2014年11月17日月曜日

澄川の家 内覧会のご案内

 
かねてより、「チーム澄川」一丸となって取り組んでまいりました「澄川の家」がおかげさまを持ちましてもうすぐ完成の予定です。つきましては見学会を行いますのでご案内させていただきます。なおご来場は事前にお申し込みをいただいた方に限らせていただきますので予めご了承下さい。

■澄川の家とは?

 光栄にも仲間から指名されて始まった「澄川の家」。
お話しの発端はいつも断熱材を供給してくれるパラマウント硝子工業㈱の担当者Mさんからだった。「自宅を考えているのですが設計をお願いしたいんです。ただ作るのはまだ300mm断熱の経験がない主人の会社です。これって可能でしょうか?」いつも屈託のない朗らかな彼女の言葉は今回も相変わらず明解なものだった。彼女のご主人が工務店の二代目で昼間仕事をしながら深夜まで資格取得の勉強に取り組んでいることや数年前の内覧会に弟さんの棟梁と共に見学に来ていたのは知っていた。しかし工務店にとって設計事務所は敷居が高いだろうし、ましてやお互い初めてのチャレンジはきっと決心までのハードルも高かったはずだ。そんな想いが一瞬頭を過ぎったのも束の間、「はい!精一杯努めます。」と次の瞬間、笑顔で快諾してしまった。後で想い出して見ても少し不思議だが、きっと仲間からの依頼が本能的に嬉しかったのだ。今まで数々の現場を共に
納めてきた仲間から「今度は私の家を!」と指名されることはやっぱりたいへん嬉しく名誉なことだ。昨年も初めての工務店さんとの素敵な出会いがあったが今年も心機一転、精一杯頑張ろう。そうして現場は始まった。しかし掛け声通りすいすいとは行かないのがものづくり。ゲリラ豪雨事件をはじめ多くの困難が...(ここら辺はぜひ過去ログを参照してください。)

■コンセプト

早くから開発が始まった澄川地区、1972年の冬季オリンピックに合わせて開通した札幌市営地下鉄南北線は選手村のあった真駒内と札幌の中心市街地を経由して麻布をつなぐ。地下鉄駅沿線のまちが栄えその周りに住宅街が開発された70年代。今回の敷地もそんな歴史を持つ街並みの一角にある。北側敷地で日当たりが良くないこと、東西南の隣地は既に建て込んだ状態である事。そこに共働きの夫婦の住まいを設計することになった。お互いの車が二台縦列で止められることや子供ができた時には簡単に模様替えが可能なこと。家族共用で使う書斎コーナーや特注の対面型キッチン、日当たりの良くない敷地の性質を逆手に取った吹き抜け付きの二階リビング。地場産の超断熱サッシや遮熱ブラインドに断熱ブラインド。暖房は床下温水暖房と薪ストーブ。換気は今回地熱で冬場の冷気を予熱するアースチューブ(埋設給気管)付きのパッシブ換気とした。内装はクロスの他に左官やタイルを多く用いている。外装は今回が始めての木製の目透かし貼り。今まで多かった押し縁とはまた一風違った表情になっている。その他に屋外からも屋内からも使える食品庫付き物置や外からの視線の乱入防止と日射取得を両立する縦格子、室内化された屋外テラスも備え、まちなか暮らしが楽しめるように考えた。

●北国の特徴を生かした、二階居間(LDK)型プラン
●断熱方式を変え採光を得るための居間吹き抜け空間
●寒さを暮らしに生かす冷温庫付物置
●対面型キッチンはカバ材を用いた専用設計
●食卓は旭川家具による伸縮テーブル、椅子や床ガラリも地域産
●パッシブ換気+アースチューブ(地中埋設給気管)
(換気と暖房に自然エネルギーを併用する北海道産技術)
●薪ストーブによる穏やかな輻射暖房
●塗り壁、タイル、道産カラマツ、カバ材による内装
●給湯と暖房(熱源:プロパンガスによる潜熱回収型ボイラー)
●ドイツのPHI-A認定のサッシ(断熱サッシとして現在、世界最高の性能です。)
●圧倒的な断熱性がもたらす寒さのない穏やかな室内(300mm断熱)
●週末の焼肉が楽しみになるインナーテラス
●夜を楽しむ内照式照明、LED照明
●北海道産とど松による木貼の外装(開放型通気層/目透シ貼)
●屋根は0勾配シート防水による無落雪タイプ
■見学をご希望の方(北方型住宅ECO推進協議会HP、北方型住宅HPをご覧の方々も同じ)
1:住所、2:氏名、3:ご連絡先(携帯でも可)を記入いただき下記のアドレスまでお送り下さい。
確認の後、地図を返信させていただきます。

