2012年5月5日土曜日

㈱匠工芸 その2

ご存知、山本設計モデル。こちらは座面が布テープ仕様。事務所にあるのは紙テープ仕様です。日本人の腰骨に合わせた腰のサポート、全体はコンパクトながら広い座面をもち、お尻が疲れにくい設計。材質は標準がナラ。望めばウォールナットやタモ、ニレと自由自在。

腰をしっかりサポートしつつ、使わないときには机の下に滑り込む絶妙な肘掛の高さ。通常の椅子のほとんどが机の下に椅子を仕舞おうとするとどこかがぶつかる事が多い。

経木(薄くスライスした木板)を用いたフロアスタンド。趣向としては行灯(あんどん)だが、不自然に和風を気取るでもなく、北欧的でもないところにセンスを感じます。

会社の看板モデルのBANシリーズ。標準サイズはテーブル:1900×950×700とゆったりサイズ。天板は巾30cmの板3枚に簡単に分割可能。無垢の木肌を極力大切にするために縁は木の皮を剥いたままのカーブを残し、割れも、契り(バタフライジョイント)を打ち込んで止めるといった加工が施される。高価ではあるが一生ものの迫力。

木口面に打ち込まれた契り

ホゾが抜けないように楔を二本打ち込んで止めるのは匠工芸の特徴的なディテール。楔は色の濃い材種を使って接合部分をデザインとして見せている。

中井啓二郎シリーズ。腰のサポートにこだわった一品。座面も滑らずにピタリと決まる。日本人の体型や座り方をしっかり読み込んだつくりには根強いファンも多い。

こちらはアメデオシリーズのダイニングチェア黒い部分はウオールナット、白い部分はメイプル(カエデ)

こちらのアメデオは全てメープルのタイプ。

こちらもロングセラーのYUMIシリーズ。

代表的なモデルが並ぶ二階のショールーム。

暮らしの中に気軽に椅子のある生活を!近年、人気沸騰のマッシュルームシリーズは可愛さらしさとリーズナブルなプライスが受けて大人気に!座面のエクセーヌ(人工ビロード)は基本の5色の他にもチョイスが可能。材質はホワイトアッシュ(北米産のタモ材) 
う~んかわいい!さすが~中井専務!

これまた人気の高いテーブルはご存知瀧澤ベニアの白樺積層合板を使用。まあ同じ工業団地のご近所同士ですから。(笑)

今日はユーミンでもいかが?

2012年5月4日金曜日

㈱匠工芸 その1

 5/2(木)は、GWの休みを利用し妻と三男と旭川のとなり街、東川町へ、まあ休みといってもクライアントさんから注文のあったダイニングチェアの検品と引き取りが目的なので半分は仕事ですが。(笑)
 東川町は町内で生まれた子達に椅子を贈る事で知られる家具のまち。大きな木工団地を抱え暮らしは木との関わりが深い。

 訪れたのは、過去のブログでも紹介した㈱匠工芸。安易に見た目に走らず簡素で飽きの来ないデザインと、最高の使い心地。一旦道具として使い慣れると特に椅子はとても評判がよい。一概に家具屋といっても販売専門や箱物専門があるが、なんといっても同社の特徴は最も製作が困難な椅子にこだわり、小規模な工場ながら自社でデザイナーを抱えているところ。現在、専務を務める中井啓二郎のデザインは使う人に優しくポップでさえある。弊社を訪れたことのある人なら必ず腰を下ろしたことのある椅子の作者であり、少しづつ改良を加えながら今も進化は続いている。一生に一度の家づくり、クライアントとは長時間の打ち合わせになることも珍しくない。でもその多くが新居に同じ椅子を欲しがることは私の密かな自慢のひとつである。

(*注:弊社のオリジナルチェアは匠工芸のカタログモデルではありません。同社のWebカタログには載っていませんので予めご了承下さい。)


