2015年11月6日金曜日

平和の家 板金工事

日射遮蔽のための庇も出来上がり、今日は板金屋さんのお仕事を見て行きます。北海道は板金大好き地域の筆頭と言ってもよいくらい、建築の各部に板金を使います。代表的なのはなんと言っても屋根ですが、近年は壁、さらには見えるところ全て板金なんていう現場も珍しくありません。「平和の家」では庇や袖壁、窓水切りや腰水切り破風廻りなんかに板金屋さんがピシッと成型したパーツを使います。

こちらは腰水切。0.35mmを上手に折り込んで強度と精度を出してもらいます。以前は大きな木下地に板金を巻いてもらっていましたが最近は上板と下板の二枚使いでピシッと直線を出して、見付寸法(正面に見えてくる厚さ方向の寸法)は15mmで精度よく加工してもらっています。大きいことはいいことだと言う人もいますがこうした、部分的な角(エッジ)は最低限の寸法で緊張感を感じさせつつきれいに見せたいと思っています。

こちらは窓水切りの下地の合板です。必ず、建築全てをタイベックで覆ってからこうした下地の類いを取り付けます。前回までは腰水切りと同じ二枚使いで下地なしだったのですが、板金屋さんから「窓に関しては下地があると吊子を忍ばせて掴んだり、引っ掛けることもできるし、大工さんが作業中にチョット脚を掛けても引っ込まないから安心だよね。」とアドバイスをいただいていたので少し改良してみました。おかげさまで窓廻りの原寸大施工図も今回でほぼ完成形。現場でいただいたアドバイスや発見は忘れないうちに図面化して残す。当事務所の伝統ですがこうした蓄積は特に信頼感の高いディティールには欠かせません。

こちらは腰水切の出隅部分。向かって左が下板。これに右側の上板を被せて完成です。

こちらは連結部分。

飛栄建設さんの現場は職人さんたちが若いのでラインが大活躍。写真は下地の写真を定規と一緒に撮って、すぐさま板金屋さんへ送っているところ。採寸や変更、調整に関するコミュニケーションの質が上がるので間違いも減ります。
 
今日はグリーグなんていかが https://www.youtube.com/watch?v=Qv_770IcpCY

2015年11月3日火曜日

平和の家 雪止め工事

 
0勾配の屋根をシート防水で作れるようになって設計可能な空間は大きく広がりました。厳しい気候を有する地域であればある程、信頼できる工法の確立と設計の自由度は比例します。
 
「平和の家」の建つ札幌市の西区平和地区は市内屈指の豪雪地帯として知られています。また山側のために中心部と比べると冬場の気温も2℃以上低いのです。一方古くから開発された住宅街であるためにかなり建て込んでおり屋根の雪はどの方向にも落とせません。そこで約半年間、積雪させる(載せっぱなし)ことを前提に屋根のデザインを建て主の要望に沿ってまとめる必要がありました。
 
クライアントさんのたっての要望で二階の大部分をロフトにするべく、片流れと部分的に0勾配の屋根型を選択することとなりました。そのままだと屋根の雪が北側に滑り落ちてしまうので、シート防水の屋根に雪止めを取り付けます。水だけは流れ雪は残るように列には隙間を開けて配置します。
 
 
本日はからりとした秋晴れ。屋根の上も気持ちがいいものです。

こんな風に木の下地をシートで包んで作ります。


見ているとなんだか折り紙のような感じ。接着液と工業用のドライヤーを用いて見る見る張り上げて行きます。


うーん今日の空は青かった。
 
 
今日もプッチーニ。製図、製図の図面漬けなもんで。(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=PliBCsWMyBU

