2011年10月14日金曜日

西野の家 内装工事

内装にクロスが貼られ、柱にはペンキが塗られどんどん家らしくなってきます。家の中に明るく白い色があるとなんだか落ち着きませんか?建築家の中には、モノマチエールといって極力どこまでも同じ素材でまとめたがる人がいますけど、私はどちらかといえばそこまでストイックになれないほうです。(笑)まだまだ修行が足りないのでしょうか?特に木の内装を顕しで行う場合にある割合の白をどのくらい自然に使うか?は毎回悩むところです。この白の割合で部屋の広さや明るさ、天井の高さの印象まで全く異なるところが実に奥深いところです。

天井には間接照明の板が取り付けられました。これから器具が見えすぎないように高さ調整を現地で悩みながら行います。

足場も解体し特徴的な外観が現れました。
月末には内覧会です。ぜひご興味をお持ちの方はおいでください。

今日はとことんTOTOです~。(笑)



宮ノ丘の家 根堀工事

チーム宮ノ丘の生産担当、I所長の号令の下、一気に根堀を完了させた現場の様子です。隣の林と比べると基礎の高さが分かると思いますが、傾斜地がなかなかにチャレンジングなのはこんなところを見てもお分かりではないでしょうか?旭川の現場と比べるとこちらはこちらでまたずいぶんと基礎のボリュームが違います。写真を見ても分かるように左側は浅い基礎、右側は深い基礎というように階段状に深さを分けてこれから基礎を作ります。


Before

After

中央に据えたレベルで道路との高さを測ります。

お宝を発掘!(笑)このまま吊り上げて積もうとしたのですが、重すぎたので明日切断して積み込みます。この敷地はもと雑木林でしたから(実は昔はここらへんは私のクワガタ採りの穴場の一つでもありました。)栗やニレ、ミズナラにタモやセンの木がたくさん生えていたのでした。もうその当時は採れた採れた/笑)

さすがに排出土量は豪快で、敷地の広さに感謝です。

さーて頑張りましょうチーム宮ノ丘!燃えてきましたね~。
なによりクライアントさんにとってよい家づくりになりますように!
ということでGood For You!


春光の家 基礎断熱工事

春光の家は基礎(断熱)工程まで来ています。昨日は旭川出張でした。基礎の外側に12cm、内側に5cm合計17cmの断熱材を基礎外周部の両側に使い、床下には10cmのものがモルタルの下に既に敷き詰められています。外周部分は断熱材がコンクリートの型枠代わりになるためにベニアが見えません。反面外周部以外の基礎にはベニアの型枠が必要となります。

屈曲部分を丁寧に見て回ります。ご覧のように断熱材の厚さが75mmを超えると直接型枠として断熱材を使えるためにベニア型枠が節約できます。さらに浅基礎とすることでコンクリートの液常時の側圧が減るので内側の5cmの断熱材も型枠を省略することが可能となります。このように直接現場からコストダウンのヒントを得ることが少なくありません。机の上でじっくり考えることも大切ですが、現場を注意深く見回して要不要の判断ができるように、特に積算を担当する人ほど現場から学ぶ機会が必要になります。50mの基礎をつくるには50mの型枠が必要とは限らないことをぜひ憶えておいてほしいものです。

やわらかい断熱材の直進性を確保するために、水糸を逃がして(材料に対して一定寸法平行に)通して基礎の精度を確保している。型枠と水糸の間が50mmと約束すれば、全ての部分でその位置になるまでセパレーターを締め上げて、コンクリートを流す溝の巾が揃うという仕組み。

今日はふと耳にした懐かしい曲TOTO好きにはいいかも!


2011年10月13日木曜日

西野の家 内覧会のご案内


ブログを通して現場の様子をお届けしてまいりました「西野の家」の内覧会を行います。ぜひ当日はお誘い合わせの上ご来場いただければ幸いです。「愛犬とのんびり暮らす」をテーマに簡素で気取らない外観とは裏腹に北海道特産のローテクでECOなノウハウが満載です。ぜひご覧下さい。  


チーム西野  プロジェクトマネージャー   山本亜耕


「西野の家」とは?