 時は1967年(昭和42年)、東京オリンピックから3年後、戦後は過去のものになりつつあり、大都市圏はどこも経済成長の最中にあった。当時の旭川市の人口はまだ30万人に届かず、爆発的に拡大を続ける札幌圏に比べると地味な印象は否めなかった。
 若手職人の登竜門である「技能五輪」。中でも全国大会を勝ちあがり国際大会に駒を進めることは旭川中の若手職人にとって自らの将来を開く絶好の機会といってよい。当時、山際家具製作所に在籍していた桑原義彦もそんな一人だった。


はたして日本各地の強豪を抑え、順当に全国大会を勝ち上がった桑原は見事、国際大会に挑戦を果たす。会場はスペインのマドリッド。そもそも技能五輪の提唱国であるスペイン大会は特別なものだ。そんな本家本元の会場で、なんと家具部門で世界第二位の栄誉に輝く。極東の名も知らぬ街から来た青年がその技において世界に劣らぬことを示した瞬間だった。それはまた旭川が家具の街として世界に認められる切っ掛けともなった。その後、先輩の偉業を目にした後輩たちが次々と挑戦を開始したからだ。今でこそ旭川の職人は大会の常連として世界に認められているがその背景にはこんな歴史がある。

「桑」のイニシャルが焼き込まれた愛用の道具は今も会社の奥に整然と並べられている。

日本のノミは今や世界中の職人に愛される存在になったが、当時この道具をはじめて目にしたスペインの職人たちはどう思ったのだろう?

一部の家具好きの中では㈱匠工芸を旭川家具の中の旭川家具として一目置く雰囲気がある。
 桑原の挑戦から早くも45年の月日が流れ、その間に旭川からたくさんの職人たちが挑戦するも、いまだに彼の記録に並ぶものはいない。

(*注:技能五輪国際大会に日本がはじめて出場を果たしたのは1962年スペインのヒホン大会。8名の選手が参加し、金メダル5個、銀メダル1個、銅メダル0個と大健闘した。資料:北海道職業能力開発協会HPより)

今日はクラプトンなんていかがでしょう?







2012年5月1日火曜日

ここ一週間...

 4/26は旭川へ、春光の家の外構の打ち合わせに行きました。近頃急に暖かくなり一気に建築のシーズンインとなりましたが、雪が溶けて気になりだすのが建物の周囲。特に冬季間の工事は、落とした釘や木の破片がたくさん出てきます。きれいに拾うことはもちろん、合わせて建物の緑化やポラード(車止め)の計画もこれからです。

 4/27(金)北海道新聞の住宅広告特集に2009年竣工の「銭函の家」が掲載されました。北海道の推進する「北方型住宅」の普及啓発の一環でご推薦をいただいたのですがこの場をお借りして御礼申し上げます。近年はCO2の削減に加え災害や時の流れの中で生き残ることが建築というものづくりに大きく求められるようになりました。
 真に経済的であること、丈夫であること、建設時も建設後も環境的であること、飽きの来ない美しいデザインであること、地域的な経済や生産と深く係わっていること。建築もこうした複数の要件を満たすことが今後さらに求められるでしょう。
 官民問わず日本の構造を端的に現していた「縦割り」...時代はそれをあざ笑うかのように横へ、横へとつながろうとしているように感じます。

 4/28(土)はドイツから来日したパッシブハウスコンサルタントのクーラーアンドレアさんのセミナーでした。演目は「エネルギーパスとパッシブハウス 欧州の最新事情」です。原発廃止を国民の意志として決めた国ドイツ。結果として行き着いた個々の技術もさることながら、そこに至ったドイツ人のメンタリティーに興味がありました。環境先進国の先輩から見た、札幌版次世代省エネ基準に対する感想とか、日本人の多くが機械設備の効率向上に軸足を置いた環境建築をイメージしている点、そんな中で新たな動きが市民権を得つつあること。セミナー後の食事会で貴重な情報交換ができました。クーラーさんありがとうございます。
 4/29(日)は現在取り組んでいる計画、「西野の家Ⅱ」の打ち合わせでした。今回の敷地は準防火地域と住居系地域がひとつの敷地の中で混在する条件。クライアントさんと、現状の認識と今後の計画の方向性について密度の高い打ち合わせができました。素敵な家づくりにしましょうね!(笑)