2015年11月2日月曜日

大きく跳ね出した庇をつくる

 
断熱を単なる寒さ対策としか考えていなかった頃は庇のない陸屋根をよく作っていた。(写真は東光の家1999/旭川)断熱をしてもある程度寒さは仕方がないのだから日射はむしろ入れば入った方が暖かい。夏涼しく、冬は穏やかに暖かくなどと言うよりは日射も断熱と同じように寒さ対策と考えていた。それ程までにクライアントにこの家は寒いと言われることを恐れていたのだ。不思議なもので当時から各地域別の仕様規定というものがあり、とりあえずその仕様通りの断熱厚さとすれば設計者の仕事は終ったものと考えていた。いつの時代も無知と思い込みは恐ろしい。宝の持ち腐れという例えがあるが20年前の自分はまさにそれだった。当然ながら夏場日射を遮るものがなければもの凄く室内は暑くなった。しかし「熱い暑いも二週間!」と言われた北海道の気候がすぐに夏を秋に変え、結果として大事に至ることはなかった。ところが時代は変わり、断熱をどんどん増すことで今まで仕方がないと諦めていた多くの事柄が解決できるようになると、この問題がまた頭をもたげるようになった。しかも今度は真冬にである。外が零下であろうと冬の低い日差しは眩しさと熱さを室内にもたらしひどい時には暖房しながら窓も開けるという愚かしい事態になった。
 
 
冬を旨とすることで、落雪を嫌い、寒さを嫌った北海道の陸屋根は「説明のし易さ」という点においては優等生だった。一方、街並みや景観といった観点からは無愛想とか箱もの住宅なんて笑われることも少なくなかった。しかし今、断熱を増したことによって季節を問わず「日射遮蔽」の必要に迫られ庇のない箱もの住宅がその姿を変えようとしている。写真は「西野の家2011」の大きく跳ね出した南側の庇。この庇で日光を遮らないと室内は冬でも簡単にオーバーヒートしてしまう。断熱を増すことで、照明や人体発熱、家電や調理、入浴の排熱まで有効な暖房熱源として簡単に使えるようになった今。設計思想は夏を旨とする方向に向きを変えつつある。ここで大切なことは回帰ではなく向きを変えるという点だろう。ここで言う夏を旨とは断熱を主体としたものであって従来の通風や換気を主体としたざるのような夏旨住宅とは異なる。窓からの日射さえ抑えれば断熱住宅はむしろ従来の住まいより数段涼しい。冷房の効きもぐっとよくなる。もはや断熱に冬向き夏向きと注釈を付けていた時代がなんだか馬鹿らしく思える今日この頃です。

庇のある陸屋根?的な表情(笑)
 
窓上の庇を70cmくらいスパッと跳ね出すのは雪過重を考える必要のある北海道では結構悩ましい。そこでスチールのプレートと付加断熱用の下地を利用して庇の下地を取り付けている。

こうすることで大人が乗っても落ちない庇が出来上がる。垂木が熱橋となりにくいように周囲にはグラスウールとウレタンで断熱補強を施す。
 
今日はプッチーニなんていかが
 
 

レイ君です!

なにかがもぞもぞと動いている!と思ったら・・・
次男に買った洋服の袋に白と黒の影が。この牛模様のレイ君3歳はとにかく狭い空間に入るのが好き。たとえば私が家に帰ってかばんを開けると中に入りたがり、妻がバックを置くとそわそわと中を覗き込み、空きダンボールなんて大好物ですぐに中に入って隙間から目だけを出している。他の猫ニ匹が割と地味目の虎模様なのに対して全身白黒の分りやすいデザインのレイ君は子供達にも大人気で寝る際の抱き枕ならぬ抱き猫?(笑)として圧倒的人気を誇っている。人も?猫も?見た目のインパクトは大切なようで、もし野良猫なら生存率を落としかねない派手目のデザインはやはり人によって与えられたものなのだと、ふとレイ君を取り合う子供たちを見ていて気付く。人もペットも個性が大切。もちろん見た目がよければさらによい。はたしてレイ君は鏡を見るのかな?とふと疑問に思った。
 
 

2015年10月29日木曜日

平和の家 屋根シート防水工事

本日は曇り空からパッと射した太陽に合わせて屋根のシート防水を担当する、プロテックさんが来てくれました。普段は0勾配の陸屋根に主に使っているこの工法、先輩建築家の小室雅伸さんに教えていただいたものですが、以前のブログで紹介した屋根の外張り断熱と合わせてもの凄く屋根作りが簡単になりました。写真はコーナー金物を取り付けているところ。