2009年から開始した住宅300mm断熱プロジェクトの第四弾となる。昨年の「南あいの里」、「菊水」のプロジェクトで得たノウハウをもとに、さらに費用対効果を高め坪50万円台前半で可能な普及型300mmプロジェクトとなっている。自然換気でありながらQ値は1.0W/㎡kを切り、必用暖房容量はついに2kw台に突入するなど、ほとんど機械暖房に頼らないパッシブ(受身/Mか?笑)な設計思想も健在ながら、屋外にドッグランをもち、道南杉の無塗装貼りの外観や土足で使える大きな屋内土間(今回は水洗いも可能)、手稲山を見渡せるロフトやごろ寝が可能な畳スペース等々盛りだくさんです。



■データー

①:Q値   1.0W/㎡/k(自然換気0.5回/hとする。)

②:C値   0.2cm2/㎡(断熱気密工事終了時)

③:必用暖房容量  2.7kw(*:但し外気温-13℃、室温22℃の場合) 

④:断熱  壁:30cm相当、屋根:40cm(グラスウール24kg/m3)

⑤:換気      パッシブ換気

⑥:暖房      主暖房:ペレットストーブ、予備暖房:電気式パネルヒーター

⑦:給湯      電気温水器

⑧:断熱サッシ  ガデリウスニューエリートフェンスター
           (アルゴンガス入りLOW-E3層ガラス+樹脂スペーサー)

⑨:断熱材    GW24kg/m3


*:建築主さまのご好意により会場をお借りしています。内覧会終了後はお引渡しが決まっておりますのでご見学の際には、ご配慮をいただければ幸いです。また会場は住宅街ですので車でご来場の際は、近隣の迷惑になりませぬようお願い申し上げます。

「チーム西野」 紹介


■プロジェクトマネージメント(設計、監理)  山本亜耕建築設計事務所

■生   産(ゼネラルコンストラクター)   ㈱丸稲武田建設

■建築環境計画                 (有)タギ建築環境コンサルタント

■構造材                     物 林㈱

■断熱サッシ                   ガデリウス株式会社

■ペレットストーブ及び道産ペレット     ㈱イワクラ

■オーダーキッチン              クリナップ㈱直需事業部

いよいよ現場も終盤、気分はちょっぴり淋しいですが~..まあハローグッドバイってことで。
http://www.youtube.com/watch?v=0jEpgb6_dzI

2011年10月11日火曜日

宮ノ丘の家 着工

さて、いよいよ今年の長期優良住宅、「宮ノ丘の家」が着工いたしました。早速、㈱剛建築工房のI所長より基礎の施工図が到着です。敷地が傾斜地であること、長期優良住宅の基本仕様の一つとして床下の配管や設備等の点検交換のための空間を求められること、さらに断熱スカート等々で平面形状は単純ながら、深さと高さの設定が少々複雑です。出来上がれば「なーんだ」となる建築の空間ですが、このようにまだ図面のうちに(実際につくってみるわけには行かないので/笑)しっかり検討することが特に大切です。平坦地ならば私の書く設計図面で十分ですが、傾斜地の基礎となるとこうした用心深さが現場監督には欠かせません。また長期優良住宅の特徴のひとつとして構造が構造計算による根拠を必要としている点も大切です。仕様規定の範疇で設計しているような12cm厚の布基礎やスラブは基本的にNGとなり原則15cm以上のものが必要となります。「宮ノ丘の家」の基礎も地中梁として規定されるものは巾18cm以上のものが要求され、主筋には一部16mmの異型鉄筋が要求されるなど、よりきめ細かく規定されます。まだまだ木造住宅に対する構造計算の導入は一般的ではありませんが、今後ストック型社会を目指すのであれば義務化すべきだと思います。設計のための仕事量は増えても住宅を2~30年で消費するような考えとはそろそろ決別すべきときではないでしょうか?
自分の家の構造に興味がない人なんていないと思うのですが。

そんな意味も込めて今日は、愛すべきジョンベルーシを悼みながら。


2011年10月4日火曜日

西野の家 外装工事

朝日に浮かび上がる道南杉の外壁。チーム西野を引っ張る丸稲武田建設さんの内野沢棟梁の作品です。通常の外装工事はサイディング屋さんとか、板金屋さんが近年は多いですよね~。大工さんが外装や内装まで仕上げるのは意外にめずらしいと思います。印象は精緻でモダンな印象。私は縦の押し縁の間隔が10cmくらいが好きですが、ここらへんは各設計者の好みが分かれるところでもありますね~。

上の写真の拡大です。杉の押し縁(棒)が10cm間隔で並ぶ様子です。

こちらはドッグランの内部。廻りから覗き込まれることなく自らの空を満喫できるように考えました。

10月末にはチーム西野全員で内覧会を行いますからみなさん是非お越しくださいね~(笑)。

秋ですし~一緒にピーターセテラでも。



小さい秋見つけた

急激に冷え込んだ昨日の冷気で、一気に色づき始めた山の木々、短くて小さな秋が始まりました。

まだ葉の中心は緑のまま。

ちらほらと美しい紅葉の季節が始まります。

今日は一緒に野宮 真貴でも聞きませんか?

