2013年9月11日水曜日

屯田の家 内装工事 什器搬入

現在、「屯田の家」ではクロス屋さん、塗装屋さん、タイル屋さん、流し屋さん、電気屋さんが入れ替わり立ち代り見事なチームワーク。もう少しするとガス屋さんも入ってきます。設計者の頭の中にしかなかった風景が一気に目に見えるようになる時期です。この時間帯は各部の取り合いや先読みをきかせた交通整理が特に大切になります。

写真はタイルを貼り付けた壁ですが、仮に壁付けの照明を変更しようとする場合は、新たに移す位置の下地の追加、そこまでの配線の引き回し、スイッチ回路の使える使えない、タイル補修といった事柄を同時に処理しないと完成度の高い仕上がりにはなりません。以前の経験ですが、普段からめったに現場に現れず、来たと思ったらその場の雰囲気で変更を次々に指示する売れっ子のデザイナーの仕事を見たことがありました。 パッと見! たいへんセンスよく納まっているように見えますがよく各部分の取り合いを見てゆくと雑な感じが否めません。きっと主な仕上げや仕様を急遽変更したために廻りの関連部分が追いつかず、やっつけ仕事にならざるを得なかったのが一目で分かります。彼に後から恐る恐るそのことを質すと、にやりと笑いながら「店に来る人にとって僕が用意しなきゃいけないのは非日常性だからね~」とあっさり返されました。確かに店舗という非日常性を売り物にする空間においては彼の言う通りだな~と妙に納得してしまったのを想い出します。流行の店にとって奇抜さやモードのもたらす新しさに背を向けることは逆に作り手にとって自らの責任からの逃避につながるのではないか?当事はそんな風に思いました。 後になって、住宅のように毎日使う空間は同じ内装でも基本的なアプローチからして違うのだと、また別の建築家から学びました。彼曰く「ご飯やパンみたいに美味しいけど毎日食べられるものとそうじゃないものがあるよね?住宅なら間違いなく前者のデザインだよね。奇抜さはいらないけど、さりげなさやアクのなさ、一見あっさりしていてもよくよく目を凝らすとしっかり作り込んでるよね~みたいな丁寧さが家には大切なのよ~」またまた妙に納得してしまったのですがさて皆さんならどっちのデザインアプローチが好きですか~? ちなみに両巨匠とも私は大好きです。(笑)

 
天井の中に壁が吸い込まれるように見せる目透かし納め。照明を付けると壁と天井の存在感が際立ちます。建築家によっては目透かしナシで納める人もいて好みが分かれるところです。
 
 

美しく並んだ二階の根太と梁、通常ならば天井に隠れてしまう構造部分を先にデザインしておいて部分的に、ちら見せする手法です。

玄関ドアを空けると正面に見える風景。右が玄関収納なのですが白く塗ることで壁に化けさせ存在感を消しています。反対にある壁はアルダー材を貼り存在感を際立たせながら足元と天井際を空けて空気の流れと空間の連続性を狙っています。白く広い天井面が視線を板壁の左側に引き込んで行くのがおわかりでしょうか、こんな手がかりを残すと玄関が単なる狭い空間にはなりません。

ボイラーのリモコンやスイッチ、インターホン等は居間からは見えない位置に取り付けます。

キッチン側から見た食器棚。ビシッと建築と溶け合っていい感じです。


こちらは長さ3.6mのステンレスの一枚天板の取り付けの様子、重くて高価な部分なので現場には瞬時に緊張感が漂います。
 
 
こちらは塔屋の杉板貼の様子。もう少しですね~(笑)
 
今日は、布袋さんとCharさんのギターバトル!
このV見て思うのは...やっぱりセンスとテクニックがないといけませんよね~(笑)
自戒を込めて!

西野里山の家 基礎工事

一気にコンクリート打設まで工程を進めた、「西野里山の家」。それにしてもなんだか早いな~とお思いの方も多いことでしょう。そう西野地区は地盤のたいへんよい敷地が多く、杭や地盤改質工事の心配がほとんどありません。そんなこともあって基礎工事がたいへん早く進みます。
 

川沿いなので工事の様子がよく見えます。
 
今日は郷ひろみ(笑)!でも今までのバージョンじゃなくて雅(MIYABI)のギターとのコラボ。
 

屯田の家 内装工事

チーム全員の努力のおかげで、快調に進む「屯田の家」の内装工事。特徴的な天井廻りや開放的な階段の様子がだんだん分かるようになってきました。1階に20畳という大きなLDKを持つ「屯田の家」。L(居間)とD+K(食堂、台所)は写真の壁でやんわりと仕切られています。大きな部屋を作る際に大切なのが面積と天井高さの関係。簡単に言えば大きな部屋ほど、天井高さも高くしないと、なんだかちんちくりんの印象に見えてしまいます。反面、むやみに高すぎる天井は、暖房エネルギーが増大したり、対流が起きて落ち着かなかったりと、いろいろと困り事も生じます。「屯田の家」ではこの天井高を落ち着き感のある2.2mから、広々感を感じる2.7mまで適材適所に割り振り、空間に変化を持たせつつ、暖房エネルギーの削減やパッシブ換気に取り組んでいます。

