2015年8月19日水曜日

山の手の家 竣工お引渡し

建て主さまをはじめ、たくさんの方々のご協力のもと取り組んでまいりました「山の手の家」の性能向上リフォーム工事が無事完了し、本日お引渡しの運びとなりました。この場をお借りして心より御礼申し上げます。想えばご相談をいただいてはじめてお伺いしたのが昨年の4月。一時は建替えも検討しましたが、わずか築12年の事もあり、長年住み慣れた地域で修理できるものは極力直して使おうとなりました。建物は堅牢でしたが当時の断熱関連の施工や理解度は不十分で躯体内結露や大規模な漏気があちこちで生じていました。無駄の多い間取りや最もよく使う居間や水廻りが最上階なこと、またそこまで上がる階段が窮屈で急勾配なこと等々、断熱構造のみならず間取りも含む建物全般に関する見直しが必要となりました。一方で普段の新築では絶対に経験し得ない貴重な体験やノウハウを得る機会となりました。私たちが普段、当たり前に行っている断熱や気密ですが充分な理解のもとに確実に行わないと危険でさえあること。もし断熱構造を誤るとそれを根本的に直すことは非常に難しいこと等々作り手として忘れられない仕事となりました。
 
リフォーム前の「山の手の家」。居住部分の約1/3を占めていた3階部分を丸々減築し、そこにあった機能を2階に吸収、大胆に間取りを見直して、5人家族が過不足なく暮らせる家にします。もちろん減築は建物重量を大幅に減らし耐震性を向上させることや階段の上り下りといった垂直動線の短縮にも寄与します。
 
こちらは南側からの眺め。隣地の大きなさくらんぼの木が涼しげな木蔭を作り居間の窓に緑の影を落とします。新たな計画ではこの南側に2階のテラスを設け居間と連動した半屋外の気持ちのよさを取り入れました。この8畳の大きなテラスは野菜のポッド栽培やバスコート、BBQをはじめとする家族のレクリエーションにも大活躍します。
従来は南に開口部が少なく、閉鎖的な印象でした。

新たな居間からは、さくらんぼの木の緑を窓一杯に楽しむことができます。
 

読書好きなご家族のための「家族コーナー」。子供たちの勉強スペースや主婦にとっての家庭事務をこなす場所として最近はとても人気があります。
 
ゆったりと架け替えられた階段。材料は北海道らしく白樺です。
 
今日はおめでたく竣工なのでヘンデルなんていかが
 

 



2015年8月8日土曜日

山の手の家 完成直前

内装され、見ちがえるようになった「山の手の家」。後もう少しで完成です。什器や備品等々一気に揃い。本日屋外テラスを取り付けて大工工事は終了です。

家族コーナーの本棚。読書好きの家族のための大容量。

こちらはキッチンへの動線。突き当たりは屋外テラス。「テラスでハーブやポット野菜を育てましょう!」なんて今日、現場にお越しになった奥様とお話ししました。私も夢なんですけど、キッチンの一角からテラスに出られてそこが家庭菜園なんかになっていたら最高だと思いませんか?(笑)天気のよい午後は家族でお昼を食べたりできるテラス。いつも考えることは、北海道の暮らしを楽しめる間取り。対面型キッチンで居間、食堂と一体になる北海道スタイルの室内をどんな風に楽しく料理しようかと今回もいろいろと悩みました。

LDKの大窓の外がいわゆる外部ではなくテラス空間になっています。ポッドで野菜やハーブを育てたり、食事をしたり、またこのテラスはバスコートを兼ねていてゆったり浴槽につかりながら外の景色を覗き見る事もできるんです。テラスの正面には隣地のさくらんぼの木が立派に茂り、南側からの視線を遮っているのでこのテラスの雰囲気はとても落ち着く感じになりました。

こちらは建て主さんが長年愛用されてきたテーブル天板。古いウレタンと傷を削り、WAXで再塗装して据え付けます。
 
今日はさかいゆうのストーリー。う~んいいぜ~!

