2014年2月16日日曜日

恵庭の家 気密測定1回目

階段が掛かり、待ちに待ったサッシが入った「恵庭の家」。「西野里山の家」に続き飯田ウッドワークシステムさん(以降:飯田WWS)の、超断熱サッシを使います。超断熱という呼び名は私が勝手に付けたものなんですけど、かなり内容を正確に説明していて我ながら「いいな!」と思っています。(笑) 一般的に市場で高断熱サッシと言われているものは、U値と呼ばれる断熱性の高さを示す数値で1.6~1.3W/㎡K程度のものがほとんどです。(U値は小さいほど断熱性が高い)しかし飯田WWSさんのものはU値:0.79W/㎡Kという凄まじさ!要は市販の「高性能窓の倍の性能」ということで「超」とつけたのです。おまけに最も厳しいと言われるドイツのパッシブハウス研究所(PHI)のAグレード認定も取っていて、現在は国産品のなかでは最高!。ぜひ環境先進国のEU諸国の建築家のみなさんにも使っていただきたい優れものなのです。そんな訳でサッシも入り、今日は第一回目の気密測定とあいなりました。

階段の転落防止の格子も白樺積層合板を用いた美しいもの。加工も自社で行うキクザワさんの丁寧な仕事で内装の完成が楽しみです。

左に見える大窓からは広々とした南側の田園景色が広がります。

樹木を残して造成された敷地のために窓の外に広がる景色は美しい。近所ではライバルたちが多数着工中で、私たちの「チーム恵庭」も日々負けじと頑張っています。(笑)

全体で32坪弱の小さな面積ながら二階のLDKは天井が吹き抜けで開放的。仕切りの少ない北海道スタイルの間取りになっています。

現場に駆けつけて、サーモグラフィーを見ながら漏気部分を捜索中のDr.森。気密測定者のDr.タギ先生の同窓で温熱環境工学が専門。
 
現場を担当するKJ棟梁も心配顔。「自信はないわけじゃないけどやっぱり緊張するよね~」はたして結果は...?
 

小さな規模にもかかわらず{一般的に気密検査の数値は小さな家の方が不利。理由は空いている穴の数(換気扇やレンジフードの穴等々)は大きな家と変わりないのに、最後に坪数で割って㎡当りの数値にして比べるから。写真のように家全体の穴の大きさが同じ21cm2でも100㎡の家ならC値(隙間相当面積)は:0.2cm2/㎡だけど200㎡の家ならC:0.1cm2/㎡と二倍もよい数値となる。}前置きはともかく、結果はいきなりC値が0.2cm2/㎡。ちなみに道内のかなり気密にうるさい工務店でC値が0.5~0.6くらいなので全員大満足!一番喜んでいたのはやはりKJ棟梁でしょう。(笑)私のブログを読んでいる人に分ってほしいことは、こんな精巧な仕事を現場で(設備の整った工場以外で)行う北海道の大工さんは凄い!ということ。日本の大工の伝統は気密せずに大いに開放し蒸れを防ぐことだけど、寒冷な北海道ではその考え方自体に無理がある。同じ木造でも北欧や北米のような閉鎖系の考え方を体得しないと、不安を抱えたまま仕事なんてとてもできるものじゃない。だから北海道の大工さんは解放系の考え方と閉鎖系の考え方を両方自分のものにして自由自在に使いこなす人が多い。内装はおもいっきり開放し床、壁、天井のような外部との境界はしっかり部屋の内外を断熱と気密で分ける。北欧の最新のECOハウスと遜色ない家が手の届く価格で手に入る日本で数少ない地域が実は北海道なのです。(笑)
 
今日は羽生君にこの曲を捧げます!素敵な夢をありがとう!(笑)
演奏者のG.ムーアには心より哀悼の意を捧げます。ゲーリー今でも最高だぜ!
 