パッシブ換気を採用しつつも、間取り的には各部屋が建具と壁で区画される、オーソドックスな部屋割りが特徴の「屯田の家」、パッシブ換気がその特性上、一体的空間で効果を発揮しやすいのに対し、対照的な間取りとなってしまいます。そこでパッシブ換気の効果がスポイル(阻害)されないように、欄間(間仕切壁と天井の間に隙間を設けること)を適宜行って、空気の流れと視覚的な連続感をさりげなく両立させるようにしています。まあ~いろいろ考え方はあるのでしょうが、私の場合はこうした矛盾する要件を両立することが求められた場合は協力、自然に見せながら解決するように意識しています。ぱっと見!目立つデザインの方が褒められることが多いこの世界ですけど、言われないと分からないように作ることも実は大切なのです。

外壁の杉板の様子。昨年の「前田の家」から気に入っている木材用保護剤で処理した杉材を貼り込んでゆきます。印象は年を経るごとに美しいグレーに味わい深く変色する木肌が楽しめるもの。どうしても着色だと塗りたてが一番でだんだんに色抜けしますけど、この保護材は逆。日本人好みかもしれません。

パッシブ換気の排気経路も兼ねる2階のWCの天井。空気の動きを邪魔しないように、またスノコの上に乗って排気口のメンテナンスに困らないようにこんな風にスノコ天井としています。

2階の洗面所からは塔屋に登れるように、また自然光を階下に落とすように考えています。壁に十分な窓がとりにくい間取りや、外壁に面して部屋がとりにくい場合は重宝する工夫です。

本棚の足元を空けて空気のリターン(回収)経路とします。
 

2階の建具は基本的に天井と同じ高さ。開放すると空間が一体になります。

壁内に納まる3枚引き込み戸。

西側の杉板貼りはずいぶんと進行いたしました。さてあともう一息!
みなさん頑張りましょう!(笑)

2013年9月9日月曜日

JIA建築家大会2013北海道 無事終了

みなさまのおかげを持ちまして無事、JIA建築家大会が終了いたしました。
この場をお借りして心より御礼申し上げます。大会中はたくさんの方々にお越しいただき有意義な催しとなりました。私たちの活動を少しでも皆さんに知っていただけたことは大きな喜びです。会場を訪れていただいた方々より励ましのお言葉を頂戴し、たくさんの元気をいただきました。これを励みによりよいものづくりに向けて更に精進したいと存じます。

舞台裏の風景その1 私の担当した教育文化会館は式典をはじめたくさんの会議や講演会が行われました。写真は慌しく準備の様子。マイクの本数は?演台の位置は?机の配置は?なんて感じでみなさん大忙し。(笑)しかしチームワークで乗り切りました。

ビシッと準備万端の朝の会場風景。あと30分でセミナー開始。

9/5.6と二日に渡りたくさんの方々に会場に来ていただき、セミナーはどれも盛況!盛況!

 

さーて、終了後は素早く現状復帰+翌日のセッティングの慌しさ。
 
後片付けもなんとか終わり式典の後半に間に合って、以前から注目している環境ジャーナリストの村上敦さんのお話を聞くことが出来ました。

式典終了後のレセプション。建築家の仲間たちとしばし歓談。

賛助会のみなさんや先輩、若手のみなさん全員で盛り上がりました。(笑)

Sさん、Iさん、そしてTさんほんとうにごくろうさまです。
 

挨拶には札幌市の上田市長も駆けつけていただきました。

二次会でも、講演者の村上さんをはじめたくさんのみなさんと親交を深めることが出来ました。各界で先進的な取り組みや研究を行っているみなさんとお話できたことは何物にも変えがたい時間となりました。
 
最終日前日のチカホ会場は、「北からの提言」と題し、まち起こしやエネルギーシフト、北海道に暮らすことの意味や歴史的なアイヌの建築、観光と北海道の未来等々、有意義なセミナーが満載。 
前日に引き続き、朝からのセミナーにも登場いただいた村上氏。