 4/30(月)は次男と三男を連れて映画を観に出かけました。たまには家族サービスも大切ですから...(笑)、上映まで時間があったので小樽の街を散策し、次男の提案でぶらりと入った蕎麦屋の美味しかったこと!聞けば創業80年以上との事。続く店には理由があるんですよね~(笑)
庶民価格で気取らないのに、つぼはしっかり押さえた店主の人柄が感じられます。知らないうちに大人一人前食べられるようになっていた三男、「おい!もっと大きくなれよ~!」の言葉に「うん!」と素直。次男は次男で、好物のカレー蕎麦を頬張りながら、自宅近所の店も旨いが、こちらも甲乙付けがたしとの事。子供たちの給食がどんどん外注になり、お弁当は共働きの忙しさの中で冷凍食品に変わる中、人が作る味に興味をもち、少しでよいから違いが分かるように育ってほしいと思います。
 自分も昔はそうでしたが、若いときの感性は、周りの大人がなにも言わないと偏ったものになりがちです。プレゼントに既製品のマフラーをもらうのはアリだけど手編みは重たいのでナシとか、コンビニ弁当なら気楽だけど、手作り弁当のおかずは相手の気持ちが入っているから微妙~...なんて最近よく聞きます。なんとなく気持ちは分かりますが、既製品のほとんどは作り手の顔が見えにくいだけで手作りですし、コンビニ弁当も給食のおばさんの手作りも現場の風景は似ています。既製品でも気持ちのこもった贈り方もあれば、手作りなだけでつまらないものも多いのが、私の知るものづくりの世界のリアルです。要は外観もさることながらその向こう側を想像してみること。
食は、そうした豊かさに日常的に触れる素敵な機会なのでは?そんなふうに思いました。

さて、隣町ではクライアントさんが心待ちにする椅子が出来上がった様子。近々、妻と息子と工場に検品に行きます。工場長から、毎回同じ苦労話を聞くことも私の大切な務め。今回もひとつ、叱られに行ってきます。(笑)

今回はかなりコアなやつでもいかがでしょう?
ラーセン&フェイトンバンドなんて知ってます??(笑)
今じゃバーゲンや番宣のBGでたまに聞きますよね~。



2012年4月24日火曜日

ゴールデンウイークの前に

 今日は、街まで所用で出かけました。市役所で調べものをして、「札幌版次世代住宅基準」の担当部署を訪問。担当者にごあいさつがてら現在の疑問点等を聞いてきました。

ところで北海道の推進する「北方型住宅ECO」やその後の取り組みとなる「住宅.建築物省CO2先導事業」、国の推進する「長期優良住宅先導事業」(*:北方型ECO、長期優良住宅ともに今年度の採択は未定です。)さまざまな基準が提案され誘導措置として補助金がつく中、どれが良いのか迷いませんか?なんだか呼び名も難しくて今一違いがピンと来ませんよね~?(笑)

ソ..コ..デ....

すごく簡単に説明すると、札幌市の取り組み以外は、全て国の事業がベースになっていることが大きな違いです。たとえば「北方型住宅ECO」は、国で推進する「長期優良住宅」をベースに「北方型住宅」の基準を上乗せしたものです。よく言えば国の定める性能基準に加えて、北海道独自の考え方も満たしているのだから相乗効果で高品質な家でしょう。ということになります。余談ですが、「北方型住宅ECO」の補助額が「長期優良住宅」の倍だったのも、こうした理由からかも知れません。さて今年度の「住宅.建築物省CO2先導事業」は、国の考え方をベースに地方の取り組みも応援しますよ!という考え方から、国が現在考える省CO2の取り組みの具体的な中身を示したものです。半分は地方の考え方を聞いていたこれまでとは異なり、CO2削減に対して今後の住宅が備えるべき性能に関して国はこう思いますよ。といった具体的な内容になっているところが特徴です。


