2015年6月27日土曜日

6会合同研究会 In 札幌

 
昨日は東北と北海道で環境的な家づくりに取り組む6団体が札幌に大集合しそれぞれの地域の研究者も交えて合同研究会が開催されました。「住まいと環境東北フォーラム」、「信州の快適な住まいを考える会」、「岩手住環境技術研究所」、「NPO法人パッシブシステム研究会」、「Dotプロジェクト」、「ソトダン21」。各団体のみなさま、初夏の北海道にようこそ!私もゲストとして呼んでいただきました、心より御礼申し上げます。まずは前建築学会長(東北大学名誉教授)の吉野先生のご挨拶から。40年以上前からの北海道の研究者とのつながり、お互いに理想とする家づくりの団体を立ち上げた以降の苦労話しや現在まで続く親交の大切さ・・・・・ほんとうに大先輩のみなさまに感謝の気持ちで一杯になりました。

続いて、福島先生のお話し、司会の洒井氏の無茶振りにも顔色ひとつ変えずにこやかに。しかし専門の換気のお話しになると、「普段の暮らしで上手く行っているのかどうか分りにくい換気ってとても奥が深い。」なんて核心を突く発言が・・・。断熱建物と換気は切り離せませんが、計画的にさまざまな換気が可能になったのは建物の外皮性能が担保できるようになった頃。むしろ最近なのでは?なんてちくり。(笑)

毎回、抜群のコーディネート力を発揮して、イベントをまとめ上げる、住まいと環境東北フォーラムの洒井事務局長。その人脈と計画力には毎回ながら脱帽です。

こちらは北海道大学の羽山教授のお話し。身内のヒートショックによる事故と介護の経験が、住まいの温度差の研究につながり今がある。北海道の人はとかく省エネ(お金)というお話しに偏りがちだが健康はお金では買えない。そんな視点で室内に寒さのない家づくりの価値を考えてほしい。

病気別に見ると、癌は季節に関係なく発症するが、心疾患、脳血管疾患、また自宅内で起こる溺死、溺水といった事故は圧倒的に冬場に集中する。

同じく北大の若きホープ。菊田先生による近年の研究についての報告。-30℃の酷寒冷地で薪ストーブ一台で、全室暖房+計画自然換気を実現する試みや、エクセルギー概念を用いた、薪という貴重でありながらもありふれたエネルギー源の大切さ、街中の大規模オフィスでありながら自然空調、エアコンを用いず、水を用いた輻射冷暖房の可能性。また最近の世界の動向等々聞きどころ満載でした。

会場は約100名以上の参加者で終始、熱気むんむんでした。

最後は、NPO法人パッシブシステム研究会顧問の北大名誉教授の絵内先生のお話し。

その後の懇親会は札幌ファクトリーで盛り上がりました。

学生さん二人を引き連れて東京大学の前先生も登場。今期の北海道の実測も早3年目に突入です。一昔前までなら寒冷地の研究に東大の先生が興味を持つなんて信じられませんでした。時代は変わるもんですよね~(笑)。これからも地元名物、断熱住宅。盛り上げて行きましょう!
 
■参加団体HP
 
住まいと環境東北フォーラム      http://www1.odn.ne.jp/~htoenv/
信州の快適な住まいを考える会    http://www.the-sah.com/
岩手住環境技術研究所         http://www.iwate-jukan.com/
NPO法人パッシブシステム研究会  http://pv-system.jp/
Dotプロジェクト              http://dot-p.com/
ソトダン21                 http://www.sotodan21.com/
 
 
 
 
 

2015年6月24日水曜日

山の手の家 耐力面材貼り付け

3階建てから2階建てへ間取りも大きく変わる「山の手の家」当然ながら間取りが変わるということは、窓の位置も変わり、古い窓は埋め、新しい窓を開けるということになります。上の写真は元の窓を埋めたところ。こんな風に躯体は継ぎ接ぎになりますからその外側で切れ目なく断熱する層が有効になります。ちなみにこの外壁の外に14cmの断熱をします。
 
こんな風に柱の横に間柱を沿わせて補強してOSB合板を貼ります。

元あった窓を埋めたところです。

 
 

外部は石膏ボードと防水+防風+透湿シートの上から耐力面材(筋交い)となるOSB合板を貼って行きます。

こちらは屋根の野地合板。防水を待つのみです。
 
今日はキースジャレットのピアノで行きましょう!

2015年6月20日土曜日

畑 大好き!