2011年10月3日月曜日

春光の家 配筋検査+ベースコン打設

本日は春光の家の配筋検査とベースコンクリートの打設です。気温は今朝、急激に下がり旭川近郊では雪が降りました。二週間前は30℃だったのに一気に秋を通り越して冬に突入です。明日からは持ち直すそうですが、お天気ばかりはなかなか思うようになりませんよね。(笑)しかし担当のN所長 はベテラン。気温が下がるのを見越してコンクリートプラントに連絡して、低温用の温度補正をかけてくれました。現場ではいろいろなことが起こります。管理者の的確な判断と気転の速さで建物の品質が守られるのです。まさにチームプレイ。感謝です。
向かって左がバイブレーター(振動子)、右が打込役です。通常はベースの打設にはバイブレーターは用いないことのほうが多いのではないでしょうか、こんなところにも丁寧さが現れていますよね。(笑)
*:バイブレーターの役目は型枠内のコンクリート詰まりを防止し、型枠の隅々まで密にコンクリートを充填させることを目的に行う。したがって「コンクリートの入りにくい状況では使うよ~。」というのが多い。反面コンクリートの打設にはたとえそれが入りやすい場所でもバイブレーターは必ずセットで行うという方針が橋本川島さん。小事にこだわるよりもまず基本を大切にという精神なのです。

かなり広い範囲なので、圧送車を動かして南北の工区に分けて打ち込みます。現場員のみなさん寒い中ごくろうさまです。

なんだか竹内まりやが聞きたくなりました。


ASJ 札幌HKイベント

10/1~2は、札幌スタジオを開設した橋本川島コーポレーションさんの初イベントでした。たくさんのご来場をお待ちしていたのですが...雨のせいか客足は今一といったところ。ASJのことは以前にもお話している通り、私たち建築家と一般のクライアントの出会いをコーディネートしてくれる会社です。こうしてブログを書き始めてたくさんの方々に少しずつ、私の活動を知ってもらえるようになりましたが、いかんせんまだまだ1馬力に過ぎません。社会の中では私たち建築家はまだまだ一般的な存在とは言えないのが現実です。そんなときに建築家とクライアントの間に立って、両社の間を取り持つのがASJなのです。私も昨年の「菊水の家」ではじめてお仕事をさせていただきました。今後さまざまな形で建築家の認知度が上がってほしいと思いますし、お互いを結びつけるコーディネートは、ますます大切になると思います。まさにコミュニケーション産業ですね。

まあ明日があるさね~。

UIA東京大会

9/26~28までUIA東京大会に行ってきました。世界中の建築家が参加する国際的なイベントで国際フォーラムをはじめ各種の展示や催しがあります。もちろん世界的な建築設計のトレンド(傾向)や今後10年の大きな流れをダイレクトに感じる貴重な場でもあります。北海道からは約60名が参加し、私も有楽町の東京国際フォーラムで世界の風を感じてきました。

建物を二棟に分け間に通り抜けができる広場を配した東京国際フォーラム。UIA東京大会のメイン会場でもある巨大施設です。


クリストフ.インゲンフォーフェン、ドイツの建築家で世界を股にかけてビッグプロジェクトを行う。本人もかっこいいです。彼の仕事の特徴は最先端の建築物理を用いた透明なガラスの建築。また大胆にガラスを用いながらも建設地において最高の環境基準をクリアして見せるのも彼特有のこだわり。

写真はルフトハンザ社の社屋。

高層オフイスの設計も得意ながら

内部の吹き抜けで、各フロアを空調設備に頼らないで自然冷房するのだそう。

まったくそのスケールの大きさには脱帽でした。まさにパッシブ換気の王様みたいなビルディング。でも考え方は北海道の建築家として共感できるものです。自分たちの設計思想がけっして世界的な建築の潮流に遅れを取っていないということが大きな自信にもつながった旅でした。

丸の内は言わずと知れた三菱グループ発祥の街。かっこいい商社マンやOL達が首からIDカードを下げてお昼を楽しむ光景はやっぱ東京でしょう。(笑)

