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2025年4月30日水曜日

北郷の家 2025.04.30

 

「北郷の家」性能向上工事。朝から2人で現場に来てくれたシート防水屋さん。あっという間に下屋を含めて22.5坪の屋根が防水完了。すごく早くて助かります。屋根の断熱と防水が簡単に終わるとその後の作業がすごく楽です。雨の多い日本向きの工法だなあと思います。

こんな風に北側の下屋(1階部分)も陸屋根にしてしまうことで、今まで大量に落雪していた雪がなくなります。その結果、北側の畑に出る出入り口や落雪のために付けたくても付けられなかった開口部も自由に取り付けることが可能となります。よくよく考えれば・・落雪は冬にしか起きないことなのに、その不安が拭えなければ結局北側には窓や動線は一切計画できなくなります。わずか半年のこととはいえ抜本的に解決しなければ通年できないことになってしまう。雪との付き合い方は中々に深いものがあります。

手前に小さく立ち上がっているのが堤防。要は水をせき止める仕掛けです。屋根に雨が降った後、落としたくないところ、例えば窓の前や家の顔となる道路側の正面にはこうした堤防を設けて雨だれを防止し、落としてもよいところは開放してそこに雨水を誘導します。

二階建て部分の屋根も防水が完了しもう雨が降っても安心です。

東側隣家側も完了しました。

今日はRUSHなんていかがでしょう



2025年4月26日土曜日

北郷の家 2025.04.26

 

北郷の家の本日の様子です。下屋(平屋部分)まで屋根が出来上がり後は防水屋さんを待つのみとなりました。

最近は雨交じりの天気が多いですから屋根が先にできるのは本当に助かります。もちろん防水屋さんが来るまで、雨にやられないように簡易的にブルーシートでしっかり養生していただきました。

ここは平屋部分と二階部分の接合部。平屋部分の屋根防水を二階部分の外壁に巻き上げるので、その巻き上げ部分の下地は断熱を含め全て作っておかねばなりません。

灰色の部分が既存の骨組みでその上に屋根の断熱と壁の断熱が加わります。平屋の屋根のみならず、防水の巻き上げ部分(壁)の断熱も先行して行ってから、防水屋さんを呼びます。

朝方の通り雨で養生シートの上には水たまりができていました。まめな養生は本当に大切です。こういうところも経験豊富な飛栄建設の大工さんたちならでは。仕事を実によく知っているので、監理に通う私も安心を頂いています。



工事が新築ではなく性能向上改修なので、気密&防湿シートは柱の室内側ではなく柱の外側に貼ります。耐力面材として使う構造用OSBパネルの外側に貼るので、精度よく気密性能が得られます。恐らく、新築同等の性能が得られると思います。

いいですね~おしゃれ・・



南幌まちなかの家Ⅳ 2025.04.25

 

昨日は予定通りベース(基礎の底盤)のコンクリートを打設できました。この街区では着工1番乗りですので周りが広々として見えます。

床下に湧水し水が入らぬように基礎の底盤はフラットな15cm厚のコンクリートの板で作ります。底盤の下には防湿シートと断熱材も敷き込まれているので、床下が地温で冷やされて結露する心配が減ります。

周囲にぐるりと回されているのが止水版。コンクリートの打ち継ぎ部分から水が入るのを防ぐ建材です。こんな風にして外断熱された水密性の高い床下を作るのが当事務所の特色。そうすることで夏涼しく冬暖かな建物の基本が整います。

今日は復活したGフレンドなんていかがでしょう



2025年4月23日水曜日

北郷の家 2025.04.22

「北郷の家」は屋根から本格的に作業を開始しました。2階の梁組みを完成させるべく、変形した柱や梁を交換又は補強し、極力2025年現時の強度に近づけます。

もう一点、屋根を早く完成させる目的は今後増える雨への備え。GWの連休も近づいてきますから、お休みの最中に家の中に雨が入らぬよう屋根は急ぎたいところです。

既存の細い梁の下に補強の梁を入れ、屋根の上に雪が積もっても安全なように補強を行います。

斜めに渡された仮筋交は、既存建物の狂いを修正し、仮固定するためのものです。この固定が甘いと補強・・すなわち建物を固く丈夫にする際にどんどん建物は変形してしまいます。

上が当時の細い梁、その下に太い梁で補強を行います。

当時は(仕口+釘)だけだったものを金物接合に変更します。


こちらは羽子板ボルトによる接合です。



今日は高中正義なんていかがでしょう


南幌まちなかの家Ⅳ 2025.04.22

 

「南幌まちなかの家Ⅳ」の基礎工事です。コンクリート価格の高騰により浅基礎化が避けられない状況です。従来は地域別の凍結震度の定めに従い、南幌地区では地表面から60cmを基礎底としていましたが、スカート断熱工法(北方建築総合研究所)を採用し安全かつ費用対効果を上げて施工します。これによりコンクリート量は3割程度削減できると同時に床下も室内として使えるようになります。

