2014年8月22日金曜日

澄川の家 構造パース

従来は、設計者と棟梁の頭の中にしかなかった建物の骨組み。今や立体化して自由な方向から眺める事が普通になりつつあります。写真は、今回はじめてお付き合いするプレカット工場の最新版加工用CAD(材料を加工するためのプログラム)の3D出力の映像ですが、土台や横架材をピンク、柱を黄色、間柱を空色、筋交いを緑で示し一目で全体像が把握し易くなっています。

 
0勾配の屋根を外張り断熱し室内側から構造材をリズミカルに楽しめるように大梁と直交方向の部材は間隔を詰め、部材寸法を小さくしてみました。いよいよ週明けから建て方。今から楽しみです。
 
今日もBuzz Feitenで行きましょう!

2014年8月21日木曜日

宮の森の家 基礎配筋工事

みなさん、8/19の雨はひどかったですね、今年は全国的に大雨が頻発し特に西日本では死者まで出る大きな災害になっています。北海道もここ最近は、一端降り出すともの凄い量の雨が短時間に降るスコール型の天候に変わってきているように感じます。現在、基礎工事が進行中の「宮の森の家」の現場でも土の掘削終了後、雨に合いせっかく掘った地面に水が溜まってしまいましたが後日全てポンプで排水し砂利を敷き込んで基礎の鉄筋工事が始まりました。

基本的に札幌市内の旧国道5号線より山側は直接基礎に適した良好な地盤が多いです。「宮の森の家」の敷地も固く締まったシルト層。現在露出しているのが地山(じやま:もともとあった地層)。造成で盛り土するのは一見土地を使いやすくしているようにも感じますが硬く安定的な地山の上に不安定な土を置いた構造という見方も出来ます。数十年動いていない盛り土は信頼性が高く問題ありませんが、新たに行う盛り土の場合は固い地山まで杭や基礎を伸ばして直接建物の加重が掛かるように設計します。基礎下に砂利を入れる場合は後で下がる事がないように十分転圧し締め固めて地山と馴染ませておく事が大切になります。

緩い傾斜地のために基礎高さは二段階に切り替えます。理想を言えば傾斜地の勾配なりに基礎を作れると一定の深さが維持できてよいのですが、さすがに難しいので写真のように階段状に切り替えながら凍結深度を維持します。

明日は配筋検査。頑張るぞ!(笑)
 
今日はBuzzフェイトン!この調子で快調に行きましょう!(笑)
 

2014年8月19日火曜日

澄川の家 新しい外壁に悩む

 
みなさんお久しぶりでした。お盆は十分休めましたか?私は今年前半着工した家の書き残した図面をずっとまとめておりました。まあ~ものづくりですから毎年こんな感じです。(笑)

 その間に「澄川の家」の工程も順調に進み!と行きたかったのですが・・・そこはものづくり、毎度ながら全て順調とは行きません。(笑) まあその問題とはずばり「工期」。今回、初めて300mm断熱に取り組む ㈱飛栄建設のM所長の見立てによれば工期が明らかに不足気味。おまけに地域型ブランド化事業の補助金の申請期限等々を含めると、今から1週間くらいは巻きを入れたいところ。そこで外壁の仕様を変更する事を提案した次第。おなじみの押縁仕上げではなく、より簡単で、見栄えもよく、安価な仕様を考え中です。

写真は現場を担当するM所長。手前に見えるのは外壁の貼り方の実物大模型。地元で手に入りやすい材料を使って北海道の個性溢れる外壁の板貼りを試作中。最近、環境意識の高まりと同時に木製の外壁の要望が増えてきました。クライアントさんの中には、熱烈なファンもいてうれしい限りなのですが、そうした希望に答える為にも従来の貼り方の他に新たな木貼りに挑戦しようと思っています。

横に貼ってみたり・・・

たて、よこでリズムを作ってみたり・・・みなさん完成をぜひお楽しみに!(笑)
 
今日はゲットバックなんていかが、工期よ!帰って来い!そんな感じで(笑)
 

2014年8月8日金曜日

澄川の家 床下断熱工事

 
数日前、「澄川の家」では床下の断熱工事を行いました。写真は厚さ10cmのEPS断熱材です。この断熱材を防湿処理した床下に敷き詰めその上からコンクリートを打ってしまいます。こんな風に床下は完全に断熱された室内となります。