 もうすこし端的にいえば...
太陽光発電をはじめ、高効率な給湯、暖房設備の積極的導入に対してインセンティブ(奨励や補助)を与えますよ。といった、建築本体よりは附帯設備をより重視する内容となっている点に特に注意してください。こうした機器の導入に際しては、建築本体の省エネ性を十分以上に担保しておくことが欠かせないことは既にブログをお読みの方なら常識と存じますが、この事業はそうした建築本体の高断熱化等はほとんど対象にしていません。

 一方、札幌市の取り組みはこうした国の考え方とは一線を画すユニークなものです。まず重視するのは附帯設備ではなく建築本体であるというところ。当然ながらインセンティブも建築を対象にプログラムが考えられています。個人的には国の考え方は機械設備という「アクティブ/能動的」な方法論を重視し、札幌市は断熱性や効率のよい換気方法等「パッシブ/受動的」な方法論を選択している。といったところが対象的で、両者は今後家づくりを考える市民にとっても意見の分かれる選択肢となるのではないでしょうか?(笑)


あなたならどちらの設計思想に共感しますか?
 
やっと雪が解けても木々の芽吹きはいまひとつ。大通り公園では花壇の整備が始まっています。まだ冬の名残が残る空に生き生きとした色彩を与えていました。


 残工事の確認のために「宮ノ丘の家」に行きました。黒く塗られた外壁がピシッと締まった印象です。背後の雑木林が緑に溢れるとさらに絵になると思います。実はこれから外構のデザインも考えねばなりません。どんなお庭にしようかな?家庭菜園もぜひお勧め、屋外の暮らしを精一杯楽しめるところはまさに北海道の魅力そのもの。

建築って不思議なもので荒地にぽつんと建っていてもなんだか冴えません。(笑)
周囲の緑やお花が少しあるだけでとても豊かな風景になるのは実に不思議です。

このアングル、緑が濃くなる頃にはとても楽しみなのですが...


建物が完成しても庭が手付かずだと今一寂しさが漂う「西岡の家」

翌年庭を小ぎれいにするとずいぶん印象が違いますね~(笑)。


並木のまん前に建つ、真夏の「菊水の家」も大好きですが、イチョウ並木の生き生きとした緑と外壁のレンガ色が建物の印象を引き立てます。


今日はサクラ!もちろん独唱で!
早く咲くといいですよね~。




2012年4月20日金曜日

近頃のこと

4月に入り、新年度が始まったと感じたのも束の間、もう月も半ばを過ぎてまた家づくりのシーズンが始まりました。少しブログをお休みしてしまったけれどけして遊んでいたわけではなく、「発寒の家」の実施設計を完了し、「前田の家」の間取りは昨日確定し、これから実施設計に入ります。今年度も多くの引き合いやご依頼をいただいて身の引き締まる思い。今日はそんなここ最近の出来事のお話しです。

先日、「銭函の家」が取材を受けました。近年ますます高まる暮らしとエネルギーへの関心。日本政府は原発の再稼動を進めようとしていますが、周辺地域の市民をはじめ首長たちの不安を取り除くことは難しい状況です。夏に向けた電力の足りる足りないの論議に加え、原発立地地域のほとんどが街の経済を原発に依存してきたことによるものですが、福島の教訓に学ぶならば、従来のように立地地域の都合を重視する再稼動はおそらくますます難しくなるでしょう。事故後見えてきたのは「復興、再生」の掛け声の影で、膨大に増え続ける行き場のない汚染水や核廃棄物の山であり、県外はおろか敷地外にさえ運び出すことが困難な現実です。今後30年とも40年ともいわれる廃炉に向けた道のりの中で解体した部品や膨大な核のゴミをどのように扱うのかは、はっきりしていません。残念ながら現在の処理技術では用地を建設以前のように更地に戻し別の用途に使うことは難しいようです。今後は日本列島が地震の活動期に入ることが懸念される中、福島の教訓を重く受け止め国民全体で原子力といかに向き合うかを真剣に考える必要があります。建築家として暮らしとエネルギーの問題にさらに真剣に取り組まねばならないでしょう。過去3年の経験を総動員して北国の快適な暮らしとそれに必要なエネルギーに向き合ってみたいと思います。

