2009年9月13日日曜日

西岡の家 各部総チェック

壁を貼る、断熱材を貼る、防水をするetcこれらは全て骨組み
を隠すことを意味します。そこで本日はそれらの総チェックです。
*:ちなみに柱の根本がオレンジ色なのが分かりますか?
防腐措置が終わっている証拠です。

開口部の寸法に合った開口がなされているか?上下階の柱
同士の接合は図面指示通りか?現場からの質問も全て聞き
答えられる事は極力その場で明確にしてゆきます。曖昧さは
事故の元です。

水が回りやすい隅の部分の確認。

指定の構造強度をもつ金物が使われているかの確認。


外部を合板で覆うので薄型の同等品に変更して対処する。

2009年9月10日木曜日

銭函の家 布コン打設

本日も雨の前にコンクリートが打ちあがる見事な展開です。今日はコンクリート工事を解説いたしますね~。 青く見えているのがフォームポリスチレン板(通称FP板)商品名でスタイロフォームなんて言った方が分かりいいです。この建物は基礎の外側にこのFP板を100mm、内側に後ほど75mm接着します。副次的なメリットしてコンクリートを外断熱すると紫外線による劣化から守ることができます。いくらコンクリートでも太陽と風雨に平気でさらすような設計では(特に日本の建築用コンクリートは)長持ちさせようとすると相応の費用や手間を覚悟せねばなりません。
             
長い方が32トン引き抜き金物(32KNホールダウン金物)短く細い方が通常の12mmアンカーボルトです。前者は基礎+土台+柱の3つをしっかりつなぐことが目的、後者は土台のみを基礎とつなぐことを目的としています。赤→はHD、通常アンカーはと分けて数日前に打ち合わせたとおりの位置にセットされていることを確認後コンクリートを打設します。

少々分かりづらいですが、HDと通常アンカーの他にリブの付いた鉄筋が多数立ち上がっています。
その意味が分かる人はさすがです。弊社の標準設計では、新築においては1階の床をコンクリート         で作る場合が多いです。理由は、耐久性、北海道独自の使い勝手(1階を土足で使う、ペットと暮らす、雪で濡れるのを気にしない、)、蓄熱を含む優れた温熱環境(床を1階床をコンクリートで作ると冬暖かくて夏涼しい)等のメリットが多いからです。西岡の家でも述べたように日本の在来工法の場合は地面
に近い柱の根本や土台に被害が集中し易いのです。その際、床まで全てばらさないと交換や修理が出来ないつくりなのか、床はいじらなくてよいのかは大きくリフォーム費用全体に影響します。
             
この家には外の空気は地中を通って入ってきます。冬でもこの深さなら凍らないし安定した地温が保たれているので、外気を地中に通す間に暖めてしまえるからです。

何気なく埋めてあるように感じますがしっかり外部に向けて勾配が取られ、もし室内で管の内部に結露しても外部に設けた枡に結露水が流れ出るように工夫しています。
             

西岡の家 2階建て方 完了!

棟梁ありがとう!すごい!綿密な段取りで1日で上棟する。工期圧縮と工事費節減、高さ制限の厳しい1種低層地域でも十分な階高と天井高で北側斜線(高さ制限)をクリアできる新開発の小屋組みで両隣に比べてぐっと建物高さを抑えたプロポーション(縦横比)となります。

屋根があるだけでただの屋外が安心感溢れる室内に変貌します。外が内に(建築)に変わる瞬間です。大梁を倍掛け(90cm間隔)で渡し、梁成(梁のサイズ)にも余裕を見ていますが大梁同士をつなぐことでさらに面剛性と梁の最終降伏強度を最大限使えるようになります。そんなことを棟梁と打合せしました。     

             
必要であってもコンクリート基礎の作れない場合は鉄骨梁による代替法を取っています。こうした「直す、修理する」ノウハウは、新築を前提にした日本の仕様書には載っていません。実際に自らの現場をもって設計者は学ぶしかありません。今後は新築にもまして直し方(リフォーム法)の研究が望まれ            ます。