2015年8月3日月曜日

夏は海ですね~

仕事の合間を縫って、行って来ました。海、うみ、うみ~っ!毎年行っている秘密の海岸。地元の人しか知らないのでいつも空いていて貸しきり状態です。

こちらはカニ獲りに取り付かれた次男とその友人約一名。岩の下の穴場には大物がたくさん。しかしそれがまた獲れないんですよね~。(笑)

いろんな生き物がたくさんいる岩場なんで三男にでも捕まるカニもいて各人大満足!(笑)
 

小さなつぶ貝を撒いて、カニをおびき出す作戦を教えて一毛打尽!写真はその直後の満足げな表情。不思議と海に来るとみんな昔の子供の顔に戻ります。ゲームの方がいいなんて言う子はほとんどいない。身の周りに素敵な環境があると面白くて楽しくて夢中になれます。「そんな理屈抜きに楽しい!」が分るのも10代の前半の特典かもしれません。(笑) 親の仕事ってそんな楽しい!場所に連れて行ってやることなんですよね。そうすれば子供は自由に面白さを見つけることができるんですもんね~。

はじめてムラサキウニを手にした三男。「おーっ動いてる・・・」まあ~そりゃそうだ。(笑)
 

こっちは人の手から直に餌をついばむカモメの大群。
今日はピアノ。夏を感じる奴でいきましょう。https://www.youtube.com/watch?v=VyCQcfh2L_8

山の手の家 内装工事

現在の「山の手の家」では内装工事が進行中。当事務所お馴染みの、コーナーのプラステック面木や天井の目透シ見切り、取り付く電気器具の位置を示す電線の引き出しなんかを見て回ります。

こちらは玄関。養生ベニアの下には既にタイルが貼られています。玄関部分は靴で歩くところですから、巾木部分は針葉樹合板にして蹴っても汚れが気にならないように考えています。

こちらは居間と家族コーナーを分ける間仕切壁。壁にはテレビが掛けられスッキリと納まります。テレビの配線も正面から見えにくいようにテレビの背面にアンテナ線やコンセントの引き出しを設けます。
 

色が入った針葉樹合板の目透かし貼り。いつもながらU棟梁が丁寧に作ってくれました。

「山の手の家」のキッチンはいつものクリナップ製ではなく、既製品同士を上手に組み合わせてつくることにしました。通常は壁に向けて置かれることの多い2.4mのI型キッチンを対面方向に使い、反対側は床から20cm浮かせて吊戸棚を取り付けます。天板を隙間なくピッタリくっつけると簡単に広々とした対面型キッチンの出来上がり。費用対効果抜群で実は普通の流しと吊戸棚の合体なんて、ぜんぜんそんな風には見えません。10年以上前に予算の厳しい現場でどうしても対面型キッチンの要望があって考え出した方法なんですけど久々にお役に立ちました。

武田社長自らカウンターの取り付け。

こちらは薪ストーブの煙突。断熱二重管で丈夫なもの。二階が居間だと煙突長さを短くできるので薪ストーブを楽しみたい方には朗報です。1階にストーブを置く場合と比べてウン万円くらい違ってくる時もあります。

とど松の貫板は既に木質保護材に漬け込んで加工してあります。一見見ると白木のままに見えますが、1年もすると見事なグレーに変色します。
 
今日はバンアパなんだけどカバーで行きましょう!

2015年7月31日金曜日

畑はいいね!

ふと気付けば、畑の実りのシーズンです。衣食住ではありませんが、住まいと食は深いつながりがあります。敷地の中に家を建てる際に日当たりの良い方向に畑や花壇、夏の焼肉なんかのスペースをイメージしながらいつも設計しています。もちろん実際に畑の楽しみはやればやっただけ、暮らしの楽しみが深まるという趣味と実益を兼ねたものです。今年もたくさんの作物が実りました。
 
こちらは中玉トマト

おナスも元気です。

ピーマンの苗は今年は特に出来が良いのでたくさん収穫が期待できます。

こちらは夏の味、ししとう。


バジルはなんでも使える万能ハーブです。

こっちはサニーレタス。

こちらはイタリアンパセリです。

今年初めて挑戦したズッキーニ。

こちらはリンゴ。秋の収穫まですぐ。建築しながら畑もね!(笑)

2015年7月25日土曜日

山の手の家 床暖房工事

 
「山の手の家」の計画において最後まで懸案だったのが、1階のRC(コンクリート)部分をどうやって暖かくするのか?ということでした。 断熱のセオリー通りに考えれば、熱容量に優れるRC部分はその外側で断熱(外断熱)したくなります。しかし居住部分を持たないにもかかわらず2階と全く同じ面積を有する1階を全て外断熱することは費用対効果の面で最適とはいえません。やはり居住という大切なニーズに相応しい答えが外断熱であり、そうした使い方をしない場合は総合的な観点からどんな方法を選ぶのか?単なるグレードダウンには終らない、必用充分度をいかに残せるか?に悩みました。その回答が上です。基本的にRC部分の内、2階とつながる玄関とシューズクローク(機械室)は室内側から床、壁、天井スラブを吹付ウレタンで断熱し、床暖房としました。温水配管の下に断熱がないと、地面に熱が逃げいわゆる地球を暖めている状態になってしまうので、上の写真のように断熱材の上に配管しモルタル土間とします。