ここ1~2週間やっと暖かくなってきました。庭に植えたハーブやは葉物野菜なんかはどんどん青味をまして生き生きしています。写真は毎年植えるバジルですが生のまま、サラダやパスタ、ドレッシングなんかが最高ですし、余れば乾燥バジルとして簡単に長期保存が効きます。1家庭に2~3株も植えれば1年分楽々収穫できますし、日当たりの良い窓辺の鉢植えも室内の空気がバジルのよい香りで爽やかになるのでお奨めです。(笑) 
こちらはサニーレタスです。タネから育ててももちろんいいのですが、苗を数本買ってきて庭先やポッドで育てるのもいいと思います。小さな苗も3週間も経つ頃には立派な葉が茂り、家族4人で4~5株もあれば毎日フレッシュなグリーンサラダが食べられます。

こちらは越冬して株が大きくなったセージです。ソーセージに欠かせないハーブとして有名なこのセージですが今頃は紫色のきれいな花を咲かせてたくさんの蜂を畑に呼んでくれます。蜂の来ない畑は豊作にはなりませんから、お花はよい香りのみならず畑にとって欠かせないパートナーです。

こちらは害虫避けに植えている除虫菊です。でも蜂は来ますけどアブラムシなんかは減ります。毎朝、畑に水やりをしてこの時期は少し早めに職場に向かい、戦争のように図面を描いています。なんだかもの凄く分りやすい静と動のような毎日ですがこれがこの季節の楽しみでもあります。
 
今日はKalafinaなんていかが
https://www.youtube.com/watch?v=3YnDHYCqelU

2015年6月19日金曜日

山の手の家 各部確認

解体しながら時には修理し、新たに作り直すところの下ごしらえを行いながら上手く残材を使い回して現場を進めて行きます。写真は外壁のコンクリートが木造の外壁より30cm以上飛び出しちょうど棚のようになっていた部分。その上に雪が積もり落雪するので家の出入りや歩行者にとって危険でした。そこで外壁をコンクリートと同じ位置までふかし(延長して)雪の積もる部分をなくします。

両側にはコンクリートの柱型があるのでそれを手本にして木造の外壁も輪郭を合わせます。

3階を完全撤去したので、元は二階の床だったところが屋根になります。写真はその屋根の作り。

白く見えるのがタイベックと呼ばれる、防水+防風+透湿シートです。これを梁の上にピンときれいに貼って敷き、その上から45×105の根太を45cm間隔で留めて行きます。あれ?(笑)この構造どこかで見たことありませんでしたっけ?そうそう冷たくて仕方なかった2階の床の構造と似ています。今度はこの白いタイベックシートの下に詰め込む断熱材を湿気から守り乾燥させるための通気層としてこの根太材の間に積極的に空気を通すためにこの構造を考えました。

こちらは根太材に施す細工です。空気を一方方向だけではなく直交方向にも流すために根太の上部を僅かに欠き取ります。こうする事で空気がタイベックシートの上で淀みなく動くようになります。
 

こちらがタイベックシートとそれを押さえている根太を下から透かして見ているところ。断熱や耐力面材の使用を前提としていない時代の架構は伝統的に梁のピッチ1.8m間隔となります。新築なら梁の本数を倍にして0.9m間隔としたいところですが、リフォームで梁の加工を全てやり直すことは難しいので根太の寸法を増して屋根の野地合板が雪の重さで凹まぬように対処します。またタイベックを屋根面全面に貼ったのは従来の天井断熱のように雪や雨が吹き込む可能性のある屋根の断熱材を直接風に曝さぬためです。こうする事で断熱材は壁も屋根も必ずタイベックシート越しに空気と接するように考えました。

こちらは部分的に外部から石膏ボードを外して土台を露出させたところです。土台の下のコンクリート表面がボコボコしています。これはなんでしょう?

こちらは上から見たところです。これは私の推測ですが、後から土台の下にモルタルを詰め込んだ跡だと思います。床の気密が悪く、スースーして寒い事をなんとかしようと後から苦労したのかもしれません。断熱と正しい方向からの気密は一体のことですが、恐らく現場監督の理解も不十分だったのかもしれません。床下には高価な断熱材を使ったから大丈夫!でも蒸れて床が腐らないように空気だけは通したほうが良いと思い込んでしまったのかもしれません。今でもたまに空気の移動と水蒸気の移動を混同してしまう人がいますから、もしかしたら同じだったのかもしれないと感じました。
 
今日は大好きなT.Flanaganなんていかが(笑)

 
 

一社)北海道ビルダーズ協会始動

 
 