2014年2月14日金曜日

恵庭の家 オーダーキッチン工事

今日は「恵庭の家」のオーダーキッチンを担当するキッチンハウス札幌のYさんと家具工場に来ています。キッチンの外装材の裁断が終わり木目や色目の確認に来ました。以前にもご紹介しましたが、北海道の白樺から作る美しい積層合板を使ったキッチンは最近とても人気があります。落ち着いた色合いや簡素で気取らない印象ながら室内に溶け込むカバ材独特の優しさはステンレスの天板とも相性が抜群。いつのまにかすっかり定番になりました。(笑)

写真は組み上げるパーツごとに裁断されナンバリングされた「恵庭の家」専用モデル。組み上がると2.4mのアイランドテーブルと3.0mのバックラインからなるキッチンセットが完成する。

こちらはストッカーの正面の幕板。今回の塗装はウレタンの7分艶。

アイランドテーブル。シンク横にガス台を組み込んだ対面型のレイアウトとなります。

2014年2月12日水曜日

北方型住宅技術講習会のご案内

平成25年度北方型住宅技術講習会「北方型住宅をデザインする」(続編)にて中標津町にお伺いします。

従来は断熱気密の手法等々、技術的な色彩が強かった同講習会も、昨年からは新たな展開として、デザインを積極的に扱うようになりました。

  ご存知のようにこれからの社会が求める建築は、純粋にデザイン的なアプローチだけでは不十分。一方で技術的な整合性のみでも魅力的な建築にはなりません。今後は双方を相反するものと捉える意識からオリジナリティーの高い豊かなデザインのヒントとして建築物理や環境工学を積極的に吸収し活用するといった発想の転換が大切です。そんな意味で、ものづくりに直接関わる工務店さんや地域で設計に携わる方々を対象に同業者である私たちが対談形式で楽しくデザインのお話しをさせていただきたいと思います。同じような条件なのになぜ設計者によって解決法が異なるのか?正解の巾を絞り込むことを目指す技術と、より巾の広い正解を求めるデザイン。一見してまったく異なるように感じる両者をどう実務に生かしているのかを中心に、ある意味商売のネタ公開も恐れず頑張ります。会場は50名とアットホーム!近郊の方はぜひお越し下さい。(笑)


日時:2月13日(木)  13:30~16:30
場所:中標津町役場3 F  301 会議室
住所:中標津町丸山2丁目22番地

 詳しくは北海道建築指導センターHPまで
http://www.hokkaido-ksc.or.jp/assets/files/06_event/201401hoppougatakousyuukai.pdf

2014年2月6日木曜日

■2014木製サッシフォーラムのご案内


■2014木製サッシフォーラムのご案内

突然ですが明日、旭川の木製サッシフォーラムで講演させていただきます。地域を問わず建築にとって大切な窓の断熱性や気密性。地域で生産される素晴らしいプロダクトによって、作り手たちは空間の可能性を広げてきました。今では改良が進み、ドイツのPHIのAグレードの認定を取得する会社さえ出ています。弊社でも2008年より複数の地場のサッシメーカーと共に協働で開発に協力してまいりましたが、この度、木製サッシの一大生産地域である旭川でお話しをさせていただく機会をいただきました。つたないお話しで恐縮ですがたくさんの実践例を示しながらみなさまと議論を深められれば幸いです。 旭川近郊の方はぜひお越し下さい。(笑)

詳しくは http://www.nrb.hro.or.jp/pdf/140207sassi.pdf

北海道新聞 http://www.hokkaido-np.co.jp/cont/eventdata/222267.php


今日はヴァレンティーナでリストなんていかがでしょう?
http://www.youtube.com/watch?v=MD6xMyuZls0

 

2014年2月5日水曜日

恵庭の家 電気配線工事

 
今日は電気の配線を確認しに来ています。以前も紹介いたしましたが弊社の現場では電気の配線を気密ビニールの中に行うことを極力止めています。理由は配線を引き出す際にせっかく大工さんが気密処理を行ったビニールを破らねばならないからです。気密工事は特に断熱材が繊維系(グラスウールやロックウール等の綿状の断熱材のこと)の場合は複数の意味を持つ大切な工程ですが一般的な仕様書では一度破ったビニールから線を引き出した後、再度気密することを求めています。素朴な疑問として「気密が大切なら破らないで配線できる方法を考えれば良いのに」と思いませんか?(笑)、そこで内壁を二重にして配線と断熱を行うようにしました。写真のように電気の配線はビニールの内側に行われるので、屋外に貫通する場所以外は気密を破る心配はありません。

間柱を挟んで左側が気密処理の終ったビニールの表面。その室内側にスイッチボックスがつく。こうすることで強い風が吹く敷地周辺の環境にも配慮する。強風地域だとビニールの開口部(風上のスイッチやコンセント)から室内に風が吹き込むのを感じるときがある。風の力は凄まじく、一度破ったビニールを再度テープで気密してもその傷を押し広げてしまう。

