2015年6月6日土曜日

西野里山の家・・・ふと通りかかったので

 
お庭ができていた「西野里山の家」外壁の色落ちもいい感じ!南側の大開口は日射遮蔽の縦格子の中。打ち合わせで近くを通りかかったので久しぶりにぱちり。大切に住んでいただいて幸せそうな感じが伝わってくる。ちょっと嬉しくなった。

住宅街ではちょっと目立つでしょうか?(笑)

青空の下にシンプルな片流れの屋根型。


二年前にできたばかりなのに妙に風景に馴染むのが木壁の魅力。

青空と木壁。

階段室の踊り場は読書コーナーになっていて空中に跳ね出している。
 
今日はスウイングガールズなんていかが

2015年6月4日木曜日

時代が追いついてきたのかもしれない?

今日は衆議院インターネット審議中継をご紹介します。
日本という国は全体的に見れば住まいに係るエネルギーや省エネ、近年ではそうした寒い家がもたらす健康被害等々、暮らしに関わる遅れが目立つ先進国と言ってよい。そうした意味ではとてもユニークな先進国だと思う。もちろん北海道はそうした大文字の日本とは異なる。住まいを断熱することに疑問を持つ人など稀だし、暖房といえば家全体を暖めることを指す。しかしいよいよ国もその重い腰を上げ省エネの法制化にのり出すこととなった。話されていることは北海道の人間が聞けば当たり前の事なのだが、それ以外の地域の人が聞けば「ずいぶん窮屈な押し付け」と思うのかもしれない。いずれにせよ北海道の家づくりが全国区になるということは北海道民の一人として歓迎したい。

衆議院インターネット審議中継
 http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=44966&media_type=fp

2015年6月3日水曜日

山の手の家 解体工事

 
本日は3階の屋根を解体している「山の手の家」、実は解体をはじめて分ったのですが最近の家の丈夫なこと丈夫なこと。昔の家ならほとんど釘で組み立てられていますからくぎ抜きとやっとこでなんとかなります。しかし最近の家は大量にビスが使われていますから解体には三倍くらい時間が掛かります。確かにビスはしっかり効きますが、直しやすく作るという観点からはもう少し改良が必要かもしれません。 
それでも棟梁以下、大工さん4名で三階はここまで解体が進みました。当然ながら2階に下ろして再利用する柱や梁をこの後選んでさらに解体を進めます。まさに解体は創造の始まり。全員気合が入ります。

周囲には家が建て込んでいるので解体した残材を安全に地面まで下ろすのに苦労します。全て人力で運搬可能な大きさにして搬出します。今日は午後から雨になりましたので埃は収まりました。明日も解体を続けます。
 
今日はポリスで行きましょう!ほんとうに30年前なんだろうか今聞いても凄くかっこいい!

旭川っていいね!

この記事で私のブログも700回目の投稿となりました。これもひとえに読者のみなさまのおかげ。この場をお借りして心より御礼申し上げます。(笑)
 
実は先月末に現在計画中の案件のお打ち合わせで旭川でした。少し早く着いたので打ち合わせまでの時間を河原で過しました。旭川の魅力を語り出すとあれこれと尽きませんが、この河原の気持ち好さは他のまちにない特色だと思います。広々としていてテニスコートやパークゴルフ場、サイクリングコースや散歩道なんかが整備されていてどれも清潔で空いています。4つの川の合流地域に市街が広がる独特の地形は橋を渡って隣町に行くという絶好の気分転換を日常に自然に用意してくれます。一方、川沿いのサイクリングロードをつなぐと市内の各所に簡単に自転車でアクセスが可能という便利さも見逃せません。そんな訳で河原を軽く走ったり散歩したりで打ち合わせまでの時間を楽しく過しました。

河原の幅が広いので空が近く感じます。

パークゴルフ場の木陰は散歩していると本当に気持ちのいい空間です。

河原なのにこの風景はどう?

夕方のパークゴルフ場。夕暮れの時間帯は河原がもっとも気持ちよくて魅力的な時間。ずっとこの街に住んでいたらこんな老後も悪くないよね、って感じる。

旭川駅前までまっすぐに伸びるサイクリングロード。背景には大雪連峰。

川沿いの住宅街の美しい夕暮れ。「お母さん今日は焼肉にしよう!」って電話したくなる旭川時間が伝わるだろうか?
 
今日はこの風景を見て浮かんだ曲なんていかが。

2015年5月31日日曜日

今日は楽しい運動会!

