2014年12月18日木曜日

宮の森の家 お引渡し

昨日、「宮の森の家」が無事竣工。お引渡しとなりました。現場を最後まで支えてくれましたU棟梁、S職長、そして今回は最後まで現場を指揮していただいた武田社長、なにより貴重な機会を与えていただいた建て主様に心より御礼申し上げます。

すっかりお馴染み縦格子。西日を抑え外側からの視線を抑制し室内からは屋外が良く見えます。

こちらもお馴染み土間空間。

冬の太陽高度に合わせ家の奥まで日が差し込みます。

今回の対面型キッチンはフットライト付きのデザイン。製作はもちろんクリナップ㈱直需事業部の石川氏。

LDKの見返し。

二階にある日当たりの良い洗濯乾燥室。

外のテラスには大量の洗濯物が干せます。

洗面化粧台は各階に一箇所づつ。

レバーハンドルも今回は新デザインです。

こちらは家族の写真コーナーです。

2014年12月17日水曜日

北海道名物 産学連携 光の検討

学生さんが作ってくれた採光シュミレーションに驚く!ちなみにシュミレーションしてくれた彼は本日が初めての「澄川の家」。「山本さんのブログを見ながら実際の空間と図面を見比べながら空間をコンピューターの中に作って、採光の検討をしました。」こんな彼の話を聞いて、インターネット世代の新たな学びの風を感じました。(笑)

「澄川の家」の室内環境を数値化すべく持ち込まれた様々なセンサー類。こんな風に地元の大学とフランクにお付き合いさせていただきながら貴重なアドバイスがいただける北海道に感謝したい。

 
巨大なトリプルガラスに取り付けたセンサーの用途を説明する森先生。


昨日は天気最悪+気分最高の日だった。一昨日からの寒波と大雪で雪かきの連続、道は渋滞。そんな午後、北大工学部の森先生(Taro Mori)と院生のみなさんが「澄川の家」へ来てくれました。実は昨年から講座協力の一環として竣工建物の光シュミレーションや3D(立体)レンダリングなんかに図面を提供していてよい刺激をいただいています。「澄川の家」も居間の採光シュミレーションをしていただいて、その完成度の高さに驚いた次第・・・私は北国らしからぬ大きな窓が好きなんですけどその窓から入る光が年間を通じてどんな感じに移り変わるのか?なんてすべて想像するのは無理。たとえば夏の西日をもう少し抑えるための袖壁の長さだったり、入射光を調節する格子の間隔なんて完全に経験値の世界。採光条件の厳しい敷地で部屋のどこまで日を入れられるのか?視線の流入は抑えつつ天空光による照明効果や効率よく拡散光を作り出すには?光の話しに興味は尽きない。ぜひ検討するのが楽しくなるソフトの開発をお願いします。さらに本日は開口部に複数の追加レイヤー(たとえば断熱ブラインドとか遮熱外付けシャッターなんか・・)を加えた場合の開口部状況を解析できるよう各種センサーを取り付けていただいた。窓って難しくてたとえば日射取得したい昼間と断熱強化したい夜では全く求める条件が反転する。これを補うのが各種のレイヤーなんだけど、このレイヤーが北国の家は貧弱で北海道もカーテンくらい。逆に温暖地の家は進んでいて雨戸に障子やガラス戸なんかが戸袋から面白いように飛び出してくる。こちらも以前から「羨ましい!」と感じていた。でもねこれからが楽しみ。今日はみなさんごくろうさま!(笑)こんな風に地域ぐるみで建築を進化させてきたのって北海道の伝統ですよね~。

今日はポールギルバートなんていかが https://www.youtube.com/watch?v=RZqQukK4A0U

旧荒谷邸にて

 
先日東京大学、前研究室の院生 Seiya Yonezawa さんと「旧荒谷邸」や「澄川の家」を回った。実は昨年から北海道の建築家や工務店さん数人と高性能建物の実測に協力させていただいている。自らが設計した建物の癖を知ることは次につながる貴重な蓄えになるし、これからの家づくりは建築家一人ではなく温熱環境の専門家との協働が欠かせないと思う。実は一年半を越える長期の実測から見えてきた改良点を盛り込んで完成したのが「澄川の家」だったからご本人にはぜひ見てもらいたかった次第。作者の一人としてね・・・ 今日はごくろうさま。明日もヨロシク!(笑)

1979年竣工の旧荒谷(現タギ邸)にて熱源をサーモ画像で撮影中。 知る人ぞ知る「旧荒谷邸」は50年先を行っていた省エネ超断熱建物。現在でも延べ床面積100坪を写真の薪ストーブ一台で暖房している。


各所に付けられた温度計を撮影中。
 

現在の住まい手であるタギ博士と。



2014年12月13日土曜日

宮の森の家気密測定 二回目


昨日は第二回目の気密測定でした。何かと落ち着かない年末に突入した事もあり、かなりピッチを上げて取り組んだおかげで内装工事も概ね終了、本日の結果はC値が0.2cm2/㎡。結果も最高でした。

