2013年12月6日金曜日

西野里山の家 タイル工事

こちらは美しく割り込まれたタイル。縦方向にウマ目地貼りとしていただきました。担当したのはI所長の下で現場を担当していただいているMさん。私との現場は二軒目で最初が「宮ノ丘の家」。入社4年目とのことですが、そんな彼がタイル屋さんと共に頑張ってくれたのがまずはUTの壁。ところで何がすごいの?という方に説明いたしますね~(笑)。

この輸入物のタイルは外国製らしく寸法にばらつきがあります。日本製のタイルの場合、通常は30cm角のシート貼りがほとんど。このタイルの寸法は一辺10cmですから、日本製だと縦横3枚ずつ、都合9枚を正方形の1単位として貼り付けてゆきます。しかしこのタイルはそんな日本の技術標準とは関係のないイタリア製。タイルはもちろん1枚1枚ばらばら...。ここまで書けばお分かりの方も多いと思いますが、そうこの模様にタイル屋の親方が一枚一枚貼り付けて出来たのがこの壁という訳なのです。実際9枚ずつ作業が進む貼りやすい日本製タイルと、半端が出ないように壁に割付を細かく計算してから景色を作る外国のタイルではまったく難しさが異なります。

日本製なら角(かど)用の面落としタイル(通称:役物といわれる)なんかが用意されているけど、そんなことなど頓着しない外国製ではこうしたコーナー部分もタイル工の技がもろに出る。要は1種類のタイルで平面ばかりかコーナーも全てきれいに納めなくてはいけないのです。

正面から見て、タイルの厚みを見せぬように美しく納められたコーナー部分。

窓の横方向は11枚で余りが出ないようにピッタリ割付、縦方向は5枚でこちらも余りナシ。
うーんさすが!

二階の洗面コーナーに取りかかった親方。こんな風に簡単に割付をして1枚1枚貼り込んでゆきます。まあ~こうして見ると私の設計って誠に人的アナログ度の高い作り。親方のみなさんもう少しお付き合いよろしくお願いいたします。(笑)
 
こちらは1階まで下りてきた左官屋さん。一心不乱に壁を塗ります。

様々な仕上げの鏝(コテ)を駆使して、大らかで暖かみのある鏝の表情を壁に作ってゆきます。

一時期は均質であることがとても大切にされましたが現在ではむしろ職人さんの手仕事の良さが見直されています。でもそれって大人の感性ですよね~(笑)。ずいぶん社会の見る目が変わってきたな~と感じます。(笑)
 
押尾コータローのギターなんていかが!こちらも凄いです!
 
 
 

恵庭の家 基礎配筋工事

雪避けのテント養生を行った「恵庭の家」の現場です。敷地の広さを生かして、雪と寒さによるコンクリートの品質低下を防ぐのが目的です。しかし多くの場合、予算や手配の関係でなかなかここまで理想的な仮設養生のできる現場はありません。近年はコンクリートの温度補正の技術も進み、寒中コンクリートがより簡単に打設できるようになりました。しかし選択肢が増えた分、現場監督の立場からすればどの方法で工事を進めるのかが問われるようにもなりました。要はコンクリートの添加剤に頼る考え方で行くのか?はたまた養生を主体に様子を見ながら最終的に添加剤使用の有無を考えるのか?もちろんどちらの方法でも問題はなく、つぼを押さえれば品質の低下は心配ありません。しかし現場がテントで覆われているのを見た途端、とても嬉しく思いました。その理由は、初めてご一緒する㈱キクザワのK所長の細やかさと用心深さを感じたからです。ものづくりを現場で指揮する監督には欠かせない感性である「細やかな用心深さ」はこれから厳しい時期を迎える北海道の工事現場では欠かせません。雪を控え、気温もいつまで+が続くのかあやしいこの時期、仮設費は惜しくとも瞬時の判断で屋根を掛け、不安の多くを払拭することを重視した判断はここ数日の雨を見ても正しかったと思います。

テントの中の地盤は乾いていてきれい。配筋の検査も気持ちの良いもの。

今時期の不安定な天候を見越して、現場で鉄筋同士をいちいち結束せずに工場で溶接し、一気に一日で基礎全体を組み上げる方法できれい、かつ早い!K所長、たいへん勉強になりました。

工場溶接されているので、鉄筋間隔は数箇所測れば検査も終了。

基礎のベース(底版)に用いるピースを計測。OK!