             
30年前の尺梁(梁の高さが1尺:約30cm)の下に新しい尺梁を補強のために叩き込みます。大工さんは簡単にこなしますが、みなさんも考えてみてください。当然古い梁は中央が下がっています。新しい梁はまっすぐです。普通は簡単に入りません。(笑)

後付けホールダウン金物 。今の建築基準法は新築を前提に仕様基準が書かれている。          しかし30年前にはそんな基準自体がなかった。さてあなたならどうする?(ホールダウン金物:土台と柱は鉄筋コンクリート製の基礎に埋め込んだボルトにより接合せねばならない。*:埋め込むためにはコンクリートが固まらないうち、すなわち新築時しか通常は難しい。そこで新築用と同じ材料規格の平板を同じビス本数で柱の外側から、柱+土台+基礎の順に接合している。■設計者のぼやき古い建物を再生できない訳を今の法律のせいにするのは好き ではありません。でも外観だけは立派で骨組み??なリフォームが世間に多いのも事実。一部の不心得者のために業界全体が悪者にされるのは悲しいことです。
外壁に外貼り断熱の下地と筋交いを兼用した合板を貼り付けます。その際、設計者は釘頭のめり込みに特に注意が必要です。写真は正しく打ち込み深さを調整した釘打機で打ったCN65釘と合板です。
         

2009年9月8日火曜日

銭函の家 そのコンセプト

銭函の家は、私の事務所で初めての0エネルギー住宅です。これからは大きなエネルギーにたよらない暮らしがいいです。実際、今まで私が作ってきた住宅のほとんどが過剰暖房設備住宅でした。銭函の家の発熱容量は3kw、住宅用のオイルヒーター2台分で50坪をまかないます。 建物の総合的な熱性能を示すQ値は0.6~1.0(換気の評価法による差)となり、特別な暖房をしなくても熱収支を常時+に維持するように設計しました。第二期工事で南面の外壁に太陽光パネルを取り付けると、自らが必要とするエネルギー以上の電気を生み出して現金収支上も+となる予定です。        

ECOは経済だ!と誰かが言いました。みなさんはどう思いますか?今のまま地球が温暖化するとほんとうに大変ですが建築家としてできる事はないのでしょうか?そんなことを考えながら作ったのが昨年の新川の家でした。でも残念ながらここまでが建築家個人の私の力の限界です。今ほんとうにECOな建築を作ろうと思ったらもはや私という建築家一人の知見ではとても足りるものではありません。             

新川の家は暖房費的には大成功でしたが、断熱本来の意味、開口部の設計の自由度や性能、パッシブ換気の進化等の部分ではさらに発展の余地がありました。銭函の家ではそれらを強化するために、熱環境コンサルタントや道内のサッシメーカー、商社、先鋭的な工務店といったその道のプロフェッショナル達の協力を得て私は主に全体的な統括や契約業務、クライアントの予算や工程を監理しながら、コンセプトや建築空間の追及に集中できるといった分業システムで楽をしながら設計できました。以前とは違い、熱分野や開口部分野の専属のスタッフが常時私をサポートしてくれます。個人的な美学や好みの押し付けを減らし、彼らを信頼して任せることで思いもよらないアイディアや発想が生まれました。            「建築家の作品ではなく時代の求める美しい道具を作ろう!」きっとコラボレーションが自分の殻を破ってくれる。

2009年9月7日月曜日

西岡の家 2階建て方

2階の床を厚手の構造用合板で補強したところ。空は今にも泣き出しそう。さて何をするのかと見ていると。合板床の養生用ビニールシート(通称:ツーバイガード)で2階の床が雨で痛まないようにまずは養生。実に丁寧な仕事。工務店さん「ありがとう」*:通常屋根から先に出来上がる日本の在来工法では床の養生は特に予算を見ない。逆に屋根が最後に出来るツーバイフォー 工法の場合は常識的に見るのが普通です。リフォームのために変則的に2階全てを解体し再度乗せるかたちで進む西岡の家の場合、全体的には在来工法でも工程的にはツーバイ工法となるためにこうした工夫が大切になります。