こちらが同じアングルから見たモルタル土間の様子。最後はタイルを貼って仕上げます。

こちらは機械室に集合する配管の様子。壁際にはものが置かれるので、床の温水配管は部屋の中央に集めます。
 
こうすることで当たり前の事ですが、暖房は全て断熱境界の内側で行えるようになりました。
 
今日はバンアパ行きましょう! https://www.youtube.com/watch?v=A-dNvASotJ8
 

日経ホームビルダーさんに取材していただきました。


昨日と今日の二日間に渡り、日経ホームビルダーさんに「澄川の家」を取材していただきました。
取材の目的は「断熱」。特に基礎断熱を行う場合の設計上のコツや夏型結露の対策に今、読者の関心が集まっているのだそうです。聞けば本州でも基礎断熱を採用する事例が増え、断熱に対する意識が高まりつつある反面、床下の結露をはじめカビの発生や蟻害への不安等々・・・基礎断熱自体に対するアレルギーも依然として根強いのだとか、一方で北海道で広く基礎断熱が普及している理由やその背景は不思議に映るようで、私的には当たり前と思い込んでいたことが実はかなり常識外だったりと、とても刺激的な経験をさせていただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。 

日経ホームビルダーHP http://ec.nikkeibp.co.jp/item/magazine/HB.html

2015年7月21日火曜日

山の手の家 内装工事直前

本日は、内装のボードが貼られる直前の確認に来ています。スイッチやコンセント、制御リモコンの位置、各種管類や線類、グラスウールやウレタンのダメ確認、巾木に枠廻り・・・要は内装用のボードが貼られると見えなくなってしまう部分の徹底確認です。

こちらは新たにできる玄関ホール。木床の下はびっしりグラスウールを充填します。

鉄製のササラに段板が取り付いたところ。最終的には段板同士を縫い付けるように手摺をつけて階段の揺れを抑えます。

タイコ面とした白樺積層合板の下枠。

同じ階に寝室もあるので各室の壁は全て遮音のためのグラスウールを充填します。
 
今日はいわゆる「ドラゲナイ」ね!(笑) https://www.youtube.com/watch?v=gsVGf1T2Hfs

2015年7月19日日曜日

断熱と夏の暑さの関係

 
断熱材のあるところは表面温度が34.2℃、ないところは45.6℃


先日、いつもおせわになっている樋口さんのところで屋根の断熱の有る無しをサーモ画像で撮影させていただきました。結果は写真の通りなんですけど、断熱は夏向き技術そのものだと思いました。EPS(魚箱等に用いられる白色のボード状断熱材)の50mmでもここまで違います。(笑)

今日は大好きなigrek-Uこの人は凄いよ!
https://www.youtube.com/watch?v=HDZMVpXPZsM

2015年7月18日土曜日

山の手の家 階段取り付け工事

今日は階段廻りを納めて行きます。1階がRC造(コンクリート造)の「山の手の家」は2階の木造部分とは異なり、断熱材に現場発泡ウレタンを用います。出来上がってしまえば分りませんが壁の中は異なる構造になっています。
 
こちらはウレタンを吹き付ける前の階段下地の様子。下地の木材の間から見えるコンクリートは断熱性がほとんどありませんからこのままでは寒い階段室になってしまいます。改修前もニ階から階段を降りている途中に冷気の境目を感じていてぜひとも直したいとの要望が高かったところでした。
 
発泡ウレタンを8cm吹き付けて、断熱工事を完了。断熱の強化に合わせて1階の暖房を最適化して、暖かな玄関とします。


こちらは階段のササラ。実は以前の階段は真ん中に壁があって、それが階段巾を狭めていました。新たに作る階段は壁を設けず、軽やかに視線が抜けるように作ります。そうする事で実際の寸法を広げる事に加え、視覚的にも広さを演出したいと考えました。

段板が付くとササラの存在が薄れ、段が宙に浮いているように見えます。以前は階段の蹴上高さ(一段の高さ)が約18.6cmでしたが新たな階段は17.8cmと低くし、踊場の回り段を取り止めました。わずか8mm、回り段なんて慣れれば平気!なんて思っていたら大間違い。これだけで階段は見違えるように歩きやすくなります。
 
今日はBeniなんていかが、 https://www.youtube.com/watch?v=fjxDOd6pjsM