こちらは野地合板のジョイントをテーピングしているところです。

こちらがコーナー金物。下の黒いのはブチルテープです。

テープとビス併用で軒先にコーナー金物を取り付けて行きます。このコーナー金物が屋根の4辺に取り付くと、後はシートを貼って防水完了。1日半で屋根の防水が終わります。

こちらはM所長自ら壁の付加断熱のミミ(断熱材の4辺のこと)起こし。長めのけれんベラを用いて神経質なくらいにきれいに断熱を入れてゆきます。木下地との間でしわになってしまったり、ミミだけ入りすぎても出すぎてもダメ。グラスウールは10cmを超えると表面上はしっかり入っているように見えても裏に空洞ができていたりします。なので全数を複数の人間の眼と手で確認します。

こちらは良い例。下地までピッタリとグラスウールが入って隙間がありません。

一方、こちらはよくない例。表面からの見え方は一緒でもしっかりと下地に密着していません。特にグラスウールを用いた断熱工事は知らない人が見ると、「えーっそんなに神経質にやるの??」と言うくらいで実はちょうどいいんです。確かにグラスウールは一番ポピュラーで安価な断熱材ですが、その分もの凄く丁寧に施工しないと性能のばらつきも多い材料です。
 
いやね・・・最近は「平和の家」の現場と旭川の「東光の家」の製図なんで、音楽を毎日聴いて仕事してるんですよ。そこでなにげに目にしたエレクトーンの演奏が凄かったんでUPします。いや~っまじもう一回バンドやろうかなと思ったくらいかっこよかった。こんなん一人でできるんですね。
 
この人はもっと凄かった!
 

2015年10月26日月曜日

平和の家 断熱工事 詳細

付加断熱の下地がほぼ完成した「平和の家」です。壁の中に充填する10cmのグラスウール(以降GW)の外部側に更に14cm厚のGWを付加します。その下地として2×6材(38×140)を間隔45cmで取り付けます。要は在来木造の外壁構造の外側を2×6の枠組み壁工法で囲んだ和洋折衷の状態にします。北海道では昔から壁は在来、小屋組みはツーバイの床組みといったように双方を使い分けることにあまり抵抗がありませんからこうした方法も大工さんたちはすんなり受け入れてくれます。
外部から見ると2×6(ツーバイシックス)のスタッド(柱)に見えますから、たまに近所のオトーサンに「最近の作りは太い柱を使わ(心情的には:え/笑)ないんだね~。薄い(心情的には:ぺらい/笑)材料しかもう手に入らないんでしょう?」なんて気を使いながら勘違いされたりします。(笑)そんな時には室内を見せてあげて、「ちゃんと大柱もあります。」なんて説明すると妙に感心されたりします。

北海道の近所のオトーサンたちは大抵、みなさん建築好きで、自分の疑問が解消されるとかなりの頻度で現場に来てくれるようになります。断熱材を30cm以上入れること。その結果壁の厚みが40cm近くにも達することを伝えると皆一様に目を丸くして「そりゃ~凄い、夏も冬も最高だね!」と喜んでくれます。たとえ素人でも経験的に断熱することの価値を分ってくれる人が多いことにいつも感謝する瞬間です。
 
こちらは樹脂サッシの気密工法のディテール(詳細)です。国産樹脂サッシは外側のツバにビス打ちしてサッシを壁に取り付けますがその際に気密が上がるようにコーキングを先打ちしてその上からツバを被せて取り付けます。写真はコーキングを先打ちしたところ。

その上から窓のツバをビスで締め付けてコーキングが潰れてツバから少しはみ出ることを確認します。もちろんこの後にテーピング、隙間にはウレタン充填と進みます。開口部の周囲から絶対に漏気が起こらぬように二重、三重に手当てします。
 
今日は大好きな「くるり」なんていかが



2015年10月23日金曜日

平和の家 断熱工事

数日前の快晴を狙って一気に行った屋根の外張り断熱工事。屋根には20kg/m3の超高性能品が35cm入ります。昨年の「澄川の家」ではゲリラ豪雨にたたられ屋根のグラスウールを全て交換する羽目に・・・。でも今年は行いの悪い設計者が現場に居なかったこともあり(笑)、無事完了しました。したがって写真は飛栄建設のM所長に撮っていただきました。