天井高を精一杯上げる必要のあるところはこんな風に梁の横腹に穴を空けて線を通してゆく。

今のところの心配はサッシの納期が遅れているところ。飯田WWSさんの旭川工場は連日残業状態。なんとか金曜日にはお願い!(笑)もちろん今回採用する木製断熱サッシも、「西野里山の家」と同様のドイツのPHI認定品サッシ(パッシブハウス研究所:パッシブハウスとはPHI認定の超高性能住宅。同時にドイツ環境住宅の世界的戦略ブランド。単に高性能というだけではなく主要な住宅パーツはPHI認定のお墨付きが必須!窓も当然。)通常の木製サッシの約二倍の手間が掛かる構造のために難儀しています。こればかりはみなさんが積極的に使ってくれることで地場の作り手も盛り上がる!というお話しなので今後に期待です。

特徴的な外観を現した「恵庭の家」小さく、かわいらしく、しかしちょっぴり彫刻的な感じで今回は、行きます。

札幌はかなり雪が降っていたのに、恵庭は晴れ上がる日が多いです。風は強いですけど。
 
今日はバッハの平均律クラヴィーアの聞き比べ。
私的にはビジュアルはグールドですけど、音的にはリヒテルでしょうか?(笑)
同じ曲なのに演奏者でまるで違って聞こえるのは建築に似ていますよね~。

2014年1月31日金曜日

恵庭の家 各部点検

写真は南側に大きく跳ね出す大屋根の軒先。跳ね出すのは約1.5m。屋根の雪は基本的に落とさないので軒が下がらないように丈夫に作ることが求められます。板金を巻きつけて屋根の端部を納める破風が見えますが出来上がりが下の写真です。屋根材は形状自体が雪止めの機能を持っていて雪が落ちません。
 

 
ガンメタリックのシャープな色合いの板金できれいに納まりました。板金屋さんの親方に感謝です。

これが空中に跳ね出す軒先の内部。構造用合板で面貼りトラスを作って軒先が折れないように工夫しています。面材を使うところなんか、普段から枠組み壁工法(キクザワさんの場合は2×6)を得意としているツーバイ工法のノウハウを感じていいですね~(笑)こうやって合板をしっかり面張りすると驚くほど鼻先が強くなります。

下から見上げるとこんな感じ。

拡大写真です。

 
現場はかなりの強風地域。毎日風との戦いです。窓がまだ来ないので内部に雪が吹き込まぬように窓は全て養生をしてくれました。KJ棟梁ありがとうございます。
 
 
外部のグラスウールの上に準防火構造の石膏ボードを貼ります。本当は用途地域的には求められていないのですが建物の基本性能向上や通気層の確保のために貼ることにしていただきました。
 
こうすることで外貼り断熱材の内部に生じる気流を抑えることができます。

ずいぶんと出来上がってきました。
 
今日はOne Direction!初めて聞いたけど懐かしいRockの響き!
 
 
 

2014年1月30日木曜日

恵庭の家 断熱工事その2

本日は壁のグラスウール工事を見に来ました。結論から言うと申し分ありません。KJ棟梁の細やかさで正確に採寸され、よれやゆがみがほとんどありません。まさに筋金入りのグラスウールマスターです。

KJ棟梁曰く:間柱用の役物(現場で切る手間を省くために事前にある程度の巾で切ってあるもの)をあえて使わず、幅広のものから全て採寸、切断して入れるとのこと。

難しい筋交い廻りもピッタリ!美しい。

絵みたいに見えるけどグラスウールです。


こちらは切断中の105mmのグラスウール。しっかり角が立っています。
 

 
今日はポリスなんていかがでしょう。

2014年1月22日水曜日

恵庭の家 断熱工事

いよいよ屋根から断熱工事が始まった「恵庭の家」。屋根には合計で35cmのグラスウールを置き敷きし、外貼り断熱とします。室内側から見ると屋根の骨組みが露わになり、リズミカルに連続するこの屋根は最近人気があります。天井も高く取れるし、普段は見えにくい大切な構造部分が室内からいつでも目視できるので維持管理も安心になります。

写真はピッタリときれいに入れられたグラスウール。KJ棟梁は涼しい顔で行いますが、なかなかこんな風にきれいには入りません。さすがは繊維系断熱材の扱いに慣れたキクザワさん。きれいな仕事です。

こちらは反対側からの写真。この上に更に11cmのグラスウールを敷いて屋根の断熱は完成します。


壁の断熱材の下地も完了した現場の様子。今度は外壁に屋外から14cm、室内から11cmと5cmのグラスウールを施工し30cmの壁断熱とします。

こちらは室内からの様子。実はこれからが本番!頑張っていきましょう!
 