連絡先 teste-ako.ao@dream.com(誤送信防止のためteste-以降のアドレスをお使い下さい。)

*:いただいた個人情報はご本人様確認以外には使用いたしません。

■おねがい
おかげさまで、最近の内覧会はたくさんのご来場をいただくようになりました。これもひとえにチーム全員の活躍を楽しみにしていただいているみなさまのおかげと心より感謝いたします。しかしその一方で近隣とのトラブル(違法駐車、ゴミ、タバコの投げ捨て等)も見られるようになりました。残念!(もちろん少数の心ない人の仕業ですが/笑) 私たち地域の作り手に興味をもっていただき、貴重なお時間を割いてまでご来場いただくことは嬉しい限りです。ぜひたくさんの方々に地域の職人さんたちの仕事を見ていただきたいと思いますが、こうした現状も踏まえ、ご理解をいただければ幸いです。ハードルを上げることはけして本意ではありませんが、たとえ人数は減っても実りある見学会を目指してまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。 ぺこり
                         「チーム澄川」プロジェクトマネージャー  山本亜耕
 
今日は竣工の目処もついて久々の「ホッ!」が出ました。
気分はモーツァルトですね~(笑) https://www.youtube.com/watch?v=RXjafS7LlEA

 

澄川の家 製作家具工事

実は僅か26坪の「澄川の家」ですが食卓テーブルは6人掛けなんです。もちろんそんな大きなテーブルがそのままでは入りませんから折りたたみ式。その製作を担当したのはもちろん上川の「匠工芸」さん。先日、現社長の桑原義彦氏が「黄綬褒章」を受章しましたが、当事務所の椅子やテーブルを長年作ってくれる老舗の家具屋さんです。
 
黄綬褒章について http://takumikohgei.com/news/

これが伸び縮みの仕掛け。黒いのは天板の反り止めの分厚い鉄板。材質は?まあ~「匠工芸」と言えばナラ材ですよね~(笑)。

写真のテーブルは見ての通りチョット取り付け方も変わっていて半固定式。奥に見えるフローリング製の対面キッチンにテーブルの片側を固定する事で本来は4本必用な脚を1本にまとめてしまいます。

M所長と匠工芸の二代目K部長の協働作業。同じ二代目同士、これからも刺激しあってよいものを作ってくださいね~。

取り付け完成がこの状態。足元がスッキリしてお掃除もラクラク!(笑)天板をフルに延ばせば長さは1.8mの6人掛け。混み合う椅子の足元も、テーブルの脚がないとほんとストレスがありません。

こちらが通常の4人掛けに畳んだ状態。

跳ね上げる事でもうニ席分のスペースが簡単に作れます。こんな合理的なレイアウトが可能なのも今回、流しを担当してくれたクリナップ㈱さんと㈱匠工芸さんのコラボレーションのおかげ。普段から風通しの良いコミュニケーションを作っておくことでそれぞれの得意分野を生かしたものづくりが可能になります。写真の対面型キッチンは最近考案した新しいデザイン。「コの字型レイアウト」のもの。壁面長を最大限使えるので小さなスペースでも対面型レイアウトや6人掛けテーブルが採用し易い。個人的には立派なソファーよりも大勢で囲めるテーブルのデザインが好きです。

今回も床ガラリは「匠工芸」枠はエコシラ合板を留め切りにして納めました。
 
今日は森山直太郎で若者たちなんていかが?昔の歌だけどちょっと涙が出そうになるのはなぜ?
 

宮の森の家 外壁木貼り工事

快調にピッチを上げて外装の一回目がほぼ完了した「宮の森の家」です。実は以前にも触れましたが、私の設計する案件はこの木貼りの外装に人気が集まっています。安価な貫材を縦貼りした簡素なものですが、意外や完成からほぼ一年で味わい深く色変わりします。

隣地の賃貸マンションの窓が敷地に向いてずらりと並んでいるので、後から家を建てる当方としては何らかの配慮が必要となります。いろいろ考えたのですが近すぎるのと見下ろされる位置関係に配慮してこの方向には窓を全て付けないことにしました。相手側から見れば室内は暗くなりますが、窓を開けると美しい縦貼の木壁のみで視線を気にする事もない。こちら側も、窓がなければ普段から気を使いすぎることもない。日本の住まいは割と隣地に向けて窓を簡単に取ろうとしますが間取りを考える段階から、特に建て込んだ敷地の場合は視線の交錯に十分注意したいものです。