屋根に全てグラスウールが入った状態。
 

雨が吹き込んでも大丈夫なように巾広の防風+透湿シートで覆います。グラスウールは絶対に空気に直接触れさせないようにします。

通気胴縁で押さえたところこの上に野地板を貼りシート防水をします。

乾燥ハーブ作り

ずいぶん秋が深まって空気が乾燥してきました。もう畑も終り・・・今年もたくさんの収穫と恵みに感謝です。この季節になると残ったハーブ類は刈り取って天日干しします。ドライハーブにしてこれから迎える長い冬の間、食卓に楽しみを与えてくれます。写真は夏から青々と茂っていたバジルを乾燥させたもの。何回かに分けて詰み束ねて乾燥させておいたものです。

パリパリに乾いていますから茎からしごき取るように葉を落として行きます。

落ちた葉はよく手で揉みながら混ざっている小枝の部分を除いておきます。葉が細かくなったら口の閉まるビンに入れて冬の間に使います。パスタはもちろんハンバーグやドレッシングにも大活躍します。 もちろんお部屋のハーブとしても使えます。
こちらは、今日摘んだ最後の株。部屋がいい匂いで一杯になりました。(笑)
 
今日は秋っぽくパコデルシアなんていかが
 
 

2015年10月22日木曜日

日経ホームビルダー11月号に掲載していただきました


日経ホームビルダー11月号に2ページに渡り特集していただきました。
この場をお借りして御礼申し上げます。

 積極的に断熱することで得られる数々のボーナスの中で、普段は見過ごされがちな低落差の自然エネルギーが使えるようになる点は大きい。内外温度差を動力として暖房と換気を一体で行うパッシブ換気もそうしたメリットの一つである。
内外温度差の増加は同時に換気量も増大させる。要は冬になると気になりはじめる隙間風というやつだ。断熱と気密が疎かな家では、この自然エネルギーは単なる厄介者でしかない。しかしそうでない家では断熱建物にとって欠かせない計画暖房と計画換気を担う自然動力として使うことができる。

 詳しくはぜひご購読を!

2015年10月21日水曜日

平和の家 建て方完了

現在は屋根をブルーシートでがっちり養生し壁の構造用合板を貼り進んでいる「平和の家」です。

こちらは建て方の最中の写真。この日は秋晴れだったんですが・・・

すっかりお馴染みの唐松の落とし根太天井。間隔は20cmピッチです。

お隣の現場と競争で作業が進みます。

ロフトを納めるために南側を盛り上げた屋根が特徴です。
 
今日は大好きなさかいゆうなんていかが。

2015年10月14日水曜日

フィンランドからのお客様




本日はフィンランドからアールト大学のみなさまが「澄川の家」と現在、建設中の「平和の家」の現場にお越しになりました。実は北海道と北欧諸国とのお付き合いは古く今では広く普及している通気工法の原型は北欧の木造住宅にその多くを学んでいます。言葉はぜんぜん通じなかったんですけど、木製の外壁やインテリア、家具なんかを見ていただきながら、彼らが目を細めて安心したようにうなずく様子に不思議な親近感を覚えました。同じ北国の人間同士通じるものがあるのでしょうか。(笑)
初めて見る日本の在来軸組み工法に興味深々の様子。やっぱり北欧の先進国らしく「ベーパーバリア(防湿+気密層)はどこ?」とか「これだけ柱の断面が大きいと熱橋が大きくならない?」等々・・・もっともな質問が飛ぶ。丁寧に答えながら、通訳にも助けられて納得した様子。
 
今日はCarly Rae Jepsenなんていかが トムハンクスが最高です!
 

平和の家 建て方開始

いよいよ始まった「平和の家」の建て方。土台を割付てアンカーボルトの孔を加工し外周廻りは気密レールを敷きこんで・・・・・棟梁よろしく!お願いいたします。

その間に検品、検品、「材料は全部来てるの?150km向こうの旭川から来るんだから忘れ物ない?まずは本日入荷したものの写真撮りまーす。」
 
 

こちらは構造用のボルト
 

まずはこんな感じ。明日から人数増やして一気に建ち上げます。

隣の現場と競争になりそうです。チョット相手が先行しています。
 
今日はClean Banditなんていかが?もの凄くお洒落です。