会の設立を宣言し挨拶に立つ武部会長。
 
今日は、一社)北海道ビルダーズ協会(旧:北方型ECO推進協議会)の設立記念祝賀会に出席しました。1988年から始まった住宅の地域ブランドである「北方型住宅」は性能と基準の担保のみならず、専門技術者(BIS)による設計、専用クラウドによる家歴保存、高齢化社会を睨んだバリアフリーや街並み景観に配慮する意匠等々、時流の風に答えながら30年以上に渡り改良が続けられてきました。もちろんその原動力となったのは、冬の過酷な気候を受け入れ笑顔で暮らす。という共通の課題に対して、産官学が協力したことです。そうした自らの立場にこだわらない相互互助の文化は、「北方型住宅」の他にもたくさんの成果を生み出しています。いくつか紹介しますと、北海道において家を作るということは断熱する。ということと同じ意味です。建築の専門知識に乏しい一般の住まい手でも断熱の必要性を疑う人は稀です。このことはまた、作り手にもいえます。北海道の大工やそれ以外の専門職種で断熱やそれに関連する施工に疑問を持つ人は少数です。むしろ断熱すること、それに関わる施工の知識や技量の高さがよき作り手の要件とされます。さらにはそうしたものづくりに関わる資材の安さ。わずか4%市場といわれる北海道ですが断熱サッシや断熱材等々は全国一安価です。建築と断熱は表裏一体ですから、建築の許可を審査する行政や民間の機関も断熱性と防火性の両立に対してとても理解があります。少々話がそれましたが、当会はこうした地域の蓄積を生かしながら従来の「北方型住宅」という枠組みを越えて地域の作り手が活躍することを目指しています。もちろんビルダーズという言葉からはまず工務店が浮かびますが地域の設計事務所も現在20社加盟していて、私もそこで技術委員を務めています。一時期の技術偏重を見直して建築全体の質を上げるためにこそ技術を位置づけるという姿勢からです。
 
話は変わりますが、会としては既に5月25日に国に今期のグリーン化事業の提案を終え補助金の採択を待っている状態です。 またこれに加え、ZEH、認定低炭素住宅、性能向上リフォーム等、国の目指す住宅施策メニューも出揃った感があります。当事務所でも今年は2軒のグリーン化補助金対象住宅を着工する予定ですので今から実績報告が楽しみでもあります。
 
 
一社)全国工務店協会(JBN)青木会長による来賓挨拶や

会員の増強や会の発展に寄与した方の表彰。

30年以上前から産学連携の活動として「新住協」を率い、北方型住宅の開発にも大きな功績を残した鎌田先生によるスピーチ。相変わらずの名調子、鎌田節は会場の爆笑を誘っていました。
 
今日は、本当に小さな私たちなんですけど、これからもヨロシク!って意味でグリンデイ(笑)

2015年6月15日月曜日

山の手の家 大梁架け替え工事

予想以上に解体に手間取りましたが、現在は作り上げる工程に移行した「山の手の家」です。本日は新たな間取りのために大梁の架け替えを行います。以前の間取りでは3階が居間でしたが、新たな間取りでは2階にLDKを作ります。2間半(約4.5m)梁を飛ばすので、今日は大工さん3名で力仕事です。

現代の工法で作られているために、釘やビスの本数が多く柱から梁がなかなか外れません。

U棟梁とS職長共同で、以前の間取りの不要な梁と柱を撤去して行きます。

組み付けの精度も高く、土台から柱を引き抜くのも一苦労。

使えるものは加工し直して再利用します。リフォームの場合は現場に継ぎ手や仕口を加工しなおす簡単な設備があると便利かもしれません。昔のように全て手加工とは中々行かないので今後の課題かもしれません。
 
今日は2celloの二人!相変わらず凄いです。

先週は大阪の工務店さんがお越しになりました。

先週末、大阪から工務店さんが見学に来られました。みなさん凄く研究熱心なのとその行動力に脱帽でした。未知の断熱に取り組むに当たり本場視察とのことですが、なかなか地域の外まで勉強に出掛けて行くというのは勇気がいります。自戒を込めて見習いたいと思いました。
 
写真は板金屋さんの社屋でのスナップ。北海道のブログ読者の方はほとんどご存じないと思いますが、北海道以外の地域では断熱することは長らく不要とされてきました。北海道は寒冷地、それ以外の地域は温暖地と一括りにされることが多かったからです。しかし2020年を目処に沖縄以外の地域の住宅は断熱が義務化されます。言い換えるなら、北海道の当たり前が全国区になるということですから、地域の作り手の一人として素直に喜びたいと思います。今年もたくさん本州の工務店さんや設計者の方々がお越しになる予定ですが、少しでも北海道の家づくりのファンになっていただいて全国に断熱住宅を広めていただきたいと思います。
 
夏見工務店HP http://homepage3.nifty.com/kknatsumi/
 

2015年6月12日金曜日

毎日、図面漬け...全力全開!