押し縁で板と板の間を塞ぎますがその押し縁よりも外に水切りが出ているか確認しておきます。

外部に木を貼る場合には乾燥や湿気で動く事を想定して3~5mm程度隙間を開けます。このフリクション吸収の工夫がないと力の逃げ場がなくなって、外壁が盛り上がったり、狂いやすくなったりします。

南側敷地でありながら全ての隣地の窓が近接する条件の中で、視線の交錯を避けながら必要な採光や通風を取る事はなかなかたいへんです。写真は二階北側の寝室の前に設けたテラスを下から撮影したところですが、このテラスの目的のひとつが裏の家の居間の窓との視線交錯を避けることです。
 

化粧吸音石膏ボードの割付けを前提にした天井下地の確認です。天井の構造材を顕した力強い表現も人気がありますが、通常通り天井を貼り仕上げたものも捨てがたい魅力があります。特に天井を、大胆な吹き抜けにし易い二階居間プランが多いせいか、一般的な水平天井はほとんど二階では用いません。空間の面白さを追求すると天井をはじめ垂直方向の要素をより注意深くデザインした方が効果的であることに気付きます。そんな訳で天井の演出は毎度ながら欠かせないのです。

宮ノ丘の家Ⅱ コンクリート打設直前

いよいよ明日に迫ったコンクリート打設。なんとか建物の二階が前面道路まで到達しました。大雪後の気温が+のためになんとか温度調整ナシで打設が見えてきました。

 
写真は温水高圧洗浄機で雪を溶かしているところ。雪国の現場ならではの光景です。
 

道路との高さ関係も想定通り。相変わらず絶景の「宮ノ丘の家Ⅱ」の現場です。

I所長とともに今回も現場を担当してくれるM主任。よろしくお願いいたします。

2014年11月12日水曜日

澄川の家 竣工まであと少し

写真は左官屋さんが仕上げの見本を作っているところです。本来はその地域、その地域の土や砂利そして砂、時には藁なんかを混ぜて味わい深い壁を塗ってくれる左官屋さん。特に北海道は内装に関しては乾式仕上げが主流なので左官屋さんの出番は少ないんです。でもね~やっぱりいいもんです左官の仕事。でも本来は温度に敏感な季節の仕事でもあって冬に向かう現場ではなかなか良い仕上げになりにくいのも事実。しかし300mm断熱の完了した「澄川の家」の室温は暖房ナシで15℃以上もありますから心配はご無用。窓と壁の断熱性が非常に高いので低い室温でも意外に寒さを感じません。実はこのそこそこの室温が左官の仕上がりに大切なんです。室温が上がりすぎると空気は乾燥し周囲の湿気を吸い取ろうとします。少しづつ穏やかに乾燥させたいのに断熱の貧弱な家の場合はどうしても暖房を効かせ気味にせざるを得なくて、その結果左官の仕上がりに致命的なひび割れや縮みを誘発し易くなるのです。温度がそこそこだと湿度もそこそこ実は300mmの超断熱化に取り組んでみて感じたのはインテリアに優しいということ。断熱を新たな視点で見直して家づくりの中心に置くといいことがたくさん見つかります。

親方の木鏝(キゴテ)。船底のようになっていてこの鏝の角度で自由自在に壁の模様を作り出します。もちろん鏝の種類もたくさん。それぞれの鏝でみな表情や味わいが異なり、親方が気持ち良さそうに「こんなのもできる、これも面白い」なんて呟きながら壁を塗っている姿は、いくら見ていても面白くてぜんぜん飽きません。

プラスチックの鏝に持ち替えて静かな表情の壁にしてみたり。

秘密の道具を横に動かしてまた別のパターンを作ったり。

上から押さえて凹凸感のある柄にしてみたり。

まるで雲のようだったり。

より動きのある鏝ムラの躍動感だったり。
 
壁の表情を美しく演出するためには光を壁に平行に当てる事。正面から照らすと影が出来ずにぺたっとなって残念な表情になります。間接照明を上手に使いながら壁の表情を引き出そう。そんな事を考えました。現場も終盤に差し掛かり完成まであと一歩。内覧会も企画していますのでどうぞお楽しみに。「チーム澄川」一同、気合入ってます。(笑)
 