スカート断熱工法:https://www.hro.or.jp/upload/24251/skirt_manual_sekkei.pdf

本来は60cmの基礎底が約20cm浅基礎となったスカート断熱の基礎です。

設計通りの鉄筋間隔が守られているか確認します。

こちらは基礎の中に水が侵入しないようにする止水版です。

パッシブ換気を行うために床下は室内化する必要があります。また床下は収納としても使う予定ですので、従来のような未利用空間から使える床下空間にする必要があります。当然ながら水が侵入しては床下が使えませんから防水は完全に行います。

浅基礎のもう一つの利点が廃土量の少なさ。基礎工事の際に出る掘削土は通常なら残土処分が義務付けられます。要は敷地内から運び出すのであれば有料で処分しないといけませんよということです。その一方で敷地面積の大きな「きた住まいるヴィレッジ」内では築山にして再利用したり、簡易的な土塁として通りの視線を遮ったり、敷地全体に広く敷き均して残土の存在を消すことも可能となります。今回は築山として再利用する方向で進めます。

ちなみに上の写真は7年前の「南幌まちなかの家Ⅰ」の基礎工事現場。当時はこんなに深く土を掘っている。つくづく最近の技術は進歩したと思います。

こちらが当時の残土の量。今からしてみれば単なる建設価格の高騰のみならず環境意識の進化を感じます。

現場は仮設電気、トイレ、工事看板が設置されています。

こちらは仮設給水です。

今日はHSCCでナイルロジャースなんていかが


2025年4月18日金曜日

北郷の家2025.04.18


性能向上リフォーム「北郷の家」写真は北東側で35mm下がっていた土台天端をジャッキUPして水平に直したところ。これで残りの南西、南東、北西の土台天端が揃い水平に。土台下には固練りモルタルを詰めて基礎外断熱とします。



土台を上げるためにいったん外したアンカーナットは全て緩みにくいフラットタイプに変更し材面とフラットに締め込みます。

今日はクリストファークロスのカバーなんていかがでしょう


2025年4月11日金曜日

北郷の家 床高実測

 

先週の4/4(金)現場にて床の高さを実測しました。結果は上の通りです。

南側の東西方向は概ね水平ですが、北側の東西方向は西端から東端に向けて約35mm低くなっています。計測は土台の天端で行いました。

本格的な改修に入る前に、基本的な骨組みの水平と垂直を極力直します。理由は単純でそもそもの精度が低いと後々の工事すべてに都度調整が必要となります。例えば、戸が閉まりにくいだったり、天井高が揃わない、巾木や見切りの寸法が部分部分で異なる・・といったように、最初のボタンの掛け違いが後々どんどん大きく影響してしまいます。

そこである程度現場の解体が進んだ段階で、骨格の状態を実測し、傾きや凹凸を最大限矯正してから工事に入ります。写真はレーザー水平器を基準に土台の高さを計っているところです。

「東側の壁面は南から北に向かって下がっているね」と棟梁。「東の角が一番低いから、土台をどうやって3cm少々上げるのか?悩みどころだね~」

少し悩んだ結果・・「東の角は下屋だから上に二階は載っていない。まずはジャッキで上げてみよう」ということになりました。

レーザー水準器のおかげで二階の床の傾きも一目瞭然。概ね1階と同様に東側壁面が南北方向に傾斜しています。

「一階を上手く直すと二階の床も揃うから話が早いよね」と棟梁。

現場の実測はいろいろなことを教えてくれます。現在は105mm角が一般的な柱の断面寸法ですがこの柱は約98mm。恐らく新築時に100mm角に揃えた柱が30年間で約2mm縮んだようです。既存の柱寸法に合わせて追加発注する柱も98mmに揃えます。
ちなみに梁だけは105mmの寸法。要は幅100mmの柱の上に左右2.5mmづつはみ出した梁が載った構造をしているのが特徴です。

今日はBABYMETALなんていかが、すごいす・・



2025年4月9日水曜日

南6条の家 現地調査

 


昨日4/8(火)は曇りの寒い日。

終の棲家「南6条の家」の現地調査を行いました。

本当に幸運なことに、ブログをお読みいただいているみなさまのおかげで現役世代の人からは新築&改修、既存住宅をお持ちの人からは性能向上改修、そして引退世代の人からは終の棲家のご相談を多数いただくようになりました。