ワイパーを用いて空気を抜きながら床面に圧着して行きます。こうすると雨で合板が痛みづらくなります。


長い年月のために2階の梁の上端も各部で水平ではありません。本来は梁の上に隙間なく合板を乗せたいところですが各部の高さが違うためにパック(隙間に入れるフィラー)を挿入しながら水平を出します。
白い柱が新しいもの、それ以外がもとの柱です。まだ壁がないので、仮筋交い(仮設の揺れ止め)で1階を安定させます。

30年前の柱と梁に現代の集成材の柱、木材は腐りさえしなければ、年月と共に強度は上がり続ける。また含水率も人工乾燥のものとは比べものにならないほど安定している。見た目は少々わるくてもまったく使用に問題がないばかりか、かえってそっちの方が良かったりもする。(笑)      


近年の現場の新兵器、リモート式ユニッククレーン。(無線機でクレーンを遠隔操作できる。)つまり1人で材料の荷揚げが行なえる。オペレーターも上手なので僅か2mの巾の足場の搬入口から植木と電線を器用に避けて2階の床に見事に着地させる様子は実に気分がよい。荷揚げが下手だと変な汗をかいたり、最悪、材料が落下したりして危険極まりない。

ブームを精一杯伸ばして道路から10m奥の2階の床まで梁を搬入する。ブームがしなっているのが分かる。左手で材料を回転させ右手のリモコンでクレーンを自在に操っている。

合板の上から敷き土台を釘打ちする。継ぎ手はアリ継ぎ。要は2階の梁とこの敷き土台で2階の合板を締め付けて固定しようというもの。在来だが変則的なツーバイの床のような手順になる。

どうやってつながるかが分かりやすい継ぎ手の配置。継ぎ手の種類は金輪継ぎと尻ばさみ継ぎの一部を省略したもの。ずらしながら双方を叩き込み、中央に込み栓を入れて完成させるのが伝統だけど、今はコースレッドビスや釘打ち機もあるからね。(笑)  

2009年9月5日土曜日

銭函の家 配筋検査


長期優良住宅は構造強度2割UP
従って主筋はSD16×2なんてことに。



狭き門から22m下に敷地がある
ミキサー車も圧送車も小型で。
バイブレーター+筒持+均し手の息
を合わせてコンクリートを打設する。


かわいい8トン(通常は11トン)
ミキサー車。


最近は住宅の布基礎も地中梁

扱いでフック付。


8/31(月)の地鎮祭から5日目にして配筋検査(瑕疵担保履行法)
及びベースコン打設完了!まさに住吉神社のご利益絶大です。
運よく天気が続いたり、土曜日予定のコンクリートが前日 午後に
ぴったり現着したり。検査員が良くテキパキしている等々。
幸運が続き予定工程を1日先行。実に気分の良い一週間です。

2009年9月2日水曜日

西岡の家 解体工事-2”びっくり!


 あったはずの2階がない! 現場を見に来たオーナーさんびっくり。 
「なーんもなくなっちゃうですね~」  リフォームを甘く見てはいけない。
かなりヘビーなリフォームです。  というかある意味新築以上です。
もうほとんどばらばら状態

なにをしているかというと、基礎断熱

そう「き.そ.だん.ねつ」厚さ100mmのスタイロフォームを
きれいにした基礎にコンクリートボンドで接着します。これで1階の床は飛躍的
に暖かくまた燃費が改善します。100mmのスタイロは高価ですがけして
ケチっちゃいけません。