ということで私たちもビルの谷間のサンクンガーデンでお洒落に昼食です。立ち寄ったお店は本場のピザオーブンで焼くピザのお店。感想は美味しくてびっくり!東京って何でもありますね~(笑)

旅の相棒はアトリエO2の大杉さん。建築家仲間であると同時に、ご存知今や札幌でも有数の売れっ子です。大学の後輩でもある彼と一緒にあちこち歩きながら久しぶりに建築訪探を満喫いたしました。

お昼の後は、一度見てみたかった東京カテドラルへ。設計者の丹下健三は同時期に代々木の体育館も設計している。内部の印象は圧巻の一言。カトリック教会が大切にする神の力を表現した垂直の大空間はゴシック的な空気感に満ち満ちている。手法こそモダニズムだがその権威の表現は正統なゴシックを感じさせています。

懸垂屋根で有名な代々木体育館。こちらも強烈でした。これを47年前に作ったとはほんとうにびっくりです。

この建物ができたときはこんな歌が流行っていたんですよね~。



2011年9月23日金曜日

告別式

今日は、仲間である建築家の奥さんの告別式でした。
45歳、ほんとうに若すぎると思います。

笑顔の優しい気さくな人でした。
栄養士として、子供たちの健康をまもり得意な料理で美味しさを伝えるのが仕事だった。
私の妻と同じ道北の出身で、家族同士で海にキャンプに行ったりした。

来年高校受験を控えた息子と最愛の夫を残して静かに旅立った。
桜の季節に息子の真新しい制服姿を見ることはとうとう叶わなかった。

それでも病と10年間闘った。しかし負けたわけではないようだった。
なにより彼女は微笑んでいた。

思えば、こうしてブログを書くことも、現場を見に行くのも、根気よく積算を見直すのも
、新たな間取りを考えることも、模型を作ることも、新たなクライアントに出会うことも、
無沙汰を詫びるのも、毎日不平を言うことも、思えば全て夢のようだ。
当たり前の毎日のなんと尊いことだろう。

心よりご冥福をお祈りいたします。

謹んで追悼の曲をささげます。
http://www.youtube.com/watch?v=8fDH9T0DIcM&feature=related

ぶらりと11年後に

現場からの帰り、札幌へ帰る列車を待つ間に昔し設計した居酒屋に寄りました。きれいに使っていただいて、カウンターや床が味わいをましていてびっくり!ほんとうにありがとうございます。

手元の料理が美味しく生えるようにカウンターに埋め込んだ間接照明。今も立派に使われていました。

カウンターは磨きこまれ、何度も塗装されなんともいえない味わいが出ています。実はこの材料はツーバイフォー住宅で使うもので家具用ではありません。しかしそれがかえって穏やかな表情になっています。

当時から、店主のお料理は美味しく、気取らないさりげなさにセンスを感じます。

料理を卓上に置いたときに近くに光源があると美味しそうに見えることを教えていただいたことを思い出しました。

2011年現時のお店。かなり日本酒のコレクションが増えました。



2000年の開店当時のお店の様子。まだカウンターの光り方が鈍いですね~(笑)

2011年現時



2000年開店当時

当時もレゲエが流れていましたっけ。

ぜひよかったら皆さんもお寄りください。お酒とお料理美味しいですよ~。

駅前食堂 中野藩 
旭川市宮下通7丁目 駅前ビルB1F tel 0166-27-3822 



2011年9月22日木曜日

春光の家 根掘り

本日は、春光の家の工事チームの紹介を兼ねて現場で始まった根掘り作業を見に来ました。春光の家は少々広めの平屋ですが、この日本人にとって人気の高い平屋を計画する際にいくつかのコツがあります。前回のブログで床下空間の大切さを取り上げましたが、今日はその大切な空間をいかに費用対効果を上げて作るかをお話したいと思います。
単純に言うと同じ広さの平屋と二階建てでは、基礎の大きさが倍違います。当然平屋は基礎の面積も大きくなりやすくそのままでは倍掛けのコストとなりかねません。道北圏の旭川市の凍結深度は80cm、基礎の下には水平に均した砂利を敷き詰めねばなりませんから、その分も加えると、通常の根掘りは地表面から1.1mまで掘り下げねばなりません。ちなみに札幌は0.9mが標準です。当然掘り出される土量も同じ面積の基礎同士で比較すると札幌よりも多くなります。また2011年現時でのコンクリート単価は旭川市1.5万円/m3に対して0.78万円/m3札幌市となっています。お話を総合すると、基礎のコンクリートは倍の価格で、コンクリート量は二割り増し、当然排出土量も二割り増しの基礎をどのようにコストデザインするか?この観点を計画の初期に持ち対案を設計に盛り込まねば企画倒れの憂き目に会います。(笑)