今日はDemi Lovato なんていかが。もうすぐアナ雪のシーズンってことで(笑)

2014年11月10日月曜日

宮の森の家 コンセント位置確認

気密試験が終了するといよいよ電気配線工事。内装と室内側付加断熱を兼ねる下地を室内側にもう一層作り、そこに配線してゆきます。上の写真はそんな特別製の壁構造がよく分る写真。水平に走る下地材の上にオレンジ色の気密ビニールが見え、その上にもう一層下地が組まれ断熱されているのがお分かりいただけると思います。私たちの現場では気密ビニルの内側で電気の配線を行います。こうすることで気密ビニールを破くことなく配線が自由にできるようになります。現在一般的な仕様書では壁の中に配線しておいた線をビニールに穴を空けて取り出しスイッチや器具を取り付けます。穴の開いた部分は再度気密処理となっていますが、別の観点から見ればそもそもせっかく大工さんが苦労して完成させた気密構造を一時的とはいえ破るのは矛盾していると思います。そこで設計の段階から断熱層と配線層は分けて計画することで各工種どうしの衝突をなくし、気分的にも性能的にもより高い水準を目指しています。こうしたディティールの工夫は設計者にしか出来ないことです。特に若い設計者にお願いしたいのは正しい設計思想を図面化することを普段から意識し、仕様書の丸呑みではなく健全に疑う「なぜ?」の精神を大切にしてほしいのです。

ビニールの内側に取り付けるので気密コンセントボックスやシール材は必要ありません。


電気の配線が行われるということは、他の配管も同様ですので貫通部分等々を確認してゆきます。写真はお湯と水の配管。二階のキッチン用です。

こっちは暖房用の配管です。
 
先日の気密試験はまずまずでしたが、気密性能命の武田社長により外部側から気密シールされた窓廻り。これから雪に備えて外壁先行で仕事を進めますので隠蔽部分は再度チェックです。

秋晴れの中快調に工程を消化する「宮の森の家」

宮ノ丘の家Ⅱ 1階配筋工事

秋晴れの日差しを浴びてすっかり落葉した周りの雑木林。その中で1階部分RC造の鉄筋が組み上がってゆきます。急勾配の敷地のためにコンクリートでまず最初の2フロアー分を作り、その上に木造を2フロアー乗せるという順番で家を建ち上げてゆきます。

前面道路がちょうど中間階に来るために、完成すると道路側からは普通の二階建て、坂ノ下からは3階建てに見えます。まあ実はその下に基礎の1フロアー分が埋まっているのですが。(笑) 地上に見えるところまで工事が進むのが随分他の現場に比べて遅いと感じる方も多いと思いますが工事のボリューム的には二倍以上なので、もう少々我慢が続きます。
1階からでも、札幌の街が一望です。
 

2014年11月3日月曜日

宮の森の家 気密測定 一回目

「澄川の家」の後は「宮の森の家」の気密測定、第一回目。気密が取れているかいないかはどんなに施工に熟練しても必ず現場ごとに測定し確認する事が大切。ではなぜ二回も行うのでしょう?どうせなら最後の1回で終わらせるのが簡単でよいのではないでしょうか?中にはこんな風に感じる人もいることでしょう。もちろん現場の工事というものは建て主さんの大切な予算で進めているのですから一度で済むものを二度行う必要はありません。二度行うのはそれぞれが別の目的を持っているからです。 
減圧機を動かして室内の空気を外に吸い出すと室内に貼った気密ビニールが引っ張られてパンパンに張ります。建物の室内の気圧が外に比べて低い状態(負圧)になると今度は建物のどこかの隙間から外の空気が入ってきます。窓廻りや屋外との貫通部、排水や電気の管の引き込み等々実際に手をかざし時にはサーモグラフィー等も使って漏気部分を探します。第一回目の気密測定をビニールや窓の気密テープが露出した時期に行う理由はこの漏気部分を見つけ処理する事を主な目的としているからです。漏気部分が特定できてもその他の部分が完成していては直すことが難しいのです。

圧が掛かった状態ではじめて窓廻りの気密が取れているかどうかが分ります。

計測中。室内のビニールはどこもぱんぱん。性能が出ている証です。

結果はC値で0.3cm2/㎡。第一回目としてはまずまずです。これから外壁や壁を作るにつれて性能はまだ上がりますので次回が楽しみです。

澄川の家 気密測定二回目

本日は、「澄川の家」の二回目(最終)気密測定です。何度もブログで書いている通り断熱という目的を達成するために欠かせないのが気密という仕事。同時にそれは実際に計測してみるまで分りません。どんなに気密施工に手馴れていても毎回しっかり計る事でした確認できないのが気密。簡単なのに奥が深い世界です。