今日は大好きな中田ヤスタカなんていかが?
 

2014年1月16日木曜日

恵庭の家 建て方 その2

㈱キクザワさんのKJ棟梁とK所長のコンビで快調に進行する建て方工事。外部の構造用合板は貼り終わり、屋根の合板と断熱下地まで完了!うーん!棟梁早い!

シンプルな片流れ屋根の外観がだんだんと現れてきました。基本的には「西野の家」以降多くなった屋根+壁、全てグラスウールによる300mm断熱仕様です。

「西野里山の家」と同様に屋根を外貼り断熱とするのでまず構造用の大垂木を掛けその上に構造用合板。そして断熱用の垂木を二層に組み上げます。明日は現場にて打ち合わせ。行くのが今から楽しみです。(笑) 
 
今日はマイケルなんていかが?
 
 

2014年1月9日木曜日

恵庭の家 建て方開始

「恵庭の家」は今日から建て方(建物の柱を立て梁を掛けること)を開始しました。棟梁は初めてご一緒するK棟梁。ご丁寧に年末、「西野里山の家」を見学に来ていただきました。びっくりしたのはその仕事の美しいこと!写真は毎度おなじみのフィルム付き気密レールですが、建て方のときに足元に絡まないようにしっかりと床の合板に仮止めされ、しわ等まったく見当たらずピシッと張られています。 

入隈部分もこの通り!きれいな仕事です。
誤解のないようにお話ししますが、このシートは仮止めで後から起こして柱の内面に貼りなおします。別の見方をすれば「すぐに床から剥がすのにここまで仮養生に気を使う必要はないだろう。」という考え方も一理あります。しかし吹雪が続き床に敷いた合板の表面で溶けた雪が凍りつきそうな状況に対する備えと考えると、重たい梁を扱う本日の建て方という作業の内容をよく理解した親切な下準備だと私は思うのです。こうした素晴らしい機転はいつも利くとは限りません。大切なことは良い癖を普段から身につけておくことだと思うのです。
 
 
写真の中央右が断熱のない基礎。左が断熱材の表面にシロアリ対策のモルタルを被覆した基礎です。一見同じように見えますがいつものようにしっかりと基礎断熱がされています。

ユニック(小型クレーン)を用いた建て方。武田建設さんと同じワンタッチクランプを用いた効率の良い建て方。

加工の精度は良好!さすがイワクラプレカットシステムさん。ちなみにプレカット業界では後発ですけど石狩新港の加工工場の設備は北海道では最新のものの一つ。もの凄く切れ味がよくて精度も出ます。金物はお気に入りのカナイのメルト羽子板。とてもきれいな羽子板ボルトです。

本日は1階柱と2階の梁が完了。問題はやはり屋根でしょう~。(笑)

年末と年初めの雪ですっかり現場は雪の中です。
 
今日は乗ってきたので、パナマ!原曲はヴァンヘイレンですけど、今日はギターマンVerで!
はっきり言って本物のに迫ります。しかし今剛のギターは凄いわ!
 

2014年1月2日木曜日

初売りは楽し!

 
本日は、近くのホームセンターの初売りに。お目当てはレーザー距離計。なんと立派な三脚とセットで¥9,800!限定10台限り。  これはもう買うしかないでしょう(笑)。実は古い建物の改修や調査なんかでは図面が無い場合も少なくなく、そんな場合はメジャーを当てて実測し新規に図面を起こす必要が生じます。まあ言葉にすれば簡単ですけど、一人でメジャーを当てるにしてもまだ床くらいならいいんですけど天井とか屋根の高さ、吹き抜け天井なんかになると、そんなにしゃんと立つメジャーもないわけで、助手に上からメジャーを垂らしてもらったりといろいろ大変になってきます。そんな時、このレーザー式の距離計があると劇的に実測が楽しくなります。ところでこの機械は、単一の長さの他にも、連続した長さの合計を測定したり、面積、体積まで計測が可能という優れもの。これから山本設計の強い味方になりそうです。
 
ところでみなさん、新年はいかがお過ごしですか?私は家の猫の皆さんとまったり過ごしながら6日締め切りの原稿を書いています。トホホ... また今年も忙しくなりそうですがまあ今の内くらいゆっくり休みますか~。嵐の前の何とかで...(笑)
 
 
 
今日は新年最初の曲を!スメタナなんていかが
もちろんベルリンフィル!指揮はカラヤンね!(笑)