2012年11月5日月曜日

発寒の家 気密測定第一回目

さて、先週の「前田の家」に引き続き今週は「発寒の家」の気密測定です。こちらもU棟梁渾身の仕事で万事抜かりなし!Dr.タギの計測開始です。

結果は実にあっけなく...いえいえけして悪い方にではなく、良いほうにあっけなく0.1cm2/㎡が出ました。流石!武田社長にU棟梁、何もいえません。ほんの最近までは在来工法で高い気密化は構造上難しいと言われてきましたがそんな言葉が色あせて聞こえるほど大工さんや現場管理者の水準は向上しほんとうに感心してしまいます。不思議なもので最初は全員で苦労しながら、時には1時間以上にも渡り漏気部分を探しながら性能を出していたものがいつの間にかそのコツが身体化し、いとも簡単に達成できる様子はなんだか不思議な気持ちになります。(笑)
そう言えば、二年前の「南あいの里の家」では漏気部分がなかなか見つからず苦労しましたっけ?(笑) 「南あいの里の家」気密測定 http://ako-re.blogspot.jp/2010/10/blog-post_30.html


最近暗くなるのが早いですよね~、2階の南側の壁が全てガラス貼りの様子がよく目立ちます。もちろんブラインドを考えているのですが、そこから漏れる暖かな光が素敵な夜景として街並みに参加してほしいと思います。

今日はチャックベリーなんていかが?思いっきりロックンロールで(笑)!

西野の家 Ⅱ ケーシング取付

基礎のベース(底板)のコンクリート打設が終了した「西野の家Ⅱ」です。

各部の仕上がり寸法を埋め戻しの前に撮影しておきます。

次の工程は布基礎の壁部分に当たるコンクリートを打つために型枠を立てるのですが、その前に室内からの排水や引き込む電気の線などを通すケーシング(筒)を固定していきます。もちろん鉄筋を痛めぬように鉄筋のマス目の間に筒を固定するのですがそれが言うは易し...行うは難し。しかし、ふと見ると設備屋さんいいものを使っているではありませんか!(笑)黒いプラスチック製のホルダーで簡単に筒を固定しています。これなら簡単に移動も出来ます。

高さを揃えたり、間隔を合わせたりが簡単に行えます。写真はパッシブ換気の給気口。

左奥に見えるのは基礎断熱のための分厚い断熱材です。

今日はビートルズなんていかがでしょう?

2012年11月3日土曜日

前田の家 気密測定第一回目

今日は、「前田の家」の最初の気密測定です。登場するのはすっかりおなじみになったDr.タギ。一般に気密測定の限界は通常の機器で0.5cm2/㎡程度と言われています。しかし北海道の大工さんは、仕事の水準が高く、特に神経質にならなくとも0.6cm2/㎡程度は楽に出してしまいます。せっかく良い仕事をしても測定員の技術や機器の性能で正確に計れないのは張り合いがないですよね~?そこで登場するのがDr.タギというわけです。

I所長、I棟梁、設備屋さんや電気屋さんが見守る中で測定開始。最初は僅かな隙間がどこかに集中している。とのDr.の指摘で全員隙間探し。

テープの増し貼りやコーキングで漏気部分を止め、再チャレンジ!さて結果は...

なんと相当隙間面積C値は0.1cm2/㎡を達成!現場のみなさまおめでとうございます。
さて二回目もこの数字を維持できるように頑張りましょう!

さて今日はビールが美味しいですね~!ということでJUMP!

小室さんの体験セミナー

今日は、尊敬する先輩建築家の小室氏の体験セミナーに行ってきました。30年以上前から外断熱に取り組み、北海道を代表する環境建築家として全国的に知られています。私も最近よく使う0勾配のシート防水屋根や今や広く北海道で使われるようになった北欧製のトリプルガラスのサッシをメジャーにした建築家の一人と言ってよいでしょう。建物は保育園ですが、200mmのRC外断熱という理想的な建物の外皮(壁、屋根)ということです。この日はその穏やかな室内の気候を体験することを目的に無暖房状態のまま日本全国から100名を超える建築家や専門家が集まりました。私もいつの間にか実行委員になっていて(笑?)当日はしっかりお手伝いに行きました。