 
基礎をしっかり断熱する事で外気や土壌の温度に影響され難くくコンクリートの大きな熱容量を生かした床下空間が完成します。外断熱で大きな熱容量を室内側に開放することは温度変動の少ない穏やかな室内を生み出しますし、暖房も冷房も極小運転や時には間欠運転で十分になります。

2014年8月7日木曜日

宮の森の家 GL設定

 
無事着工した「宮の森の家」の敷地です。写真はGLの設定をしているところ。一般的に敷地が水平な平坦地の場合、悩む必要はありませんが、傾斜地の場合はどこの高さを玄関前に設定するかで後々までの家の出入りのし易さが決まってしまいます。従来、日本の家は住い手の健常期を想定した間取りが多く、高齢化や二世帯の使用を前提にした設計を取り入れる意識自体が希薄でした。スクラップ&ビルドを当然のように受け入れて来たライフスタイルや不動産価値を建物に薄く土地に厚く配分する日本独自の価値観も建物寿命を本来の耐久性よりも遥かに短いものにしてきました。要は日本において住宅は二~三十年で建て替えることが当たり前であり、高齢化による身体機能の低下や売却や譲渡により第三者が新たな住まい手になるというケースは想定外とされてきたのです。30年もローンを払って同じ期間、自分しか住まない(住めない?)家を延々と作り続けることなど続くはずもなく、世帯数を住宅ストックが上回ってもなお新築を作り続けなければならないのは、一つには世代を超えて住み継ぐことができる、まともなストックが乏しいことも理由の一つです。たとえば当たり前のようにコンクリートで固定的に作る玄関ポーチをあえて造らない。後に発生するニーズを見越してあえて作り込まないのも意外に賢い選択です。そのためには変更が困難な地盤の高さを計画当初からしっかり読み込んでおくことが欠かせないのです。「宮の森の家」では車寄せよろしく、屋根の下にカーポートと玄関を設け雨や雪に当たらずに車の乗り降りを可能にしようと考えました。車の出入りを想定した高さならば後にスロープに改造しても勾配が急すぎることはありません。


2014年8月1日金曜日

澄川の家 アースチューブ敷設工事その2

澄川の家の敷地は非常に水はけの良い火山灰地層。地熱で外気を暖めて室内に引き入れるアースチューブを敷設してゆきます。ちなみに地下水位の高い敷地ではアースチューブに限らず管を埋設して何らかの工夫をする際には細心の注意が必要です。どんな敷地にでも可能な方法ではないのでまずは敷地の状況をよく観察して判断する事が大切です。土が乾燥していても、外気と管内の温度差によっては内部結露も考えられます。そこで浸透枡や点検口を設置して管の内部の健康診断や必要とあらば洗浄がいつでも可能なようにしておきます。
 

ピンク色に見えるのは外貼りした断熱材の隙間にウレタンを注入したところ。乾いたところできれいに削り取って左官屋さんに渡します。

通常、北海道では外貼断熱材の仕上げは基礎の周りを埋め戻した後、一番最後に行います。基礎の保護モルタルは土の上だけで、土中の部分は断熱材が直接土に触れています。しかし近年は北海道といえども温暖化の影響でシロアリの被害が聞かれるようになりました。そこで「澄川の家」では設備屋さんの配管が終った後に左官屋さんが断熱材の表面と天端を樹脂モルタルでしっかりコートしてから土を埋め戻す事にしました。この後建て方が始まると1階の床組はホウ酸処理の予定です。
 
今日は懐かしめでABBAなんていかが!

2014年7月28日月曜日

澄川の家 布基礎コンクリート打設工事

みなさん、先週末から凄い雨でしたね~。「澄川の家」では運よく雨の前にコンクリートを打設することが出来ました。建築というものづくりはある意味、自然が相手。こんな時には少々得した気分になります。(笑)

左側の人がコンクリートを流し込むと、素早く右側の人がバイブレーターと言われる、振動するホースをコンクリートの中で上下させて型枠の隅々まで回るようにします。こんな風に息を合わせて見る見るコンクリートを打ち込む様子は毎度気持ちのよいものです。アンカーボルトもしっかり治具を
使って割り付けてあるところが良いと思います。理想を言えばボルトの頭にコンクリートのトロが飛ばぬようにテープ等で養生すると完璧です。
 