 長男の高校の入学式に出席いたしました。高校生になると校舎も体育館も大きくてびっくり!在校生の演奏するブラスバンドの上手さに二度目のびっくり!自分の高校時代よりも校則や生活指導が遥かに厳しいことに三度目のびっくりでした。

 過去には茶髪や素行が問題になった時代もあったとのことでしたが、当日は髪の赤い子や制服を改造?(懐かしい.../笑)している子は皆無。

 ホームルームで担任の先生が「当校は普通科ですから96%は進学します。高卒で就職を希望する子は3~4%しかいません。新入生の諸君、みんなのことを応援している人のことを忘れることなくしっかり勉強しなさい。どこなら勉強しないでも入れる?なんていう考えではなく、自分はどこに入ってなにをしたいのかを選べるようになりなさい。勉強しないと将来を選ぶことができなくなります。」と小気味のよい調子で話されました。当然といえば当然のお話しなのですが、親としては「おーいかなりたいへんそうだぞ~大丈夫か?」とすこし不安になる始末。やはり親ばかなんでしょうか?(笑)
 かつての受験戦争の反省から始まったゆとり教育。近年ではその行き過ぎが指摘され、国別の学力ランクは低迷を続けています。平等や機会均等、叱らないこと、比べないことが大切にされ、幼稚園の発表会では10人の白雪姫や15人の王子様が出現し、親は自慢のハイビジョンで自分の子の番が来るたびに前の席に移動するから舞台より客席の方がかなり落ち着かない。かけっこは全員が一等賞で、速い子と遅い子を比べるのはNG。でもさあ~それっておかしくない?(笑)

 実際の社会の現実を教育の現場に反映していないし、温室育ちの子供たちをいきなり寒空に送り出すことの方が酷ではないのだろうか??人生の勝ちや負けは簡単に判断できないどころか、負けと思っていたのが実は宝の山だったことに気付くことも多い。むしろ本人の気の持ちようやものの見方によることが大きく、見ようとしないといつまでも見えない。幼稚園時代に一度も白雪姫や王子様になれなくたって、かけっこが遅くたって、その子のどこに傷がつくって言うのだろうか?現に私はまさにそんな子供だったけれど、周りの先生や大人は、「きっと向いてるものが見つかるから安心しなよ、でも必死に探さない子は見つからないぞ~」って厳しく暖かく叱って(応援して)くれた。

 先日、同級生の会社に新入社員が入り、調べ物をするように頼んだところ「社長のコンピューターは、既に立ち上がっているのだから、私が席に戻って電源を入れるよりも今ご自分で調べたほうが効率的です。」との有り難いお言葉が帰ってきたそうな。私なぞよりは数段人間ができている彼は丁寧に、自分の手で調べ問題を解決することの大切さを説明したが、それに対する彼の答えが「企業のトップとして効率の追及か?教育的指導なのか?を明確にすべきなのではないでしょうか?」という最初にも増して有り難いお言葉を頂戴したとの事だった...(フッ...笑...)
 そんな話を穏やかに涼しげに話す彼の前で、私が負けを認めたのは言うまでもない。お粗末!