 
昨日は三男の運動会だった。ちょうど次男は修学旅行、長男は泊りがけで研修ということで、三人揃ってグラウンドでお昼。「お兄ちゃんたちもいないし今年は少なめ、手抜きでいいよね~(笑)」と妻。いやいやどうして、こんな風に3人で食べるなんて久しぶり、今年も美味しいお昼をありがとう! (笑) 

それからこのブログを読んでいただいている全てのお母さんたちに心よりの「ありがとう」と「ごくろうさま」を贈ります。あっ!来週のところは前倒しってことで。(笑)

今日の曲はやっぱ運動会特集でしょう!(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=DR7tLlAcQoY

2015年5月28日木曜日

山の手の家 二階外壁ダメージ確認

当初は床下の空洞部分には目をつぶりその上に新たに断熱された床を載せようと考えていましたが、やはり古い床を解体してやりかえる事としました。そこで現れたのがこの光景でした。ネダフォーム断熱材の上に45mm角の根太材を30cm間隔に置きその上に12mmの構造用合板とおなじ厚さの化粧フロアーという構成でした。

この45mmの角材の間が冷気を運ぶダクトと化していました。変更案ではこの間に50mmのグラスウール(GW)を隙間なく充填しネダフォーム100mm+50mmGWの床断熱とします。

さてもうすぐ撤去予定の3階の壁と天井をパイロットケースとして解体し躯体内部のダメージを見てきました。その結果気密シートが機能しているところはGWの痛みもほとんどなく良好なものの、部分的にはかなり湿気が入っているところも見られたことは今までの記事で書いた通りです。続いて今日は再利用する二階の壁を部分的に解体し内部の状態を確認して行きます。

スパイラルダクトの貫通部分は躯体内部に気流が走った痕跡が見られました。当時は気密部材や良質な気密テープが少なく、こうした部分は施工が難しかったものと思われます。

気密ビニールを開口したところ。グラスウールはフィルター効果で黒ずんでいますが構造材や外壁側の石膏ボードのダメージは見られませんでした。

グラスウールの入れ方は荒っぽく施工者の意識の低さが伝わってきます。また不用意に壁の中に曖昧な空洞を残す事でそこが空気(湿気)の通り道になることがよく分ります。

こちらは窓の上ですが同じように構造材との隙間が目立ちます。壁のビニールも天井下地までで桁材まで届いていないのが分ります。
 
今日は考えて、考えて考えまくりました。一緒にフォリナーでも(笑)
 
 

2015年5月19日火曜日

遠藤又兵衛 邸を見学

昨日は日曜日の代休にて事務所を抜け出し小樽の遠藤又兵衛邸を見学に行きました。予想はしていましたけど、まあほんとうにお宝状態。小樽の旧家のお屋敷建築はどんどん解体されてなくなっていますから今のうちが見頃。とっても残念ですけど、たくさん写真を撮って来ました。

この廊下の美しい事。天井高は豪邸らしく9尺(約2.7m)もあります。

当時のお金持ちに流行した洋室。家全体は和風ながら応接室は洋室というパターンが多い。天井高は3m以上あって実に堂々としたもの。シャンデリアの他に暖炉も備えている。

こちらが暖炉。当時は火鉢なんかで暖を採っていたと思うけどこの暖炉を最初に目にした人はどんな思いだったのだろう?

凝った装飾が施された本格的なつくりの暖炉はとても珍しいものだったろう。

天井の装飾ひとつ見ても、この家の主の地位と財力が抜きん出たものであったことが偲ばれる。

このドアは圧巻!扉厚は7cm位もあって補修も完璧。

日本庭園に面した廊下

書院付き1.5間の床の間

床柱は杉の磨き丸太(太いそしてまっすぐで長い!)床框は漆塗り

もう凄い!和室は10畳が2室続きで襖を取り外すと20畳の広間となる。

書院の障子は富士山がモチーフ

暗く幽玄な和室から見える明るい庭の景色。和室の室内はけして明るくしすぎてはいけないという見本のような室内でした。

屋根の瓦も完璧に当時のままに再生。こんなお屋敷がごろごろあった全盛期の小樽っていったいどんな街だったんでしょう?まじにタイムスリップして当時を見てみたいと思いませんか?(笑)
 
今日はブレードランナーのサントラの中から一曲。I love Vangelis!
 