2014年7月26日土曜日

宮の森の家 地鎮祭

 
今日は着工が決まった「宮の森の家」の地鎮祭でした。
北海道地区は今日から天候が崩れ始めるとの予報通りでしたが、まあそこは地鎮祭、「雨降って地固まる」の例え通り、縁起のよい幸先です。ほんの少しの雨もすぐに上がって和やかな式になりました。宮司さんは近隣の北海道神宮から、朗々と祝詞(のりと)を読み上げ、工事の安全、建て主さんご一族の無病息災をお祈りします。私は仕事の関係上毎年、地鎮祭に立ち会いますが、不思議と慣れるということがありません。これから現場が始まり、たくさんの職方さんとの出会いを通して無事竣工を迎えるときのことを想うと毎度ながら闘志が湧いてきます。さあ~て頑張りましょう!ちなみに「宮の森の家」は300mm断熱プロジェクトの記念すべき15棟目。
担当するのはすっかりお馴染み㈱丸稲武田建設さんです。

住宅街に宮司さんの拍手(かしわで)の音が響きます。

祭壇に玉串を奉納し、8月からの工事の安全をお祈りしました。
 
今日は建て主さまとご家族に素敵な曲を贈ります。(笑)
 
 
 

2014年7月25日金曜日

澄川の家 基礎断熱工事

「澄川の家」の現場では基礎断熱工事が始まりました。右側に見える白い板がEPSと呼ばれるボード状断熱材です。断熱性能を示す熱伝導率λは0.033W/mK。断熱性能は最新の高性能グラスウールと変わりませんが、剛性の高さや土中での耐久性、生産の早さ、断熱から地盤改良まで使える汎用性、5cm刻みに最大50cm厚まで製作可能等の理由で最近よく使います。もちろん費用対効果も高く、当事務所の現場では大活躍しています。基礎断熱の利点は床下という、天井が低いだけで1階の面積と大差ない大空間が室内として様々に使えるようになることでしょう。従来の床下換気口を持つ床断熱は単なる床下という曖昧な空間が使う当てもないままに残るだけでしたが、基礎断熱にする事で、本来各階に設置する暖房器具を床下にまとめる事ができたり近年は冷房器具も設置が可能になっています。この他にも、寒冷な外気を床下で一端温めてから室内に供給したり、水道凍結の心配がなくなったり、照明を設置すればけっこうな物置空間としても使えます。一方で注意が必要な点は防蟻対策やコンクリートの湿気によるカビ、夏型結露、止水防水対策等です。まだ新しい基礎の作り方ですが、こうした対策のもとに採用すると家全体にとってメリットが大きいのも基礎断熱の特徴です。

基礎断熱に用いるEPSは厚さ160mm。この程度断熱すると冬場、基礎の周囲の雪はぜんぜん溶けない。零度以下で粉雪の状態の雪が基礎周りを覆うと、天然の附加断熱となって外気の寒さで床下が冷えることはない。反対に中途半端に基礎断熱すると家の中の熱が基礎の外周部の雪を溶かし基礎と雪の間に隙間が出来る。そこを冷気が吹き抜けることで空冷よろしく基礎はどんどん外周部から冷やされる。

写真では断熱材の左側に接して型枠を使っているが、100mm以上のEPSなら強度的に本来型枠は必要ない。基礎にも外壁と同じグラスウール300mm相当の性能を求める場合は基礎の室内側に120mmのEPSを用いる。こうなると基礎の外周部はオール型枠なしとできる。一方で脱型時にジャンカや充填不良を目視できなくなるために、室内側は多少手間がかかってもボンドによる接着を行う作り手もいる。
 
今日はV.リシッツアなんていかが

2014年7月22日火曜日

家庭菜園しませんか

 
趣味と実益をかねて?(笑)はじめた家庭菜園も気付けばもう10年。
お客さまには大人気なんですけど、最近はご同業にも薦めています。
日当たりに風向き土質に堆肥、根の保温に、防風養生・・・
なんだか建築に似ていませんか?(笑)

今日は音が映像を連れてくるそんな素敵な一曲。
先日、ノーテーション(記譜法)をテーマにした設計競技をしましたけどやっぱり音楽の表現って建築より進んでるな~と感じた次第。みなさんはこの曲を聴いてどんな映像を感じますか。

きときと:高木正勝  http://www.youtube.com/watch?v=WqpPMTt8ZOk

毎年植えるバジル。たくさん茂るので乾燥させてよし、オリーブ油に混ぜてミキサーにかけてバジルオイルにするもよし。

ピーマンは乾燥にも強く、摘期が長い。自分で育てるとほんとうに美味しいです。

レタスは苗を植えてもいいし、種から育ててもOK。毎日グリーンサラダで!(笑)

こっちはサニーレタス。色が本当にきれいです。もちろん味もね!