新たな計画案の現地調査です。急に春めいてきましたね~(笑)、電気の引き込み、給排水、用途地域に各種の建築制限、道路台帳の確認に真北の確定、建築可能範囲の予想等々、いきなり間取りが書けるわけではないのですよ~。さてこれからが楽しみです。


最近、子供たちも大きくなってきたので彼らが過去に作ったプラモを事務所に飾ることにしました。写真はVF27、超時空要塞マクロス(懐かしいっ!)も最近ではマクロスFに。キャラクターの中にはお姐系も登場するところに時代を感じます。

 RX78ガンダムとジオン公国のザク。最初に登場したのは私が14才の1978年。ガンプラはお店に並んで買いましたっけ(笑)ちょうど同年に「風の谷のナウシカ」が初放映されて初めて宮崎駿を知りましたね~。今でもちっとも古さを感じさせないばかりか腐海と核戦争による環境破壊と汚染によって巨大化した蟲たちと共存する世界観はむしろ当時よりも今にリアリティーを感じます。

 実は今年もPTAの役員を引き受けることになってしまいました。卒業式、入学式の祝辞を考え、姉妹校には来賓として赴き、校長にはお祝いを、教頭はじめ総務主任には準備の労を称えます。かなり様式化されていますが、日々教育の現場に情熱を燃やす先生方と無邪気な子供たちを見ていると不思議と勇気が沸いてきます。不思議なものですね~、今年はどんな行事を考えて子供たちを喜ばせようかな?(笑)楽しくも悩ましい一年がまた始まります。

 来月5/17には毎年好例の北総研(北方建築総合研究所)の調査研究発表会が旭川であります。最新の知見を仕入れ実践に生かしたいと思います。

詳しくは北総研HPを http://www.nrb.hro.or.jp/index.html


さて、週末にはプレゼンが、明日は所属団体の定期総会があります。
まあ~っ 気楽に行きますわ。  そんな今日この頃です。

今日はキーシンなんていかがでしょう?
ピアニストはなぜかロシア人好みです。





2012年3月25日日曜日

松橋常世展とキタコブシ賞

3/23(金)は尊敬する先輩建築家、松橋常世さんの個展に出かけました。ゼネコンの設計部を経て、建築家の倉本たつひこ氏に師事、その後独立しますが穏やかで洗練された松橋建築の空気感は静かで独特のものです。会場の「ギャラリー創」には札幌中の建築家が集まり個展の開催を祝いました。ぜひ皆さんもおでかけください。宇宙建築家、松橋常世に出会えますよ~(笑)

詳しくは:http://www.agson.jp/sou_blog/2012/03/_new_utopia_city_1.html

松橋さんと一緒に。

3/24(土)は(社)日本建築家協会北海道支部が贈る「キタコブシ賞」の表彰式と講演会がありました。「キタコブシ賞」とは、長年にわたり北海道の建築に貢献した人物に贈られる賞です。なんと4回目に当たる今回は尊敬する荒谷登先生(温熱環境学/北海道大学名誉教授)が受賞されました。私のブログでも何回かとりあげているように、北海道の建築手法は30年以上に渡る科学的なアプローチを作り手である建築家たちが共有し、実践の中で少しづつ身体化(自然にできるように身につけること)してきたところに大きな特徴があります。その結果、さほど詳しくない人にまで熱や湿気に対する基本的な設計法が浸透しているところに他地域との違いがあります。荒谷先生はまだ正しい作り方が知られていなかった寒地住宅の黎明期に徹底的な実践と実証によって建物の熱環境を解明した先駆者として、道内の専門家なら知らない人はいないでしょう。中でも1979年竣工の自邸は33年前の無暖房住宅ともいうべきもので、現在の家と比べても約1/4の燃費という驚くべきものです。一貫して科学者の務めを社会的であることに求めた姿勢は、結果的に多くのファンを獲得することになりました。

建物に当たる日射の熱量分布を手製の模型を手に語る荒谷先生。設計者なら目に見えない熱の振る舞いを身体的にイメージできるようになるまで実践を通して身につけるべし。大切なのは省エネではなく、エネルギーを生かす生エネルギーの発想に立ってものを作ること。省と生ではその意味において大きな隔たりがある。雪も寒さも実は欠点などではなく魅力的なエネルギーであるとともにかけがえのない長所である。欠点対応の発想ではなく、良さ発見型の発想で設計思想を磨くべし!
荒谷イズムにどっぷりと浸かる濃密な時間でした。

今日はピアノ!いいですよ~(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=YDby2iGoT5g&feature=related