その対案とは断熱浅基礎。一般にはスカート断熱工法と呼ばれるものです。この工法、旭川の北総研(北方建築総合研究所)で生まれました。HP:http://www.nrb.hro.or.jp/index.html基礎の周囲に必要とされる断熱措置を施すことで、旭川で必要とされる凍結震度80cmを50cm程度に軽減することが可能になります。要は安全性を保ったまま、基礎全体のボリュームが半減すれば仮にコンクリートの価格が札幌の二倍でも、さほどコストは気にならなくなります。さらに平屋だとこの効果を二倍享受できます。何度もこのブログで述べているように、こうした地産技術はどんどん地域で使うべきではないでしょうか?熱の伝わり方をデザインすることで、実は安全にコストを下げたり、以前はまったく使い道がなかった床下に大切な役割を与えたりできるのですから。

平屋のためにほぼ総堀りに近い掘削となるが、その分浅いために結果的に排出土量とコンクリート量は通常設計に比べて約40%ダウンとしている。

旭川の通常の基礎工事は溝の中に入ると、ほぼ胸の低い位置まで埋まる感じ。圧倒的に浅いのがお分かりだろうか?

MGMTの原曲もいいけど~(笑)





2011年9月21日水曜日

春光の家 着工

春光の家が着工しました。まず最初に着手する基礎廻りの打ち合わせを橋本川島コーポレーションさんの本社で行いました。近年では基礎の役割が非常に大切になってきています。耐震性もさることながら、今回のプロジェクトでも基礎を断熱化し、室内の一部としてさまざまな用途に使う予定です。

①:床下暖房の敷設空間 比較的大きな面積を効率よく暖房することに有利な床暖房。単位面積当たりの床温度を25℃以下に下げ、全体の容量は面積でカバーする方式です。ただ一点の難点は、床に埋め込む管や線にもしトラブルがあった場合に床を壊さねばならないというところ。住人は一時仮住まいが必要ですよね~、そこで床下暖房の登場です。人が歩く床には暖房を埋め込まず、床下を配管用の床にします。こうすることで後になにかトラブルがあっても容易にメンテナンスに床下に潜ることができるのです。床下の天井高を約60cmとしましたから、平時は床下全体を大きな床下収納としても利用できます。

②:室内空気の熱回収の経路 北海道の中でも特に寒冷な気候の道北圏は、冬季間の平均室温が道央圏に比べて高いところが特徴です。札幌よりずっと寒冷でありながら建物の断熱仕様は大差ないものが多いところが残念ですが、結果としてより多くの燃料を必要とすることで前述の結果となるようです。地元の設計者にはぜひ奮起を期待したいところです。(笑)そこで春光の家ではこうした道北圏の特性にあった暖房方式を考えています。昨年「菊水の家」で試みた空気熱源のヒートポンプ。現在の技術を用いれば札幌圏の中でも比較的温暖な中心市街地近郊では、条件の厳しい冬場の外気から採熱しても十分省燃費でした。しかし同じ空気熱源のヒートポンプを外気温のはるかに低い旭川で採用したらどうなるでしょう?はたして「菊水の家」の建つ地域より10℃も気温が低い場所で、建物を温めるのに十分な熱が外気から採れるでしょうか?そんなことを考えて「東光の家」では同じ空気熱源でも外気ではなく、室内空気を熱源のヒートポンプを用います。より寒い外気から採れる熱は少なくとも、室温が高めなら、求めるものはそこにあります。また室内の調理器具や乾燥機に発生熱量の多いガスを選択していることも室内から豊富な熱を回収できる要因です。ヒートポンプは少ない熱を元手に大きな熱量を比較的簡単に作り出せるテクノロジーとして今後ますます私たちの社会に欠かせないものですが、建設地の気候やライフスタイル、地質の状況等を勘案しながら、ぴったりの熱源(外気熱源?地熱熱源?等々)を的確に選択できる見識が設計者には求められると思います。前置きが長くなりましたが、(すいません。)そうした室内の熱回収のための配管経路として床下を用います。管内の空気は床下の管越しに床下暖房で予熱されることで、温度降下を極力押さえながらヒートポンプの元手となるのです。

旭川からの帰りに美しい夕焼けに遭遇いたしました。がんばれ!チーム旭川!

夕焼けを見ながらカーペンターズでも。