北海道において先進的なまちおこしを行っている下川町さんのお話し。まさに私たちの近い将来のお話しでした。困った嫌だな~と問題を後ろ向きに捉えるのではなく「課題の先進地」と考えればどこより早く問題を解決するスキルが身につく。うーんまさに目からうろこです。高齢化、少子化、都市のスプロール、エネルギー、雇用、社会保障等々、私たちの身のまわりは確かに課題だらけですけどそんな課題をチャンスと捉えられるメンタリティーがあるからこそ、若い人が街に帰って来る元気な街になれたのかと思いました。

北海道の環境工学の黎明期を支え、雪や寒さは欠点ではなくむしろ恵みであると説いた荒谷先生の言葉を、過去の原稿からリニューアルし、この度一冊の本としてまとめることが出来ました。北海道に住まう設計者や市民のみなさまにもぜひ読んで欲しい1冊。写真は音頭を取って頂いた小室氏の挨拶の様子。

何度聞いても、荒谷哲学には聞きほれてしまいます。
欠点対応から良さ発見型の視点へのシフトこそ、厳しい環境に暮らす私たちの財産である。そんな前向きなメッセージは会場に未来を想起させる空気感を作り出していました。
 
荒谷昇著 「住いから寒さ暑さを取り除く」 http://www.shokokusha.co.jp/?p=5300
 
最後になりますが、建築家大会の開催に当たりたいへんお世話になった、教育文化会館の篠原さま、岩田さま、JIA本部の宮下さま、浅尾さま、国際会議担当の新井さま、岩間さま、JIA環境行動ラボの大野さま、三木さま、寺尾さま、日本版CABE担当の連さま、お手伝いいただきました和田さま、JIA北海道支部の櫻井さま、大坂さま、小杉さま、大杉さま、目黒さま、大塚さま、伊賀さま、賛助会の五十嵐さま、星さま、井上さま。 この場をお借りして心より御礼申し上げます。
 
 

2013年9月4日水曜日

「JIA建築家大会2013北海道」 始まる

実は明日から始まるんです。

私も所属する(公社)日本建築家協会の全国大会。

市民向けのイベントもたくさんありますからぜひ皆さん遊びに来てくださいね~。(笑)

もう、札幌駅前通地下歩行空間(通称:チカホ)をお通りの方はお気づきと存じますが既に展示がスタートしています。9/5(木).6(金).7(土)の三日間、このチカホと札幌市教育文化会館にて様々なイベントが目白押しです。

そんなわけで 9/5.6は札幌市教育文化会館に詰めております。

詳しくは大会HPをチェック http://www.jia-hok.org/hokkaido/hokkaido.html

各会場のイベントは 全体プログラムのバナーをクリックしてください。

大会中御用の方は 山本MB 090-2057-8987まで

2013年9月3日火曜日

NHKさんの取材

 
先日、NHKさんに取材していただきました。9月からはじまる電気料金の値上げに際して現在建てられている住宅の燃費の実情と、市民の皆さんのエネルギーに対する意識を取り上げたいとのこと。 自称:北海道建築親善大使の一人として(笑)、協力させていただきました。北国においては暖房エネルギーの削減が急務なこと、断熱は寒さのみへの対処療法ではなく、暖房や冷房、災害時の自宅避難まで考えるとむしろ簡単で安価な投資であること。特に近年は道外の温暖地域でも夏対策に断熱の効能が見直されていること等々をご説明させていただきました。凄く嬉しかったのは、今回の記事が報道扱いだったこと。従来は生活系の話題として捉えられることがほとんどだった建築のお話しが社会の関心として扱われるのは実は中々ないお話だったんです。そんな意味でも時代はずいぶん(急速に)変わっているな~と感じました。
 
ちなみに放送時刻は9/4(水) NHK 18:10~19:00の間とのこと。毎度ながらお恥ずかしいですがお暇ならぜひご覧下さい。(笑)

2013年9月2日月曜日

建築学会さんのお手伝い

本日は、現在開催中の日本建築学界大会(北海道大会)のお手伝いの一環で、各現場をご案内させていただきました。平日の午前中にもかかわらず、快くお家を見せていただいた建て主のみなさま、この場をお借りして御礼申し上げます。ほんとうに貴重な機会をいただきましてありがとうございます。

住い手に、さまざまな質問が飛びます。(笑)みなさん意外な顔をされたのは、断熱建物が夏涼しいこと。多くの方が一般論として「断熱建物は冬暖かくとも夏は暑い」という印象をお持ちのようでした。

 
実際は、南側を全てガラス貼りにするような計画を行っても、建物の固定式の日射遮蔽(写真では縦格子)、深い軒の出、可変的に太陽光を遮光できる外付けブラインドを適宜操作することで、むしろ断熱建物は夏涼しく過す事が容易になること。厚い断熱により壁と屋根を暖まりづらくする方が通風、換気がよりよく作用することも説明させていただきました。北海道以外の研究者のみなさまの着眼点が、普段は道内のみのものの見方で凝り固まっている私には新鮮で、久々に頭を柔軟に様々な視点でものを捉える大切さを再認識させていただいた一日でした。これからもこうしたコミュニケーションを大切にさまざまな方々と交流し協働させていただくことで作り手としてもっともっと腕を磨きたいと思いました。遠くから北海道に来てくれたみなさん、ありがとうございます。またぜひお会いいたしましょう。
 
今日は大好きな松原正樹と今剛なんていかが?今聞いてもカッコイイデス!
 