2012年3月22日木曜日

会議の後はカレーのSavoy

今日は、所属する日本建築家協会北海道支部の定例会議(通称:正副委員長会議)の日。支部長より、震災にも負けず、成功裏に閉幕したUIA東京大会(世界中から建築家の集まる世界大会で昨年は日本がホスト国)の報告と、来年に迫る日本建築家協会の札幌大会に対する準備の呼びかけがあった。

支部の環境部会の私もメモを取りながら話に聞き入る。各委員会、部会より報告がありその中で、職能委員より、施行目前の札幌市の次世代住宅基準のお話しも出た。この件に関してはちょくちょくブログでも触れているが、環境先進国であるドイツや北欧諸国の住宅基準と比較しても遜色のない水準の高いものだ、ついに行政も重い腰を上げた恰好だが、その背景には昨年の大震災の影響が大きい。エネルギーとそれを消費する機械設備に頼る従来の考え方とは異なり、建物本体を主体にした受動的(パッシブ)な熱環境の整備に重点を置いている。近年流行の太陽光発電や電気自動車を動力とするスマートハウスとは一線を画すが、今後が楽しみである。

帰りにはお気に入りのスープカレーの店、Savoyへサヴォイは10年来通い続ける名店だ。
料理なんて個人の好みというなかれ、ぜひご賞味いただきたい。味わい深いのにあっさりしていることに驚くと思う。一度食べたらけして忘れない。どこの店にも似ていない独特の味わいは、札幌名物スープカレーの老舗として恥じないもの。今年で開店18年目、商売で難しいのは続けること!私も肖りたいものである。


バジルの香るドレッシングは爽やかな後味。



サヴォイHP http://www.curry-savoy.com/

今日は大人なサヴォイの雰囲気で、ちなみにカレー以外ならベルギービール各種に自家製のピクルスがお勧め。メニューはどれも一球入魂です。
夜はジャズですよね~
http://www.youtube.com/watch?v=YKANToc0SeM&feature=related

2012年3月15日木曜日

卒業式にて

今日は長男の卒業式でした。
普段は着慣れない背広を着て、妻とは離れて私は来賓席へ。

校長とPTA会長の祝辞を聞き、卒業証書の授与。
あっという間の義務教育も終わり、もうすぐ高校生活が始まる長男。
いつの間にこんなに大きくなったっけ?

在校生と卒業生の合唱の頃には、不覚にもほろりと来そうになる。
思えばいろいろあったよね~。(笑)

おい息子よ、これからはいろいろ頼んだぜ~!

今日は、心から おめでとう!

やはり卒業式はこの曲!
http://www.youtube.com/watch?v=AHMDTO7sBv0&feature=related

卒業を迎える全ての子たちに贈ります。
http://www.youtube.com/watch?v=cAdpzhIQQbU&feature=fvst

2012年3月11日日曜日

春光の家 お引渡し




 2012年3月10日無事、「春光の家」のお引渡しが完了しました。

思えば2010年の10月から始まった「春光の家」の計画、1年5ヶ月の間にはさまざまな出来事がありました。学生から修行時代を過した旭川の仕事。初心にかえって精一杯努めようと思いましたが、実現までには素晴らしいクライアントさんをはじめ、たくさんの方々の知見や心からの協力が最大の原動力になりました。

 熱環境的には圧倒的に不利となる大規模な平屋でありながら建物の断熱や省エネルギーの計算を一手に引き受け、気密をはじめとする性能検証に尽力してくれたDr.タギ氏。

 一年で最も困難な季節にありながら、工夫に工夫を重ねて現場を切り盛りした㈱橋本川島コーポレーションのN所長、計画から着工までをサポートしてくれたT課長、積算課のMさん。外装の膨大な杉板貼りや手の込んだ意匠を受け持ち、最高の気密性能まで実現してくれたK棟梁とM職長。旭川大工の優れた技量を楽しみにしながら毎週現場に通うのがとても待ち遠しかったです。