地域に生きる建築家としてそれぞれの世代の暮らしに関わる機会をいただくことは、本当に嬉しく光栄であると同時に貴重な情報を得る場でもあります。

そんな中で・・各世代の仕事を通して共通する課題も見えてきました。

1:新築世代:①コロナ終息後の急激な建材費高騰で特に都心部は共働きでも建設が難しい

       ②築浅の安価な中古物件は燃費が悪く寒い割に高騰しつつある

       ③築30年以上のいわゆる築深案件は主に駐車と家の寒さ解消のために大改修

        が避けられない

2:既存世代:①は同じ

       ②住まい手でさえ無理と思うくらい寒い家が多い

       ③直したくても設計図が残っていない

       ④家により構造的な傷みの幅が広い

       ⑤将来的な見通し次第で改修規模や予算も様々(10年住めれば~販売/賃貸)

3:引退世代:①は同じ

       ②20坪台の平屋ニーズが高い⇒将来性は?(誰に売る?貸せる?)

       ③要望を絞ることが苦手⇒ともすれば寒い家になり易い・・


こんな風に俯瞰すると見えてくるのは・・「そのままの状態で住める家が少ない」です。

実際に新築でもまだまだ寒い家が作られる傾向が高く、完成時こそ何とか予算内でと安心したものの、結果的には後のエネルギー価格の高騰について行けない。(2011年以前に多い築浅のオール電化物件等)。

ちなみに最近よく聞くZEH(ゼロエネルギーハウス)も端的に言えば年間20万円程度購入していた電気代が半額くらいになりますというもの・・ゼロエネルギーだから電気代も0にはなりません。理由は単純で買電:売電の割合が2:1~5:1だからです。これから総エネ設備を導入する際は蓄電池や自家消費の計画性、見落とし易い維持管理費も重要です。予算が厳しい中、導入をお考えなら、むしろ躯体の断熱に回すことをお薦めします。

既存住宅改修のニーズの中で多いのは意外にも外装の痛みや水回りの刷新のような見た目が入口段階では多いです。しかしその後ヒアリングを進めると・・寒さや燃費の問題が浮上してきます。もちろん最初から寒さを改修理由に挙げるお客様も多いですが、寒い家程、躯体の痛みも激しいのが特色です。壁を壊すと、結露で腐った柱や土台・・取り替えるには中々手間もかかります。断熱と防湿になぜ十分な投資をしなかったのかと残念になります。

終の棲家に対しては自らが住まなくなった後、どんな利用の仕方をするのか考えておくことが大切です。暖かくて丈夫な家なら売れますし、借り手も探せます。相続の際も子供たちに嫌がられることはありません。

そんな理由で・・時がたっても「そのままの状態で住める家」は少ない。

本当の意味での北海道スタンダードな住まいをテーマに「南6条の家」を計画しようと思います。

今日はHSCCでナイルロジャースなんていかがでしょう







2025年4月7日月曜日

南面採光は分かるけど・・



日本人が大好きな南側敷地・・夏は庭の緑が暑い日差しを抑え、冬に落葉すると室内にはたっぷり日が入る!・・いや入るはずだ!、入ると思われる?/笑・・そこで住宅街をフィールドワークしてみると・・せっかくの南面大開口の多くが季節を問わずカーテンを閉めている事実に気付く・・

要は年中薄暗く、冬は肝心な日射熱の恩恵も得にくいという不都合な真実を目の当たりにする。そこで住まい手にその理由を尋ねると「だって通りを歩く人の視線が気になるじゃない。目が合うと気まずいしカーテンで隠す以外ないでしょ?そりゃ日は日で入った方がいいけどね・・」と当たり前のように返される・・ふと気付くと自分も同様の暮らしをしていることに思わず赤面してしまった/笑

そうか・・南面大開口を想定通り成立させるためには、外から覗かれない・・という工夫が必要なんだなと今更ながらに気付く・・


今日は久々にバンアパなんていかがでしょう


2025年4月2日水曜日

北郷の家が寒かった理由


 なるほど・・こりゃあ寒いはず・・写真は下屋に設けられた浴室上部の小屋裏の写真。

質の高い断熱住宅を作る上で下屋の扱いは設計者にとってまさにキモ。小屋裏という名の屋外を下屋の上に設けるとこんな風に悩ましいことになる場合が多い。

*下屋(1階の平屋部分。平屋上部の小屋組みが二階部分の外壁とも接するので断熱が難しい。)

画面左上から右下に向けて斜めに走る断熱された給水ラインは・・凍結対策として水落とし(水抜きの事)がし易いように高所に設置することが札幌市により奨励され、また小屋裏という屋外で凍結してしまわぬように断熱もされた。

しかし運悪く・・小屋裏で水道管が凍結してしまうと・・設備屋さんには天井を壊し、GWまみれになりながら凍結した管を融かすという・・過酷な仕事が待っていた。熱環境の知見がまだ乏しかった当時・・小屋裏という難しい半屋外部分の扱いは十分に周知されていなかった。

今日はT・C・R・Sなんていかが