 

山の手の家 断熱構造の解明

本日は、2階の天井の解体に入っています。そこで不思議なものを発見しました。上の写真のように、2階の天井には断熱材が無いにもかかわらずなぜか気密ビニルのみが全面に貼ってありました。気密ビニルの役割は室内の湿り空気を綿状断熱材を直接接触させないために使います。単独で使われることは基本的にほとんどありません。

こちらは外壁側の天井を解体した写真です。金属製の天井下地に二階の天井ボードが貼ってありました。構造が分りやすいように左半分は天井ボードの下地のビニルを残してあります。その上には解体中の3階の床が30cm間隔に並べられた根太材と共に見えています。先程、綿状の断熱材は室内の湿り空気に直接さらして使わないのがコツだと話しましたが、写真の通りビニルナシの状態で露出しています。肝心のビニルはこのグラスウールを覆うことはなく天井側に折り返されています。おそらく壁をビニルで先張りして納める事が出来なかったので天井側で防湿しようと考えたのだと思います。しかしこれはあまり意味がありません。外壁側の断熱材はこの部屋の湿気だけを吸うわけではありませんし、そもそも断熱層と防湿層は接して設けないと意味がないからです。綿状断熱材を使いこなすには1:防湿(水蒸気)、2:防水(液体の水)、3:防風(低温外気にさらさない)、4:透湿の4つを明快に設計できることが大切です。1は室内側から2~4は屋外側から行うことが基本です。
 

こちらは中間仕切りの足元。なんとなく気流止めらしきものが見えますが詰め込みが甘く、湿気の通った黒い跡が見えます。

これは躯体内気流といって間仕切り壁の内部が煙突のようになって、かなり激しく外気交じりの空気が上下した時に見られる症状です。最上階の間仕切り上部にも気流止めはありませんでしたから、恐らく小屋裏の冷気が間仕切り壁の中を降りて二階の床まで到達していたと考えられます。二階の床下には冷気が走っていましたからこれとつながって冷気循環のサイクルを形成していたと考えてよいと思います。
 
 
解体を通して明らかになった問題点をまとめたのが上図です。こうした状況に陥るのはなにも施工側の問題ばかりではありません。設計者が断熱自体を十分理解していない。断熱ラインと気密ラインをどうやって通したらよいか?維持したらよいか?図面上で十分解決できていない。それ以前に断熱は工事側の問題でデザインとは別だと思い込んでしまっている。自分でも経験がありますが木造以外の比較的大きな建物を扱う設計者ほど北海道に住んでいてもこうした分野には無知な人が少なくないのも問題です。
 
北海道において、コンクリート(RC)造、ブロック造、鉄骨造、木造の中で環境的に最も進化したものは、少数の外断熱化されたRC造、ブロック造を除けば、圧倒的に木造です。解体を通して、感じたことはこの建物の作り手は丁寧でよく仕事を知っているな、ということでした。2階床の根太フォーム断熱や工期圧縮に有効な天井の軽量金属下地等々、木造屋では中々出てこない引き出しの多さを感じます。一方で住まい手に優しい穏やかな室内気候を作ることは難しかったようです。本人の頑張りとは反対に、熱環境的に室内とも屋外ともいえない曖昧な空間が多く残り、結果的に断熱建物として完成させることは出来ませんでした。

 
最後は、仮にこの断熱構造のまま性能を引き出せたとしたらどこをどのように設計者は意識し、また施工者と意識共有すればよかったのか?をまとめて、解体に関する報告を終わりたいと思います。大切なことはほとんど文章で書きましたからこの図はイメージとして設計脳に焼き付けてほしいと思います。赤線が「気密ライン」、黄色が断熱材、水色が外気(通気層)です。室内から1:気密、2:断熱、3:通気層の順で計画します。特に1と2は必ず一筆書きで完結しセットで考えることが大切です。どんなに複雑な断面形状であってもこの1~3を完全に理解し自由自在に設計できると(既存)のような屋外でも屋内でもない「曖昧空間」がなくなり、熱的な事故が激減します。もちろんこの「曖昧空間」の排除は相対的に室内空間の拡大を意味しますからさまざまなスタイルの室内空間をより多く、安全に生み出すことも可能にします。
 
今日は西内まりや ちゃんなんていかが、こんだけきれいで歌も最高!凄いね!
 