 家中に光を溢れさせ、透明度の高い空間が自由に連続することを可能にしてくれた㈱エンヴェロッブのYさん。高い性能要求値に見事に答え最高のトリプルガラスのスクリーンで中庭を囲んでくれました。ほとんど全てガラス貼りにもかかわらず性能は一昔前の10cmのグラスウールと同じというスペシャルトリプルガラスには恐れ入りました。すっかりおなじみになった遮熱ブラインドも大活躍です。

 室内の造作家具の全てを担当した㈱匠工芸の二代目Kさんには、さまざまな難題を解決していただきました。クライアントが心から愛する地域ブランド「旭川家具」。中でも匠工芸のものは和の精神を現代的な美学で表現するデザインが多くのファンを生んでいます。割れをはじめとする木の欠点をむしろ積極的に技で美に変える姿勢は、簡素でありながらも、上質な作り手の良心を伝えています。今回も全ての家具には「匠」の焼印が入れられ同社の市販品を凌ぐ仕上げが施されています。

 屋根を担当した㈱プロテックのYさんと0勾配屋根を教えてくれた先輩建築家の小室さんなしではこの建物を特徴付ける塔屋の連続するアイディアは成立しませんでした。複雑な形状にマッチする信頼性の高い防水とそれが今までの北国が抱える屋根の問題点を大胆に解決してくれました。

 室内の汚染空気を回収しその熱でヒートポンプを稼動し暖房と給湯のお湯を造るという寒冷地向けのHPユニットを提案してくれたガデリウス㈱のKさん。今後のデーター取りが楽しみです。
 ガスと電気二つの調理の熱源を持ち、コの字型の洒落た製作キッチンを担当してくれたクリナップ㈱直需事業部のIさん。毎回ながら見事な出来栄えでした。通常の家の3倍の照明回路や間接照明を丁寧に仕上げていただいた㈱亀谷電設のK専務。初めての室内空気回収型のヒートポンプに取り組んでいただいた㈱アサダ設備工業のI部長。「チーム旭川」の全員にこの場をお借りして心より御礼申し上げます。また貴重な経験とチーム全員に素晴らしい仕事を与えていただきました建て主さま、ほんとうにありがとうございます。いただいた貴重な経験をもとにますます精進したいと存じます。
 

リビングから中庭の眺め

キッチンから食堂を見る。

ブラックチェリーの突板を用いた洗面化粧台の4点セット

洗面所の上部には専用の天窓が設けられている。

■データー(「春光の家」)

①:Q値   0.9W/㎡/k(機械換気0.3回/h)

②:C値   0.2cm2/㎡(建物完成時)

③:必用暖房容量  6.5kw(*:但し外気温-13℃、室温22℃の場合) 
             *但し暖房対象面積:248㎡/75坪

④:断熱       フェノールフォーム90mm外貼+GW24kg/m3
            壁:35cm、屋根:40cm相当(グラスウール24kg/m3換算)

⑤:換気      1種熱交換換気HP
⑥:暖房      土間下:低温水パイピンング、補助:電気式パネルヒーター
⑦:給湯      電気温水器(但しお風呂のみ)

今日の気分は映画のエンドロールですね~(笑い)
ご一緒にインデイーでもいかがでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=-bTpp8PQSog&feature=related




2012年3月8日木曜日

春光の家 が完成です

本日は、「春光の家」の完了検査。ERIさんを札幌から呼んで無事検査終了です。

次はおなじみDr.タギ氏による最終的な気密測定。結果はC値が0.2cm2/㎡と最高の結果になりました。M職長とN所長揃って安堵の笑顔がこぼれます。

現場もあと少しでお引渡し。長かった平成23年度の仕事がようやく終了します。


非常に明るい中庭の風景と隣の家の窓がどこにも見えない「俺の空」を切り取った居間の眺めです。

自分の家の中から自分の家の外壁を眺めるという貴重な?体験ができます。(笑)

中庭を囲む回廊の一部です。
今日はアラン ホールズワースでもいかがですか、彼のギターは最高ですよね~。憧れます!