Lコーナー部分の重ね継ぎ手長さ計測OK!

ブロックごとに金網状態に溶接してきた基礎の鉄筋を二人でジョイントして行くので、現場の作業がきれいでとにかく早い。これから厳しい時期には参考にさせていただきます。
 
今日はスマートなK所長に!小曽根真のピアノなんていかがでしょう。(笑)http://www.youtube.com/watch?v=BGEeI9b8QZg

2013年12月3日火曜日

西野里山の家 仕上材確認

この時期になると、仕上の材料が続々と現場に入荷してきます。そこでクライアントさんと決めたものと間違いがないか検品に行ってきました。写真はあともう少しに迫った南面の板貼りの様子。

玄関とストーブの下に敷くタイルは300角の大判のもの。

壁のタイルは200角の光沢がきれいなもので、自然な表面のゆがみが特徴です。

南側の光の当たる壁に、ちょうど薪ストーブの背景として貼りたいと思います。

こちらは床のスノコ。丈夫なタモの集成材でビスの下穴がきれいに開けられています。ビスの頭が足に刺さらないのと、歩くと足つぼが刺激される独特の感触はこのスノコの溝によって生まれます。

こちらがそのアップ。塗装屋さんによりワックスで仕上げがしてあります。
 
今日はヴアレンティーナのピアノなんていかが?

2013年11月30日土曜日

恵庭の家 地盤改良→基礎工事

恵庭では地盤改良工事が始まっています。

もと果樹園のためになかなかよい黒土が出てきますが、地盤自体は建物を建てようとすると改良が必用になります。「屯田の家」でも行った地盤改良杭により地盤を増し固め基礎の沈下を防ぎます。

オーガーで掘った穴にセメントを注入し水を加えて練り上げ土中に直径50cmのコンクリートの柱を作ります。
 
札幌より雪が遅れていた恵庭も、基礎屋さんが入る頃にはすっかり雪景色。

 
基礎の根掘りで現れた改良杭の頭。
 

うーん厳しい季節になって来ました。みなさん頑張りましょう!
 
今日は竹内まりあでyour eyes!あなたはご主人(山下達郎)とどちらがすき?
 

夜景を楽しむ家 高低測量

さて、今週は充実していました。写真は来春に着工を予定している「夜景を楽しむ家」の現地調査の様子です。敷地は30°の急傾斜ですが眺めは抜群!これから更に計画に磨きを掛けます。

雪の中レベルを据えて高さを測ります。

下から上を見上げたところ。うーん設計者としては燃えてきますね~(笑)

西野里山の家 内装左官工事

美しく仕上がった内装の左官壁、珪藻土を調合した壁は独特の清々しい白さと柔らかな素材感が魅力。貼りものでもなく、塗装でもない。独特の風合いの室内に仕上がります。

親方の鏝(コテ)の跡。けして同じではなく人間味があって、どこを見ても見飽きることがありません。

本棚をおく予定の踊場。同じ白なのに圧倒的に存在感のある壁の空気感はどこから来るのでしょう。話は変わりますが、現在の室内の湿度は90%。家中の壁を左官で塗るとやはりかなり湿度が出ます。来週からは設備屋さんにお願いして少しづつ室温を上げながら作業を進めます。

外では大工さんたちが北側の壁を仕上げ。週明けから最後の南側の壁に移ります。
今日はみなさんごくろうさま!ゆっくり休んでくださいね~!また来週よろしくお願いいたします。
 
今日はドゥービーなんていかが!http://www.youtube.com/watch?v=QTF_tTKRdb0
 

思いがけず嬉しい事!

今日はとても嬉しいことがありました。夕方の打ち合わせの用意をしているとチャイムが鳴り、「は~い」と答えると、「岩内のてんぷら屋です!」と声が言う。なんでもお孫さんが近所とのことでわざわざ事務所にお寄りいただいたご夫婦。そう、かつての岩内の天麩羅の名店「ときわ」のご主人夫妻でした。40年以上続いた名店、「天麩羅のときわは」6年前に惜しまれながら閉店したが、今でもその味を懐かしむ客は多い。もちろん私もその一人で、最初は2004年にさかのぼる。ちょうど「岩内の家」をストリームモダンプランの高橋氏と監理していた時、岩内出身の氏に連れて行ってもらったのが最初。一口食べてすぐに大好きになった。もと割烹料理屋のご主人が揚げる天麩羅はどれも珠玉の一品で特に天丼は甘辛くないさらりとしたタレが特徴。大きなえび二匹にイカ、春菊、キス
 が豪快に載って¥630はほとんどボランティア、今でも懐かしく想い出します。
写真は2007年の「ときわ」

いつも歓迎してくれた女将さん。
 

白衣姿の大将。

家族に教えると、早速全員が夢中になった天丼。

天麩羅盛り合わせはもう最高!