写真は計測中の様子。今室内の空気を屋外に吸い出しています。

家全体の隙間を表すのが右上の数字。12cm2、要は家全体で3cm×4cmの隙間量。小さな「澄川の家」といえど立派!、M棟梁、M所長、そして現場のみなさん!おめでとうございます。(笑)

M棟梁が手に持っているのが通常仕様の気密試験用の整流筒。上が超気密住宅仕様の小口径の整流筒です。気密を示す指標であるC値が0.5cm2/㎡以下の建物を厳密に測る際に用います。
 
今日は赤平でロケット開発に打ち込む植松社長のお話し。ぐっと来ました。

2014年11月1日土曜日

澄川の家 足場解体+内装ディテール(細部)

 
足場を解体した「澄川の家」。今回始めて採用したとど松の目透シ貼はいい感じ。従来の貼り方とは異なる表情に仕上がりました。木貼りなんていう言葉を聴くと一見古臭い感じもしますが、貼り方やそのデザインは無限です。反対にこんなに色々な貼り方やデザインに対応できる木というものやそれを自由自在に加工して取り付ける大工さんはほんとうに凄いなとあらためて思います。画一的な大量生産品が安い!から地域の特産が一番安い!そして美しい!となってほしいものです。そんな意味でも木貼り「いいね!」と言ってくれる住まい手さんは強力な味方。建築が一般的なものづくりと大きく異なるところは建築主というスポンサーが必要なことです。絵や彫刻のように好きで自分で作る。ということは基本的に難しいのです。ということは建築の外観は建築主さん次第とも言えなくはありません。建築家や作り手は提案はできても最終的にそれを決めるのは建て主さんだからです。別に木に限ったことではありませんが、あんまり画一的な表情ってツマラナイよね!今、私の周りにはそんな建て主さんが増えてきました。(笑)

パッシブ換気のための塔屋が二つ飛び出した特徴的な概観が現れました。
 
大工さんは今度は室内で大活躍です。美しい北海道産白樺の積層合板でドアの枠廻りを作ります。

こちらは玄関の巾木(靴で触る部分)壁が汚れないように構造用合板というラフな材料を用いながら高い精度で納めて行きます。壁から飛び出す巾木の厚みはピッタリ3mm。材料はラフなものでも仕事までラフだといけません。仕上げは床に美しいタイルを貼って完成です。



宮の森の家 板金工事

壁を30cm分厚く断熱するので窓は壁の厚みのほぼ中間に取り付けます。まだまだ北海道の家でも外壁面より窓が飛び出す取り付け方が大半ですが、窓の性能を十分引き出すためには断熱材の厚みの中心に窓を近づけることがたいへん重要です。

 
窓が壁よりも室内側に引っ込むと、窓自体に当たる雨の量は減りますがその分壁に当たる分は増えます。そこで今までの木造の建物では珍しかった水切りを各窓の下に設置して雨を壁の外に落とすように工夫します。黒っぽく見える板金の色は、最近大人気の木製外壁の色変わりが終った後、周りピッタリマッチする色の中から選んでいます。従来はサイディングのような「新しい+きれい」に人気がありましたが最近は急速に木の外壁に人気が集まっています。政府の推奨する「木材ポイント」もその一因でしょうが、実感として感じるのは色変わりや変形のような、以前はともすればクレームと一蹴されそうな事柄を乗り越えて、経年による木肌の表情の移り変わりや変形を自然な味わいとして一般の住まい手さんが受け入れてくれるようになったように思います。もちろん傷んだ時は管単に取り替えられるように外壁はビスで止めつけたりしますが、今までサイディングがほとんどだった街並みに木の外壁が増えるのは木の島「北海道」の建築家としては嬉しい事です。
 
こちらは南側のテラスの骨組みです。まだ床板は張っていませんが、この骨組みの頭にも雨で傷みにくいように全て板金で防水します。

こちらは大屋根の板金。北海道の板金は伝統があって優秀。この形状で雪の落ちない屋根ができます。
 

こちらは下から見上げたところ。壁の通気を処理する通気部材が付いているかどうかの確認です。
 
先日の上棟式でいただいた棟札。これから長きに渡り、家を守るご神体として壁の中に納められます。