以前の床下換気口はきれいに埋めてしまいます。基礎断熱すると床下に外気を入れる必要がなくなるからです。


土台もボケ(ダメ)てるわ~。やはり33年の月日は伊達じゃありません。
土台交換、柱継ぎ、補強かまし金物継ぎ技を駆使して頑張ります。
おーい全部新品になっちゃうぞー。
それってもうリフォームじゃないよね?
(笑)

2009年9月1日火曜日

銭函の家 地鎮祭に想う

今日は、今年の新築物件である「銭函の家」の地鎮祭です。

オーナーさんは昨年の「新川の家」のお嬢さん夫婦。今年も良いご縁を頂きました。
設計の様子はmixiでもお伝えしたとおり七転八倒。(笑) まあもう収まりましたけど。


大好きな街、小樽の現場ということもあり、今後が楽しみです。


小樽は古い街です。お宮さんも住吉神社さんに来ていただきました。
現場の安全や一家の繁栄を願い宮司さんが述べる口上を、神道の地鎮祭
では祝詞(のりと)と申します。


来られる神社さんによって少しずつ節回しや内容が違うのですが今回の宮司さんの
祝詞はその声の響きといい実に見事なものでした。
まだ勤め人の小僧の時分、同じく港町は羽幌で聞いたものに負けない力強さ。

ほんと気が引き締まりました。 頑張るぞ!








海に向かって祭壇。

2009年8月29日土曜日

西岡の家 解体工事



















築33年の西岡の家


■リフォームなのでまず解体をしてみると



















まず小屋組みは状態良し!




















しかし、外壁が黒く変色している。


むむっ!嫌な予感!





















木材は水分で腐敗すると、虫(主に蟻)の格好の餌になる。




















下地のバラ板もこの通り、蟻のトンネルが見える。




















もともと10cm角はある柱がこんなになる。


これは典型的な壁内結露の状態。室内の湿気が壁内に入り

出口を失い、木材が腐敗→蟻のえさとなる場合が多いです。

対策としては


1:材料の防腐処置

2:外気側通気層の設置

3:防湿層の設置


の3点セットが有効です。


1.西岡の家

■西岡の家(大規模リフォーム)


いよいよ始まった今年の現場、例年より3ヶ月も遅く、完成のころにはすっかり秋。
しかしスケジュールには恵まれなかったけれど、内容は充実したものになりました。


リフォームというと、まだまだ部分的修理の感が強いけれど今回の計画は、完成
するとまったく新築というもの。(要は~そっくさんです。)
耐震性や断熱性、省エネ性能も新築とほとんど変わりません。
今、世の中には中古住宅が余ってきているし、そうした中古住宅のほとんどが便利
な都心近郊の住宅街に建っていることを考えると、壊すよりはしっかり救う手立てを
考える方がこれからの世の中に合っていると思います。


しかし心配なのは、リフォームの中味。
実は日本では今まで新築中心だったがために法律もそう出来ていて、すなわち新築
するならばあれこれ守るべき法律や基準が多々あるのですが、直す(リフォーム)
となるとほとんど野放し状態。結果、「悪徳リフォーム業者逮捕!」なんて報道が過去
にもたくさんされました。
そこで西岡の家では「R住宅」の補助金を使うことで新築とほとんど変わらない品質を
確保しようと考えました。この補助金は北海道独自のシステムで今後建て主の皆さん
にはお勧めです。
ものすごく簡単にその主旨をまとめると、中古リフォーム住宅に新築なみの設計基準
達成を条件に最大200万円(平均約130万円)を補助するというものです。
その基準も北海道で生まれ、たくさんの実績をもつ北方型住宅の基準に概ね則った
ものですから、建て主にとってはさらに安心なのではないでしょうか。
まさに建築も新築からリフォームへ、エコノミーからエコロジーへといった感じがします。

*:詳しく知りたい方は:
北海道R住宅推進協議会HP:http://hokkaido-r.jp/
北方型住宅HP:http://www.kita-sumai.com/
北海道立北方建築総合研究所 http://www.hri.pref.hokkaido.jp/