2013年9月1日日曜日

PMV

以前にもご紹介しましたが、道内の建築家の設計した家に計測器を取り付け、その室内環境を長期的に記録する取り組みを東京大学の前先生の研究室と共同で行っています。従来は冬向きと考えられてきた北海道の家ですが、近年断熱気密住宅の有効性は冬ばかりではなく一年を通したものに変わりつつあります。断熱することで暖房負荷(ある温度まで暖房する際に必要となるエネルギー)は小さく出来ても、冷房負荷はむしろ増大すると考えられてきたことがその主な原因ですが、実際は夏でも日射遮蔽に気をつければたいへん涼しく過す事が可能になります。

写真は温熱環境の評価指数の一つであるPMVを計る機器。温度と湿度、風速と周囲からの輻射熱によりPPD(予測不快者率)が計測できる。結果は7.1%なり。要は100人中93名は快適と感じ、約7名がそうではないと感じる室内なのだそうです。中々難しい考え方ですが、快適だと感じる人が多かったのはホッと安心でした。

 
こんな感じに換気を行った環境で計測します。

次の計測場所はアトリエO2の大杉邸。南向きに開口部がない分、落ち着いた北側の光と風景を取り入れる設計。こちらもPPDの低さが印象的でした。

大杉邸の次は先輩建築家、小室さんの最新作の保育園。RCの構造体に20cmの外断熱を施したもの。前先生曰く、外の暑さに関係なく室温が一定とのこと。
 

2か月分のデーターを記録しているところ。

最後は照井さんの事務所兼自宅。輻射熱に関して話し合う二人。
 
一時は、「計測なんかしてうまく行ってないのがばれたらどうするの?」なんて冗談交じりのマジな?(笑)意見も少なくありませんでしたが、よくよく考えれば分かるように、良いも悪いも全て客観的に丸裸にしてもらうことではじめて共通の課題や克服すべき目標が明確になるのです。自分にしか分からない主観性の中でひたすら建築を作ってもそれは説得力にはつながりません。長年、先輩たちが作り上げてきた北海道の家を私たちの世代で、さらによいものにするためにはむしろ積極的なコラボレーション(協働)しかないのかもしれません。  きっと厳しいと思いますけど..(笑)
 
今日は Flowerで 「恋人がサンタクロース」
 
実はユーミンが原曲だけど自分らの世代は聖子ちゃんす!
という方々には。(笑)
 
 
 

2013年8月30日金曜日

西野の家Ⅱ 外構工事

ガーデンジャパンさんによる外構工事が始まった「西野の家Ⅱ」、大好評の札幌軟石と丈夫なユーカリ製枕木で作る外構は「通路」でもあり「庭」でもあり「土留め」でもある優れものです。近年はお母さんもお父さんも忙しいことが多くて、子供の頃よく見たお庭なんて、滅多に作らなくなってしまいました。昔はオンコやツツジを植えた庭があってその向こうに「家」でしたけど、近年はカーポートに玄関アプローチ等々、実用性重視のニーズがほとんど。そこで単なる舗装では味気ないし、手間の掛かる庭木も敬遠されがち...うーん  でっ! ガーデンジャパンさんの登場なのです。
 

時代に合わせた外構(庭)のあり方をいつも考えてくれる、ガーデナーの小坂さんの提案は簡素で気取らず、現代的な建築にもマッチします。

こちらは、軟石と枕木を幾何学的に組み合わせているところ。

こんな風に南側の出入り口と全面道路の間がクライアントさんからいただいた今回のお題!
さて出来上がりが楽しみです。(笑)

社長自ら、タガネとハンマーで石を削り、地面に「景色」を作っていきます。緑が入るとどんな感じなんでしょう??時代が変わっても建築と庭って切り離せないんですよね~。
 
ちなみに昨年の「宮ノ丘」の家は?
 
「西岡の家」も好かったです。(笑)
 
 
今日はSoul Headなんていかが?歌のうまい二人組みって好きなんです。
 
もひとつ今日は初期のDouble 幸子姉さんは残念でした。