山の手の家 天井解体

こちらは天井の吹込GWを気密+防湿ビニールと一緒に解体したところ。垂木を受ける母屋(□105)や垂木(45×60)、野地板(180×12)なんかが見えます。この北海道スタイルの無落雪屋根の構造が最上階の桁梁の上に束立による四角く背の低い小屋組みを載せた構造であることが分ると思います。ちょっと気になるのは天井の野縁(天井の下地)廻りは金属製の軽天部材が使われていることです。前回の記事でも断熱層を貫通する部材の熱伝導率には注意が必要である事を書きました。小さな釘一本でも熱橋(ネッキョウ:熱の通り道の意)を生じると室温の高い側で簡単に結露してしまします。その観点から上の写真を見るといかがでしょう?野縁を吊る棒は金属製であるばかりか断熱層を貫通して外気が出入りする小屋裏に露出しています。足元の30~40cmは断熱材に埋まっていますがそれより上は外気に曝され、母屋に打ち込まれたインサートから吊り下げられていました。
結論から言うと天井断熱においては断熱材を貫通する形で金物の天井下地を使うことは良い選択とはいえません。小屋裏の外気の冷たさを伝えてしまわぬように天井の下地も全て木製とすることが大切です。個人的には断熱層を貫通せねばあちこちが納まらない「天井断熱」自体があまり好きではありません。理想は屋根断熱として断熱と天井組みを分離する方法がよいと思います。
 

こちらはスノーレーン(雨水の流れる水路)の底を室内側から見上げたところです。右側に梁セイ(梁の垂直方向の寸法の意)が36cmの大梁が見えます。重たい雪を半年間も載せておく北国の屋根にはこれくらいの寸法の梁がよく使われます。問題はこの大梁に沿ってスノーレーンが通っていることです。写真でも分るとおりスノーレーンの底と梁の天端(上端の意)の間の隙間はほんの僅かで、吹込GWで塞がりやすいのです。いったん塞がってしまうと小屋裏の換気がスノーレーンの左右に上手く流れず結露を生じやすくなります。前回の記事で天井のビニール越しに見えた茶色い染みの正体はスノーレーンの底に使われた赤ラワン製の耐水合板の色だったようです。
 
              
こちらがその結露部分のアップです。ラワン合板が結露する事により赤い渋色が直下の吹込GWの上に垂れて13年の間に染みを生じていました。
 
 
こちらは天井から落とした吹込GWを雪かきスコップで片付ける大工さん。この当時のGWはマット物も吹込みも、ちくちくして質がよくありません。現在の新築は全てマット物にしているので素手で触れますし服装も普段と変わりません。しかしこの当時のものを解体する場合は写真のように全身防護が必要になります。今後のリフォーム社会を考えると建材はどんなものでも安全に解体できるものにするべきでしょう。
 



こちらが天井断熱を小屋裏に上がって見下ろした写真。吹込GWの向こう側が天井です。天井を吊っている吊棒が断熱層を貫通して冷気に曝されている様子が分ると思います。話は変わりますが国が薦める「長期優良住宅」では天井断熱に天井点検口を設けて小屋裏の構造材を確認できるようにすることが求められますが、断熱層と構造が一体となるこうした天井断熱ではいかに困難な事であるのかよく分ると思います。想像してみてください。ハッチを空けて天井裏を確認した後、ハッチを閉めます。さてあなたはハッチの上に吹込GWをどうやって戻しますか?(笑) 天井断熱である以上は独立した小屋裏ごとに高価な断熱気密点検口を用いねばなりません。こうした部分は設計をより進化させるところでしょう。

こちらが無落雪屋根の外観。白く見えるのがスノーレーンです。こんな風に屋根の中央部分に雪や雨水を集めるように通常とは逆勾配が付いています。でも奥になにか突起が見えます。

なんと防水コンセント。読者の中にはなんでこんなところにコンセントがあるのか理解できない人がいるでしょう。(笑)実はこれ凍結防止ヒーター用のものなんです。でも通常は外壁側に付けます。この位置だと屋根の雨水管が詰まると水面下に沈んでしまいます。防水コンセントは水中コンセントではありませんので悪くするとショートしてしまいます。北海道で一般的なスノーレーンの屋根の欠点のひとつは排水先として雨水や下水設備という都市インフラが必要な点と家の中を上下に貫通する雨水管を凍結から守る熱線ヒーターが欠かせないということです。これは裏を返せば都市インフラの余力を奪う事ですし、都市生活者ほど電気エネルギーへの依存から抜け出せないという負のスパイラスを生みます。そんな理由で、北国の陸屋根を進化させる必要性を感じています。
 
今日はChayなんていかが?平成風な昭和フレーバーかね~(笑)