本日は引き続きすぐに床を塗っているのでこれ以上内装はお見せで来ませんが、明日は撮影、週明けにはすぐにお引渡しとなります。
 
今日は引き続きバンアパで参りましょう! https://www.youtube.com/watch?v=loRgZWuc42U
 
 

宮ノ丘の家Ⅱ 断熱工事+サッシ取り付け工事

剛建築工房のI所長、そしてI棟梁の協力で快調に工程を消化する「宮ノ丘の家Ⅱ」先日の雪を避けるために「屋根」工程を急ぎ、見事に雪の前に防水紙を敷くことに成功。すぐさま壁に取りかかり現在は外壁外側の付加断熱の下地がほぼ終了です。

外壁に耐力面材(筋交い)となる構造用合板が貼られ一気に家らしくなってきました。本日は納入された樹脂サッシを取り付けて行きます。

人数を増やしている「宮ノ丘の家Ⅱ」の現場の速度は速いので、構造用金物、先張りシート等々、一気に見て行きます。

こちらは壁の先張りシート。壁を突き抜けて外部のデッキを支える梁が出て行く部分です。こういった入り組んだ部分をしっかり見てゆく事が今の時期にはとても重要です。

こちらはホールダウン金物。足元に先張りシートが来ていることを確認。左側は筋交いなので断熱材を丁寧に入れることを特に大切にします。

天井に先張りシートを挟んでいる部分が外気に接する床となる部分。「宮ノ丘の家Ⅱ」では大きなガレージの上部に部屋が来るためにこのような部分が多く出てきます。
 
今日は久々のバンアパなんていかが? https://www.youtube.com/watch?v=3m49-_iI9Yc
 

2014年12月5日金曜日

宮の森の家 内装工事

クロス屋さんが今日から現場に入り下地作りを始めました。

ジョイントテープを貼ってからパテを塗り、乾いたらサンディングして平滑な下地を作って行きます。「宮の森の家」の天井は化粧吸音石膏ボードという材料のためにクロス貼りの必要はありませんが二階のほとんどの部屋が吹き抜けになるので壁が高くボードのジョイントが発生します。

こちらは階段を居間側から見返したところ。吹抜は気持ちの良い反面、作業が高所になり、なかなか大変ですが、大工さんを増員して頑張っていただいています。

物入れの天井を貼るU棟梁。あともう少しです。

宮ノ丘の家Ⅱ 建て方


本日は厳しい寒さの中、建て方が屋根垂木まで到達しました。早速先張りシートや接合部の確認を行います。
道路から見ると普通の二階建てですが斜面の下から眺めると4.5階分の高さがあるのが分ります。

まずは構造用垂木の止め付け。雪の予報が出ているので作業を慌てずにてきぱきと進めます。
 

札幌の夜景を一望できるように斜面に張り出したテラスです。

2014年11月28日金曜日

宮の森の家 内装工事直前

大工さんを増員し外装を終え、無事足場を解体した「宮の森の家」。夏場の遮熱、周囲の家からの視線制御、6名分の洗濯干しスペース、ゴミの仮置き場、そして家族のイベントスペースを兼ねるテラスが特徴的です。さらにこのテラスは下階のカーポートの上屋を兼ねるとともに建物前面の雪や雨が気にならない通路スペースとして一年を通じて活躍します。従来の北海道の家では家の内と外しかありませんでした。要は寒さを気にするあまり寒いところ(外)、暖かいところ(内)しかない家が増えてしまったのです。しかし暮らしとはそれほど単純ではなく、特に多世帯住宅の場合は寝具を含む洗濯物の量は非常に増えます。特に育ち盛りの子供がいると単世帯住宅でも毎日の洗濯物の干し場に苦慮することがほとんどです。運よく全て室内に洗濯乾燥室が取れればよいのですがほとんどの場合、坪数の増加につながったり最終的には建設費を押し上げてしまう事も珍しくありません。そこで宮の森の家ではこうした課題を効率よく解決する手段として二階のテラスを計画しました。
 
内装直前なので天井裏には様々な配管や配線が通されます。これらを天井のボードが貼られる前に全て確認してゆきます。

二階が乾燥洗濯室、下階の一部が寝室となる部分には遮音のためにグラスウールを天井にも充填します。多世帯の場合は親子といえど生活時間帯やそのライフスタイルは大きく異なる場合も少なくありません。極力寝室の上に騒がしい部屋が来ないように世帯間のストレスが増さないように上下のレイアウトを考えますがどうしても難しい場合はこうして今のうちに手当てしておきます。

電気配線、排水縦管、暖房管、冷温水管。建物の上下でお湯と水を使う場合はこれらの交通整理が欠かせません。

階段の下には暖房+給湯ボイラーが納まりますからそれらの排気口や動力(電源)等々全て確認してゆきます。

玄関の枠がつきました。床のフローリングの原板を美しく継いで太鼓状の面を取り枠としています。オイルで拭くとカバ材の赤味が引き立ってさらによい風合いになります。アベノミクスが上手く行かず、最近端は円安が続き輸入木材が高騰していますが地域材とそれを生かす腕を持った職人さんのいるおかげで当初の予定通り現場は進んでいます。グローバル経済と言われて久しいのですが、いつも為替の変動を気にして神経質に予算が上下するのは建築にとって、けしてありがたくはありません。投機や株式の流通には好都合でも、ものづくりには不向きだと思います。やはり地域で取れるものは使い、出来ることはするというのが最終的には建築価格を安定させる上で大切になると思います。