こんな風に港町独特のゆっくりした時間の中で家族と一緒に食べた味は一生忘れません。最高の味をありがとうございます。私の設計も、大将の味には遠く及びませんが精一杯精進したいと思います。

2013年11月28日木曜日

西野里山の家 外装 VS 内装

最近夜が早いですよね~!夜半はめっきり冷え込みますし...そんな寒さにも負けず、「西野里山の家」では外装工事と内装工事が一気に熱を帯びてきました。写真は北側に設けたパノラマウインドウの外装板貼り工事の様子。開口部と小屋根の出入りが複雑な南北面は比較的平坦な東西面とは比べものにならないくらい手間が掛かります。足場の上下に二人、加工専門に一人の計三人で外装を担当していますが中々、たいへん。特に冷え込む外部で長時間の仕事は疲労も大きく気が抜けません。

写真は降りそうな雪に備えてブルーシートで下小屋を作り内部で加工を行っている様子。

一夜明けると案の定、山はすっかり雪化粧。冬の始まりですね~(笑)

こちらは室内の様子。棟梁から場所を引き継いだ左官屋さんが、一気に下地作りを進めてゆきます。寒冷紗を貼りパテを延ばし仕上げの塗りに響かないようにボードの継ぎ目を平滑にして行きます。塗装も左官もこの下地作りをどこまで丁寧にできるかで出来栄えが大きく違ってきます。話は変わりますが、外の大工さんたちが白い息を吐く中で、室内の左官屋さんたちは上着を脱いで作業しています。300mm断熱のおかげで室内を採暖しなくてもちょうど良い作業室温が得られるために冬場の左官仕事も私たちの現場では特に手順を変えずに進められます。断熱の薄い時代は、冬場の湿式内装(左官仕事やペンキ工事のように水を用い乾燥が必用な内装)は敬遠しがちでしたが今ではそうした苦手意識もほとんどなくなっています。
 
今日はPOLICE!もちろんDJじゃないほう(笑)しかし30年経ってもなんてかっこいいんでしょう!

2013年11月26日火曜日

西野里山の家 板金工事 水切り編

従来は壁よりも窓枠の方が少し飛び出すことが多かった木造の窓廻り。しかし断熱をどんどんと厚くして行く過程で、窓は壁よりも引っ込むことがむしろ近年は多くなりました。外壁より窓が引っ込む利点としては、雨によるサッシの痛みの軽減。また建物外観の印象も薄いシャープさよりも彫の深い陰影に富んだものに変わります。石造りの街並みの多いヨーロッパの建物よろしく、北海道の建物の特徴が際立つ意匠として最近は特に気に入っています。
 
 
壁面よりも窓枠が外に飛び出すシャープな納まり。「鷹栖の家2002」
 
窓枠が壁よりも引っ込む最近の納まり。「西野の家2011」
 
 

そんな訳で、簡単に窓が壁よりも引っ込むといっても色々と工夫が必用になりまして、窓の下に欠かせない水切りなんかは板金工の技量がもろに出る部分となります。写真は職長による完成した窓下水切りの様子。ピシッと直進性の良い精度が出ていてぜんぜんゆがんでいません。さすが職長!(笑)
 
0.4mmの薄板を二枚合わせに加工して端部を折り曲げ、0.8mmの厚板にして、一見アルミの厚板の水切りのようにピシッと精度よく見せています。
 

こちらは木製デッキが敷かれる梁の上の水切り。

デッキの下に雨が回りこんだ時に梁が痛みづらいように梁の天端(てんば:雨や日光の当たる面)には全て板金の水切りが回ります。こちらも美しい納まり。

おぼろげながら、縦張りの松板が見えてきた「西野里山の家」。
さてみなさん!明日も頑張りましょう。

さて今日はヘンデルのハープシコード組曲なんていかがでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=dYi6EcEkLmQ