こちらもお奨めのシシトウ。たくさんできるので、洗ってボウルに入れたらオリーブ油と塩コショウをして焼肉のときに一緒に焼きます。もちろんボウルの中には長ネギやピーマン、ナスなんかも一緒に入れるとちょっと豪華な野菜焼きになります。

2014年7月21日月曜日

本日の昼食(まかない)

現在「宮の森の家」が実施設計の真っ最中。間取りもじっくり検討し、工事価格も厳しく追い込んで先日、無事工事契約となりました。ちなみに、新築案件は「澄川の家」、「宮ノ丘の家Ⅱ」が既に実施設計完了、前期は「宮の森の家」が三番目です。今日も朝の7時から頑張ったのでお昼にはおなかが空いて・・・ 畑の野菜もずいぶんと育ってきたので今日は簡単パスタのランチにしました。
材料は、畑で取れた1:トマトに2:バジル、残り物の3:ニンニクに、4:鷹の爪、5:ベーコン。シンプルに5種類。
 

オリーブ油大匙三杯を冷たいフライパンに敷き、火をつけないでニンニクのスライスを入れます。火は弱火、ゆっくり小金色に色付くまでニンニクを炒めたら、トマトを投入。

レストランの良い仕事なら、種は取り出し皮は湯剥きしますが家庭料理なのでそのまま
豪快に入れます。よくオリーブ油に絡めながら炒め、次にベーコンを入れます。

トマトを木ベラで潰しながら炒め・・・

このくらいの状態で、コショウのみします。ベーコンの塩味があるので塩も入れてしまうと塩辛くならないように注意です。(笑)

麺とゆで汁をお玉で一杯加えてよく絡めます。この時、味見をして足りない場合は塩を足してください。

器に盛り付け、パルメザンチーズとバジルをちらして出来上がり!とっても簡単で美味しいです。

畑では葉物野菜もいい感じなので、今日は二種類のレタスと大葉、パセリとバジルでグリーンサラダを作りました。ドレッシングはオリーブ油と酢が2:1に塩コショウ適宜。これを直接野菜にかけて手早くふんわりと全体を合える感じでOKです。残り物のトーストがあったのでパリッと焼いてサラダに添えてみました。 サラダのコツは水分を可能な限り切る事!これだけで味がぜんぜん違います。

 
さーて、おなかも膨れたことですし、午後の部頑張りますか~(笑)
 
 
焼き直すときにガーリックバターなんかを塗って一手間加えるとさらに香ばしく素敵なサラダになります。(笑) ぜひお試し下さい。
 
今日は素敵な昼下がりにサミュエルパーディーなんていかが、お洒落です。
 
 

2014年7月19日土曜日

澄川の家 配筋検査

今日も蒸し暑いですね~(笑)みなさまいかがお過ごしでしょう。
本日は「澄川の家」の配筋検査です。
 
現在は木造住宅でも基礎は「鉄筋コンクリート」とすることが定められていますが意外なことにコンクリート製の基礎に鉄筋が入れられるようになったのは概ね1982年以降、当時の「住宅金融公庫の仕様書」の改定がきっかけのようです。
 
っと、いうことは...ほんの30数年前までは一見、コンクリートに見えても実は無筋と呼ばれる鉄筋なしのコンクリート基礎もあったわけで...今から考えると信じられない手抜き工事に見えますが当時の建築基準法では木造住宅の基礎を「コンクリート造もしくは鉄筋コンクリート造」と定めていたため作ることが出来たのです。この際なのではっきり言いますが、コンクリートを構造材に用いる際は鉄筋なしということは現在はまずありません。今、当時の法律を読むと、最もたくさん建つはずの木造住宅に対する決まりがほとんどなく、法律が想定している建物は住宅以外であることが伺えます。考えようによっては恐い事ですが、こうした事柄をこれからの建て主さんはよく覚えておくとよいでしょう。

木造住宅を覚えたての頃の小僧時代は鉄筋の縦と横の間隔は30cm以内なんて習いましたけど現在では20cm以下にしています。前述のように建築基準法は、木造住宅むけに書かれていないばかりか今となっては法律の想定事態が古く、実情に合わない部分も少なくないので、後の住宅品格法や長期優良住宅法の基準で設計しています。

ベース巾60cm!確認!ベース底部SD13×2本確認!底盤かぶり厚、規定ピースにて確認!