全国から集まった人たちを前に講演する小室氏。

北海道の建築家の良いところは立場にこだわらずお互い仲が良いことでしょうか。左が若手女性建築家の櫻井さん、右が毎回お世話になっているPS暖房機の広田さんです。

当初は少し寒かった会場は集まった人々の体温ですぐさま快適温度帯となり、東京から来た人などはこの後の懇親会で上着を脱ぐ人も...、外気温は7℃ながら室温は20℃で寒さをまったく感じません。写真でこうした上質な室内の穏やかさが伝わらないのが残念ですが、北欧の高級車と古い軽自動車の冬場の室内の差なんていえば少しは伝わるでしょうか?けして機械的に調整された空気感や空調感ではなくて、基礎体力として持っているポテンシャルが高い。そんな室内気候を感じさせてくれます。木造で私が作る300mm断熱もコンクリートやブロックの外断熱をお手本にこうした穏やかさを木造で再現できないものか?を目標にしているのです。

私も大きな影響を受けた宿谷先生のエクセルギーのお話し。もう最高でした!

2012年11月1日木曜日

建築ジャーナル誌に掲載していただきました。

建築ジャーナル11月号の誌面に8P掲載していただきました。



中には「西野の家」や

「銭函の家」

「南あいの里の家」に「菊水の家」

最新作の「宮ノ丘の家」や「春光BASE」なんかが載っています。文章に加え、図面や写真も全て山本担当でしたのでかなりたいへんでしたが(笑)よい記念になりました。こんなに幸せなものづくりができるのもクライアントさんや協力企業の皆さんのおかげです。心より深く御礼申し上げます。

ふと想えば、最近ずいぶんと執筆のご依頼をいただくようになりました。時代が少しだけ北海道の建築を見直しはじめたのかもしれません。以前は震災といえば耐震性のお話ばかりでしたがやはり3.11以降はそれらに加えてエネルギーと建物の関係性や真冬に暖房を失っても過酷な事故に陥らない知恵やその工夫に注目が集まるようになりました。30cm断熱の家を建てはじめて今年で10棟目になりますが、大工さんや協力企業のみなさんもずいぶんと腕を上げ、なによりクライアントさんの意識がいちばん高いことにはほんとうに驚かされます。先輩たちが苦労して築き上げた北海道の建築やその考え方が見事に根付き、「ネガティブな冬の欠点対応」から「年間を通じて過しやすく健康的な住い」へと成長しているように私には感じられるのです。

さて気付けば今年もあと少し、明日からまたしっかり努めます。

今日は今は亡きパバロッティのジョルダーニなんていかが?

2012年10月30日火曜日

前田の家 板金工事

前田の家は現在、屋根板金工事の最中です。ここ最近、連日の雨で工事が伸び伸びになっていたせいで板金屋さんの登場が待ち遠しかった「前田の家」ですがこれで安心。心置きなく内装と外装に取り掛かれます。

屋根は板金ですが北海道で開発された無落雪タイプのものを用います。屋根の長さは全長約14mですから屋根の一枚一枚も同じ長さの加工品を用います。


窓上の小屋根の役物や納め方を確認します。今回は最近の建築家がよくやるような薄く小さく軽くではなくて、ある程度のボリュウムをもったベーシックなスタイルの納まりで全体を考えています。クライアントの要望が「流行の」とか「最新の」ではなくみんなで長く住める家ということでしたので各部の見栄えもそこを大切にデザインしようと考えています。


外壁はもう仕上げの板が貼られるばかりになっています。快晴で風が穏やかな日の気密測定に向けて準備万端です。写真は通気層内部から室内側に漏気、漏水を防ぐためのテーピング。寿命の長いブチルテープを用いています。

こちらは小口径の100Φ。おなじようにテープ止めします。


今日はヴァンヘイレンなんていかがでしょう?

2012年10月27日土曜日

西野の家Ⅱ 基礎工事

ベース(底板)と布(立ち上がり部分)の配筋が終了し、保険法人の第三者検査に合格した「西野の家Ⅱ」。もうみなさんお馴染みですがさらにその後に私がチェックに入ります。別に嫌味なわけでもなんでもなく、監理業務というものは複数の目で見て何回も確認することが大切だからです。特にコンクリートは施工すると後から鉄筋を見ることが出来ません。そこで複数の場所を抜き出してチェックしてゆきます。

まずはトップ筋の本数と径、以前もご紹介したようにここ最近は、標準仕様の基礎でも長期優良住宅仕様の鉄筋量を増やした配筋で設計しています。写真はトップ筋が二本ある様子また径が13mmであることを確認したものです。