宮ノ丘の家Ⅱ 土止め擁壁工事

建物本体の基礎は建て方が可能なところまで到達した「宮ノ丘の家Ⅱ」。後は建物の両袖に当たる部分の土止め擁壁工事です。敷地が全て急傾斜地のために建物を道路から3m離しその間を埋め戻す事でかろうじて建物の前に水平な地面ができます。その地面が出来ないと材料の荷下ろしやゴミ箱の設置が出来ません。傾斜地に建物を計画するということは、平地とは異なり敷地の周囲の利用が大きく制限されます。

 
 
 
 
 
土止め擁壁を縦にニ分割して道路境界線と擦り付けます。レベルを覗くI所長の下の地面も人工埋め戻し地盤です。工事中に一気に道路までコンクリートを打つ方法も検討しましたが、もし地盤に崩れ等が生じた場合にダムとなる建物本体が完成していないと難しいのでは?との判断で道路との接続部分を後施工としました。
 
25cm厚の擁壁で隣地に土砂が流れるのを防ぎます。
 

道路面から見ると通常の二階建て足場ですが、下から見上げるとほぼ4階建て弱の足場高さとなります。いよいよ土台敷き、完了後は待ちに待った建て方開始です。


2014年11月25日火曜日

澄川の家 内覧会を終えて

 
おかげさまで無事、内覧会を終えることが出来ました。年末を控え貴重な連休にもかかわらず150名を越えるたくさんの方々にご来場いただきました。「チーム澄川」の一員として心より御礼申し上げます。また建て主であると同時に現場所長を務めてくれたM所長、そして弟のM棟梁、協力業者のみなさん、建材生産者のみなさん、流通事業者のみなさんにもこの場をお借りして御礼申し上げます。良い意味で刺激に溢れた学びの多い現場になりました。今後とも精一杯、精進してまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。
オープンで暖かなユーティリティー。外部テラスに出るドアには曇りガラスのフィルムを貼る予定です。脱衣所と洗濯そして洗面を兼ねる事も多いこうしたスペースは小さな家でも明るく広々と作りたいです。 
最近増えてきたシースルータイプのユニットバスは脱衣所を広々と明るく見せてくれます。その一方で脱衣時の視線が気になりそうと感じられる方も多いと思いますがそんな時のために脱衣スペースのみカーテンで仕切れるように考えています。

しっかり(超)断熱するメリットの一つは、室内の余計な間仕切りを減らせる事。小さな家でも驚くほど明るくオープンで広々します。断熱に自信が無いと(玄関の寒さを解決できないと)玄関ホールと土間の間に建具が必要な気がしてきませんか?(笑)しかし実際は必用なくなります。

 
超断熱によって余計な間仕切りが消えるということは、今まで寒さを理由に小さな部屋に分けていた空間をまとめて一つにすることが簡単になります。分りやすい例では居間(L)+食堂(D)+台所(K)を一体にしたいわゆるLDKの大空間。もちろん平面的に大きくするだけではなく吹き抜けのような垂直方向にも部屋を拡大することが容易になります。「北国で吹き抜けなんて作るもんじゃない。」そんな風に言われた時代もありましたが今ではより明るく美しい光を愛でることや日射熱を室内に取り込んで暖房費を削減する事も出来ます。 

「澄川の家」の朝。日照時間の短い冬場こそ、居間を光で一杯に満たすために外部の庇の出巾や窓の大きさを計算しています。

北国の冬の日は短い。しかしそれに合わせて間取りを工夫すればむしろ明るく楽しい季節になります。それにしても太陽が低いのが光の角度で分りますよね~。

 
超断熱により、暖房に必用な熱量自体が減ると逆に日射や人体発熱、照明や炊事、洗濯、家電等の生活排熱が無視出来ない暖房に変わります。結果として薪ストーブだって家計を気にせず楽しむ事はもちろん燃料費の高騰も気にならなくなります。よく、「電気料が上がったのでこれからの暖房はなにがよいでしょう?」という人がいますが、そもそも燃費が良い車なら別にガソリンでもディーゼルでも電気だってかまわないと思いませんか? 中々今までの経験から抜け出せない人や逆転の発想に乏しい人に限って効率の良いハイパワーな暖房器具に頼りがち。実は暖房器具の種類なんてあまり問題じゃありません。好きなものでいいんです。(笑) 

夕方、照明が点いてからもきれいでした。
 

大好評だった家庭事務コーナーと勉強スペース。

キッチンは今回もクリナップさん。素敵なキッチンをありがとうございます。
 
今日はこの仕事のきっかけを与えてくださった奥様にシューマンを贈ります。