布部、鉄筋SD10縦方向20cm確認!、トップ筋SD13×2本確認!

同じく布部鉄筋SD10横方向20cm確認!T型交差部、斜め補強筋SD10確認!

重ね長さT型交差部、鉄筋確認!

重ね長さ一般部確認!
 
連休明けには瑕疵担保責任保険機関の第三者検査、その後コンクリート脱設の1回目となります。さーて、休み明けからまたまた頑張りましょう!(笑)
 
今日は最近よく聞いているパリスマッチなんていかが!
 

2014年7月18日金曜日

澄川の家 アースチューブ敷設工事

 ふと気付けば14棟目の300mm断熱の家となる「澄川の家」。また今年も着工のシーズンを迎えることができたことを建て主のみなさまには心より感謝申し上げます。2006年に来道した北欧の建築家のお話を聞いたことがきっかけで、当時の北海道の技術標準で同じ家が出来ると直感し本格的に取り組み始めた「超断熱化住宅」のコンセプト。いざ始めたはよかったが、当初は笑われましたね~北海道でも...(笑)。特に窓と換気は難問で...そんな中、「北欧と同じ窓作ってやるよ!」っていう窓屋さんが現れたり、地熱による給気予熱を研究している先生との出会いから問題が解決したりほんとうに出会いとは不思議なものです。さて今年も現場レポートをはじめましょう!
 
 いよいよ「澄川の家」のアースチューブの埋設工事が始まりました。地盤面から約1mに塩ビ管を埋め、地熱で暖めた外気を導入して計画換気を行います。冬の寒さが厳しい北海道では各地域別に凍結深度が定められていて、比較的温暖な札幌圏でも60cm以上基礎の深さを求められます。実際には基礎底の砕石や何かで80cm以上は根掘りしますから、こうした埋設もあまり苦になりません。冬場は零下の日が続きますが積もった雪は零度以下では最高の断熱材です。雪の深い地域ほど地熱は安定し、外気温にもよりますが札幌近郊だと概ね10~14℃程度で室内に給気されます。一方、外気を直接通すことになる管内は結露時の排水を考えておかねばなりません。模式図通りのアースチューブでは結露水の逃げ場がなく多くの場合水没して空気を遮断してしまいます。 
外気をエネルギーを使わず地熱で暖めて換気負荷(冷たい外気を直接入れることで暖房エネルギーが増えること)を下げようという考えは名案ですが、冒頭にも書きました外気の「潜熱(湿り気)対策」「基礎断熱による床下の室内化」はアースチューブを成功させる上で欠かせない附帯技術です。冷たい床下に湿った生暖かい外気を入れても結露するだけなので、床下に引き込んだ直後に素早く加熱して外気から湿り気(潜熱)を取り除きます。要は床下で外気を温めるために暖房を行うわけですから、床下は外壁に当たる基礎を断熱した暖房空間(屋内)であることが欠かせないのです。
話は変わりますが、近年は公的な仕様書でも床下の防湿が求められコンクリートが全面に打設されますが、床下に適切な換気と熱源を考えておかないと今度はコンクリートの湿気により基礎断熱の床下にカビが発生し易くなります。人がすむ部屋を想像していただければ分るように適切な換気と暖房が室内を結露やカビから守るというのは、床下もまったく同じです。単に基礎に断熱しただけでは、ほんとうの基礎断熱の良さを十分理解し使いこなしているとは言えないのです。

基礎の鉄筋の中に頭を出すアースチューブ。泥や異物が管の中に入らぬようにしっかり養生も完璧です
今日は「外気の湿り気対策」、「基礎断熱」がアースチューブを成功させる二点セットであるというお話しでしたが今後はこれに「防蟻対策」が加わるでしょう。温暖化により北海道の気候もどんどん変わり、最近では白蟻の被害も増えています。
 
今日は暑いのでラテンねラテン!松岡直也グループなんていかがでしょう?