次は床下の人通口の斜め補強筋の確認です。写真の真ん中より上、斜めの鉄筋が見えますか?次は重ね継ぎ手の長さの確認です。写真中央に鉄筋の継ぎ手が来ています。トップ筋は13mmでしたから40倍以上の重なり部分が必要です。13×40≒52cm以上です。私の布基礎の縦筋と横筋の間隔は20cmのマス目ですので、もう一度写真を見て3マス目以上あるのでOK!といった具合です。

土の上に直接鉄筋を置くと、土の水分で鉄筋はすぐに錆びてしまいますよね?そこで6cm角のコンクリートのピースの上に鉄筋を組んで底にもコンクリートが回るようにします。この6cmをかぶり厚さといって基礎の各部で最低必用な寸法が決められています。そこで私たちは監理の際にそうした寸法を逐一測ってゆくのです。ところで鉄筋が錆びている!と気になった人はいませんか?この錆び、ピカピカになるまで磨いたほうが良いでしょうか?皆さんはどう思いますか?これは建築士の試験問題にもあるんです(笑)。正解は錆びは絶対落としてはいけないです。理由はコンクリートの付着強度が下がるから、もうひとつはコンクリートは強アルカリ性で錆びの進行を長期的に抑制できるからです。もちろんコンクリートも長期的には老化します。専門的には中性化といってアルカリ性の性質が少しづつ失われ、鉄筋の錆びの進行を抑制できなくなってゆきます。しかしそのスパンは平均的な使用期間を十分上回る長さなのであまり心配する必要はありません。

コーナー部分の斜め補強筋を確認します。

拡大した人通口周囲の斜め補強筋です。
出隈部分の重なりと、ピースの数、ねじれの無さを確認します。

現場から出土した強大な石。長さ1.5m、縦横0.7m重たくてとても場外に運び出せないのでコンクリート土間を支える下地として再利用します。これならば床が下がることはまずないでしょう。(笑)

さて3現場が揃ったところで今日はジャーニーでもいかが?

2012年10月26日金曜日

札幌デザインウイーク2012

みなさん札幌デザインウイークには行きました?毎年市内の会場を使って行われるデザインイベント。今日は若手建築家の集まりUN40(アンダーフォーティー)の展示を見てきました。


ブースに立ち寄ると紙で簡単な家の模型が作れます。全長20mの模型の街路に出来たお家をどんどん置いてゆき、イベントの開催中に街並みを完成させようという試み。見知らぬ市民同士が共有する「つくる喜び」そんな感じで私も3軒ばかり作ってきました。ぜひみなさんも街にお出かけの際は大通り地下歩行空間に寄り道してみてはいかがでしょう?きっと楽しめますよ~(笑)

札幌デザインウイークについて詳しくはHPまで http://www.sapporodesignweek.com/2012/

2012年10月24日水曜日

発寒の家 歓迎!建築指導課さま


本日は全道各地から集まった建築指導課の新卒、フレッシュマンの皆さんを「発寒の家」にお迎えすることができました。

今後、北海道の各地で建築確認申請をはじめ建築行政の最前線で活躍する方々です。

現場では、断熱はまず省エネやCO2削減のためではなく、室内の温度差をなくしヒートショックによる死亡事故をなくすことを目的に行うことや。北海道の40年以上に渡る蓄積は今後、日本中で必要とされる技術であること、3.11の貴重な教訓は災害時いかにエネルギーに頼らないで安全を確保するかの知恵を私たちに求めていること、正しく断熱を行えば暖房なしで生存可能な室温が容易に得られること等を説明させていただきました。みなさんから積極的な質問もいただきとても有意義な時間をすごすことが出来ました。この場を借りて御礼申し上げます。地元では市民のために日々奮闘され、実りある建築行政の一助となられますよう心よりお祈り申し上げます。

今日はジョーサンプルのピアノなんていかがでしょう?秋に合いますね~(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=3GsyfQiL4KI&feature=BFa&list=PL7D418E0ED10156DE&index=7

発寒の家 屋根防水工事

本日は待ちに待った屋根屋さんの登場です。「発寒の家」は周辺に家が建て込み落雪型の屋根を作ることが難しい状況です。もちろん敷地が広くある程度の落雪が可能であったとしても最近は屋根の雪は極力落とさない方向で考えることにしています。それは雪を落とすことにむしろデメリットのほうが多いと考えるようになったからです。陸屋根と呼ばれる四角い屋根は半年間雪を屋根に載せておく北国独特の屋根の形式です。しかし実態は排水溝を屋根の中心に作って、これまた建物の中に配水管を通して屋根の雪を少しづつ溶かしながら融雪水を流しています。当然ながら管の中は凍らないように電熱ヒーターを通し、水は垂れ流しにならないように、下水か雨水管に接続せねばなりません。要は従来のスノーレーンと言われる陸屋根は、排水設備と凍結防止設備の両方が必要なばかりか、雨水管や下水管といった都市のインフラが敷地の前面に用意されていてはじめて機能する屋根なのです。