 
今年着工予定の各案件、現在実施設計が花盛り、毎日図面漬けの幸せな日々を送っています。近年増え続けるのが、薪ストーブ需要。そんな理由で立面図には煙突の絵が増え続けています。昔は、未来になると原始的なストーブなんかはどんどんなくなるように思っていたけど、実際は反対で原始的なものほど実は普遍的だったりします。確かに家の中に炎を取り戻すのは北国の私たちにとって遺伝子レベルの欲求なのかもしれません。そんなことを考えながら毎日、図面を描いています。
 
今日はM.シェンカーなんていかが


2015年6月8日月曜日

澄川の家に山梨県の工務店さんが視察に

本日は、山梨県より地元の工務店さんが視察に来られました。一冬を越えた「澄川の家」外壁の木貼りもどんどん色変わりしてきれいなグレーに変わりつつあります。室内は穏やかで静か、二時間色々とお話しをさせていただきました。 勉強不足で今日知ったのですが、工務店さんの地元が富士山の麓で札幌よりも冬場は寒く厳しいのだそうです。本州なのに寒冷地というのは少々不思議な感じがしましたが、よくよく考えてみれば山のふもとは標高が高いわけですから当然平野より気候はずっと厳しいわけで・・・そんなこともあってなんだか話しの会う(笑)不思議な体験をさせていただきました。
 
 
正面外壁の色も随分変わりグレーの風合いが増してきました。

紫外線で色変わりが早くすぐに周囲に馴染むのはいいなあ~と感じています。

サイディング貼りの隣家の隙間からパチリ。

日当たりの強い南側はかなり精悍な感じに色が変わってきました。
 
今日はP.メセニーね!J.ホールも!


2015年6月6日土曜日

西野里山の家・・・ふと通りかかったので

 
お庭ができていた「西野里山の家」外壁の色落ちもいい感じ!南側の大開口は日射遮蔽の縦格子の中。打ち合わせで近くを通りかかったので久しぶりにぱちり。大切に住んでいただいて幸せそうな感じが伝わってくる。ちょっと嬉しくなった。

住宅街ではちょっと目立つでしょうか?(笑)

青空の下にシンプルな片流れの屋根型。


二年前にできたばかりなのに妙に風景に馴染むのが木壁の魅力。

青空と木壁。

階段室の踊り場は読書コーナーになっていて空中に跳ね出している。
 
今日はスウイングガールズなんていかが

2015年6月4日木曜日

時代が追いついてきたのかもしれない?

今日は衆議院インターネット審議中継をご紹介します。
日本という国は全体的に見れば住まいに係るエネルギーや省エネ、近年ではそうした寒い家がもたらす健康被害等々、暮らしに関わる遅れが目立つ先進国と言ってよい。そうした意味ではとてもユニークな先進国だと思う。もちろん北海道はそうした大文字の日本とは異なる。住まいを断熱することに疑問を持つ人など稀だし、暖房といえば家全体を暖めることを指す。しかしいよいよ国もその重い腰を上げ省エネの法制化にのり出すこととなった。話されていることは北海道の人間が聞けば当たり前の事なのだが、それ以外の地域の人が聞けば「ずいぶん窮屈な押し付け」と思うのかもしれない。いずれにせよ北海道の家づくりが全国区になるということは北海道民の一人として歓迎したい。

衆議院インターネット審議中継
 http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=44966&media_type=fp

2015年6月3日水曜日

山の手の家 解体工事

 
本日は3階の屋根を解体している「山の手の家」、実は解体をはじめて分ったのですが最近の家の丈夫なこと丈夫なこと。昔の家ならほとんど釘で組み立てられていますからくぎ抜きとやっとこでなんとかなります。しかし最近の家は大量にビスが使われていますから解体には三倍くらい時間が掛かります。確かにビスはしっかり効きますが、直しやすく作るという観点からはもう少し改良が必要かもしれません。 
それでも棟梁以下、大工さん4名で三階はここまで解体が進みました。当然ながら2階に下ろして再利用する柱や梁をこの後選んでさらに解体を進めます。まさに解体は創造の始まり。全員気合が入ります。

周囲には家が建て込んでいるので解体した残材を安全に地面まで下ろすのに苦労します。全て人力で運搬可能な大きさにして搬出します。今日は午後から雨になりましたので埃は収まりました。明日も解体を続けます。
 
今日はポリスで行きましょう!ほんとうに30年前なんだろうか今聞いても凄くかっこいい!