に着手した「桂岡の家」。
 
「祖父が建てた築50年の家を暖かく断熱改修して大切に住み継ぎたい」住まい手のSさん夫妻にそんなご相談をいただいたのが1年前。はじめて現地にお伺いしたのが4/22で偶然にもそのちょうど1年後の4/22に着工と相成りました。なんだかとても不思議な感じです。
 
まずは新築にはない解体工事から。お茶を買って現場へ・・・そこで10年ぶりにお会いしたのがS棟梁とK棟梁。想えば10年前に同じ小樽の見晴町で「銭函の家」を担当していただいたお二人でした。
 
2009年の「銭函の家」こそ今に続く300mm断熱の第一号なのですからお二人はまさに私にとって恩人そのもの。S社長のキャスティングも中々粋ですね。(笑)
 
前置きが長くなりましたが、「桂岡の家」をご担当いただくのは㈱丸三ホクシン建設さん。冒頭でもお話しした通り、出会いは早10年前、当時の「銭函の家」の元請、㈱橋本川島コーポレーションさんの大工工事でお会いしたのが最初。続いて北海道R住宅による性能向上リフォームで「西岡の家」をご担当いただき、この時に教わった外張り断熱に関わる様々なノウハウは今も大切に使わせていただいています。
 
丸三ホクシン建設HP https://www.hokushin-k.jp/
 
 

 
こちらは50年前のグラスウール。厚みは50mmで密度は10kg/m3程度。当時は中々高価でアパートのような安普請には断熱なしが当たり前の時代。繊維は荒く不注意に触ると手がチクチクして痛い。比較的汚れていないのは断熱材として効いていなかった証拠。
 
北海道には様々な時代の断熱建物がありますがそれを解体し検証することは貴重な体験。まさにタイムカプセルを空けるのと同じ。当時の人の関心がどこにあったのか?それが正しいものだったのか否か?50年ぶりに謎が今解けるのですから・・・
 

中でも特に大切なのは水が回っているところを確認すること。この水が雨水なのか?壁内結露なのか?それを明らかにしてから相応しい対策を講じます。

北側壁面のモルタルは痛みが少なく充分再利用が可能。第一解体するのももったいない。なので地場産の改修ノウハウを用いて、このまま固定を強め耐力壁(筋交い)として再利用したいと思います。
 
住宅の性能向上リフォームマニュアル http://www.hro.or.jp/list/building/koho/pdf/gijutu/taishindannetu.pdf

外廻りの装飾は今では中々手に入らないラワン材の幅広&長物。鼻隠しの銅板はぜんぜん傷んでいない。むしろ緑青(ろくしょう)が味わいさえ感じさせます。

小樽市の中でも山側で比較的海から遠い桂岡地区でもやはり海沿いの鉄は弱い。こうなるとさすがに直すことは困難です。
 
今日は春めいた暖かな日・・貴重な挑戦の機会をいただいた住まい手のSさんご夫妻に大好きなStuffを贈ります。