でもみなさん!雪は落ちないけど溶けた水だけ敷地の中に落ちて知らないうちに地面に浸み込んで消えてくれたらいいと思いませんか?(笑)

そんなニーズに答えるのがシート防水を用いた0勾配のテーブル屋根です。この屋根は先輩建築家の小室さんが考案したものなので敬意を込めて「小室屋根」と最近は呼ぶことにしています。


構造は至ってシンプル。屋根の野地板に一定間隔で止めつけた円盤に特殊な接着剤でシートを貼り付けてゆく。

シートを接着している様子。とにかく早い。

今日は午後から冷えたのでシートの柔らかさを出すためにバーナーであぶりながら貼り進めます。

出来上がりはこんな感じ

今日は大好きなスティーブガットとリチャードティーのバンドSTUFF!
特にこの曲はグルーブがむちゃカッコイイです!最高なのは終盤のティーのピアノソロでしょう!


2012年10月23日火曜日

西野の家Ⅱ 着工

「西野の家Ⅱ」が着工しました。ところで今年は、札幌版次世代住宅基準の施行元年にあたります。普及のために札幌市は補助制度も作り、かなり力を入れています。「発寒の家」、「前田の家」も応募しましたが、設計者の日頃の行いの悪さのせいで抽選にはずれ、最後に残った「西野の家Ⅱ」だけが当たり、無事今日の日を迎えたというわけです。(ホッ...)そんな幸運も関係してか「西野の家Ⅱ」は記念すべき30cm断熱プロジェクトの10棟目となります。クライアントさんは昨年の「西野の家」を見て気に入っていただいたそうで、木貼りの家が建つ!と楽しみにしていたのも束の間...後の調査で敷地のほとんどが準防火地域内であることが判明し今回は泣く泣く木貼りを断念。防火構造プラス防火窓で新たなデザインにチャレンジします。

敷地の周囲は、かなり建て込んでいて今回もなかなかに手ごわい計画となりました。近隣商業地域のために周囲には3階建て以上の建物も多いことから、見下ろされる視線に対する工夫が強く求められました。反面、南に大きく開放され敷地の日当たりが良好なことから北側の子供室は3階建ての塔屋とし南側のLDKより高く作り、屋根越しの採光と眺めを取り入れようと考えました。乞うご期待です!

クライアントさまへ

長らくお待たせしてしまい誠に申し訳ありません。精一杯頑張りますのでどうぞよろしくお願いいたします。一緒に素晴らしい家づくりにしましょう。

今日はシングライクトーキングなんていかが?


発寒の家 明日は?

実は明日、北海道庁さんのご一行を「発寒の家」にお迎えすることになりました。メンバーは建築行政関係者のみなさんとのこと。近年光栄にもたくさんの方々に視察に来ていただけるようになりました。地域の建築に注目が集まるのはとても嬉しい事ですよね。チーム一同テンションが上がります。(笑) 資料を整え、全道からお越しいただくみなさまに喜んでいただけるよう武田社長ともども頑張ります!

前田の家 気密測定直前

概ね室内のグラスウールが入れられ、設備の貫通部分が終了すると、皆さんおなじみの第一回目の気密試験の工程となります。「前田の家」は9軒目の30cm断熱の家となりますが、さまざまな部分でノウハウの熟成が進んだ内容となっています。外貼り断熱と充填断熱の使い分けによる室内の意匠表現や内装を行う前と完成時の二回に分けて行う気密試験。防火に配慮した木製の外壁貼や三角屋根ながら無落雪のステイルーフ等々。外観は控えめながら、北海道で暮らす際に「あっこれいいな~」と思えるように各部を煮詰めてみました。

30cmおきにリズムを刻む屋根の垂木はこのまま顕しますが、壁はグラスウールを隠すように白色で塗るつもりです。出来上がりは壁の中から30cm間隔で屋根の垂木が飛び出すように見せようと思います。でもそのためにはボード貼りも内装もかなり手間が掛かりますよね~?棟梁ごめんなさい。(笑)

室内の断熱工事が概ね終わった室内です。さて緊張しますがそろそろDr.タギ氏に連絡し気密測定の段取りです。

さて~毎日天気が悪いですけど皆さんいかがお過ごしですか~?今日はおなじみバンアパ!